阪神内燃機工業 【東証スタンダード:6018】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります
(1)経営方針
当社は、100年を超える経験と知識をもとにさらなる発展を求めて、当事業年度に経営理念を改定することといたしました。事業分野の制約をはずし、根幹のモットーは継承しながら社会課題の解決を第一に認識し、その解決に尽力する結果として、お客様の満足度を向上させ、経済価値を高めることを基本の理念としております。この理念のもとに、GHGフリーの技術開発、CMR(鋳物・金属機械加工)事業の拡大、新規事業の研究開発等を力強く進めてまいります。そのスローガンは「鉄と工(たくみ)の創造力で掴むWIN-NOVATION(WIN+INNOVATION)」と設定しております。
(2)経営戦略等
昨年4月より2ヵ年の新中期経営計画「進化・新加・真価」をスタートさせており、変化の速い時代に対応すべく、短期集中型の計画としております。サステナブルな当社の未来創造を目的とした長期経営ビジョンを設定し、中期目標は「自ら、見つめ、考えて、そしてチャンスをつかみとる」をスローガンに、「ORIGINAL HANSHIN」において、エンジンの商品力、販売力、コスト力及び人材力の強化による付加価値アップ、「NEW HANSHIN」におけるCMR事業の拡大、「FUTURE HANSHIN」については、新ビジネス、新商品、新サービスの探求とサステナビリティ経営の実現を設定し、それらを3本の柱として位置づけております。外的環境はますます厳しくなると予想されますが全社員がベクトルを合わせて新中期経営計画の達成に尽力してまいります。
なお、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、業績予想として公表しております、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益があります。公表数値の達成に向けた経営計画に基づき、各種重点課題の着実な推進を図っております。
(3)経営環境
当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による経済活動の活性化やインバウンド需要の増加等から、緩やかな回復基調となっております。世界経済については、地政学リスクの増大や中国経済の減速継続により、不透明感の強い状況が継続しております。
外航海運業界においては、大型船建造の造船所は既に3年半以上先まで受注を確保しているものの、建造コストの先行きが不透明なことから、それ以上の先物案件に関しては様子見状態となっております。当社2サイクル機関の対象である近海船市場は、現状の船価に運賃が釣り合わない状況となっておりますが、将来を見据えた代替建造のニーズは、しばらくの間、継続すると思われます。当社の主要マーケットである内航海運業界におきましては、船員不足および船舶の老朽化が顕著となってきた影響から、輸送能力の維持・確保に向けて大手オペレーターを中心に用船料の改善がなされており、船価高の状態は続いておりますが、引き合いは増加傾向を示しております。海外案件につきましても、アジア圏を中心に受注が回復しており、円安効果もあって、日本での建造を希望する船主も増えてきております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①営業活動
国内、海外ともに鋼材価格高騰による船価高が継続する中、建造隻数の大幅な伸びは期待できない状況でありますが、老齢船の増加により代替建造の兆しが見えてきております。その機会を逃さず引合案件をひとつひとつ確実に受注に結び付けていく丁寧な営業活動を展開してまいります。国内においては、低速4サイクルGHG排出改善バージョンのSシリーズ等の販売拡大や機関監視システムのブラッシュアップなどで付加価値を高めながら、全ての顧客、全ての船、全ての空き船台を完全網羅した活動により、内航船における主機関のトップシェアを堅持し、部分品販売についても全てのお客様とその保有船に寄り添った、きめ細かく積極的なサービス活動と部分品営業を充実いたします。特に主機販売において資材価格の高騰によるコストアップに対応する価格転嫁がほとんどできていないため、各取引先にご理解いただき、適正価格へ是正することが今後のビジネスの注力点になってまいります。
海外においては、コロナ禍で沈滞していた市況の回復の兆しとともに主機関の受注が増えてきており、加えて、主機関販売以外での周辺サポート(据え付け、運転、メンテナンス、機関モニター等)を強化した東南アジア向けトータルサポートセールス等、CS向上活動に注力しながら受注拡大に邁進してまいります。
②生産活動
生産面におきましては、生産効率の向上とリードタイムの短縮や内製化の推進のため、主機関・部分品・CMRの全体最適化を図る生産管理体制の構築を進めてまいります。CMR事業については、エンジンに続く、第2の事業の柱を目指し、鋳造技術を駆使した各種鋳物製作サービス、当社独自の大物部品の精密加工技術を活用した加工サービス、新規導入しました複合加工機等による製品加工品目の拡大やお客様要望のレトロフィットも含めた設備修理サービスを基軸として第158期より注力しておりますが、第159期には約1.5倍に販売を拡大することができました。さらなる拡大につきましては主機関部品製造との兼ね合いが大きなポイントとなるため、全社最適の生産体制を実現してまいります。また、資材価格の高騰に対応するため内製化が困難な部材につきましてはこれまでも進めてきました海外調達を含めた購買努力やVA、VEによる原価低減を徹底し、加えて、聖域のない経費節減や作業の標準化によるムダの排除と品質の向上に引き続き鋭意努めてまいります。
③新製品の開発・販売
商品開発面では、低速4サイクルのGHG排出改善バージョンである「Sシリーズ」や電子制御機関の販売拡大を継続・充実するとともに、低速4サイクルガスエンジンの気体燃焼技術を活用して、GHG削減を目的としたアンモニアや水素燃料の利用にも応用範囲を拡大していくことを検討中であります。また、バイオ燃料についても、テストデータを積み重ねております。なお、国内の内航船では初搭載となるメタノール燃料エンジンは、今後拡大していくグリーンメタノール生産増強により海運のカーボンニュートラルを達成する一助となるソリューションであります。播磨高度研究棟において順調に試験運転が行われ、6月には村上秀造船所へ出荷となり、本年末には竣工する予定であります。
お客様に安全・安心を提供する高度船舶安全管理システムや機関モニタリングシステム「HANASYS 5」の市場投入を拡大しておりますが、さらなる発展形の「HANASYS 5EX」は既に数台内定を頂いており、今後、ハードとソフトの両面から最高の顧客満足を獲得するよう努力してまいります。
新事業や新商品を追求する「F-WINGプロジェクト」においては、特命担当チームを新設し、強力に推進しながら当社技術とのシナジーを重視したオリジナル鋳物商品等の企画・研究開発が進んでおります。起業家精神を持った人材育成とともに進める社内ベンチャーの位置付けとし、将来の阪神内燃機工業の人材や技術の礎となる活動であります。
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