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企業概要

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営方針

当社は、「都市と地方をかきまぜる」をミッションに掲げています。

このミッションの下、ヒト・モノ・カネのあらゆる側面で都市と地方をつなぐサービスを提供することで、株主価値及び企業価値、社会的インパクトの最大化を図ってまいります。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、都市と地方をかきまぜる複数のサービスを展開しており、「ポケットマルシェ」を筆頭にした各種サービスを統合し、「売上高」に加えて、インパクト指標として「生産者と消費者との『顔の見える取引』にかかる流通総額」「生産者と消費者のコミュニケーション数」「都市住民が生産現場で過ごした延べ日数」の成長を通じて、企業価値の向上を図ってまいります。

・「売上高」

 当社が提供するサービスの売上高成長は、当社の企業価値の向上を直接的に示す指標であると考えています。

・「生産者と消費者との『顔の見える取引』にかかる流通総額」

「都市と地方の分断」の解消にむけて、当社のサービスは、全て生産者と消費者間で「顔の見える取引(誰から購入しているかが見える化されている取引を指し「顔の見える取引」にかかる流通総額は、当社「ポケットマルシェ」「食べる通信」「ポケマルふるさと納税(寄付額)」「ポケマルおやこ地方留学」のサービス利用金額の合算で算出)」ができるように設計されています。「顔の見える取引」が伸びることは、当社サービスの認知、消費者及び生産者のサービスに対する継続的な満足度を示していると考えています。


・「生産者と消費者のコミュニケーション数」

生産者と消費者のコミュニケーション数は、「ポケットマルシェ上での投稿およびメッセージの数」によって計測されます。前述のとおり、当社は「都市と地方をかきまぜる」というミッションのもと各種サービスを提供している中で、「生産者と消費者との分断の解消」は重要なテーマと捉えており、この指標は生産者と消費者との分断の解消度合いを象徴的に示していると考えています。


・「都市住民が生産現場で過ごした延べ日数」

当社のサービスを通じて、都市住民が生産現場で過ごした延べ日数を計測しております。具体的には、2022年から開始したポケマルおやこ地方留学等により、都会の人を地方に送り込む人流創出を加速しています。


(3) 経営環境

当社は、複数サービスを展開しているため、各サービスの関わる市場が異なります。

主に、①食品EC市場(CtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」、サブスクリプションサービス、食材付き情報誌「食べる通信」)、②自治体支援サービス市場(企業・自治体向けサービス)、③旅行市場(ポケマルおやこ地方留学)の3つを特に重要な市場として想定しております。これらの市場において、生産者と消費者のユーザー基盤、継続的な購買を促進する仕組み等の強みを競争優位性の源泉とし、事業展開を継続していきたいと考えています。

① 食品EC市場(CtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」、サブスクリプションサービス、食材付き情報誌「食べる通信」)

食品EC市場は、2022年で2兆7,505億円となっており、前年度からは109.2%に成長しています。また、食品市場のEC化率は、過去からは伸長して2022年に4.2%となったものの、物販系分野全体の9.1%と比較した際にまだ伸びしろのある状況です(経済産業省「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」(2023年8月31日))。

さらに、従来の卸売市場を経由せず、直接、産地から小売事業者や消費者等に流通させる産直サービスは、消費者意識の高まり等を背景として、2027年には2022年比で111.2%に成長すると予測されております(矢野経済研究所「産直ビジネスの市場実態と将来展望」(2023年6月6日))。

② 自治体支援サービス市場(企業・自治体向けサービス)

行政予算を対象とした事業であり、国及び地方自治体の予算には限りがあるため、市場全体が大きく成長することはない領域と考えております。

一方で、2023年12月末時点で、2023年度の委託事業における取引自治体数は40、ふるさと納税を含む取引自治体数は85、これまでに関係のある自治体数は182であり、これらは全国の自治体のうち一部に過ぎません。また、これまで当社が対象としてきたのは、「自治体の販路拡大を目的とした予算」に限定されていましたが、事業規模及び領域の拡大によって、「自治体に限らず国家予算」や「販路拡大に限らず観光や移住定住を目的とした予算」でも価値を提供できると捉えています。

また、当社に登録する生産者は、2023年12月時点で全国1,530の自治体に分布しており、これは日本の全1,765自治体(「e-Stat 政府統計の総合窓口」2023年12月末時点)の86.7%に該当します。この全国に広がる生産者のネットワークを活用することで全体の市場に対して当社の参入余地はまだ大きく、成長を見込んでおります。


③ 旅行市場(ポケマルおやこ地方留学)

新型コロナウイルスによる行動抑制の緩和により、今後、人流は大きく回復していくと見込まれています。また、テレワーク、ワーケーションといった新たな働き方は一定定着し、今後もそのような勤務形態は継続することになると考えられます。

そうした状況下で、当社の提供する長期ワーケーションが広がるとともに、子供の体験アクティビティのニーズも高まることから、今後も成長性を見込んでいる事業領域となっております。

(4) 経営戦略

(3)で記述した通り、食品EC市場の拡大が続いてきました。その中でも産直EC市場は、2016年、CtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」を当社がリリースしたことに端を発する比較的新しい市場です。

