CRGホールディングス
【東証グロース:7041】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(経営方針)
当社グループでは、「成長を愉しもう。」という基本理念を策定しております。この基本理念には、次のような願いが込められています。
・人も企業も、持続的に成長するには、何よりも成長を愉しむことが大切。
・新しいことに挑戦することで、成長できる。
・自分自身の成長を愉しめるから、また成長したくなる。
当社グループでは、一人ひとりが成長を愉しみながら、やりがいをもって働ける舞台をつくることで関わるすべての人を大切にし、誰もがいきいきと働ける社会の実現を目指します。
なお、当社の商号であるCRGホールディングス株式会社に込められた意味は、「ステークホルダーとのコミュニケーションを図り(Communication)、関係性を構築し(Relation)、共に成長をしていく(Growing)」ことを、それぞれの頭文字であるCRGによって表現しており、共に手を携えて、より大きな組織、より理想とするカタチを作り上げていこうという想いが込められています。
(経営環境)
当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境に改善が見られ、政府による各種政策の効果もあり国内景気は緩やかな回復傾向にて推移しました。一方、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクがあるなど、先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが属する人材サービス業界におきましては、2024年9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍、完全失業率(季節調整値)は2.5%となりました。人材需要はコロナ前の水準まで回復していないものの、少子高齢化に伴う構造的な人手不足という社会課題は解消されていないものと判断しております。
このような市場環境のもと、当社グループにおきましては、「人のチカラとIT」の融合を事業方針として掲げ、主力の人材派遣紹介事業における継続的な労働力の提供に加え、業務効率化の支援を行うことを目的に、人材派遣紹介事業にて培ったナレッジを活かした採用支援・BPOなどの各種代行事業や、AI・RPA(注1)・OCR(注2)などを活用したITソリューション事業を行っており、人手不足という大きな課題を解決するためのトータルサポートを提供してまいりました。また、近年、これまで以上に期待されているシニア、女性、グローバル人材の活用や、障がいをお持ちの方の雇用機会の創出や処遇の確保・改善にも注力することに加え、専門人材による通訳・翻訳サービスの提供を開始するなど事業領域を拡大させております。
当連結会計年度におきましては、事業者向け金融業を営む株式会社クレイリッシュの株式を取得し、完全子会社化いたしました。同社においては、強みである様々なニーズに対応した多様な金融サービスの提供に加え、当社グループが持つネットワークを有効活用することで、与信力強化及び調達余力の拡大に繋げ、売上拡大に尽力しました。また、ペットケア関連製品の製造請負事業を展開する株式会社プロテクスにおいては、製造業へと参入しておりますが2024年9月に千葉県東金市の製造工場が竣工いたしました。製造ノウハウの一層の活用を図り業容の拡大に努めてまいります。障がいをお持ちの方の就労移行支援やサテライト型障がい者雇用支援サービスを営む株式会社パレットにおいては、就労移行支援事業を一部を譲り受けることといたしました。本件により、就労支援事業のサービス提供エリアは全国に拡大いたしましたので、更なる収益基盤の強化を実施してまいりました。業績面につきましては、主力の人材派遣業において新規顧客の開拓と単価交渉に注力してまいりましたが、特にコールセンター向け人材派遣における大手顧客の需要減に加え、直接雇用化の傾向が続いており、売上高・営業利益を圧迫する結果となりました。このような状況を受け、派遣先職種やサービス内容の拡充によるクロスセルの強化及び事業リスクの分散、成長事業への経営資源配分の最適化、派遣スタッフの集客力強化、共通費用の効率化を推し進めることを目的に、当社グループの人材派遣紹介事業を展開する3社を合併することといたしました。
これにより、拠点の統廃合などに係る店舗閉鎖損失を計上し繰延税金資産を取り崩しておりますが、早期の業績回復・企業価値の向上を図り、より一層のシナジー効果の創出を実現してまいります。また一部の投資有価証券の売却・評価損を特別損失として計上しております。
