Appier Group 【東証プライム:4180】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1) 市場の成長性に関するリスク
当社グループの成長戦略の成否は、マーケティング領域におけるAI SaaSソリューションに対する需要が伸び続けることに大きく依存しています。企業によるAIを活用したマーケティングの市場は、北東アジア地域、グレーターチャイナ地域、米国及びEMEA地域をはじめとする当社グループが事業を展開している地域を含め世界的に新しいため、規制(特に個人情報保護に関する法規制)、景気動向、AIをマーケティングに使用すること並びに個人に関するデータを収集、分析及び利用することに対する企業の意識や需要、かかるソリューションに対する企業、ユーザー及び規制当局の評価等により、期待どおりに成長しない可能性があります。
また、当社グループの成功は、クラウド型のソフトウェア・ソリューションの普及、とりわけSaaS形式のソリューションの普及に依存していますが、当社グループが事業を展開するマーケティング領域において、企業によるかかるソリューションの需要が今後も増加し続けるかは不確実です。とりわけ、多くの企業は、既に多額の費用と人材を投入してオンプレミス型のソフトウェア・ソリューションを自社の事業に組み込んでおり、移行費用への懸念等により、クラウド型のソフトウェア・ソリューションを導入することに消極的となる可能性があります。
これらの要因により、当社グループがターゲットとする市場が拡大しない場合や、拡大の速度が当社グループの見込みよりも緩やかである場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(2) 業績に関するリスク
当社グループが属するAIマーケティング市場は未だ成熟しておらず急速に発展している段階にあり、また、顧客企業によるマーケティング活動の季節性その他の当社グループのコントロールの及ばない様々な要因に左右されるため、当社グループの売上収益は大きく変動する可能性があり、また、不測の追加費用や損失が発生する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績に重大な影響を与え、将来利益を計上できない可能性があります。
(3) マクロ経済に関するリスク
当社グループの売上収益の大部分は、北東アジア地域、グレーターチャイナ地域、及び米国及び欧州地域から計上しており、当社グループの売上収益は過去増加しているものの、当社グループの業績はこれらの地域の経済情勢の影響を受けます。その見通しは不確実性が高く、様々な要因によって悪影響を受ける可能性があります。例えば、ウクライナ情勢に加え、米中貿易摩擦や中東及び北朝鮮での地政学的リスクの増大等により世界経済が低迷する場合、当社グループの主要な販売地域にも悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの要因等により、これらの地域の経済情勢が悪化した場合、当社グループのソリューションに対する需要が減少し、新規顧客企業の獲得及び既存顧客企業の維持に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きく悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 顧客企業の維持・獲得に関するリスク
当社グループの将来の成長は、新規顧客企業の獲得及び既存顧客企業の維持の成否に左右されます。当社グループが新規顧客企業を獲得できるか否かは、当社グループのソリューションの品質・価格・評判、競業他社の戦略や、当社グループのブランドやマーケティングの有効性等の要因に依存しており、今後も顧客企業を獲得し続けることができるかは不確実です。特に、当社グループの顧客企業基盤は多様な業界に及ぶものの、現時点ではEコマース及びデジタルコンテンツの業界に集中しており、これら以外の業界に顧客企業層を拡大するにあたって、当該業界における顧客にとって魅力的な形で当社グループのソリューションを開発又は展開できない可能性や、当該業界における既存の競合企業との実質的な差別化ができない可能性、当該業界における新たな規制に対応するための追加の費用が発生する可能性等があります。加えて、当社グループは新規顧客企業の獲得のために多額の販売及びマーケティング費用を支出しなければならない可能性があり、また、支出に見合った売上収益の増加を実現できる保証はありません。
また、当社グループの売上収益の大部分は既存顧客企業から継続的に発生するリカーリング型の売上であり、既存顧客企業の維持及び単価の上昇は当社グループの業績に重要な要素となりますが、これまでと同水準の月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率等を保つことができるとの保証はありません。
新規顧客企業の獲得及び既存顧客企業の維持が当社グループの見込みどおりにいかない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(5) 市場規模の推計に関するリスク