当社の「ポケットマルシェ」はプラットフォームとしての一面を持つため、流通規模が拡大するにつれて、取引に携わる生産者数や出品数、自治体数等が増加し、それに伴い、プラットフォームとしての価値も高まっていく構造にあります。また、売上高の成長に対して、運営に伴うコストの売上高比率は下がる傾向にあり、売上広告宣伝費比率は低下傾向にあるとともに(2020年:92%、2021年:43%、2022年:29%、2023年:7%)、個人向け食品関連サービスの売上が4年で23倍になった一方で、カスタマーサポートの人員は3名増員のみ(2019年:2人、2020年:4人、2021年:6人、2022年:7人、2023年:5人)です。

また、生産者や消費者が増えることによって、それらを基盤とした企業・自治体向けサービスや、ポケマルおやこ地方留学等のサービス展開も促進され、更なる企業価値の向上につながる好循環があります。さらには、プラットフォーム型のビジネスであるため、売上高成長に伴い、売上高に対する費用の割合は減少していく傾向にあるため、営業利益率が高まる傾向にあります。

こうした基本的な考え方に基づく、当社の具体的な経営戦略は以下の通りです。

① ポケットマルシェの安定的な収益化
(a) 継続利用

当社のサービスの重要な特徴は、ユーザーが長く利用し続けることにあります。そのため、継続購入ユーザー数(2回目以上の購入者数)が積み上がっていく傾向にあり、購入者全体に占めるリピート率(購入者数全体に占める継続購入ユーザー数の割合)は約8割、1ヶ月の平均購入回数は約2.5回(2022年の継続購入ユーザーの平均値)であり、ロイヤリティの高い顧客が安定した売上を支える要因となっております。


消費者が買い続ける行動は、(1)同じ生産者から何度も買う行動、(2)初めて購入する生産者から買う行動、の2つに分解することができます。それらは、双方がやり取りできる機能があることによって(1)が発生するとともに、全国各地に生産者がいて旬の食材が移り変わることで(2)が生まれます。いずれも、当社プラットフォームの特徴によるものであり、競合優位性のポイントであると考えております。

(b) 新規ユーザーの獲得

新規ユーザーは、広告経由と広告以外経由に大きく分類でき、後者は認知拡大によるサービスでの指名検索やSEO対策(検索エンジン最適化)による検索流入で広告費をかけずに獲得できている状況です。

食品EC市場は2022年において2兆7,505億円と大きいため、市場からは今後も継続的な獲得が可能と捉えており、SEO対策を更に強化することで、1人あたり獲得コストを抑えたうえで新規ユーザーの獲得拡大を図ってまいります。

(c) クロスセル(顧客が利用しているサービスに加え、追加で別のサービスも利用してもらうこと)によるLTV(顧客生涯価値)向上

CtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」のユーザーに対して、ポケマルふるさと納税、チーズやフルーツ、野菜セット等の定期便のサブスクリプションサービス、食べる通信などの複数サービスの利用を促進し、クロスセルによるLTVの向上を図ってまいります。

② 関連サービスの成長
(a) 企業・自治体向けサービス

2020年度に、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要を背景として、ポケットマルシェは生産者数・消費者数・流通額が大きく伸長しました。それと時を同じくして、EC化を進展したい自治体からの引き合いも大きく伸びることとなり、取引自治体数は継続的に積み上がってまいりました。また、販路拡大を主目的とする取り組みがメインであったものの、ポケマルおやこ地方留学などのサービスも展開していくことで、観光分野や移住定住分野などでの取り組みも可能となりました。それによって、新規取引先自治体の開拓や、既存取引先自治体の単価向上も見込まれています。

(b) ポケマルおやこ地方留学

自社によるプログラム開発だけでなく、プログラム開発・運営を担う現地のパートナーも作っていくことで、継続的に開催箇所を増やしてまいります。また、移動とのセット販売などのアプローチも併せて行ってまいります。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① ポケットマルシェの拡大

「ポケットマルシェ」が売上の面において中心となるサービスであるとともに、登録している生産者と消費者が他のサービスの基盤となっていることから、当サービスが当社において重要な位置付けとなります。そのため、当サービスの認知度を向上させ、新規消費者を引き続き獲得することが必要であり、SEOや広告を始めとしたマーケティング施策により継続して拡大を進めてまいります。また、生産者や消費者の利用するプロダクトのユーザビリティ向上にも引き続き努めてまいります。

② サービス展開の加速

当社は、「ポケットマルシェ」を軸として事業展開を行ってまいりました。改善傾向ではあるものの、当サービスの比率が高い状態が継続しております(個人向け食品関連サービスの売上高比率は2022年12月期83.2%、2023年12月期66.7%)。中長期に亘って成長するために、「ポケットマルシェ」に続く柱を確立していくことが重要であると考えております。

③ 優秀な人材の採用と育成

今後の事業拡大及び収益基盤の拡充にあたり、優秀な人材の確保及びその定着を図ることは引き続き重要であると考えております。

当社のミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、社内の環境整備や仕組みの構築を進めてまいります。

④ 経営管理と内部管理体制の強化

当社のさらなる成長のためには、事業拡大に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。今後も金融商品取引法における内部統制報告制度の適用等も踏まえ、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。

⑤ 財務上の課題

当社は過年度において継続的な事業成長を図るため、サービスに関する開発や体制強化に伴う人員増強への投資を行った結果として、当事業年度まで営業赤字かつ営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが継続しております。CtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」は、プラットフォーム型のビジネスであることから、売上高に占める費用の割合の逓減とともに、売上高の成長を通じて当期純利益の黒字化を図っていくことが重要な課題と認識しております。

より抜粋
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