AppBank 【東証グロース:6177】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針等
①経営方針
インターネット産業はスマートフォンの登場以降、これまで以上に変化のスピードを速めています。特に現在は、AIの本格的な普及等により、変化のスピードはかつてないほどの水準となっております。このような最先端の情報と技術が集まる環境下で、当社グループは『You are my friend!』の経営理念のもとに、非連続的な変化や、はやりすたりが激しい世界において、当社グループとユーザー並びに顧客との強い関係性を軸に事業を運営してまいります。
②事業アプローチ
当社は、中核事業であるメディア事業に加えて、次の成長の柱と定めるストア事業における自社店舗を始めとする地域とIPとのコラボレーション展開を軸に、業績拡大に努めております。当社が得意とするIPを利用した企画・制作・発信力を活用することで、顧客により楽しい体験を提供でき、かつ事業的にも大規模もしくは継続性見込めるイベントの実施に取り組んでおります。また、連結子会社であった3bitter株式会社と連携して、顧客体験を高めるようなシステム面でのサービス拡充も進めてまいりました。当連結会計年度におきましては、ゴールデンウィークや夏休み、シルバーウィーク期間に、商店街や地域と連動した大型イベントを開催いたしました。また、これらの取組を通じて関係性を深めることができたIPとは、イベントの開催に留まらない幅広い取組を実施・計画しております。
このように、新たなコラボレーションの積極展開とシステム・サービス面の強化を通じて、多くの顧客に魅力的な商品を販売することで、収益拡大を目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、営業利益の早期黒字化のために、メディア事業及びストア事業において売上高の拡大を図っております。まずメディア事業においては、メディアサイト「AppBank.net」を取り巻く事業環境の激変を受けて人員削減等の合理化を含む運営体制の縮小を実施しました。今後は、コスト削減後の効率化された運営体制の元での売上高の獲得を進めてまいります。動画チャンネルにおいては、プラットフォームからの広告収益や有料会員収益に留まらず、プロモーション動画案件の獲得を進めてまいります。次にストア事業においては、IPコラボレーションの積極展開を軸に、売上高の拡大を目指しております。同時に、当社の資本業務提携先との連携を深耕することで、これらの取組の最大化を図ると同時に、取組から発展する形での新たな収益源の確立を目指しております。
これらの施策によって売上高と営業利益の両面での成長実現を達成していく方針です。
①メディア事業
メディア事業は主に、スマートフォン関連の総合情報サイトである「AppBank.net」の運営を中核とし、「AppBank.net」等のメディア内に広告を掲載することで、広告収益を獲得しております。メディア運営における具体的な経営戦略については、以下のとおりです。
(a)「AppBank.net」の運営効率化
「AppBank.net」では、従来のゲーム攻略記事を運営の軸におきつつ、また、当連結会計年度より、PV数及び広告収益の拡大を目的として、外部ニュースメディアへの記事配信にも注力しております。このように、メディアサイト並びに動画チャンネルにおいて新たなジャンルのコンテンツを提供することで、ユーザーニーズの様々な角度からの深掘りを試みております。
(b)動画チャンネルにおける売上高拡大
「マックスむらい」チャンネルにおいて人気シリーズ「ドッキリ動画」の配信を再開し、また、現在のユーザー層の動向を分析して、YouTubeショート動画やTikTokへの配信も強化する等の取組を行っております。当連結会計年度においては、2023年度の後半からゲームプレイ動画やドッキリ動画の配信比率を増加させた結果、視聴回数並びに視聴回数に応じて獲得する広告収益について一定の成果を確認いたしました。
このように、より魅力的な動画の制作及び幅広い配信を行い、あわせてプロモーション動画案件の獲得を図ることで、収益拡大を目指してまいります。
②ストア事業
ストア事業は、IPとのコラボレーションを軸とした物販事業を行っており、主に和カフェ「YURINAN -ゆうりんあん-」「YURINAN -ゆうりんあん-はなれ」に来店する顧客に対するコラボレーションスイーツ等の提供及び自社Webサービス」やIPコラボレーション拠点「原宿friend」等における限定グッズの販売、また、商店街や地域を連携したコラボレーションイベントの開催等により、商品販売収益を獲得しております。ストア事業における具体的な経営戦略については、以下のとおりです。
(a)積極的なコラボレーションの実施
当連結会計年度において、近年非常に盛り上がりを見せる「推し活」市場での収益拡大を目指し、主に自社店舗や商店街を舞台にしたIPコラボレーション事業の立ち上げに注力してまいりました。2022年4月下旬の第1号案件を皮切りに、アニメ、アイドル、ゲーム、キャラクター等、様々なIPとのコラボレーションを実施いたしました。案件の実施に伴い、グッズ製造、集客、運営等、多くの面で社内にノウハウを蓄積しております。
営業活動は順調であり、また、新型コロナ感染症の5類移行に伴い、人流の回復と訪日観光客の増加が進んでいることから、今後も多くのファンに愛されるIPとのコラボレーションを多数実施することに加え、コラボレーション実施地域の特性を生かした魅力的なイベントや商品の企画や、コラボレーション実施地域の拡大等も目指してまいります。
