企業兼大株主関西ペイント東証プライム:4613】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 塗料が担う役割の一つはモノの寿命を延ばすことであり、その製造過程におけるCO₂排出量は少なく、本来サステナビリティに大きく貢献している産業です。さらに、お客様との長きにわたる協業において、お客様で使用される時に発生するCO₂削減を可能にする塗料の開発や、粉体塗料、水性塗料に代表される環境負荷を小さくする事業をサステナビリティ経営が叫ばれるはるか昔より進めてきています。しかしながら、人類が直面している地球環境の変化はこれまで私たちが想定してきたものよりも大きく、社会発展の在り方そのものの見直しが求められています。石油などの鉱物資源に由来する原料を扱ってきた化学産業は、商品の設計、原材料、製造、物流、販売など様々な領域で非連続な転換が必要です。

 私たちは自らのバリューチェーンを抜本的に見直し、これからのお客様と社会のニーズに応え、新たな価値提供を実現することが課題であり、同時に機会でもあると考えています。

 そのため、「コンプライアンス/ガバナンス」及び「環境・社会配慮」といった汎用的課題だけでなく、「社会課題を事業や製品を通じて解決する」という当社特有の課題を認識し、事業を通じたサステナブルな社会の実現及び自社活動における社会的責任を果たすために当社として重要視するマテリアリティ(長期目標)を選定しました。

 また、グループ全体で環境負荷低減活動の見える化と推進体制の強化を進めております。環境情報の集計カバー率は、2021統合報告書では32.9%でしたが、2022統合報告書では62.5%となっており、2023統合報告書では91.2%の見込みです。2024統合報告書までに90%以上のカバー率を目指しておりましたが、2023統合報告書にて達成の見込みです。今後は更なるカバー率の向上とともに、データ精度の向上にも注力します。

 サステナビリティ情報全般に関する開示

(1)ガバナンス

 2022年4月より、サステナビリティ推進委員会は経営の主軸に関わる活動として、経営監理委員会に組み入れ、当社グループ全体の活動推進を牽引する体制を整えました。また、2023年4月より、サステナビリティ担当役員及び以下の2つの専門部署を設置しました。サステナビリティ企画部では、サステナビリティ経営に向けた基盤整備をよりスピード感を持って重点的に対応してまいります。サステナビリティ推進部では、サステナビリティ経営に関わる情報の収集分析、マテリアリティの具体策立案、推進への支援、社内の推進環境を整えるための情宣活動等を遂行してまいります。KPIに関する計画と進捗を四半期毎に経営会議・取締役会へ報告し、取締役会における監視の徹底に努めます。

(2)リスク管理

①リスクを評価・識別するプロセス

 リスクの識別、当社グループへの影響度基準の策定

②リスクを管理するプロセス

1)シナリオ分析について重要な変更点が無いかをサステナビリティ推進委員会にて確認

2)シナリオ分析から導かれた全社としての行動方針については、取締役会で審議・決議

3)各事業部門の行動計画は、経営会議にて審議・決議し、中期経営計画及び毎年度の組織及び予算に織り込む

4)決議された行動計画は、四半期毎にサステナビリティ推進委員会が取りまとめ、経営会議と取締役会で報告、討議する

5)リスク管理委員会とサステナビリティ推進委員会は、情報共有を密にする

 前述の2つのプロセスが総合的リスク管理に統合されているかを、毎年の予算や中期経営計画にて確認を行います。

(3)戦略

 以下の4つのマテリアリティを選定し、取り組んでおります。

①脱炭素の実現:2050年、グループ全体でのカーボンニュートラル実現

(取り組み)

 お客様

1)お客様の塗料使用段階でのエネルギー使用の低減に寄与

2)製品ライフサイクルでのCO₂排出を大幅に縮減

 社会

1)脱炭素に積極貢献する製品開発・技術開発を行う

2)ZEBやZEHに塗料で寄与

3)交通システム全体の変革に合わせた最適塗料の開発

4)脱炭素領域での事業拡大

 自社

1)生産・物流に用いるエネルギーを変える

2)使用エネルギーの大幅縮減を図る

3)脱炭素を推進しやすい社内環境・社内制度を整備する

4)脱炭素エネルギー・低炭素エネルギーの調達を行う

②QOL(生命の質・生活の質)の向上:全てのステークホルダー(社会全体、ユーザー、サプライヤー、従業員)のQOLを向上させる

(取り組み)

