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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営方針

 当社は、本社を福岡市に構えながら、学術研究機関や企業の先端技術分野の研究開発に高い専門性と提案力を武器に伴走し、そこで得た先進技術の実績と知見を、DXの拡張余地が大きい全国の大学・自治体や地域の中核企業を中心に社会に展開する流れを推進することで、社会全体のDX推進に貢献しております。

(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当社が主戦場とするIT分野では、技術進展や少子高齢化が進む中、今後IT人材の不足がますます深刻化し、2030年には45万人程度までIT人材の不足規模が拡大するとの推計結果が出ております。(出所経済産業省委託事業「IT人材需給に関する調査」)

 更に、DXのトレンドが進展する中、生産性の向上や業務の効率化を目的にクラウドファースト戦略を実行する企業が増えるほか、働き方改革の一環として「テレワークの導入」「デジタルビジネスの強化」などの業務課題を解決するためにパブリッククラウド(注)サービスを活用する企業も増加しております。2022年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比29.8%増の2兆1,594億円となると見込まれており、また、2021年~2026年の年間平均成長率は20.8%で推移して、2026年の市場規模は2021年比2.6倍の4兆2,795億円になると予測されております。(出所:IDCJapan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場 産業分野別予測、2021年~2026年」)

 加えて、2021年度のAIビジネス国内市場は1兆1,608億円となっており、実証実験から本格導入に移行する企業が増加したことで市場が大きく伸長しました。AIビジネスの国内市場は年平均8.5%の成長が予測され、2027年度に1兆9,787億円になると予測されております。(出所:株式会社富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)

 このような環境の下、当社は、クラウドやAI・IoTといった複数の技術を組み合わせて、クライアントの様々なDX課題に最初から最後まで寄り添うサポート力を備えた独自の企業として市場にポジションを確立していくため、対応技術分野及びコンサルティング領域の拡大を推し進めてまいります。具体的には、以下の事項に注力してまいります。

①学術・研究機関へのクラウドソリューション提供拡大

 日本初のAWSパブリックセクターパートナーとして様々な学術・研究機関へのクラウドソリューションの提供を行っております。

 旧帝国大学で初めてクラウド導入をした九州大学をはじめ、多くの学術・研究機関様へクラウドソリューションを提供しており、AWSのパブリックセクターチームとの連携をしながら、国内の公共分野のクラウドインテグレーション、AI、IoT、量子コンピュータなど新たな技術領域の社会実装を支援しております。

 文部科学省の令和5年度学術情報基盤実態調査の結果によると我が国の大学におけるクラウド利用は全大学で95.4%となっているとされており、クラウドは大半の大学で利用されている状況です。しかしながら、その利用方法は、電子メール、ホームページ等の管理運営基盤(95.6%)、eラーニング、遠隔講義等の教育・学習基盤(84.3%)が大半で、研究データ管理、高性能計算機等の研究基盤は19.5%に留まっています。当社は、これまでの実績を基にクラウド化の進捗が低い研究基盤のクラウド化、クラウド上での先端技術研究の実装を積極的に支援していきます。

  ②先進技術の社会実装支援拡大

 生成AI技術の急速な社会普及もあり、今後、DXはシステムの刷新からデータ活用に主戦場が移るものと想定されます。そのため、データ活用の前提となるクラウドインフラの豊富な開発実績、様々な産業へのAI・IoTなどの先進技術を活用したソリューション提供実績を背景に、クライアントのDX課題をワンストップ(一気通貫)で伴走支援する当社のサービス特徴への需要の高まりが見込まれることから、先進技術の社会実装支援を牽引するデータ人材の育成と拡充を推進するとともに、当該サービスの拡大による事業全体の高付加価値化を目指していきます。

  ③セールス・マーケティング人材の拡充

 これまでの当社は、エンジニア主体で事業成長をしてまいりました。今後の更なる成長に向けて、セールス・マーケティング等に携わる人材の拡充を行い、当社の技術力が生み出す社会への提供価値を最大化するための機能強化を推進してまいります。また、当該拡充を通じて主戦場である日本国内の売上拡大のみならず、海外市場の開拓にも注力してまいります。

