阪急阪神ホールディングス 【東証プライム:9042】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1.サステナビリティ全般
(1)ガバナンス
当社グループでは、2020年度からサステナビリティ推進委員会(委員の構成等は右図のとおり)を、年2回(9月・2月)開催しています。 同委員会では、サステナビリティに関する外部環境(行政・投資家・他社の動向等)やESG評価機関の評価状況等を踏まえ、当社グループのサステナブル経営の重要テーマに関する方針を策定したり、取組の進捗状況について確認したりするほか、中期経営計画に反映すべき事項等について審議・決定しています。 また、同委員会における審議内容は、グループ経営会議に付議されるとともに、取締役会にも報告してその監督を受けています。 同委員会を中心に、事務局(主管)であるサステナビリティ推進部が経営企画部門や各事業部門と連携しながら、サステナブル経営のPDCAサイクルを回しています。このように、グループ全体のマネジメント体制に組み込んで、サステナブル経営を推し進めています。 |
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(2)戦略
当社グループでは、サステナビリティ宣言において、サステナブル経営を進める上での基本方針や6つの重要テーマ等を定めています。重要テーマの特定にあたっては、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとするグローバル共通の社会課題や当社グループが特に対処すべき社会課題を踏まえ、外部有識者の意見も参考にしながら、下記6つに絞り込み、グループ経営会議での審議を経て、取締役会で承認しました。これらをベースに、これからもお客様や地域社会等との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図り、ひいては持続可能な社会の実現につなげてまいります。なお、サステナビリティ宣言の詳細については、「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「2.サステナビリティ宣言」に記載のとおりです。
重要テーマと取組方針を踏まえた具体的な取組の方向性については、以下のとおりです。
(3)リスク管理
当社では、人事総務室内にグループのリスク管理を統括する担当部署を設け、毎年リスク調査を行っています。同調査では、気候変動(自然災害等)・事故・情報管理・法令順守・その他組織運営等に関するリスクを対象としており、組織横断的なリスクについては同担当部署が、各コア事業固有のリスクについては各事業部門が、それぞれリスクを特定・分析し、適切な対応方を定めるようにしています。また、これらのリスク分析やリスク対応の状況については、毎年取締役会で報告しています。
このうち、気候変動関連のリスクについては、自然災害など事業運営に直接影響するリスクだけでなく、エネルギーや資材価格の高騰などバリューチェーンで発生するリスクも、項目ごとに分析・検討を行っており、その上で時間軸(短期・中期・長期)をにらみながら、リスク評価を実施しています。そして、年に複数回、その対策状況についてモニタリングを行っています。
また、気候変動関連のリスクやそれらが事業に与える影響等については、サステナビリティ推進委員会でも審議しています。そして、その内容については、リスク調査時の重点リスクの選定に活かすなど、グループ全体のリスクマネジメントに反映するようにしています。
(4)指標及び目標
当社グループがサステナブル経営を推し進めるにあたり、特に重要と考える取組については、2030年度の経営目標として、グループ共通の非財務KPIを設定しています。
また、その他、健康経営や男性の育児休業等に関するグループ共通の非財務KPIや、事業特性に応じたコア事業ごとの非財務KPIを設定しており、グループ全体で重要テーマの実現に向けた取組を進めています。
2.気候変動
当社グループは、2021年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」へ賛同の意を表明し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の各項目に沿った情報開示を進めています。また、2022年5月に公表した長期ビジョンでは、パリ協定の目標である1.5℃シナリオの実現に向け、当社グループのCO2排出量の削減目標として、2050年度実質ゼロを新たに掲げ、その中間地点となる2030年度の目標を△46%(2013年度比)としました。今後も、気候変動への対応を事業戦略に組み込み、事業の強靭性を高めることで、脱炭素社会への移行を着実に推し進めていきます。