(注)1.Robotic Process Automationの略。主にパソコンで作業している定型化された業務を、ロボットにより自動化する取り組みのこと。
2.Optical Character Recognition/Readerの略。手書きや印刷された文字を、イメージスキャナやデジタルカメラによって読みとり、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術のこと。
(経営戦略)
(1) HR関連事業
① 人材派遣紹介事業
中核事業であるコールセンター派遣においては、コールセンターのユーザーであるエンド・クライアント企業へのダイレクト・サービス拡大により、顧客開拓を図ってまいります。また、注力分野である女性・シニア層・グローバル人材活用を強化するほか、常用型派遣の強化により高スキルを要する職種への派遣にて売上高の拡大を図ってまいります。
基幹システム「C3」の機能向上、AIによるマッチングシステムの開発、RPAによる事務作業効率化等のIT活用により、サービスレベルの向上やオペレーションの更なる効率化を図ってまいります。
スーパーバイザーとオペレーターをセットで派遣する「ユニット型派遣」に加え、請負型契約への切り替え、クライアントが希望する派遣人数をコミットメントすることで優先的に案件獲得をすること等により、サービスの高付加価値化に取り組んでまいります。また、派遣スタッフのキャリアアップ制度利用を推進することによって付加価値の高い人材提供を図るほか、将来的にはAI、RPAの導入をサポートできる人材の育成・供給にも注力することにより、請求単価の向上を図ってまいります。
案件スクリーニングの強化、優良案件が見込める企業におけるシェアの拡大、ミドル・エグゼクティブ層のハイキャリア人材サービス等、高収益案件へこれまで以上に注力することで、一層の収益性向上を図ってまいります。
② 製造請負事業
生産性・作業品質・提案力を持続的に向上させることで、高い顧客満足・評価を獲得し、クライアントとの関係を深化させることで業務拡大につなげます。
具体的には、国内既存4拠点における請負業務範囲の拡大に加え、ペットケア関連製品の製造請負以外の事業拡大を企図し、将来的にはクライアントの国内全拠点への展開を目指します。
更に、ベトナム等からの海外人材を国内取引先で受入、経験を積ませることで、同海外人材に技術・ノウハウを吸収させ、将来は同人材を活用し、クライアントの海外拠点での業務受注を目指してまいります。
③ RPA事業、システムソリューション事業、IT関連事業
人事、労務領域を効率化するための受託開発を主軸とし、具体的にはAI、OCRを活用したRPAソリューション、勤怠ソリューション分野に注力してまいります。
RPAソリューションにおいては、人員不足による長時間労働といった課題を抱えるあらゆる業種のクライアントに対し、AI、OCRを活用した業務の自動化・効率化ソリューションを積極的に提案し、既存クライアントの課題解決策を提供しながら、顧客基盤を拡大してまいります。
④ 障がい者福祉サービス事業
提案力を持続的に向上させることによる新規顧客の獲得に注力してまいります。また地元の福祉サービス企業との連携を図り、就労前の自立訓練から就労移行支援、就労後の定着支援まで一気通貫の体制を整え、サービスレベルの向上に努めてまいります。
⑤ 通訳・翻訳事業
株式会社オシエテにおいて、デジタル化・オンライン化に特化した通訳・翻訳サービスのプラットフォームを主として営んでおります。35超の言語に対応可能な2,000名を超える通訳者が登録された通訳・翻訳サービスのマッチングサイトにて、顧客の複数拠点と通訳者をオンラインで結ぶサービスを展開しております。また、昨今のインバウンド需要の高まりを受けて、サービスの充実に努めてまいります。
(2) フィナンシャル事業
① 事業者向け金融事業
株式会社クレイリッシュにおいて、資金繰りを支える手形割引や無担保融資、不動産担保融資等様々なニーズに対応したサービスの展開をしており、グループ間の顧客データベース等を活用したクロスセルにも注力してまいります。
② M&A・投資・仲介事業
主としてCRGインベストメント株式会社において、当社グループとの相乗効果が見込まれる企業のM&A、M&A仲介、出資に注力しております。金融機関やM&A仲介会社との関係性を強化しております。
(目標とする経営指標)
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。具体的には、売上高成長率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。
(対処すべき課題)
