AnyMind Group 【東証グロース:5027】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「Make Every Business Borderless」をミッションとし、国境や産業、オンラインやオフラインなどの制約に捉われず、テクノロジーの力で誰もが簡単にビジネスをできる世界を実現するビジネスインフラとなり、社会に貢献していくことを目指します。
(2)経営戦略等
当社グループはミッションである「Make Every Business Borderless」の実現のため、ブランドコマース及びパートナーグロース領域における様々なソリューションをグローバルに提供しております。インターネットの普及により、顧客である法人及びクリエイターの抱える課題は国境や業界を超えてより複雑になっております。それらの顧客のニーズに応えるべく以下の事項を中長期的な成長戦略としております。
① プラットフォーム開発を通じた既存事業の更なる成長
当社グループは東南アジア、日本、中華圏、インド等においてブランド、クリエイター、パブリッシャーへのサービス提供を行っております。成長が続く市場において、絶えず変化するクライアントのニーズに対応するために、既存サービスにおいて新規プロダクト開発やオペレーション改善を図り、プラットフォームを更に進化させ続けることで顧客基盤の拡大を目指します。
② ブランドコマース領域におけるワンストップソリューションの強化
当社グループはブランド構築や運営を目指すクリエイターや法人向けに商品企画・生産管理を行う「AnyFactory」、EC構築・運営を中心とした「AnyShop」、マーケティング支援を行う「AnyTag」「AnyDigital」、複数ECチャネルの一元管理・運営できるプラットフォーム「AnyX」、会話型コマースを支援する「AnyChat」、物流管理を行う「AnyLogi」等の提供を行っており、ブランドの企画・生産・販売・マーケティング・物流を通じた一気通貫でのソリューションを提供しております。国内におけるEC・D2Cブランドの支援だけでなく、海外クリエイターや法人クライアントに対するソリューションの提供やクライアントの海外展開のローカルパートナーとしての支援も行っており、グローバルにおけるブランドコマースプラットフォームとしての優位性を確立し同事業の成長を目指してまいります。また、複数のプラットフォームを顧客が同時利用(顧客が当社グループのプラットフォームを複数利用し、当社グループとして複数の収益機会を得ることを「クロスセル」と言います)することにより、顧客とより深く効率的に関係を強化することができております。
③ 海外展開地域の拡大
当社グループは創業以来アジアを中心としてグローバルに事業展開地域を拡大しており、現在は15ヵ国・地域での事業展開を行っております。新地域への展開については市場環境や競争環境を考慮して、自社での進出やM&Aによる人材・事業基盤の獲得、又はその双方の組み合わせ等、展開アプローチを柔軟に検討しております。過去の事業拡大や経営統合の中で培った経験やノウハウは更なる事業地域展開においても活用可能と考えており、今後も積極的に成長市場への進出を検討していく方針です。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業拡大及び企業価値向上を示す指標として、売上収益及び売上総利益を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。
(4)当社グループの強み
① 成長が見込まれるアジア市場における成長実績と事業基盤
当社グループは創業当初よりアジア市場に注力しており、2023年度における地域別売上収益比率(注)は日本が46%、東南アジアが38%、その他地域(インド・中華圏等)が15%となっております。当社グループが事業を行う各業界においてもアジア市場は中長期的な成長が期待されており、当社グループが各国に有する人材、インフラ、ノウハウを積極的に活用し継続的な成長の実現を目指します。当社グループは2017年以降の売上収益の推移は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。
(注)地域別売上収益比率は、子会社の所在地における内部取引消去前の売上収益に基づいて算定しております。
② ローカライズされたパートナーネットワーク
当社グループの展開する事業において各国のクリエイターやパブリッシャーのネットワークが重要になります。特にアジアにおいては各国が異なる言語や文化を有しており、現地のクリエイターやパブリッシャーが強い影響力を有しております。当社グループは2023年12月末時点で、630,000人以上のインフルエンサー、1,783のクリエイター、1,645のパブリッシャー、191のEC/D2Cブランドを支援しております。当社グループの各国のローカルチームは継続的にネットワークの深耕を推進しており、当社グループがワンストッププラットフォームとしてソリューションを提供する上でローカライズされた各種ネットワークは重要な経営資産と考えております。
③ ブランドの成長を加速する統合型データマネジメント
当社グループは運営する各プラットフォームを相互に活用しながらブランドコマースの一連のバリューチェーンにおいてワンストップでのソリューション提供を行っております。パートナーグロース領域のプラットフォームも含め、それぞれのプラットフォームの持つデータやインサイトを活用してプロセス全体でより付加価値の高い提案を行っております。
④ ローカル市場への深い知見を有するグローバルなマネジメント
当社グループはアジア市場に焦点を置いて事業展開をしてきており、マネジメント体制も事業のグローバル展開に最適化された多国籍なチームとなっております。各経営陣がそれぞれの市場や事業領域において深い専門性を有しているだけでなく、自身で過去に事業を立上げて成長させてきた経営経験の豊富なメンバーが揃っております。
⑤ M&Aを通じた成長加速と確立された買収後の統合戦略
当社グループは創業以来、経営メンバーや事業リソースの獲得を目的として8件の企業買収を国内外で行っております。事業戦略や地域展開戦略に沿って、当社グループのソリューションや企業文化に沿うターゲットを特定し、事前に適切なデューディリジェンスや統合戦略の検討を行った上で買収を行ってきており、また買収後に対象企業の経営陣、組織、システム、ソリューションを当社グループに融合させ、統合後短期間でシナジーを実現してきた実績を有しております。今後も適切な機会があれば企業買収も選択肢として、柔軟に事業拡大を実現していきたいと考えております。