(1)ガバナンス
ガバナンスについては、「1.サステナビリティ全般」の「(1) ガバナンス」に記載のとおりです。
(2)戦略
<リスク・機会の特定>
気候変動への対応を検討するにあたり、当社グループのコア事業のうち、特に気候変動の影響が大きいと想定される鉄道事業と不動産事業について、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスクと機会の特定を行いました。
<シナリオ分析及び財務的な影響の試算>
特定したリスクと機会のうち、特に影響が大きいと想定されるものについて、2030年度における鉄道事業・不動産事業への影響を把握するため、シナリオ分析を実施しました。具体的には、脱炭素政策の強化が見込まれる1.5℃及び2℃シナリオ、物理的リスクの顕在化が見込まれる4℃シナリオにおける事業への財務的な影響の試算(※1)を行いました。
※1 単年度の営業利益への影響額について、いずれのコストアップも価格転嫁を加味しない場合の試算を行いました。なお、当該試算は2021年12月時点をベースとしており、今後、新たな前提で試算を行った際は、統合報告書等で随時公表する予定です。
分析にあたり活用した社内外のデータは、以下のとおりです。
① 社内データ:CO2排出量の見通し、自然災害リスクへの対応計画、ZEB・ZEHの施工計画等
② 外部データ:IEA(国際エネルギー機関)や環境省・気象庁のレポート等(※2)より、炭素税の予測、
電力料金の予測、降雨量の予測等
※2 IEA「World Energy Outlook」 Sustainable Development Scenario
IEA「Net Zero by 2050 - A Roadmap for the Global Energy Sector」
ICPP「RCP8.5」「RCP2.6」
気象庁「日本の気候変動2020 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—」等
<鉄道事業への影響と今後の対応>
1.5℃及び2℃のシナリオでは、政策等により環境関連の規制が強化され、炭素税の導入に伴うCO2排出量への課税により△24億円、電力小売単価の上昇に伴うコスト増により△4億円など、営業利益への影響が生じることが確認できました。今後の対応として、省エネルギー型車両への更新やLED照明の導入等によるエネルギー使用量の削減に加え、駅等への太陽光パネルの設置など再生可能エネルギーの活用に取り組むことで、これらの影響を低減していきます。
4℃シナリオでは、自然災害の激甚化(規模・頻度)により、物理的被害の可能性が高まることが確認されました。今回の試算では、当社沿線で被害額が最も大きいと見込まれる武庫川を選定し、被害額を算出しました。氾濫発生時に車両避難を実施しなかった場合、想定される営業利益への影響額は△38億円となる一方で、車両避難を実施することにより、被害を△4億円まで大幅に軽減できることを確認できました。今後の対応として、引き続き各種安全投資や車両避難計画の着実な運用等により、長期運休を回避できる強靭な事業運営に努めていきます。
[物理的リスクに対するハード・ソフト両面での対応例]
ハード面では、線路脇で土砂崩れが発生する危険性の高い箇所について、斜面の崩壊や落石の防止、排水機能の強化などの対策工事や、雨量計の増設等を実施しています。
ソフト面では、河川の氾濫による車庫及び車両の浸水被害を回避するため、車両避難計画などの浸水対策を進めています。例えば、今回財務的な影響額を試算した武庫川では、過去100年間、西宮車庫周辺などの下流域で洪水は発生していませんが、実際に発生したときに想定される影響額の大きさに備え、災害レベルの豪雨(※3)が予想される際に、西宮車庫の車両を浸水の影響がないところへ避難させる計画を策定しています。このように、ハード面及びソフト面から気候変動リスクに対する安全対策を進め、被害の低減に努めています。
※3 市区町村等が作成したハザードマップ上の「計画規模降雨(100年に1度の降雨規模)」を想定しています。
<不動産事業への影響と今後の対応>