1)QOL向上につながる製品サービスの提供

2)サプライチェーンに関わる人の健康、安全性、効率性の向上

3)サステナブル製品(主にQOLに寄与するもの)を開発・提供

③資源と経済循環両立の高度化:塗料のライフサイクル全体を見渡し、資源有効利用・サーキュラーエコノミーの高度化を図る

(取り組み)

1)サプライチェーンの全ての過程で資源の有効活用の高度化を図る

2)塗料と塗料が塗られるあらゆるもののリサイクル、リユースを後押しする製品・サービスの普及を図る

3)お客様での塗料使用における廃棄物量を低減する

4)グループ拠点における資源利用の効率化・リサイクル推進を図る

5)サプライチェーン企業と協働し、資源循環の高度化を図る

6)最終製品の資源有効利用に寄与する塗料・製品を開発する

7)原料段階・生産段階・使用段階での資源循環コストを検討する

④多様な人財が活躍するグループへ:あらゆる違い(性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がい・性的指向)を受容し、人財の多様性推進を図る

(取り組み)

1)公平な人財育成と登用の実現

・女性活躍推進を図る

・グローバルの生産拠点における管理人財の育成を図る

・海外の販売拠点におけるローカルマネージャー比率の向上を図る

2)多様な働き方の実現

3)健康・福祉を増進し安全な職場の実現

(4)目標及び指標

 ①脱炭素の実現:2050年、グループ全体でのカーボンニュートラル実現

  ・長期視点に立ち、脱炭素の観点から、使用するエネルギー種別を変えていきます

   (脱化石燃料、再生可能エネルギーや次世代エネルギーの導入等)

  ・中期視点に立ち、事業活動の最適化によって、使用するエネルギーの量を大幅に縮減させます

  ・お客様やサプライヤーとともに、製品ライフサイクル全体でのCO₂排出を減らします

  ・設備投資の機会を捉え、エネルギー使用のあり方を変革します

    ・エネルギー消費量(2030年度目標):20%減(2021年比)

    ・再生可能エネルギー比率(2030年度目標):使用率15%以上

    ・GHG排出量(Scope1&2)(2030年度目標):30%減(2021年比)

②QOL(生命の質・生活の質)の向上:全てのステークホルダー(社会全体、ユーザー、サプライヤー、従業員)のQOLを向上させる

    ・塗料によって社会全体を美しく強靭にすることで、生活者の暮らしの質を向上します

    ・健康や衛生に寄与する塗料を供給し、ユーザーの生命の質を向上します

    ・労働安全衛生や職場環境を整えることにより、ユーザー、サプライヤー、従業員の安全を向上します

    ・気候変動に伴う健康被害(高温被害・衛生悪化等)をなくしていくことに貢献します

    ・サステナビリティ製品の展開(2030年度目標):対象製品比率30%以上

③資源と経済循環両立の高度化:塗料のライフサイクル全体を見渡し、資源有効利用・サーキュラーエコノミーの高度化を図る

    ・原料、生産、使用、そして塗装された最終製品という全ての段階を視野に入れ、社会全体の資源循環の高度化を探求し続けます

    ・資源循環と経済循環の両立という「ブレークスルー」を目指します

    ・塗装された最終製品や、塗料自体のリサイクル性の向上に挑戦します

    ・自社グループでは徹底した資源利用の効率化やリサイクル推進を図ります

    ・水使用量(取水量)(2030年度目標):20%減(2021年比)

    ・廃棄物量(2030年度目標):30%削減(2021年比)

    ・リサイクル容器の使用率(2030年度目標):50%以上

④多様な人財が活躍するグループへ:あらゆる違い(性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がい・性的指向)を受容し、人財の多様性推進を図る