当社は、TAMについて、一定の仮定及び前提の下、TAMについては顧客分析のためのAIソフトウェア市場の規模及び成長率についてのIDCによる推計を用いて推計しています(前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境」をご参照ください。)。当社は推計に当たり当社が信頼できると考えるデータを用いておりますが、推計値の正確性には限界があります。かかる将来予想に用いられたデータ、仮定又は前提が不正確又は不適切であった場合、実際の当該潜在的市場の規模は推計より大きく下回る可能性があります。
さらに、仮に潜在的市場の推計値が正確であった場合でも、当社グループのソリューションがすべての企業のニーズに応えることができるという保証はなく、また、当該潜在的市場の機会を捉えて当社グループが順調に事業を拡大できない可能性があります。
(6) 事業のグローバル展開に伴うリスク
当社グループは、収益機会の拡大に向けて、今後はアジア全域をカバーするとともに欧州及び米国においても事業の展開を拡大することを企図しています。
複数の国・地域における事業の継続及び拡大にあたっては、現地における人材採用等を行う必要がありますが、かかる採用等を計画通りに実施できる保証はありません。また、言語、地理的要因、法制・税制を含む各種規制(特に、個人情報その他のデータやAIの利用に関連する現地の法令)、経済的・政治的不安定、文化・ユーザーの嗜好・商慣習の違い、為替変動、データの使用可能性等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスク等が存在します。当社グループは既に世界各国の15の国・地域で事業を展開しておりますが、このようなリスクに適切に対処できない場合、当社グループの事業のグローバル展開に影響を及ぼし、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(7) 先行投資から得られる効果が期待通りに実現しないリスク
当社グループは、既存のソリューションの強化と新たなソリューションの開発に重点を置いており、今後も研究開発人員の採用等に引き続き多額の投資を行うとともに、顧客企業基盤の拡大のために販売・マーケティングにもさらなる投資を行っていく予定です。投資の実施に際しては、投資から得られるリターンを重視しています。当社グループは、歴史的に多額の研究開発費を投下してきており、今後も収益性の向上に努めながらも、投資を継続する方針です。
しかし、サービスの開発・改良サイクルの性質上、投資を行う時点と、当該投資により開発・改良したサービスを顧客企業に提供することができるようになる時点との間には時間差が生じる可能性があり、開発・改良したサービスに対する顧客企業の需要は、当初の見込みを大幅に下回る可能性があります。その場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(8) 当社ソリューション及び技術革新等に関するリスク
マーケティング領域におけるAI SaaSソリューションは急速に進化しており、当社グループが成功するためには、これまでと同様に、既存のソリューションの品質をあげること及び高性能な新ソリューションを導入し続けることが必要です。新たなソリューションの開発や既存のソリューションの改良において、AI等の技術の進歩に追いつくことができないこと等により当社のソリューションが消極的な評価を受けた場合や他社に対する競争優位性を失った場合、当社グループの顧客企業基盤の維持・拡大及び利用ソリューションの拡張に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループのソリューションには問題がない場合であっても、他社のAIソリューションに問題が生じた場合、AIソリューション全体への信頼性やAIソリューション市場の成長性に悪影響を与える可能性があります。
(9)顧客企業の需要に関するリスク
当社グループが事業を成長し続けるためには、顧客企業の需要を正確に把握し、適時適切に対応して新たなソリューションの開発や既存のソリューションの改良を行う必要があります。変化する顧客企業の需要に迅速に対応できず、当社グループのソリューションを継続的に開発・改良することができない場合、特定の販売地域の顧客企業の需要等に合ったソリューションを導入できない場合、又は当社グループの新たなソリューションを顧客企業が導入するのに過度に時間や手間を要する(若しくはそのように認識される)場合、顧客企業基盤の維持・拡大及び利用ソリューションの拡張並びに新たなソリューションの導入に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(10)競合に関するリスク
