関西ペイント 【東証プライム:4613】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念における使命目的としております。この使命目的は、当社の歴史において脈々と受け継がれてきた理念に由来するものであり、言わば「創業の精神」に立脚するものであります。
2020年11月、当社は成長戦略「Good to Great」を策定し、ESGを根幹とする経営への大きな変革を進めております。その変革とは、まさに当社が、「創業の精神」に立ち返り、顧客との信頼関係のもと、塗料ビジネスのプロフェッショナルとして、持続的な利益成長と社会貢献をもたらし得る会社であり続けるためのものであります。
当社はこのような考えのもと、これからも社会から必要とされる、真のGreatカンパニーとなるべく、企業価値向上に取り組んでまいります。
(2)中長期的な経営戦略
当社グループは、2022年4月に第17次中期経営計画を始動させました。
本計画は、当社経営が成長戦略「Good to Great」で掲げている持続的成長サイクルへ転換するための重要フェーズと位置付けており、2050年時点の当社にとっての重要課題として4つのマテリアリティを特定しています。すなわち「脱炭素の実現」「QOLの向上」「資源と経済循環両立の高度化」「多様な人財が活躍するグループへ」の達成に向け、ESG経営を根幹とした骨太な3か年計画として策定しており、その重点方針については、「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」と定め、当社グループの方向性を明確に示しております。
当期はこれらの重点方針のもと、原材料価格高騰に対応した価格転嫁および生産プロセス改善に伴う原価低減による利益率の改善ならびに政策保有株式や低収益資産の売却による資金の捻出を実行し、財務基盤の強化を進めながら成長分野へ積極的に投資すると同時に、機動的な自己株式の取得、継続的な増配をすることで株主還元の充実に取り組みました。これらの活動により、収益性の改善が大きく進展しています。このような財務構造改革を背景に、グローバルに事業運営が活発に進展しています。
国内事業となる日本セグメントにおきましては、引き続き商品ミックスの改善と原価低減を行い、各事業分野の特性に合わせた組織再編とビジネスモデルの変革を進め、収益性の更なる向上に注力してまいります。
海外事業のうち、欧州セグメントでは、鉄道車両用や粉体塗料などサステナビリティ分野へ注力し、子会社のKansai Heliosグループを主軸として4件のM&Aを実行しました。今後も引き続き成長戦略に見合う機会を適切に狙っていきます。インドセグメントでは、当社グループの強みである自動車分野で圧倒的No.1を堅持し、次の成長の柱として工業分野での拡大を目指しています。また、インド塗料市場として最も大きな建築分野において当社グループの独自性を見出し、堅実な成長を続けることで独自の地位を築いていきます。アフリカセグメントについては今後とも事業を継続していくことを決定し、インドの次の成長エリアとして事業計画をゼロベースで策定したうえで再スタートしております。アジアセグメントは、第16次中計期間中に当社グループの強みに特化した事業ポートフォリオを作り上げ、現在では自動車分野を中心に安定した収益源としてグループ経営に貢献しています。
経営基盤の強化につきましては、業績改善分科会による企業文化変革を継続するとともに、「最も重要な基盤は人財である」という信念のもと、真のグローバル企業に求められる人財の育成に取り組んでおります。この一環として2023年12月にグローバル本社機能と営業機能を2拠点に再編し、BCP及びセキュリティの強化、高機能オフィスでの業務効率化などを目的とし本社事務所を移転しました。今後各拠点の再編、整備を進め、新たなコンセプトである「人財が生き生きと働ける、魅せる職場」に変革していきます。その他、IT基盤の構築、サプライチェーンの刷新、事業特性に合わせたビジネスモデル変革などを進め、当社はグループ本社として、安定的に利益を稼ぐ役割を果たしてまいります。
以上のような考え方のもと、第17次中期経営計画の最終年度目標としては現在、売上高6,100億円、EBITDA890億円、ROE13%と設定しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後もグローバルベースでは、塗料需要は中長期的に着実に伸長することが見込まれております。2023年5月に新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類に移行され、社会・経済活動が正常化し、景況感は大きく改善しました。その一方で、世界的なインフレの広がりや中国経済の成長率の鈍化など、景気下振れの懸念や地域紛争の増加等による不確実性が高まっています。事業環境においては、物流コストやエネルギーコストの高騰の影響で、厳しい状況が続いています。そのような外部環境の変化への対応が対処すべき課題と認識しております。
これらの課題に対処するため、当社はサステナビリティ経営へのシフトを通じた企業価値の拡大に取り組んでおります。当社はマテリアリティへの取り組みの具体的なマイルストーンとして、KPI2030を策定しグローバルでの取り組みに着手しています。2030年までに実現させる主な目標として、サステナビリティ製品の売上比率を30%、開発テーマの80%をサステナビリティ関連とすることなどを定めています。顧客のサステナビリティに貢献する塗料技術を通じて、脱炭素・サーキュラーエコノミーを実現するエンドマーケットへの価値提供を行います。これらのKPIを達成するための組織強化を進めており、「サステナビリティ推進委員会」による方針の明確化とモニタリングのもと、サステナビリティ経営を体現するために全社戦略企画機能として「サステナビリティ戦略部」を2024年4月に設置し、各種戦略企画機能を統合しました。実行においては「サステナビリティ推進部」の活動をグローバルに拡大し、事業部門と一体となって長期的な企業価値向上に取り組んでおります。今後も、サステナビリティに対する取り組みを着実に進めてまいります。具体的な進展の一例として、ESG経営を実行する為のDX(デジタルトランスフォーメーション)としてグローバルデジタルプラットフォームの稼働を開始しました。今後、当社グループ内の財務・非財務情報を収集し、最大限活用できる基盤として、継続的に機能と適用範囲の双方を拡充していきます。
また、当社グループの原動力は人財であると考え、人財開発を企業価値拡大における最重要課題として取り組んでおります。当社執行役員への海外人財の登用に加え、国内においては、管理職に続き総合職への新人事制度の運用、教育体系の刷新を図るとともに、ダイバーシティの観点から多様な人財の登用を拡充いたします。国内外から広く最適な人財を獲得するために、当社グループが求める人財像を定め、人財育成のためのコンピテンシー(求められる行動様式)を核とする人財登用と教育体系の見直しを進めております。これらの変革を進めるためにエンゲージメントサーベイを定期的に実施し、企業と従業員の成長の両立を目指す体制を構築しています。
ガバナンスにおいても変革を進めており、2024年6月より、監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会のモニタリング機能強化と執行への権限移譲を進めることで、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組みます。
これらの変革をベースに資本コスト経営を実践し、適切な株主還元を通じて、ステークホルダーから高く期待される企業への変革を推進してまいります。
以上の諸施策を強力に推進し、第17次中期経営計画を完遂し、今後とも持続的に成長するGreatカンパニーへの変革をさらに加速してまいります。
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