鳥居薬品 【東証プライム:4551】「医薬品」 へ投稿
企業概要
本項目における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月27日)現在において、当社が判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
<企業理念「鳥居薬品の志」>
当社は、長い歴史の中で培ってきた企業風土や各ステークホルダーからの信頼を受け継ぎつつ、将来へ向けても変わらない当社の志を「鳥居薬品の志」と定め、企業理念としております。
また、当社従業員が中心となり策定した「TORII’s POLICY」を「鳥居薬品の志」の実現のために大切にする価値観として位置づけるとともに、各ステークホルダーへの責任をバランスよく果たし、満足の総和を高めていくことを表す「4Sモデル」を経営の基本的考え方と位置づけ、「鳥居薬品の志」の実現に向けて取り組んでおります。
1)企業理念:鳥居薬品の志
患者さんとそのご家族や医療に携わる方々に誠実に向き合い、 患者さんの健康回復と、病に縛られない豊かで笑顔多い人生に貢献する
長い歴史の中で培った皆様からの信頼を受け継ぎながら、 時代や環境に合わせて柔軟に変革・進化し、 私たちだからこそ出来る医療への貢献に挑戦し続ける |
2)大切にする価値観:TORII’s POLICY
・つながる“ひと”すべてを大切に ・誠実・まじめがトリイのトリエ ・全員当事者 脱・評論家 ・新しいことでもおそれずにやってみよう ・すべての経験を糧に、私たちは成長し続ける |
3)経営の基本的考え方:4Sモデル
私たちは、高品質の事業活動によって生み出される資金を循環/拡大することを通じて、お客様、株主、社会、社員の四者に対する責任をバランス良く果たし、満足の総和を高めていきます。
CS(Customer Satisfaction):お客様に対する責任 より良い薬、正しい情報を医療関係者を通じて患者さんに提供することにより、人々のQOL(Quality Of Life)向上に貢献するように努めます。 IS(Investor Satisfaction):株主に対する責任 適時適切に会社情報を開示するとともに、適正な利潤の還元と企業価値の増大を図るように努めます。 SS(Social Satisfaction):社会に対する責任 ES(Employee Satisfaction):社員に対する責任 |
<中長期事業ビジョン「VISION2030」>
当社は、企業理念である「鳥居薬品の志」を実現するために、2030年に向けて当社が目指す姿として「VISION2030」を策定しております。
(中長期事業ビジョン:VISION2030)
医療ニーズを深く理解し、その充足のために 高い専門性と機動力を持って 関係する皆様との共創を最適な形で進め、 価値ある新薬を見いだし届ける 存在感のある製薬企業 |
(計数目標の更新)
既存製品及びJTE-061の売上予測の見直し、並びに新規導入品の獲得及び新薬開発が順調に進捗していることから、以下のとおり、「VISION2030」の売上高については、上方修正するとともに、営業利益については、2030年時点で、2032年の過去最高益(133億円)更新が射程に入っている状態を目指します。
「VISION2030」の計数目標 |
|
更新前 | 更新後 |
売上高 | 売上高 |
過去最高の売上高(641億円)※1を更新する | 800億円超 |
営業利益 | 営業利益 |
過去最高益(133億円)※2更新を射程に入れる | 2032年の過去最高益(133億円)※2更新を射程に入れる |
※1:過去最高の売上高 641億円(2017年12月期)
※2:過去最高の営業利益 133億円(2001年3月期)
「VISION2030」の実現と、以降の持続的成長を確実なものとすべく、導入に向けた事業投資に従来以上に積極的に取り組むとともに、製品の価値を正しく医療関係者や患者さんに伝えるための社内体制整備や能力向上に取り組んでいく考えです。
以下2点を事業戦略とし、これに基づき中期経営計画の各施策を実施しております。
1)導入活動の強化