1.5℃及び2℃のシナリオでは、炭素税の導入に伴う建設資材の価格の上昇により△19億円、ZEBをはじめとする建築物への対応や環境規制の強化に伴う建築コストの上昇により△8億円など、営業利益への影響が生じることが確認できました。なお、ZEHについては、国等の補助金を活用するとともに、用地仕入れの段階からZEH採用によるコスト増を収支に織り込み、販売価格に転嫁する(ZEH住宅への税制優遇等により、顧客のZEHへの評価も向上している)ことが可能とみており、営業利益への影響は限定的と見込んでいます。一方、ZEBについては、賃料価格への転嫁が難しく、営業利益に上記の建築コストの上昇に伴う減価償却費相当の影響が生じる可能性がありますが、国等の補助金も活用しながら、できるだけ影響の低減に努めていきます。
4℃シナリオにおける不動産事業への財務的な影響は、限定的であることを確認しました。物理的リスクとして、梅田地区の水害が想定されますが、内水氾濫については、不動産物件への止水板の設置や災害対応マニュアルの整備など既に対応を完了しており、外水氾濫については、発生確率が非常に低い(※4)と見込まれています。
今後は、新たに開発する大型ビルを中心にBCP対応率やグリーンビルディング認証の取得率、新規マンション開発におけるZEH化率などの指標を掲げ、いずれのシナリオにおいても対応できるよう取組を進めていきます。
※4 淀川の氾濫に伴う梅田地区の浸水は、市区町村等が作成しているハザードマップの想定最大規模の降雨時(1000年に1度程度)にのみ想定されていますが、4℃シナリオにおいても発生確率は非常に低いと見込まれています。
(3)リスク管理
ガバナンスについては、「1.サステナビリティ全般」の「(3) リスク管理」に記載のとおりです。
(4)指標及び目標
当社グループでは、サステナブル経営の重要テーマに「環境保全の推進」を掲げ、グループ共通の非財務KPIとして、CO2排出量(※5)の削減目標を設定しています。具体的には、パリ協定の目標である1.5℃シナリオの実現に向け、当社及び子会社の国内事業所におけるCO2排出量の削減について、2050年度において実質ゼロとする目標を掲げ、また中間目標として、2030年度に2013年度比△46%とすることを目指しています。 この目標達成に向けた基本的な取組方針は、まずエネルギー使用量の削減を重視し、財務の健全性と投資効率をみながら「①省エネの着実な推進」に取り組むとともに、技術革新の動向をみながら、事業採算性が合うので |
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あれば、「②創エネ(再エネ発電設備等の導入)の検討」を進めていきます。そして、①、②の取組だけで目標を達成することが難しい場合は、「③再エネ電力の購入」によりカバーリングすることで対応していきます。
上記の方針のもと、各事業では、気候変動への対応を含む非財務のアクションプランや進捗管理を適切に行うための指標を設定しています。
今後も、脱炭素社会に向けた取組を積極的に推し進めていきます。
※5 当社グループでは、CO2以外の温室効果ガスの割合が極小であることから、CO2排出量を温室効果ガス排出量とみなしています。
なお、CO2排出量は、SCOPE1(燃料を使用して直接排出する量)と、SCOPE2(電力・熱等のエネルギーを使用することにより間接的に排出する量)を集計しています。
3.人的資本・多様性
長期ビジョンの実現に向けては、沿線やコンテンツの魅力をさらに高め、事業フィールドをより拡げるなど、グループが一体となって変革を推し進めていく必要がありますので、その原動力となる従業員一人ひとりが活躍することは、欠かせない重要なファクターです。こうしたことを踏まえ、当社グループでは、今後とも従業員の働きがいや働きやすさをより高め、多様な人材が個性や持てる能力を最大限に発揮し、活躍できる環境を整備することで、様々な価値観が響きあう躍動感溢れる組織を創っていきます。
(1)戦略
長期ビジョンを実現するためには、同ビジョンと連動した人材戦略が必要です。そのために、新卒の同質性の高い人材だけに頼るのではなく、多様な人材を備え、また従業員の潜在能力を新たに見出し、会社と従業員の双方が協力してそれを高めながら、一人ひとりが活躍しやすい環境を整えていきます。
<長期ビジョン(=経営戦略)と連動した人材戦略>
(2)指標及び目標
経営戦略上必要な人材を計画的に採用・育成し、一人ひとりのパフォーマンスの最大化を図るため、下表のとおり、KPIを設定しています。
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