企業兼大株主CYBERDYNE東証グロース:7779】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、山海嘉之が創出したサイバニクス技術を駆使して、社会が直面する様々な課題を解決するため、革新技術(イノベーション技術)の創出と基礎的研究開発から社会実装までを一貫した事業スキームとして事業展開します。即ち、革新技術の創生と新産業(サイバニクス産業)創出による市場開拓、これらの挑戦を通じた人材育成の3本柱を上向きにスパイラルを描くように同時展開する未来開拓型企業を目指しています。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、研究開発型企業として革新的製品の研究開発や臨床・実証研究及び各種認証取得を推進し、その製品の上市やサービス展開によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。

 当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。

 当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上され、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれるため、当社グループは、現在の業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。

 最近5年間のHAL®等の稼働台数の推移は、本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④ 経営上の重要な非財務指標」に記載のとおりです。

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループは、「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出による未来開拓を推進していますが、対処すべき課題は、次のように考えています。

① 革新技術・新産業創出のための研究・製品開発

 当社グループが目指す「テクノピアサポート社会」の実現、「サイバニクス産業」の創出のためには、社会が直面する課題の解決に向けたIoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)、AIロボット、AI情報系、HCPS融合等の各種サイバニクス技術の継続的な研究開発・製品開発が必要となります。

 当社の先端技術の独自性と優位性は、人の内的情報(脳神経情報・生理情報など)に加えて、人の外的情報(行動情報・生活情報など)や環境情報をスーパーコンピュータで一体的に繋げる点にあります。当社は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」において、「超高齢社会における世代を超えた人々が直面する社会課題の解決に向けたHCPS融合人協調ロボティクスの社会実装技術開発」を受託しており、当該プログラム等も活用し、国内外の大学・研究機関、医療機関、行政機関、企業等と連携し、引き続き、最先端サイバニクス技術を駆使したサイバニックシステム(サイバニックデバイス、サイバニックインタフェースなど)の研究開発・製品開発、さらにサイバニックシステムから得られるIoH/IoTビッグデータの集積・解析・AI処理を実現する統合サイバニックシステムの構築を推進してまいります。

② サイバニクス治療の臨床試験の推進

 世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療のグローバルな標準治療化のために、各種臨床試験を通じてサイバニクス治療の有効性と安全性の確認が必要となります。日本国内においては、2015年11月にHAL®医療用下肢タイプが8つの神経・筋難病疾患に対して「新医療機器」として医療機器承認を取得していますが、2020年11月に5年間に渡る市販後の使用成績調査を終了し、実際の臨床使用において極めて高い有効性と安全性を示す結果が得られました。また、HTLV-1関連脊髄症(HAM)等の痙性対麻痺症を対象に行った医師主導治験結果をもとに、適用疾患の拡大の承認を2022年10月に取得しました。脳卒中に関しては、医療用HAL®「下肢タイプ」(単脚モデル)の医師主導治験(HIT2016試験)の結果を踏まえて、最新の患者像や臨床ニーズを捉えた追加試験(治験)の実施について、当局と相談しながら準備を進めています。また、小児脳性麻痺等に伴う運動姿勢障害を呈する患児の粗大運動能力の向上を目的とする医師主導治験が、2022年1月より筑波大学附属病院を中心に現在進行中です。

 当社グループは、国内外での適用疾患の拡大や他のタイプのHAL®(単関節タイプや腰タイプ)の医療機器化に向けて、国内外の主要な医療機関との連携を強化し、各種臨床試験を推進してまいります。