当社グループが事業を営むマーケティング領域におけるAI SaaSソリューションの市場は比較的新しく、新規参入が比較的容易であることから、既存又は新規の競合他社との間での競争は今後ますます激化することが予想されます。現在又は将来の競合他社は、当社グループよりも長い事業歴、より豊富な財源や技術力、より効率的な事業モデル、より高い知名度等を有している可能性があります。さらに、それらの競合他社が、当社グループの顧客企業(潜在的顧客企業を含む。)との間に強固な関係を有していたり、市場に関する広範な知見を有していたりする可能性もあります。
また、当社グループのソリューションの競争力は、高度なAIを提供する能力、顧客企業の目標達成に対する有効性、導入における迅速さ及び使用における容易さ、カスタマーサポートの質と信頼性、使用にかかる総コスト、迅速な経営判断、ブランド認知度等、多くの要素に依拠していますが、当社グループがこれらの要素における競争力を維持できるかは不確実性が伴います。
さらに、競争の激化により、当社グループは、受注の減少や市場シェアの低下が生じる可能性に加え、価格を引き下げ、価格体系を変更することが必要となる可能性があります。
当社グループがこれらの競争に打ち勝つことができない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(11)事業成長に伴うリスク
当社グループは、2014年6月にCrossXの提供を開始し、その後もサービスを拡大してきましたが、事業の歴史は浅く、またマーケティング領域におけるAI SaaSソリューションの市場も急拡大してきた新しい市場であることから、当社グループの事業が今後もこれまでと同じ速度で成長する保証はありません。また、今後、事業の拡大に合わせて必要な研究開発人員や営業人員者等の人材を確保できる保証はありません。
一方、当社グループの事業が急速な成長を続ける場合、経営管理、内部管理、従業員の管理等を含む事業運営に大きな負担が生じる可能性があり、当社グループがかかる負担の増大に適切に対処できなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)価格体系に関するリスク
当社グループの主力ソリューションであるCrossXは、利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供される仕組みとなっています。これらの仕組みの下では、当社グループの収益は、顧客企業がCrossXを利用して行う新規ユーザー獲得数等のためのマーケティング活動の利用量に応じて定まりますが、どれほどの利用量を提供できるかは当社のAIアルゴリズムの正確性にも依存しています。当社のAIアルゴリズムが顧客企業に対して十分な成果を出せなかった場合には、当社グループの収益は減少し、その結果、利益率に悪影響を与えることになります。
また、当社グループの他の製品については、一定程度使用量が増えるごとに段階的に価格が引き上げられる方式を含む月額又は年額課金型のサブスクリプション方式を採用しています。この方式の下では、期間中に高頻度で利用する顧客企業が当社の想定よりも多い場合には、サーバー費用の増加により利益率が悪化する可能性等があります。
さらに、将来的に価格体系や単価の変更や引き上げを行う際、それが顧客企業に受け入れられない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)代理店への依存に関するリスク
当社グループの売上収益の一部(主に日本と韓国におけるCrossXの売上収益の一部)は、代理店を通じての販売によるものです。代理店と協力して顧客企業の獲得を行い、最終顧客と直接のビジネスを行っておりますが、当社グループとこれら代理店との関係が悪化した場合や、代理店が当社グループのソリューションを販売するための販売手数料を値上げした場合等には、当社グループの収益性が低下する等、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループが今後新たな地域へ販売を拡大する際にも代理店の販路に依拠する可能性がありますが、かかる代理店が当社と競合する他社の製品やサービスを優先的に販売する可能性があります。さらに、代理店が当社グループのソリューションについて顧客企業に誤った説明をしたことや、法令等に違反したことにより、訴訟を提起され又は当社グループの評判が損なわれる等の可能性があります。これらの要因により、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(14)外部クラウドサーバーへの依存に関するリスク
当社グループのソリューションは、外部クラウドサーバー(Amazonが提供するAmazon Web Services(以下「AWS」といいます。)及びGoogleが提供するGoogle Cloud Platform(以下「GCP」といいます。))を使用して顧客企業に提供しており、かかるソリューションの提供には、AWS及びGCPの安定的な稼働が不可欠となっています。しかし、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社グループの想定していない事象の発生によりAWS又はGCPが停止した場合や、コンピューター・ウイルスやハッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAmazon若しくはGoogleとの契約が解除される等によりAWS若しくはGCPの利用が継続できなくなった場合には、顧客企業への損害の発生、当社グループの評判の毀損や当社グループによる追加費用負担の発生等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(15)インターネット接続・利用に関するリスク