2)製品価値最大化のための仕組み作り
(2) 中期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
<「中期経営計画2023-2025」2023年度の進捗状況>
当社は、2023年度から2025年度までの3ヶ年を対象期間とする「中期経営計画2023-2025」を策定し、中長期事業ビジョン「VISION2030」の実現に向けて、成長戦略の各施策とステークホルダーからの信頼維持策に取り組んでおります。進捗状況は、以下のとおりです。
計数指標の進捗状況
※中期経営計画の利益面の計数指標としては、将来の導入品獲得に向けて、当面は研究開発投資を積極的に実施することから、研究開発費控除前営業利益を設定しております。
医薬品業界を取り巻く事業環境は、研究開発の高度化・難化による投資リスクが増大する中で、ウクライナ・中東情勢等地政学リスクの高まりに伴う資源・原材料価格の高騰、円安を背景とした物価上昇に加え、薬価制度の改革(毎年薬価改定等)、後発品の使用促進の影響等、厳しい事業環境が継続しましたが、「中期経営計画2023-2025」において計画していた各諸施策を着実に遂行し、売上高は546億円、営業利益(研究開発費控除前)は85億円とそれぞれ当初計画を上回ることができました。
また、新規導入品を新たに2件(NAC-GED-0507、GRAZAX)獲得するとともに、新薬開発の推進(JTE-061、TO-208)が計画通り進捗する等、中長期事業ビジョン「VISION2030」目標の達成、そして以降の持続的成長に向けた各施策についても着実に取り組んでおります。
主要施策の主なトピック(2024年2月9日時点)
成長戦略 |
■ 成長期新薬の売上高は着実に伸長 ・計数指標である「売上高」は前年度比2桁成長 ■ JTE-061 開発が順調に進捗 ・小児アトピー性皮膚炎患者(2歳以上12歳未満)を対象とした日本国内第Ⅲ相臨床試験を開始(2023年8月) ・アトピー性皮膚炎及び尋常性乾癬を適応症として日本国内における製造販売承認申請をJTが実施(2023年9月) ■ TO-208 開発が順調に進捗 ・伝染性軟属腫を適応症とした日本国内における第Ⅲ相臨床試験の速報結果を公表(2023年12月) ■ 新規導入品の獲得 ・尋常性ざ瘡治療薬 Nogra社 NAC-GED-0507(2023年1月) ・イネ科花粉症に対するアレルゲン免疫療法薬 ALK社 GRAZAX(2023年12月) |
ステークホルダーからの信頼維持 |
■ シダキュア安定供給 ・スギ花粉症に関する政府要請(2023年5月) ・スギ花粉の調達を一元的に担当する部門として、「原料調達部」新設(2023年8月) ・原薬製造設備の設備投資を意思決定(2025年稼動開始予定) ■ コーポレートガバナンスの強化 ・2024年3月の株主総会承認を条件として、監査等委員会設置会社へ移行することを取締役会で決議(2023年11月) ■ サステナビリティへの取り組み ・サステナビリティに関する基本方針策定、マテリアリティの特定、社外公表(2023年2月) ・マテリアリティと事業戦略、中期経営計画主要施策等とのかかわりを整理 |
<「中期経営計画2024-2026」の概要>
1)「中期経営計画2024-2026」の策定
当社は、中長期事業ビジョン「VISION2030」の達成に向け、2024年度から2026年度を対象期間とする「中期経営計画2024-2026」を策定しました。「VISION2030」の実現に向けて、前中期経営計画に引き続き成長戦略の各施策とステークホルダーからの信頼維持策に取り組んでまいります。
2)「中期経営計画2024-2026」主要施策
(1)成長戦略 | (2)ステークホルダーからの信頼維持 |
1.成長期新薬の普及・育成・価値最大化 (エナロイ、リオナ、コレクチム、JTE-061、 シダキュア、ミティキュア、オラデオ) 2.新薬開発の推進(TO-208、NAC-GED-0507、GRAZAX) 3.新規導入品の獲得 4.経営戦略に沿った人事制度等の整備と働き方改革 5.企業風土改革 | 1.安定供給体制の整備・強化 2.薬事規制の遵守と品質保証 3.コンプライアンスの強化 4.コーポレートガバナンスの充実 5.サステナビリティへの取り組み |
