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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

『世界にチャレンジするインターネットサービスを創る』を経営理念とし、日常で生まれるスキマ時間を充実できる質の高いサービス、事業の創出に取り組んでおります。この経営方針に基づき、絶えず変化し続けるインターネットサービスの分野において、新しい楽しさや便利さを生み出せるよう、新たな事業領域に挑戦し続け、持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長と企業価値の拡大を図るために、現状の成長期においては、事業規模の拡大を重視しており、「売上高」を重要な経営指標としております。

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社の主たる事業領域である電子書籍の市場環境は、スマートフォンユーザーの増加を背景に拡大が続いております。インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2024」によると、2023年度の電子書籍市場規模は6,449億円と推計され、2022年度の6,026億円から423億円(7.0%)増加し、2028年度には8,000億円を超える市場に成長すると予測されており、電子書籍ユーザーは、引き続き増加傾向にあります。

 一方で、電子書籍のビジネスモデルの多様化や成熟によって電子書籍市場が徐々に飽和していくことも想定されます。また、引き続き厳しい競争環境や世界経済の停滞及び国内のインフレが、アクティブユーザー数の伸び悩みや1人当たりの課金売上の低下をもたらしていることに加え、広告市況の悪化により広告単価が低下したため、広告収益が減少しました。

 このような市場環境の中で、当社グループは成長戦略として市場開拓戦略と多角化戦略を掲げ、Web電子書籍市場への本格参入、マンガアプリの海外展開及び新規事業の創出を推進しています。当連結会計年度において、これらの事業に注力するため新規子会社を設立し、連結の範囲に含めております。

 今後につきましても、マンガアプリ事業においては、フリーミアムコーナーの配信作品数を増加することや、Web電子書籍市場の開拓、オリジナル作品の拡充、IP展開等を実現することにより、ユーザーの増加をはじめ、各KPIの成長を目指すとともに、ITソリューション事業をはじめとする新規事業についても尽力して参ります。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、これまで培ったビジネス構築力を基盤に、主力サービス「マンガBANG!」で利益を確保しつつ、マンガ制作、マンガアプリの海外展開及びITソリューション事業(SES、SEOメディア、オンライン診療支援サービス)、新規事業へ経営資源を投下し、成長性と収益性のバランスを図って参ります。そのためには、コーポレート・ガバナンスの充実も重要な課題であると認識しております。

 これらの課題に対処するために、当社は対処すべき課題として以下の施策に取り組んで参ります。

① 「マンガBANG!」の差別化

 電子書籍市場が拡大する一方、引き続き厳しい競争環境や世界経済の停滞及び国内のインフレが、アクティブユーザー数の伸び悩みや1人当たりの課金売上の低下をもたらしていることに加え、広告市況の悪化により広告単価が低下しております。

 このような市場環境の中で、当社グループでは、成長性と収益性のバランスを図るため、「マンガBANG!」の広告宣伝費を抑制して、確実に利益を作り出せる体制構築を図って参ります。また、「マンガBANG!」の魅力を高めるため、引き続き出版社との信頼関係を深化させ、先行配信や人気作品の配信数の増加に努めるとともに、オリジナル作品の制作に注力し、オリジナル作品が読めることで「マンガBANG!」の他社サービスとの差別化の確立を目指して参ります。

② 周辺ビジネスの拡大

 当社グループは、中長期での成長を実現するために、マンガアプリの企画・開発・運営において蓄積した知見やノウハウ等を活用し、Web電子書籍市場の開拓とマンガ制作に注力しております。

2023年10月にWeb版「マンガBANG!」を「マンガBANGブックス」にリニューアルし、価格優位性と利便性を基にWeb電子書籍市場の開拓を目指しております。

 また、マンガ制作を強化する一環として、2024年3月に株式会社WithLinksを子会社化し、WEBTOON制作も開始しました。制作したマンガ・WEBTOONの自社販売に加えて外販も積極的に行うことで、IPとしての価値を育て、自社IPのアニメ・ドラマ化及びグッズ化等、収益の多様化の実現を目指して参ります。

③ マンガアプリの海外展開

 当社グループは、日本が誇るコンテンツといえる「マンガ」を成長著しい世界のスマートフォンアプリ市場へ迅速に展開することが、一層の事業拡大を目指す上で重要であると認識しております。また、日本のマンガの海外市場規模が、コンテンツの認知度と比較して小さいとも考えております。

2024年5月には、海外向けマンガアプリ「MANGA BANG!」に広告収益モデルを追加し、海外ユーザーに受け入れられるビジネスモデルを検討して参りましたが、収益化までは時間を要する見込みです。今後は、海外市場の動向を見極めながら、成長性と収益性のバランスを図って参ります。

ITソリューション事業及び新規事業の立上げ

 当社グループは、マンガアプリ事業から創出される利益を、これまでに培ってきた開発力とマネタイズ力を活かした新たなITサービスの創出に向けることで、単一事業への偏重によるリスクを抑制し、将来の事業環境の変化にも機動的に対応できるビジネスポートフォリオの構築にも注力して参ります。

 その一環として、2024年3月に株式会社Amazia Linkを設立し、SES事業、インターネット広告を商材としたSEOメディアを運営する事業を開始しました。また、2024年9月に株式会社ウィズマイメディカルを設立し、オンライン診療の支援サービスの立上げ準備を行っております。

⑤ M&Aの活用

 新規事業及びマンガアプリ事業の拡大のためには、M&Aも有効手段であると考えております。M&Aを行うに当たっては、投資効果はもちろん、対象企業の将来性や当社グループの事業とのシナジーを十分に検討した上で、積極的に取り組んで参ります。

優秀な人材の確保と育成

 当社グループは、今後の更なる事業拡大のために、優秀な人材の確保と育成が重要であると考えております。特に、既存サービスの充実や新規事業の展開をするためにエンジニアの採用、またマンガ制作を拡大するために編集者の採用に力を入れております。

 また、採用を強化するために、社内教育制度の整備、多様な働き方を実現する職場環境の改善、福利厚生の充実を図っていくことに取り組んで参ります。

組織体制の強化と内部統制及びコンプライアンス体制の強化

 当社グループは、今後更なる事業拡大を推進するに当たって、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生等の人事制度構築に努めながら、業務遂行能力、人格、当社グループの企業文化及び経営方針への共感を兼ね備え、グローバルに活躍できる優秀な人材の採用に取り組んで参ります。

 組織設計においては少人数単位でのチーム制を採用すると同時に、チーム毎の自律性を促すよう権限の委譲を推し進めることで意思決定の質とスピードを維持・向上するなど、従業員のパフォーマンスを最大化させる取り組みを引き続き継続していく方針であります。

 また、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化を図って参ります。

⑧ 知的財産権の侵害への対応について

 当社グループは、著作権等の権利を著しく阻害する海賊版サイトによって生じる機会損失が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があると認識しております。そのため、海賊版サイトの根絶に向けて、出版社、電子書店、関係者と協調して対策を協議実行するとともに、法制度整備並びに著作権教育の推進に努めて参ります。

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