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企業概要

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 建設投資動向等の影響について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループは、建設用仮設機材のレンタルを主たる事業としております。当社グループの主要取扱品目は、主に建設現場で使用される仮設機材であるため、当社グループの業績は建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。そのため、建設投資動向が変動し、仮設機材のレンタル需要が落ち込んだ場合には、レンタル関連事業の単一セグメントにて業務運営を行う当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 貸倒れリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループの取引先は多数に及んでおり、売上債権は特定の取引先に集中することなく、多数の取引先に分散しております。売上債権の貸倒れリスクは、これら多数の取引先の財務状況に影響を受けることになります。当社グループの取引先のほとんどは建設会社、住宅メーカー及びそれらの会社から受注を受ける足場施工業者であります。建設業界を含め全般的に景気が低迷した場合には、それらの会社の受注機会の減少、業績の低迷につながり、結果として、債権の回収遅延や売上債権の貸倒れが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、貸倒れリスクに対応する中で貸出中仮設機材の滅失や盗難に対し、物流総合保険にてリスクヘッジを行っております。

(3) 借入金を中心とした有利子負債への依存について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、仮設機材の購入代金の大部分を借入金により調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率は下表のとおり高い水準で推移しております。今後、借入金利が上昇に転じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2023年3月期(千円)

2024年3月期(千円)

有利子負債残高

(対総資産額比率)

4,251,929

(58.3%)

5,861,304

(62.4%)

純資産額

(自己資本比率)

2,789,831

(38.3%)

3,027,405

(32.3%)

総資産額

7,289,025

9,386,352

支払利息

12,993

19,068

(注) 有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)、リース債務(1年内返済予定のものを含む)の合計であります。

(4) 仕入価格の変動について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループが取り扱う仮設機材は、主に鉄鋼製品であるため、製造メーカーによる販売価格については、鉄鋼原材料市況に大きく影響されます。そのため、当該市況により製造メーカーの製品販売価格が著しく変動し、当社グループの仕入価格を販売価格又はレンタル価格に転嫁できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 営業不振による退店及び減損会計の適用について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループは、機材センターの新規出店を重要な経営戦略の一つと位置づけております。機材センターの新規出店に当たっては、商圏人口・仮設工事業者数・競合店状況等の立地条件や地価・賃借料等の経済条件を基に、売上及び利益等の業績予想、投資回収年数等を勘案し出店の可否を決定しております。しかし、出店した機材センターが当初の計画通りの収益を計上できず、業績の回復が図れない場合には、減損会計の適用により減損損失を計上することを余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらには、退店等撤退する場合には、当該機材センターにおいて収益を獲得する機会を逸することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、機材センターの土地を取得する際は、一定の収益獲得を前提としたプレミアム部分を上乗せするケースも多いため、当該収益性が低下した場合に、使用価値で投資回収できず正味売却価額を回収可能価額として評価せざるを得ない状況となり、減損損失を余儀なくされ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 建設業法について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社の福井敦賀工事センターが行う足場の架払工事サービスは、建設業法に定められた一般建設業「とび・土工工事業」の許可を受けております。主な取引先は建設会社、住宅メーカー及びそれらの会社から受注を受ける足場施工業者であり、それらの会社と取引を行う場合、一般建設業の許可については必須事項となっております。一般建設業の許可の取消や停止事由が発生した場合は当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 製造物責任(PL)について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループのレンタル仮設機材及び販売仮設機材には、製造物責任のリスクが内在しております。製造物責任は一義的には機材メーカーが負いますが、製品を仕入れる当社グループにおいてもレンタル及び販売上の責任を負うことになります。製品の仕入れに係る製造メーカーとの基本取引契約において責任の帰属先を明確化し当社グループのリスク低減を図り、また当社グループが顧客と取引を行う際に顧客との間で締結する取引基本契約書において責任の帰属先を明確化し、レンタル品の瑕疵担保責任を負わない旨を規定しており、それによって当社グループのリスクの低減を図っておりますが、製品の欠陥に起因して発生する損害賠償を製造メーカーが加入する保険により補填できない事態や、大規模な製品回収による受注の機会損失により生じるリスクが現実化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 都市計画法について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社のレンタル関連事業については、取り扱う機材の大きさや数量及び重量の特徴から、広大な敷地面積を要する作業場(以下「ヤード」という。)での機材管理が不可欠であります。具体的には、レンタルの際の機材のトラックへの積み下ろし、フォークリフトによる所定のストック場所への格納作業など、荷捌きのためには一定の広さが必要です。

 かかる中、広大な敷地を可能な限りコストのかからない方法で利用することが不可欠となります。市街地は概して地価が高いため、市街化調整区域への展開を模索することとなりますが、機材センターの出店及び事務所設置にあたり規制を受けることとなります。行政への確認を通じ、規制に抵触しないよう出店時には最大限の注意を払っておりますが、何らかの事情により規制が強化された場合等には、展開拠点の見直しを迫られる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(9) ヤード内での事故発生リスクについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 荷捌き中の事故や荷崩れなどにより、重大な事故等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 機材の盗難リスクについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 ヤード内で厳重保管の上、監視カメラの設置やセキュリティ会社との連携により、機材の盗難に対し万全の備えはしているものの、ヤード設置場所の特性から盗難の可能性を排除しきれず、不測の損失を被る可能性があります。