当社グループが提供するソリューションの利用は、当社グループの顧客企業によるインターネットの通信環境に影響を受けます。当社グループが依拠するインフラとしてのインターネットに障害等が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、ネットワーク事業者によるインターネット接続サービスの内容や価格の変更、法規制等の動向によって、当社グループが提供するソリューションの質が低下し、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16)個人情報保護規制に関するリスク
当社グループのソリューションでは、現時点においては、日本の個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)上の「個人情報」をユーザーの同意なしには取得しておりません。しかしながら、当社グループによるかかる情報の利用が違法又は不適切であると主張された場合、顧客企業の信用を喪失する等当社グループの評判が悪化し、又は当社グループが業務停止を含む規制上の措置・制裁や訴訟の対象となる可能性があり、顧客企業の喪失に繋がるおそれがあります。
世界的に個人情報の保護に関する規制は厳しくなっており、今後規制が大きく変更される可能性があります。また、2020年6月に成立した改正個人情報保護法は、主にデータ主体の権利の強化や事業者の義務の厳格化、データの利用に関する新たな規制の導入を意図しております。現時点ではかかる改正法が当社の事業に著しい影響を及ぼすことは想定しておりませんが、これらの規制の変更が行われた場合やかかる改正法の施行により、対応に多額の費用を要し、当社のソリューションのクオリティが低下し、又はAIプラットフォーム若しくはマーケティング領域におけるAI SaaSソリューションに対する意識・需要等が変化することになれば、当社の事業成長力が損なわれ、結果として、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(17)情報管理体制に関するリスク
当社グループのAIプラットフォームでは、ユーザーに関する個人情報又は個人識別情報並びにそのオンサイト及びその他のオンラインにおける活動に関する情報を含む、ユーザーのデータの保管、転送及び処理が行われます。当社グループは、セキュリティ侵害等の脅威からこのようなデータを保護するために、外部サービスを利用する場合はセキュリティレベルの高い大手のサービスを利用することに加え、ウイルスソフトを搭載する等の対策を行っているものの、当社グループがそのリスクを完全に除去できる保証はありません。当社グループのAIプラットフォームに不正アクセスやセキュリティ侵害等があった場合、個人情報の漏えいやデータの喪失、当社グループの評判の毀損及び事業機会の喪失、当局による調査や訴訟への対応、損害賠償や罰金等による多額の費用の負担等につながる可能性があります。
当社グループのシステム及び外部サービスプロバイダのシステムは、コンピューター・ウイルスやサイバー攻撃のリスクにさらされており、当社グループの認知度や市場シェアが高まった場合、それらの標的となるリスクも増大する可能性があります。不正アクセスやサイバー攻撃の手法は日々変化し、高度化しており、当社グループ又は外部サービスプロバイダは全ての不正アクセスやサイバー攻撃を予測又は防止することができない可能性があります。
また、セキュリティ侵害は、当社グループの従業員又は外部サービスプロバイダその他の当社グループのシステムやデータにアクセスすることのできる外部企業の従業員の故意又は不注意による違反等、技術以外に起因する問題によっても発生する可能性があります。当社グループは個人情報等の取扱いについて、個人情報の保護に関する社内規則や取扱いの方針及び手続き等の社内ルールを整備し、適切な運用を義務づけておりますが、このような対策にも関わらず、当社グループの人為的なミスその他予期せぬ要因等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客企業からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その結果、当社グループの事業及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループは、ソリューションの提供やデータの保管につき第三者やクラウドの基盤に依存していることから、不正アクセス、サイバー攻撃、顧客企業データの悪用の防止につき、第三者のセキュリティ対策に依存している部分があります。当社グループは、一定の情報セキュリティに関連する損害賠償責任に対応する保険に加入しておりますが、当該保険は、当社グループが被る可能性のある全ての責任を補償するには十分ではなく、セキュリティ侵害その他個人情報に関する事故が発生した場合、当社グループの評判、事業、業績、財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(18)ソフトウェア及びネットワークに関するリスク