  ④M&A等の戦略的提携

 今後の持続的な事業成長に取り組むとともに、非連続な成長、拡大を目指し、M&Aや戦略的提携による競争力の強化や新たな技術の獲得、事業ポートフォリオの多様化等に取り組み、企業基盤の強化に努めることが重要であると考えております。既存リレーションの活用および仲介業者等との連携によるソーシングの実現体制の整備進め、新たなエリアへの進出や事業機会創出に向けた戦略的提携を推進してまいります。

(3)目標とする経営指標

 当社は、更なる事業の拡大及び収益性の向上を特に表す指標として、営業利益成長率を重視しております。また、営業利益成長率を高める上で、①継続的にDX支援を推進することで向上する「顧客平均単価」、②社会全体のDXを推進することで向上する「新規取引顧客数」の2つの経営指標も重視し、中期的な事業拡大と収益性向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

1.新技術への対応

 当社が属するIT業界では、技術革新が絶え間なく行われております。このような事業環境の下で当社が継続的に事業を拡大していくためには、新技術に適時に対応していく必要があると認識しており、新技術及び新サービスの開発に継続的に取り組んでまいります。

2.優秀人材の確保と育成

 IT人材が不足している中、常に学び続ける姿勢を有する人材の確保が事業の発展、成長に欠かせない重要課題であります。当社では、通常の採用活動に加え社員紹介制度のリファラル採用の強化や、新卒・中途入社者向けのOJT教育や勉強会などを積極的に行っております。また、クライアントのDXを推進するクラウド技術・AI等の先進技術の受託開発型サービスと、自社運営のプロダクトサービスを提供していることは、エンジニアの技術領域の拡大に寄与しており、優秀なエンジニアの採用及び育成において優位性のあることだと認識しております。

 人材の確保と同時に、社員の能力開発・向上のための研修参加や資格取得費用の会社負担、認定資格取得時の報奨金制度を整備し、社員の能力を最大限に引き出す仕組みづくりを進めております。さらに、人事評価制度の継続的改善運用を行い、社員の長期的な成長支援や魅力ある報酬体系の維持・向上に努めております。

 また、当社は、リモートワーク、コアタイムなしのフルフレックス、時短勤務制度の導入など働き方の多様性に対応した施策を積極的に推進しています。一方で、一定割合の出社も推奨しており、同じ場所でともに働くことによる効率の向上や、仕事の垣根を越えた人材の交流、社員同士のコミュニケーション活性化を図っております。全社員がそれぞれのワークライフバランスを実現し、働きやすい環境を整えることによって、次世代を担う優秀な人材の育成、定着に繋げてまいります。

3.サービスの高付加価値化、利益率の向上

 当社は、成長戦略を着実に実行していくことで売上高の安定的高成長を実現するとともに、営業利益率の向上を図ることが課題であると認識しております。採用力強化により、技術者人材を増員すると同時に、対応技術分野やコンサルティング領域の拡大等により、付加価値の高いサービスを提供し受注単価の向上に努めることで、売上高の向上を図ってまいります。また、開発プロセスの継続的な改善、社内における技術の共有や教育訓練等を実施し、より強固な開発体制の構築に努め、IT技術で社会課題を解決していきたいと考えております。

4.競争優位性の確保

 今後も成長を持続していくためには他社との差別化が急務であり、サービスの優位性を高めるための機能強化・追加が必要不可欠であると認識しております。当社は、特定分野・技術に固執せずに、新しい技術分野にも取り組みながら、幅広い技術分野を網羅し、最適なものを組み合わせてサービスを提供することを重視しております。IoT、AI、クラウドに加えて、量子コンピュータ等の先端技術、Web、モバイル、ビッグデータ解析、優れた顧客体験を実現するUI/UXのノウハウ等の様々な技術・知見に、アジャイル開発等の開発手法を用いることにより、顧客ニーズに柔軟に対応できることが当社の事業展開上の強みとなっていると認識しております。今後も当社の付加価値を上げる取り組みを実施してまいります。

5.コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化

 当社は、今後もより一層の事業拡大及び成長を見込んでおります。そのため、事業拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。

6.健全な財務基盤の構築

 財務基盤の健全性を維持しながら、優秀な人材の採用及び育成、事業開発及び研究開発活動など、今後の事業拡大に向けた投資資金需要に対応すべく、事業資金を安定的に確保することが必要不可欠であると考えております。今後の資金調達手段としては、主に金融機関からの借入、エクイティファイナンスを検討しております。

(注)パブリッククラウド

 広く一般のユーザーや企業向けにクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービスのことをいいます。

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