(b)システム面の補強
連結子会社であった3bitter株式会社と連携し、独自Webサービスの提供を始めとする多くのシステム開発を進めてまいりました。2023年夏に実施した大人気IPとのコラボレーションで、猛暑下で非常に多くのファンの来場が予測されたため、混雑や体調不良に伴う事故を防止し、より快適な顧客体験を提供するために、コラボレーション店舗と連動した事前予約システムを導入し、特段の事故なくイベントを実施することができました。今後も、店舗の体制やイベントの内容に応じて、適宜システム面でのサービスの拡充を行ってまいります。
このように、新たなコラボレーションの積極展開とシステム面の強化を通じて、多くのユーザーに魅力的な商品を販売することで、収益拡大を目指してまいります。
③企業価値向上に関する当社の考え
当社グループは、企業価値向上のためには売上高の増加並びに営業利益の早期黒字化が最重要であると考えております。その中軸として、ストア事業を据えております。
連結業績の推移(単位:百万円)
期間 | 売上高 | 売上総利益 | 営業損失(△) | |||
全社 | ストア 事業 | 全社 | ストア 事業 | 全社 | ストア 事業 | |
2021年12月期 | 342 | 30 | 67 | 12 | △194 | △21 |
2022年12月期 | 388 | 115 | 27 | 45 | △277 | △73 |
2023年12月期 | 490 | 325 | 20 | 144 | △370 | △45 |
(注)1.全社については、当社の連結の「売上高」「売上総利益」「営業損失(△)」になります。
2.「ストア事業」については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げる「セグメント損失(△)」です。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「(2)経営戦略等」に記載のとおり、売上高の増加と営業利益の早期黒字化を最重視しております。適切なコストコントロールの継続を前提に、メディア事業を中心とした売上高拡大による売上総利益の成長を図ると同時に、事業運営の最適化による営業利益率の改善を図り、早期黒字化を目指してまいります。その上で、各事業の状況や事業環境を鑑み、創出された利益の再投資による売上総利益の拡大を行い、企業価値の拡大を図る方針です。
当社グループが経営管理上、重要視しているKPI(Key Performance Indicatorの略称で主要な業績評価指標のこと)は「AppBank.net」のPV数・PV当たり収益単価です。
(4)経営環境
当社グループは、メディア事業、ストア事業、DXソリューション事業が対面する事業環境を以下のように認識しております。
①市場規模
メディア事業の対面する市場は、広告業の中のインターネット広告市場と位置づけております。インターネット広告市場は11,008億円(2020年)から13,792億円(2021年)に拡大しております(注)。
当社が事業領域とする国内インターネット広告市場は成長を続け、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスコミ四媒体合計の売上規模を上回ると期待されます。また、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による2021年の調査「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査報告書)」によると、EC化率(全ての商取引市場規模に対するEC市場規模の割合)が前年比0.7ポイント増の8.8%となるなど、商取引の電子化が引き続き進展しています。(注)出所:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」(2021年12月確報版)
②ユーザー基盤の拡充
当社グループのユーザー基盤拡大を軸に、収益化機会の最大化と市場創出に取り組む方針です。「AppBank.net」や「マックスむらいチャンネル」等の更なる認知拡大やシステム面の機能向上を通じて、ユーザーに満足度の高いコンテンツを提供していくことを目指しております。
「AppBank.net」においては、従来のユーザーのサイト回遊性を向上させると同時に新たなユーザーの獲得を目指して、カジュアルフードやYouTuberNEWS等の、個人のライフスタイルや趣味に関わるコンテンツの拡充を進めてまいります。
これらメディア事業で獲得したユーザー並びにトラフィックが、ストア事業のユーザー基盤にもつながると考えております。それに加えて、メディア事業で培った広告運用ノウハウを活用したマーケティング施策を実施することで、ストア事業のユーザー基盤の拡充を図ってまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの対処すべき課題としましては、主にメディア事業における売上の向上並びに中長期的な成長に資する体制整備が重要であると認識しており、特に下記を重要課題として取り組んでおります。
① グループ事業の売上拡大