・グローバルでの理念共有や人財育成を図るとともに、運営のローカライゼーションを図ります

・公平な人財育成と登用により、グループ全体の従業員に占める女性比率20%以上、管理職に占める女性比率15%以上(2030年)を目指します

・女性活躍の推進を図り、役員の女性比率25%達成(2030年)を目指します

・多様な働き方の実現を通じて、多様な人財の活躍を促進します

・年齢を超えた技術やノウハウの継承を図り、関西ペイントグループに対するお客様からの信頼を継続します

 なお、詳細につきましては、2023統合報告書(2023年8月頃公表予定)にて開示予定です。グループ各社と達成に向けた戦略の精緻化を進め、連携を強化していきます。

(5)TCFDに対する取組

 当社グループはTCFD提言の11の推奨開示項目を順次開示していく取り組みを進めています。

 気候変動はもはや人類共通の、誰もが逃れることのできない課題です。当社グループでは経営上の最重要課題の一つと捉え、社内における議論、各方面の知見者からのヒアリングを経て、グループ全体で取り組むことを宣言。2021年11月にはその活動の幹となる新しいマテリアリティを公表し、その中で気候変動への取り組みとしての「脱炭素の実現」「資源と経済循環両立の高度化」を掲げています。

 2021年11月にはTCFDへの賛同を表明しました。気候変動への取り組みとともにTCFDに基づく情報開示を進めシナリオ分析、リスク機会の特定と情報公開も進めていきます。これらを進めるにあたり、京都大学との産学連携により、当社を取り巻く市場環境における気候変動の影響、グローバルにおける地域特性などに関する検討を行っています。

 シナリオ分析にあたっては気候変動対応シナリオ(1.5℃)、成り行きシナリオ(4℃)における様々な影響を検討しながら、市場環境の変化を想定します。想定に基づき各事業部におけるリスクと機会の再評価を進めています。

 人的資本に関する開示

(1)戦略

 当社グループの人事ビジョンとして、人財こそが「宝」であり、企業価値の源泉であると考えています。予測不能なこの大変革の時代を勝ち残り、企業として持続可能な成長を遂げるために、多様な人財一人一人が個の力を高め、その力を最大限に発揮できる環境整備を目指していきます。従業員と会社がともに対話を通じて成長できるよう、相互のコミュニケーションを促進し、積極的で主体的な風土を醸成し、創業の精神である「利益追求と社会発展への貢献」を実現していきます。

 中長期的な視点での人財開発戦略として、利益追求と社会発展への貢献という企業価値を実現するため、次の10年を見据えた人財開発戦略を構築していきます。従業員全員が「利益と公正」を体現し、働きがいと働きやすさの両方を実感しながら、最前線で新たな価値を創出し続けられる好循環を生み出します。

 当社の人財開発戦略における3つの重点領域は以下のとおりです。

①変革と成長を促進する人財開発

 変化に柔軟に対応し、新たな価値を創出し続ける人財を育てていくために、従業員一人一人の個の力を高める取り組みを実施しています。以下のとおり、従業員に当社のビジョン実現を担う人財像を示し、挑戦の機会を提供することで、従業員が自ら学び変革を成し遂げられるよう支援しています。

 当社のビジョン実現を担う人財

・当社の真のグローバル化、持続的成長を実現するのは「私たち一人一人」という覚悟

・最前線で新たな価値を創出し続けられるように、社外の動きを踏まえ、社内の常識や前例に囚われない思考

・自身の信念と共に異なる意見にも耳を傾ける柔軟性を持ち、変革につながる対話を生む力

・部署や職位を超えて周囲を巻き込み、挑戦する人を支え、皆で成功をもたらすよう促す姿勢

②多様な個が活躍できる環境づくり

 子育て・治療・介護との両立やLGBTQへの取り組みを通じて、多様なスキル・経験・価値観を持つ人財が活躍できる環境づくりに努めています。一人一人が力を最大限発揮できるよう支援し、それら多様な個の力を結集させることで、組織としての競争力を強化します。

③双方向エンゲージメントによる信頼関係の強化と継続的な改善

 従業員が会社の理念やビジョンに共感し、誇りや働きがいを感じながら働くことができるよう、従業員と会社の信頼関係の一層の強化に取り組んでいきます。実施した様々な施策の効果を定期的に評価することで、現状の課題を分析し、継続的な改善を行い、従業員と会社が互いの中長期的な成長を促進しあう関係性を築きます。

(2)目標及び指標

 当社グループのマテリアリティの一つである「多様な人財が活躍するグループへ」の目標及び指標は、サステナビリティ情報全般に関する開示の(4)④を参照ください。

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