当社グループが属する人材サービス業界におきましては、我が国の少子高齢化、それに伴う生産年齢人口の減少という社会構造の変化を受け、人手不足がこれまで以上に深刻な問題になることが予想されることから、経営基盤の一層の強化を図り、主力の人材派遣紹介事業における継続的な労働力の提供に加え、業務効率化の支援を行うことを目的に、人材派遣紹介事業にて培ったナレッジを活かした採用支援・BPOなどの各種代行事業や、AI、RPA、OCRを活用したITソリューション事業を行っており、人手不足という大きな課題を解決するためのトータルサポートを提供していくことが重要であると認識しております。
また、近年、潜在労働力として期待されているシニア、女性、グローバル人材の活用や、障がいをお持ちの方の雇用機会の創出や処遇の確保にも注力しております。
当社グループは、上記経営方針及び経営戦略を実現するために、以下の課題に取り組んでまいります。
(1) 派遣スタッフの採用と育成
当社グループは、持続的成長のために、派遣スタッフの採用と育成が重要であると考えております。
人材派遣紹介事業では、専門性を持った派遣スタッフを確保するため、当社グループ内において専門性の高い教育・研修体制の強化を図ってまいります。また、当社グループの事業方針に合致する企業との業務提携等も積極的に実施し、迅速に顧客ニーズに対応できる体制を構築してまいります。
(2) 優秀な人材の確保及び育成
当社グループは、持続的成長のために優秀な人材を採用するとともに、将来を担う人材の育成が必要不可欠であると認識しております。競合企業に負けない組織体制を構築するとともに、顧客ニーズに柔軟に対応できるよう正社員の教育を強化し、提案力やチーム力の向上を図ってまいります。
(3) 収益基盤の拡大
HR関連事業におきましては、全国主要都市に拠点の展開をしておりますが、未開拓地域への進出や、既存拠点のある地域の顧客ニーズに対して、柔軟に対応していくための戦略構築が今後の課題となっております。当社グループといたしましては、積極的にサービス提供地域を拡大していくことで、更なる収益基盤の拡大を図ってまいります。また、人材派遣紹介事業が当社グループの売上の大半を占めておりますが、当該事業に依存しない事業体制を構築するため、それ以外の事業も拡大し多様な収益基盤・事業ポートフォリオの拡充に取り組んでまいります。
フィナンシャル事業におきましては、金利の上昇、為替相場の変動、物価の高騰などの環境変化のもと、貸出金利の適正化を図りつつ優良顧客の獲得に努めてまいります。そのためにも、金融機関との取引拡大に加え、市場からの調達等、調達方法の多様化による財務内容の安定性を高めながら、企業体質の強化を図ってまいります。
(4) 特定取引先への依存に関するリスク軽減
株式会社プロテクスにつきましては、ほぼ取引先メーカー1社及びその関連会社との取引となっており、同社グループとの取引縮小等に伴う事業リスクが存在するため、当該リスクの低減が必要であると認識しております。請負業務範囲の拡大や国内外を含む受注拠点の拡大及び、上記取引先メーカーとのリレーション強化を図る一方、同社との取引を通じて得たナレッジを他社取引に展開し、事業の拡大及び事業リスクの低減を図ってまいります。
(5) IT活用の推進
深刻な人手不足を背景に、当社グループは総合人材サービス企業として、人材だけでなく、生産性向上に向けた省人化施策も提供することが必要であると認識しております。
当社グループでは、ITシステムやRPAを活用した新たなサービスを創出し、顧客企業に価値を提供していくと同時に、AIマッチングシステムやRPA活用による社内オペレーションの効率化によって収益性向上を図ってまいります。
また、人材サービス業界に特化した基幹システムや勤怠管理を自動化するシステムを開発・導入し、業務の効率化に取り組んでおります。当該システムにおいては、スマートフォン上で完結する勤怠報告アプリケーションの導入や、幅広い給与支払い方法に対応する等、派遣スタッフの利便性を向上する各種機能を実装し、満足度向上を図っております。
今後は更に、これらシステムの顧客への提供を推進する他、継続的な機能強化を行い、付加価値向上に努めてまいります。
(6) 新規事業への参入について
当社グループでは、継続的な事業規模拡大のため、積極的に新規事業へ参入していく方針であります。
当社グループは、人材需給が逼迫する状況を背景に、顧客の業務効率化のためのソリューションを提供しております。今後も、顧客の需要に応じた各種新規サービスを創出するなど、新たな価値を生むための取り組みを展開してまいります。
また、必要に応じてM&Aなども活用することにより、市場環境や顧客需要の変化に柔軟かつスピーディーに対応してまいります。
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