(5)経営環境
当社グループが事業運営を行うデジタルマーケティング市場及びインフルエンサーマーケティング市場、EC市場規模は日本及びアジア各国におけるスマートフォンやインターネットの普及、市場参加者の増加、SNSによる情報流通量の増加等を背景に安定成長が見込まれております。 2023年12月にS&P Global Market Intelligence発表の「Global Advertising Expenditure Forecast」によると、グローバルでのデジタルマーケティング市場規模は2023年の5,868億ドルから2027年には7,950億ドルに成長すると推計されております。グローバルにおけるインフルエンサーマーケティング市場規模は、Influencer Marketing Hub発表の「The State of Influencer Marketing 2024」によると、2022年の164億米ドルから2024年に240億米ドルに成長すると見込まれております。また、グローバルにおけるEC市場規模は2023年12月にeMarketer発表の「Worldwide Ecommerce Forecast Update」によると、2023年の5兆7,845億米ドルから2027年には8兆337億米ドルに成長すると推計されております。
当社グループが事業運営を行うパートナーグロース領域はディスプレイ広告市場及びビデオ(動画)広告市場の動向に影響を受けると想定しており、対象市場はS&P Global Market Intelligence発表の「Global Advertising Expenditure Forecast」によると、2023年にグローバル全体で973億ドルの市場規模(ディスプレイ広告市場と動画広告市場の合計)を有しており、2027年には1,224億ドルまで成長すると見込まれております。
個別市場における需要の高まりに加えて、顧客企業の事業領域の拡大に伴いインバウンド需要も含めてクロスボーダーでのサービス(海外市場向けマーケティング、越境EC等)に対する需要が高まっております。この傾向は新型コロナウイルスの影響が沈静化しつつある足元において強くなっており当社にとって追い風になっていくと想定しております。当社グループはアジア各国に拠点と現地市場環境に精通したプロフェッショナルを有しているため、クロスボーダーでのサービス提供や海外市場でのローカライズした顧客支援が可能となっております。また、当社グループはプロダクト開発への投資を継続して行っており、アジア各国で活用できるプラットフォームを顧客に提供しております。特にアジア各国において多くのインフルエンサー、パブリッシャーのデータを有しており、当社プラットフォーム上でのデータ活用や創業以来支援してきた案件実績から得られるノウハウを活かし、先行優位性を有してグローバルで提供価値の向上を行っていけると考えております。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 新サービス・事業の開発体制の構築
当社グループは技術革新や市場環境の変化が早い業界にて事業運営を行っており、競争優位性の確保のために、継続的に新規サービスや事業を開発していくことが重要と考えております。当該開発に際しては、プラットフォームやソリューション開発のための体制強化が重要となるため、迅速な開発が行える体制整備や優秀な人材の確保を行ってまいります。
② 当社グループ事業及びサービスの認知度向上
当社グループが今後も高い成長率を維持していくためには、当社グループが運営する各事業及びサービスの認知度を向上させ、ブランド主、クリエイター、パブリッシャー等のパートナーやクライアントを獲得していくことが必要不可欠であると考えております。当社グループの活動を通じて業界における認知は広がっているものの、グローバルで更なる認知向上を達成すべく、マーケティングや広報活動などを一層強化・推進してまいります。
③ 優秀な人材の確保
グローバル市場での競争力を確保し中長期的に成長を続けていくために、優秀な人材を採用し育成していくことが重要な課題と認識しており、採用力の強化と従業員のモチベーションの向上に向けた体制整備、仕組みづくりを続けております。多様な従業員の採用と、個々の成長に適した土壌(企業文化)づくり、トレーニングや業務の中での成長が実現できる環境を構築し、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上に努めてまいりたいと思います。今後も中長期的に人材採用と育成について投資を続けていく方針です。
④ コーポレート・ガバナンスの強化
当社はグループ企業価値を高めるため、純粋持株会社としてグループ経営戦略を立案し、子会社間でのシナジー効果の追求、事業運営の効率化、子会社に対する管理・監督機能を適正かつ有効に発揮すべく、今後もグループの業務や組織運営、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。そして企業の社会的責任の高まりに継続的にこたえ、意思決定の透明性・公正性確保と企業経営の効率性向上に注力していくために、コンプライアンス体制の強化と内部統制システムの充実を図ってまいります。
⑤ 運転資金の最適化
当社グループは複数国で事業を展開しており現地通貨建ての債権債務が生じるため各国で一定の資金を維持する必要があります。そのような事業構造の中で、ブランドコマース領域において法人クライアントとの取引における売掛金回転期間やクリエイターとのD2Cブランド運営における在庫回転期間等の長期化が発生した場合に、営業キャッシュ・フローの悪化につながるため、継続的に改善を行っていくことが課題と認識しております。取引先の与信管理と売掛金回収遅延時の対応の迅速化、また在庫については受注生産型のアプローチを活用することで在庫リスクを低減していくことにより各国の資金管理を強化するなどの施策を講じてまいります。
⑥ 財務基盤の強化
当社グループは2019年12月期から2021年12月期まで営業損失を計上しておりましたが、2022年12月期以降は営業黒字化を実現しております。今後も顧客基盤の拡大や製品開発のためのエンジニア人材の採用、事業領域や展開市場の拡大のための投資は継続しつつ、収益性の向上も重視していく方針です。資本市場と今後の事業方針や計画についてコミュニケーションを深め理解を得た上で、直接金融及び間接金融を活用して、事業規模や投資方針に合わせて財務基盤の強化を図ってまいります。
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