当社グループの継続的な成長は、当社グループが設計・構築するAIプラットフォームのパフォーマンスに依存しており、継続的にAIアルゴリズムの改善を行っておりますが、当社グループのソリューションの基礎となる技術基盤は複雑であるため、重大な誤謬を含んでいる可能性があります。当社グループのソリューションに重大な誤謬が見つかった場合、当社グループの評判、事業及び業績に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループが提供するソリューションは、インフラの変更、新機能の導入、人為的な若しくはソフトウェア上の誤謬又はその他のセキュリティ関連の事象を含む様々な要因によって、パフォーマンスの遅延、中断、停止その他の問題を引き起こす可能性があります。顧客企業が満足できる水準のサービスを受けられない場合、顧客企業は当社グループのソリューションの利用を中止する可能性があり、その結果、当社グループの事業及びソリューションは、評判の低下、市場からの敬遠、競争力の喪失、顧客企業からの損害賠償請求等の結果を招く可能性があります。
さらに、当社グループのソリューションは、外部クラウドサーバーであるAWS及びGCPを使用しております。その結果、当社グループの事業活動は、これらの外部クラウドサーバーのプロバイダが自然災害、電力やネットワークの障害、サイバー攻撃等から当該プロバイダ自身のサービスを守ることができるかどうかによっても左右されます。当社グループがプロバイダと結ぶ契約が終了した場合やサービスが失効したりシステムその他のリソースが損傷したりした場合、当社グループのプラットフォームが使用できなくなる可能性があり、また、新たなプロバイダを探すのに時間がかかる場合や追加費用が必要となる場合には長期にわたって当社グループのプラットフォームを使用できなくなる可能性があります。これらの要因により、当社グループの収益が減少し、当社グループに対して顧客企業から損害賠償請求等が提起され、当社グループの評判が損なわれ、又は顧客企業が不満を感じて当社グループとの契約を終了する可能性があり、その結果、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に重大な悪影響が生じる可能性があります。
(19)カスタマーサポートに関するリスク
当社グループのソリューションは、継続利用することでより高い効果が期待されるため、契約後も顧客企業に対して適切なフォローアップを行うことで利用の継続を促すことが重要であると考え、当社グループは、顧客企業との契約後も技術及び運用上の問題について継続的にカスタマーサービスを提供しています。しかし、顧客企業のカスタマーサポートに対する需要の増加に迅速に対応することができない場合や顧客企業のニーズに合った効率的かつ迅速で質の高いサポートを提供できない場合又は市場からそのように認識される場合、顧客企業が当社グループとの取引をやめ、又は潜在的な顧客企業に当社グループのソリューションを推薦しない可能性があり、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(20)ブランドに関するリスク
当社は、既存顧客企業の維持や新規顧客企業の獲得にとってブランド力は極めて重要であると考えています。マーケティング領域におけるAI SaaSソリューション市場は日々競争が激化しており、また当社グループは今後さらなるグローバル展開を企図していることから、当社グループがブランド力を構築、維持、向上させるために多額の費用を要する可能性があります。また、当社グループのソリューションやマーケティング領域におけるAI SaaSソリューション全般に対する否定的な評判が広がった場合や、当社グループの役職員による違法・不正行為や不適切な行動により当社グループのブランドや評判が損なわれた場合、既存顧客企業の維持や新規顧客企業の獲得に悪影響が生じる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。
(21)人材の採用・育成に関するリスク
