EIZO 【東証プライム:6737】「電気機器」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、テクノロジーの可能性を追求し、顧客に新たな価値を認めていただける製品を他社に先駆けて創造、提案し、顧客の満足を得ることを経営の基本方針としております。このため、当社は映像技術を核とした市場や顧客のニーズに応じた最適な映像環境ソリューションを提案する「Visual Technology Company」として、世界トップレベルの高品質かつ信頼性の高い映像製品の提供、システムソリューションの提案を行っております。
(2) 経営戦略
2024年度を初年度とする第8次中期経営計画では、「Visual Technology Evolution ~EIZOにしかできない映像価値を~」の方針の下、ハードウェアとソフトウェアの両面からEIZOにしかできない「映像」の価値をさらに高め、引き続き持続可能な社会の実現に向けた取組みをさらに推進するとともに、事業領域の拡大を目指してまいります。
(3) 経営環境
当社の属する電子機器業界は、絶え間ない技術の進化、液晶パネルに代表される電子デバイス業界の変容等、激しく変化しております。その環境下で、ソリューションビジネスが拡大するとともに、新たな価値創造に向けた取組みが進展しております。
そうした中、当社はB&P(Business & Plus)で培った要素技術・品質・ノウハウを核に、ヘルスケア等の特定市場に深く根差した製品を開発し、相互にシナジーを生む事業を展開し、強いビジネスモデルを構築してきました。また、ビジネスモデルのさらなる進化に向けて「撮影、記録、配信、表示」のすべてをカバーできる当社独自のシステム事業である「EIZO Visual Systems」(EVS)の強化に取り組んできました。このビジネスモデルのもと、事業拡大のための地域戦略として欧州・米国・中国に続き、成長著しいインドや中東での事業拡大に取り組んでおります。
当社が認識する各市場の経営環境は次のとおりです。
B&P(Business & Plus)
ビジネス用途ではパフォーマンス及び作業効率の向上を図るための表示画面の大型化、高精細化及び高解像度化が進んでおります。また、サステナビリティへの意識の高まりにより、環境に配慮した企業の取組と製品への需要が高まると見込んでおります。さらには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を契機に人々の生活様式や働き方の多様化が進み、USB Type-C接続によるノートPCとの親和性等、機能の高度化に対するニーズが高まっております。
ヘルスケア
診断用途については、欧州・米国・日本といった先進国では読影環境の改善を目的とした高解像度モニターの需要が高まることに加え、中国や新興国においても医療の高度化により需要が高まる見込みです。また、欧米において導入が進んでいる遠隔診断は、その他地域にも拡がることが見込まれます。内視鏡及び手術室用途については、低侵襲手術などの先端医療への需要が高まっており、高解像度手術用モニターや術野カメラ、映像記録・配信システムなどの映像関連機器の需要が高まる見込みです。
クリエイティブワーク
写真、印刷等の静止画分野では、色の再現性が重要な写真や印刷用途での底堅い需要が存在します。映像制作向けについては、4K・HDR制作環境が浸透しており、特に映画制作や動画ストリーミング配信サービス分野における需要が高まっています。また、ゲーム制作分野においてもCG技術の高度化に伴い、4K・HDRの需要が高まることが見込まれます。
V&S(Vertical & Specific)
多種多様な業種・分野を対象としており、幅広い需要を見込んでおります。工作機械をはじめとした、各種機器・装置に搭載するタッチモニターの需要は引き続き旺盛であり、一層の需要を見込んでおります。航空管制用途向けについては、全世界における市場シェアNo.1のポジションを維持しております。米国を始めとした全世界の更新需要に加え、各国の空港新設による需要や付加価値の高い高解像度モニターの需要についても高まることが見込まれます。
監視用途向けでは、全世界でセキュリティ意識の高まりを背景に、市場が拡大することが見込まれます。船舶用途向けについては、操舵室の電子化・システム化に伴い船級規格を備えたモニターの堅調な需要が見込まれる他、船内外の監視ニーズ、自動航行システム実現に向けた実証実験等、市場は多様化の動きを見せております。