当社グループは、早期黒字化達成のために売上増加が必要となっています。そのためには、特に今後の成長の柱と位置づけるストア事業における売上拡大を目指すことが重要な課題であると認識しております。当連結会計年度においては、これらの事業の本格立ち上げにあたり、案件実績を積みながらPDCAサイクルを回すことで、より魅力的なサービスを提供するための企画力の強化とIPコラボレーション運営体制の改善を進めました。また、これらの活動を行う中で、「YURINAN -ゆうりんあん-」のリニューアルを行い、インバウンド分野という新たな需要の取り込みも図っております。また、IPコラボレーションにおいては、自社での営業を行うと同時に、社外のパートナーとの連携による営業体制の構築にも務めました。今後は、インバウンド及びIPコラボレーション両面での営業と運営体制の強化を進めることで、ストア事業における売上高を拡大させていく方針であります。
また引き続き、YouTube「マックスむらいチャンネル」をはじめとした運営メディアの媒体力を強化していくことも業績拡大のために重要な課題であると認識しております。当連結会計年度においては、「マックスむらいチャンネル」をはじめとする動画チャンネルでは、動画コンテンツ内容の改善、短時間動画やTikTokの配信を強化する等、時代の潮流を見極めて、新たなユーザー層の開拓や視聴回数の拡大に務めました。また、BtoB案件獲得に向け、営業体制の構築にも着手いたしました。一方で、Webサイト「AppBank.net」の収益性が低下したため、運営体制の大幅縮小を行う等のコストカットを実施し、既存事業における収益性の向上図っております。今後も、コンテンツ投資や営業活動を通じて運営メディアの規模拡大と収益性の向上を図りつつ、適宜、費用面の見直しを行うことで、メディア事業の収益を拡大させていく方針であります。
② 人材の確保及び育成
当社グループが主に事業を営んでいるインターネットサービスやIP関連及び物販小売市場は、事業開発が目覚ましいスピードで進み、多種多様なサービスが生まれております。このような中、当社グループの成長の源泉は、成長をけん引する人材であり、優秀な人材の確保は、競合他社に対する優位性を左右する大きな要因となると考えています。このため、人事制度の整備とリモートワークの導入等、働き甲斐のある仕事環境の整備によって、優秀な人材の確保と在籍中の人材の継続的な育成を図ってまいります。
③ 「AppBankグループ行動規範」の共有
当社グループは、2016年7月に継続的な企業価値向上に向け「AppBankグループ行動規範」を制定いたしました。当社グループが長期にわたり持続的に競争力や影響力を持ち続け、発展していくため、「AppBankグループ行動規範」を基に、経営理念である「You are my friend!」をグループ全体で共有し、更に高い倫理観と社会的良識の定着に向け一層の理解と浸透に努めてまいります。
④ 継続的な新規事業の創出
インターネット、IP関連及び物販小売にかかわる事業領域は、製品やサービスの新陳代謝が著しい分野であり、このような環境の中で、継続的な成長を実現するためには、既存事業の成長及び強化を図るだけでなく、様々な新規事業の創出やサービスの立ち上げに取り組み続けることが重要であると認識しております。当社グループにおいては、中長期の競争力確保につながる事業開発を継続的かつ積極的に行い、様々な市場でインターネットとコンテンツを軸とした事業開発に取り組むことで、将来にわたる持続的な成長に繋げてまいります。
⑤ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンス機能の強化
当社グループは、事業の継続的な発展を実現させるためには、内部管理体制とコーポレート・ガバナンス機能の強化を通じた経営の透明性の向上と経営監視機能の強化が不可欠であると認識しております。
まず、内部管理体制に関しては、当社グループの業務における不具合や不正行為等を未然に防止する観点から、相互チェック機能を強化し、内部監査室による定期的なモニタリングも実施しております。また、法令違反や各種ハラスメント等に対する牽制機能と未然防止の観点から、内部通報窓口を社内と社外にそれぞれ設置するとともに、より一層の倫理観と社会的良識の浸透を目的に社員教育に努めてまいります。
次に、コーポレート・ガバナンスに関しては、監査等委員会による取締役の業務執行に対する監視機能の充実を図るとともに、内部監査室、監査法人との連携を定期的に実施し、意見・情報交換を基に透明性と公正性を確保しております。
当社グループは、ステークホルダーとも良好な関係を築き、長期安定的な成長を遂げていくよう、迅速な経営の意思決定ができる効率化された組織体制の構築に向けて更に体制の強化に取り組んでまいります。
⑥ コーポレートブランド価値の向上
当社グループは、事業の継続的な発展のためには、ユーザーからの信頼を基盤に、ユーザーから支持される事業を展開していくことが不可欠と認識しております。当社グループは、ステークホルダーに対して経営の透明性の向上や健全性の確保を図り、併せて適切な情報開示と、積極的な広報活動等を行うことにより、コーポレートブランド価値の向上を図ってまいります。
⑦ 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の存在を解消
詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営書の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑥ 継続企業の前提に関する重要事象等を改善するための対応策等」をご参照ください。
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