当社グループのサービスはAIアルゴリズムを用いているため、営業人員者にもAI等に関する一定程度の知識が求められます。そのため、当社グループはかかる知識や経験のある人材の採用に努めていますが、そのような人材は数が限られており、十分な人数を採用できない可能性があります。また、当社グループでは、採用後もソリューションに関する教育を行っていますが、社員が十分な成果を上げることができるようになるには相当の時間と労力が必要である上に、最終的に当社グループのソリューションを販売するのに十分な知識を習得できない可能性もあります。当社グループがソリューションを販売する人材の採用又は教育に失敗した場合、当社グループの事業及び業績に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは、AIアルゴリズムの開発に必要なAIサイエンティストやソフトウェアエンジニアの採用に関して、厳しい競争に直面しております。さらに、当社グループは創業以来、経営陣が強い関係を有する台湾のAIサイエンティストを中心に採用してきましたが、同地域においてもこれまでと同様にAIサイエンティストを採用できる保証はありません。加えて、優秀な人材を確保しつづけるのが容易ではないという業界共通の課題があります。当社グループが必要とする人材の獲得若しくはつなぎ止めができなかった場合、又は人材の獲得若しくはつなぎ止めのために多額の費用を要した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(22)特定人物への依存に関するリスク
当社グループは、製品の開発や事業戦略の立案等について経営陣に大きく依存しております。特に、当社グループの共同創業者であり代表取締役CEOである游直翰は、当社グループの事業戦略や企業文化の構築、AIサイエンティスト及びエンジニアの獲得にとって極めて重要であり、AIアルゴリズムの開発においても中心的な存在です。当社グループでは取締役会、経営会議等を通して役員及び従業員への情報共有や権限移譲を進める等組織体制の強化を図りながら、経営体制の整備を進めており、特定人物への依存に関するリスクを最小限にしておりますが、同氏を含む経営陣に不測の事態が生じた場合や経営陣に人材の流出が生じた場合、当社グループの事業及び業績に悪影響が生じる可能性があります。
(23)他社の買収、業務提携、合弁会社設立に関するリスク
当社グループは、事業戦略の一環として、当社グループの事業と補完的な事業、ソリューション又は技術への投資又は買収を行っており、今後も潜在的な投資及び買収の検討を継続していくことを考えております。
しかし、投資や買収が見込み通りの成果を上げることができない場合、当社グループが投資又は買収の対象の企業価値を過大に見積もっていた場合、又は既存事業への新規事業の統合や統合後の内部管理体制の構築が奏功しない場合等には、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。当社は過去に複数の買収を行い、これらの会社が提供する既存ソリューションを当社のAI技術で強化することによって、新たなソリューションとして提供を開始し顧客企業数を増やしておりますが、取得した技術を強化するための研究開発費や販売・マーケティングチームが新たなソリューションを導入するための研修費等統合のための費用を支出しており、また、当社グループはこれらの買収から想定している利益を得ることができない可能性があり、その場合、当社グループの評判や業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、当社グループは他社との業務提携や合弁会社の設立を行う可能性がありますが、パートナー企業との関係が悪化したり、パートナー企業の事業や財政状態が悪化した結果、業務提携等に悪影響が生じ、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(24)知的財産権に関するリスク
当社グループのソリューションはAIアルゴリズムを用いていますが、AIアルゴリズムは当社グループが現在事業を行う地域では特許権による保護を受けることができないため、その不正使用を防止するための措置は不十分である可能性があり、AIアルゴリズムが不正に使用された場合、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社が今後進出する地域においても、同様にAIアルゴリズムが法令上の保護を受けられない可能性があります。
そのため、当社グループは、AIアルゴリズム等の知的財産を保護するために、訴訟の提起等に多大な費用と時間を要する可能性があり、かつ結果として知的財産を守ることができないおそれがあるため、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を遂行するための体制を整えておりますが、投資や買収等を通じたサービスの拡大等に伴い、第三者の特許権、著作権、商標権等の知的財産権の侵害に係る訴訟を提起される可能性が高まっています。当社グループが知的財産権の侵害を理由に第三者から訴訟の提起等を受けた場合、その対応に多大の費用と時間を要する可能性があります。加えて、そのような第三者の知的財産権侵害を回避するため、当社グループのソリューションの販売若しくは使用の中止や特定の機能の変更、第三者からの不利な条件でのライセンスの取得、又は機能の再設計等が必要となる可能性があります。これらの対応により、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(25)法的規制等に関するリスク