ディフェンス向けについては、地政学リスクの高まりを受け、高い信頼性や耐久性を備えたモニターについて一定の需要があるものと見込まれます。
アミューズメント
当市場は引き続き遊技人口の減少により厳しい環境となりますが、魅力ある商品の提供及び安定供給により、市場でのトップメーカーの地位を維持してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上の課題
① ビジネスモデルの進化と新たな価値の創造
自社開発したモニター、カメラ、ネットワークエンコーダ等のハードウェアと当社固有のアルゴリズムやAI等を要素とするソフトウェアを融合させ、「撮影、記録、配信、表示」のImaging Chainを構築し、当社独自のシステム事業である「EIZO Visual Systems」(EVS)を展開しております。このシステム事業と当社の強みを活かした製品づくりにより、さらに便利で簡単に利活用できる新たな映像価値をグローバルに提供し、様々な社会課題の解決に貢献します。これらを通じて、当社の事業領域を拡大させ、当社独自のビジネスモデルの進化と強化に努めてまいります。
② 安定した資材調達と製品供給
当社は、取引先との間で相互繁栄を基本とした信頼関係を構築し、互いが長期に発展できるパートナーシップを築くことを方針としております。取引先とは、当社の資材調達方針に加え、当社のサステナビリティに関する取組みを共有し、パートナーシップを強化しております。また、自然災害の発生、感染症の流行、国際紛争や市場の変化により資材調達が困難な時においても顧客への安定的な製品供給を実現するため、当社製造拠点及び資材調達におけるBCPを強化するとともに十分な材料在庫の保有を戦略的に行っております。これらの取組みにより、安定供給を継続、維持してまいります。
③ 事業成長のための生産性向上と競争力強化
ハードウェアとソフトウェア両面の進化を通じた事業成長のため、戦略的なグループ開発体制・生産体制の構築と事業基盤を支えるITインフラの刷新を行うなど業務効率化と生産性向上を進めてまいります。また、当社独自のビジネスモデルを進化させ、当社固有の技術と強いシナジーを発揮するノウハウ、技術等を取得するため、今後も必要に応じ機動的なM&Aを実施いたします。
④ 持続可能な社会の実現に向けた価値創造の推進
当社は、「映像を通じて豊かな未来社会を実現する」という企業理念のもと、エルゴノミクスや環境に配慮した高品質な製品づくりや、誰もが生き生きと活躍できる職場環境の構築など、製品づくりと事業活動を通じて社会課題の解決に取組んでおります。社会課題と当社経営戦略の観点から重要性の高い事項をマテリアリティ(重要課題)として特定し、全社目標マネジメントシステムとリンクさせることで持続可能な社会の実現に向けた取組みを一層強化し、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
⑤ 気候変動への対応
マテリアリティの一つとして「気候変動への対応」を特定し、気候変動対策を推進しております。2023年5月には、2040年にNet Zeroを達成するための具体的な施策・計画「低炭素移行計画-Transition to Net Zero-」を策定しました。当計画に従い、国内外の事業活動全体における温室効果ガスの排出削減に積極的に取組んでまいります。
⑥ 自由闊達で創造的に活躍できる企業文化の醸成
当社は行動指針の一つである「自由闊達で創造的に活躍できる企業文化」こそ、従業員と会社が成長するために最も重要な要素と考えております。「モノづくりの高度化・複雑化が進む中で、次のビジネスモデルを『創る』『支える』ことができる多様な人材の獲得と育成」を最優先課題として捉えております。高い倫理観とグローバルマインドを持ちつつ、映像分野のトップランナーとして「世界で一番いいものをつくり、世界中のお客様にお届けする」という「EIZOマインド」のさらなる醸成と共有を推し進め、VUCAの時代に対応する柔軟な思考力・実践力を持った人材を確保・育成することを目指します。
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