③ グローバルでの医療機器承認の取得

 HAL®のグローバル展開に向けては、世界各国における医療機器の承認取得が必要となります。HAL®医療用下肢タイプは、米国食品医薬品局(FDA)により、2020年10月に従来の脊髄損傷に加えて脳卒中や神経筋難病疾患に対して医療機器承認を取得しましたが、2024年5月に脳性麻痺、HTLV−1関連脊髄症(HAM)、遺伝性痙性対麻痺でも承認を取得するするとともに、世界に先駆け小型モデルの医療機器承認も取得しました。さらに、APAC(アジア太平洋)の主要国を中心に医療機器化を推進しており、2019年10月以降、マレーシア、タイ、インドネシア、シンガポール、オーストラリアで幅広い疾患に対して医療機器承認を取得しています(台湾では脊髄損傷のみ)。また、HAL®医療用単関節タイプは、2019年10月に、第三者認証機関であるTÜV Rheinlandより医療機器の認証(欧州医療機器指令への適合に対する認証)を取得し、米国、およびAPACの主要国(タイ、インドネシア、オーストラリアなど)でも医療機器化が進んでいます。サイバニクス治療を必要とする方々へ革新的治療技術を届けられるよう、承認や許認可関連の規制の枠組みを世界的に主導している日米欧の各国において医療機器化を達成した当社の臨床開発実績を活かしつつ、引き続きグローバルでの展開を推進してまいります。

④ 世界各国での保険適用

 HAL®のグローバルな普及拡大を進めるためには、各国における公的及び民間保険の適用が必要となります。日本では、HAL®医療用下肢タイプ(両脚モデル)について、8つの神経・筋難病疾患に対して2016年9月から公的医療保険による治療が開始されており、2022年4月の診療報酬改定においては、関連する医学会(日本神経治療学会) からの医療技術評価提案を受け、DPC対象病院においても出来高評価となるとともに増点が認められました。また、並行して民間保険会社とも連携し、医療保険及び介護保険(大同生命)や損害保険(AIG、損保ジャパン)への適用や付帯が始まっています。米国では、民間保険の適用に向けて、パートナー医療機関との連携を進めています。欧州では、EU最大の医療機器市場であるドイツにおいて、HAL®医療用下肢タイプによる治療費の全額が公的労災保険に収載されていますが、公的医療保険の適用を目指し、欧州の主要な国での申請準備を継続しています。ドイツにおいては公的医療保険適用の審査手続きが一段階進み、公的医療保険が先行適用される臨床試験の実施が決定し、試験の準備が進められています。また、ドイツやポーランドでは、脊髄損傷患者に対して大手民間保険会社による保険適用が開始されていますが、引き続き各国の民間保険会社との協議を進めてまいります。

⑤ 自立支援のための個人向けサービス強化

 現在、日本は超高齢社会となり、65歳以上の高齢者が2022年10月1日現在約3,624万人(総人口の29.0%)、介護保険制度における要介護者又は要支援者は2020年度末で約668.9万人(※)となっており、年々増加傾向にあります。当社グループは、主に高齢者の要介護度の改善や重度化防止及び加齢による身体機能が低下するフレイルの予防や自立維持に向けて、歩行機能向上の促進を目的とする「下肢タイプ」、肘・膝の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹・下肢機能向上の促進を目的とする「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用モデルを展開しています。HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促す「Neuro HALFIT」プログラムを提供するロボケアセンターの拠点拡大に加えて、自宅でもHAL®が利用できる個人向けサービス「自宅でNeuro HALFIT®」の提供を通じて、個人の方に対して、日常的に脳神経・筋系の機能の向上を促し、自立度を高め、要介護予防をサポートする取り組みを引き続き進めてまいります。

⑥ 事業推進体制の強化及び未来開拓型人材の育成

 当社グループの製品・サービスは、統合サイバニックシステムとして全体が統合されているため、医療・福祉・生活・職場・生産の各分野、経営・事業開発・研究開発・生産・営業等の各機能において、高度な専門人材を集積するとともに、全体を統合し一体的に事業推進するコア人材を強化することが必要となります。当社グループの事業領域の拡大、製品・サービスの拡充、グローバル展開の進展に伴い、事業推進体制を柔軟に変化させ、強化することが可能な組織及び人事制度を構築し、あるべき未来の姿からバックキャストさせて新たな技術・製品・事業を創造する発想力を持ち、必要とあれば、たとえ異分野であってもその専門家となって推進し、情熱を持ってやり抜く未来開拓型人材の登用・育成を進めてまいります。

※ 出典 内閣府「令和5年版 高齢社会白書」

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