当社グループは、個人情報保護法のほか、AI及び機械学習に関する法律、デジタルサービスの提供に関する法律、プライバシー、データ保護及び情報セキュリティに関する法律並びに贈収賄禁止法を含む様々な法令等の適用を受ける可能性があります。また、業界の自主規制やサードパーティープラットフォーマー(Eコマース、アプリストア、ゲームポータル等)の規程の適用を受ける可能性があります。
これらの法令等の変更が行われた場合、対応に多額の費用を要し、また、当社のソリューションのクオリティが低下することになれば、当社グループの事業成長力が損なわれる可能性があります。
当社グループは、コンプライアンス体制の充実が重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規程類を策定し、適宜研修を実施して周知徹底を図っておりますが、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、当社グループが法令等を遵守しない若しくは遵守していないと指摘される場合、又は代理店等が法令等を遵守しない場合、当局より行政処分を受けること等により、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(26)繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、2023年12月期末において9,868百万円の税務上の繰越欠損金を計上しており、そのうちの一部に対して繰延税金資産を計上しています。当社グループの業績等の著しい変化により、当該繰越欠損金の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合や、税率変更を含む税制改正、会計基準の改正等が行われた場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(27)内部統制に関するリスク
当社グループは、事業の歴史は浅く、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し運用していますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
(28)資金調達環境の変化
当社グループは、今後も、新規のソリューションの開発、既存のソリューションの改良及び販売機能の強化等の、成長を支えるための投資を継続していく予定であり、当社の事業を継続するための運転資金の確保を必要とする可能性があります。しかし、金融・証券市場の環境、金利等の動向、資金需給の状況等の変化が、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループが必要とする資金の調達を適時かつ好条件で行うことができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(29)自然災害等のリスク
当社グループの事業の遂行は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。当社では、定期的なデータのバックアップ、システムの稼働状況の常時監視等により、自然災害等による事業への障害発生を事前に防止し又は回避するよう努めておりますが、地震、火山、台風、大雨、大雪、火災、洪水等の自然災害、事故、人為的なミス等が発生した場合には、インフラが使用不能になり又はソリューションの開発及び改良の遅延や中断が生じること等により、事業を継続することができない等の支障が生じ、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(30)配当政策について
当社は設立以来配当を実施しておらず、内部留保資金については、財務体質の強化と営業・研究開発人員の増員等の事業成長のための投資に活用してまいりました。今後も将来の成長に向けた投資を継続しながら、将来においても、事業展開に備えた資金を賄うに十分な利益及びコア・フリー・キャッシュ・フロー(注)を計上することが可能であると考えられる場合には、M&Aを含めた資金需要及び内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当を含めた株主還元についても検討してまいります。しかし、利益及びキャッシュ・フロー計画が当社グループの想定通りに進捗せず、今後安定的に利益及びキャッシュ・フローを計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。
(注)コア・フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー+無形資産の取得による支出
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