3)計数指標
「VISION2030」の目指す姿の実現に向け、「中期経営計画2024-2026」の計数指標としては、引き続き売上高及び研究開発費控除前の営業利益を設定します。
※1:中期経営計画の利益面の計数指標としては、将来の導入品獲得に向けて、当面は研究開発投資を積極的に実施することから、研究開発費控除前営業利益を設定しております。
※2:現時点での会社としての概算額を示す参考値であり、達成を目指す目標として位置づけるものではありません。
※3:中長期的な業績に影響を与えるリスクとして、シダキュア、ミティキュアについて、直近の売上高の伸長が続いた場合、今後数年以内に市場拡大再算定(薬価引き下げ)を受ける可能性がございます。当該リスクについては2026年度ガイダンス及び「VISION2030」に一定の想定の上、織り込み済みです。
※4:「VISION2030」計数目標としては、2030年以降も研究開発投資を継続的に実施するものの、集中的な投資は一定程度完了している予定であることから、営業利益を指標として設定しております。過去最高の営業利益133億円(2001年3月期)
<企業価値向上に向けた取り組み>
1)企業価値向上に向けた目標と取り組みについて
2023年12月28日付「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を含む企業価値向上に向けた取り組みについて」にて開示のとおり、当社は、更なる企業価値向上を実現するために、以下の目標を設定し、中長期事業ビジョン「VISION2030」の目指す姿の実現、ROE(自己資本利益率)の改善、株主還元、コーポレートガバナンスの充実等、様々な取り組みを実施しております。
※具体的な取り組みについては当社ホームページの「企業価値向上に向けた取り組み」
(https://www.torii.co.jp/ir/value/)をご参照ください。
目標 |
① 中長期事業ビジョン「VISION2030」計数目標の達成 (「売上高:800億円超」、「営業利益:2032年の過去最高益(133億円)更新を射程に入れる」) |
② 2030年以降、早期にROE8%以上を実現 (なお、具体的なROE目標値と達成時期は、集中的な事業投資が一定程度進捗し、中長期的な成長を見通すことが可能となる時期にお示しする予定です) |
③ 事業投資を通じた売上及び利益成長を重視しつつ、同業他社と遜色のないDOE(株主資本配当率)水準(現時点では3.5%程度)を実現 (なお、具体的な目標達成時期は、集中的な事業投資が一定程度進捗し、中長期的な成長を見通すことが可能となる時期にお示しする予定です) |
2)株主還元について
当社は、株主の皆様に対する適正な利潤の還元を経営の重要課題と認識しております。株主還元については、継続的かつ安定的な配当の実施を基本方針としつつ、事業投資を通じた中長期的な企業価値の向上を実現することが株主の期待に応えることになると認識しております。
2023年度の配当につきましては、「中期経営計画2023-2025」の2023年度の主要施策の進捗として、新薬開発の推進が順調に進捗(JTE-061の製造販売承認申請の実施、TO-208の第Ⅲ相臨床試験の試験速報結果)、新規導入品を2件獲得(NAC-GED-0507、GRAZAX)したこと等により、中長期の業績の見通しとして将来の成長確度が上昇したことを踏まえ、株主還元の充実を図るという考えの下、1株当たり年間120円といたしました。
また、2024年度の配当につきましても、上記方針・考え方の下、1株当たり年間120円の配当を実施する予定です。
なお、株主還元につきましては、引き続き継続的かつ安定的な配当の実施を基本方針としつつ更なる充実を図る考えであり、今後、業績や投資の進捗等を勘案しながら中長期的なDOEの向上に努め、将来的に同業他社と遜色のないDOE水準(現時点では3.5%程度)を目指してまいります。
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