(11) レンタル品の返却時のリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社レンタル品としての識別が可能なように、色を塗付するなど工夫を凝らしておりますが、返却時に他社製品と混在してレンタルした機材の全数が返却されないケースがあります。その場合は、滅失処理として相応の料金を収受することとしておりますが、返却が受けられない場合は次なるレンタルにタイムリーに供することができず、機会損失が生じることで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 特定の経営者への依存について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループ設立の中心人物であり、設立以来の事業推進役である代表取締役社長上田桂司は、仮設機材のレンタルに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の構想・策定等、当社グループの事業活動全般にわたって重要な役割を果たしています。当社グループでは、過度に同人に依存しないよう、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による業務執行体制の構築等により、経営組織の強化に取組んでおりますが、何らかの理由により同人による当社グループの業務遂行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 人材の確保・育成について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループでは、一層の成長を支える優秀な人材を確保することが重要だと考えております。このため、今後も人材の採用及び教育研修実施の機会・内容の充実により、当社グループの経営理念及び経営方針を理解した、当社グループの成長を支える社員の育成を行ってまいりますが、雇用情勢の変化等により、計画通りに人材が確保・育成できない場合には、当社グループの事業運営や当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(14) 自然災害等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループの機材センター・本社や営業所が所在する周辺地域において地震や台風等の自然災害や事故等が発生し、機材等やインフラの物理的な損害により営業活動を中断せざるを得ない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等、世界規模での感染症が流行した場合、操業停止・各国の経済停滞やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営・業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(15) ITセキュリティについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、各種の情報システム・IT機器を利用して業務を遂行しております。そのため、システムの不備、災害及びコンピュータウイルス等の外部要因により、入出庫データ、在庫データ等が喪失又は改ざんされたり、当該システムにアクセス不能となり業務が阻害された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(16) 訴訟に関するリスクについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、コンプライアンス経営の重要性を認識しており、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。今後もコンプライアンス経営を推進してまいりますが、事業を遂行していくうえでは契約条件の解釈の齟齬などを原因として訴訟されるリスクの可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(17) 大株主との関係について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 本書提出日現在、当社代表取締役社長であり大株主である上田桂司の所有株式は発行済株式総数の31.96%(合算対象分となる一般社団法人ニチレンの株式数を加算すると73.22%)となっており、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら大株主が当社の事業その他に関して有する利益は他の株主の利益と異なる可能性があり、その保有方針や議決権の行使方針によっては、取締役の選解任、企業結合取引等の当社の重要な決定に影響を及ぼすなど、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(18) 業績の季節的変動(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社の顧客である中小足場施工業者における受注案件の納期は3月末に集中する傾向にあり、その前段階で必要となる足場の施工は納期よりも前に行われるため、当社の売上高は第3四半期に偏重する傾向がありますが、仮設機材から生じる減価償却費や機材センター運営費用の多くは売上高に関わらず生じる固定費用であるため、売上高の低迷等により営業損失が発生する可能性があります。

(参考)2024年3月期 四半期ごとの売上高及び営業利益(損失)

(金額単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

792

916

1,052

1,024

営業利益(損失)

△0

81

141

127

(19) 労働災害及び事故について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 建設事業は、その事業の性質上、他の事業と比較して、業務中の事故発生率が高い傾向にあります。当社グループは、社内研修を通じた安全教育や危険予知活動により、従業員に対して安全管理を徹底しておりますが、万一、人命に係る重大な労働災害や事故が発生した場合には、信用力の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(20) 海外事業について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループは、ベトナムでの事業拡大を戦略の一つとしております。しかしながら、為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、法規制、商慣習等、海外事業において一般に内在するリスクを負っております。これらが当社グループの事業に影響し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有する子会社株式は原価法により評価しておりますが、市場価格のない株式であり、財政状況の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の評価損を計上する可能性があり、個別財務諸表における業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(21) ブランドについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、「いつでも、近くで、安心して借りられる」を強みとして事業を展開しております。ASNOVA STATION事業において当社グループはパートナー企業との間で締結した契約に基づき、機材管理のパッケージを提供するとともに、継続的に仮設機材の管理ノウハウ等を提供しております。しかしながら、当社グループの指導が及ばない等、パートナー企業においてブランドに悪影響を及ぼす事態が発生した場合は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(22) レンタル事業のノウハウについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、仮設機材の管理を強みの一つとしております。当社グループが展開するASNOVA STATION事業では当社グループのパートナー企業に仮設機材の管理ノウハウを提供しておりますが、それらの流出等により当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(23) 盗品の買取について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社は2023年5月に仮設機材の買取、販売をネット上で決済可能なECサイトである「ASNOVA市場」をローンチしております。仮設機材のリユース市場の成長、リユース商品の流通量増加に伴い、盗品の売買が社会的な問題となっております。当社グループは少しでも盗品と疑わしい商品については買取を控え、警察当局とも密に連携を図る等、盗品の流通を阻止すべく事業を展開しております。また、古物営業法遵守の観点から、古物台帳(商品の買取記録を詳細に記載した台帳)を作成することで、盗品買取が発生した場合にも適時適切に警察当局の捜査に協力できる体制を整えております。しかしながら、事業特性上、盗品の買取を完全に防止することは困難であり、盗品の買取によるトラブル発生に起因した当社への信頼低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(24) 当社株式の流動性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社は、2023年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場しており、公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めておりますが、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところ、流通株式比率は26.55%にとどまっております。今後は大株主への一部売出しの要請等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、株式会社東京証券取引所での上場が廃止となった場合でも、株式会社名古屋証券取引所での当社株式の取引は引き続き可能であります。

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