西日本旅客鉄道 【東証プライム:9021】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループは、安全を基盤に、広域でインフラサービスを提供しており、多くのお客様との接点や地域とのつながりを持っております。「私たちの志」のもと、社会の課題に向き合い、つながりを進化させ、事業活動を通じて社会的価値と経済的価値を創出することで、持続可能な社会づくりと企業グループの持続的な発展につなげ、SDGsの達成にも貢献していきます。
当社グループにおけるサステナビリティの取り組みは、本項目に記載しているほか、「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、持続可能な社会づくりへの貢献と企業グループの持続的な発展を目的に、サステナビリティに係るリスクや機会、取り組み等を審議するための体制として、「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、代表取締役社長を委員長として、本社部門を所管する業務執行取締役や、サステナビリティの取り組み推進及び情報開示を所管する関係部門の長等で構成し、原則年2回開催しております。また、その審議内容は取締役会に付議・報告を行っており、社外取締役を含む取締役会において議論を重ねることにより、取り組みの透明性を高めております。
当社グループは、「私たちの志」の実現に向け、「長期ビジョン」を策定し、重点的に向き合う4つの社会課題を設定しました(「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」、「人々が行きかう、いきいきとしたまち」、「一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし」及び「持続可能な社会」)。
当社グループにおける社会的価値の創出は、「私たちの志」の実践と「長期ビジョン」の実現であると認識しており、サステナビリティ委員会は、これらの取り組みの状況や課題について、社外からの評価や目標への到達度等も踏まえて俯瞰的に総合評価し、具体的なPDCAを推進する主体部署等に必要なフィードバックを行うこととしております。
「長期ビジョン」に掲げる社会課題の解決に取り組む上で基盤となる「地球環境」と「価値創造の源泉であるひとづくり」のうち、「気候変動」及び「人的資本」については、次に記載のとおりであります。
なお、サステナビリティ全般に係る取り組みの詳細は、「JR西日本グループ統合レポート2022」(以下、「JR西日本グループ統合レポート」)及び当社ホームページ等で開示しております。
・「JR西日本グループ統合レポート」
(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/csr_report/)
・当社ホームページ(サステナビリティ)
(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/)
(2)気候変動
当社グループは、地球環境保護を重要な経営課題と認識しており、「地球温暖化防止・気候変動対策」、「循環型社会構築への貢献」、「自然との共生(生物多様性、水資源の保護等)」の3つを取り組みの柱とする「JR西日本グループ環境基本方針」を定め、長期的な観点で検討を深め、取り組みを進めております。
(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/env/pdf/20230519.pdf)
なかでも気候変動については、当社グループが事業全体として、多くのCO2を排出しているという事実認識を踏まえ、気候変動への対応を将来にわたっての事業継続のための重要な経営課題であると認識し、気候変動から生じる、さまざまなリスクと機会の把握に努めております。
また当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、気候変動のリスクと機会並びにその分析について、適切な情報開示を進めていきます。
なお、気候変動に関するリスクと機会並びにその分析については、当社グループの基幹事業であり、気候変動の影響をとりわけ強く受けると想定する鉄道事業を対象としております。
①ガバナンス
当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献し、長期にわたり持続的に発展していくため、地球環境保全の取り組みを推進しております。その推進体制として、代表取締役社長を委員長とし、本社部門を所管する業務執行取締役や主な部門長で構成する「地球環境委員会」を設置し、原則年2回以上、地球環境保護のグループとしての基本方針や環境に係る中長期の計画及び目標設定についての審議のほか、計画や目標に向けた具体的な取り組みの進捗状況の監視をしております。
なお、地球環境委員会の審議事項は、必要に応じてサステナビリティ委員会やグループ経営会議、取締役会に付議・報告しております。
<地球環境委員会の構成員及び体制図>
委員長:代表取締役社長
副委員長:代表取締役副社長
委 員:本社部門の執行役員を兼ねる取締役、経営計画、設備投資、財務、ガバナンス、
サステナビリティ、地球環境、BCP、情報開示を所管する部門の長及び各カンパニー長
※取締役会に付議した案件の例:環境長期目標の策定、気候変動関連のリスクと機会の分析、TCFD提言に基づく情報開示の内容等
②戦略
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示すシナリオに照らした気候変動の影響や社会経済シナリオに基づき、気候変動における鉄道事業へのリスクと機会を分析しました。
我が国の電源構成の見直しに伴う再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の金額上昇やカーボンプライシング導入による費用負担の増加、また台風・洪水の発生頻度増加による被害の増加といったリスクを認識しております。一方、鉄道の環境優位性が評価され、MaaS普及等による利便性向上も通じてご利用増加の機会を得ることも分かりました。
具体的な分析内容は「JR西日本グループ統合レポート」45~48ページに記載のとおりであります。(分析は2℃シナリオ(RCP※2.6)、4℃シナリオ(RCP8.5)について行いました。なお、定性的な分析内容は社会が気候変動に積極的な対応を実施する2℃シナリオ(RCP2.6)に基づいております。)
※RCP(Representative Concentration Pathways)…代表濃度経路シナリオ
(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/csr_report/2022/pdf/report2022_14.pdf)
当社グループは、環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」を策定し、その目標として、グループ全体のCO2排出量※を2050年に「実質ゼロ」、その達成に向けた中間目標として、2025年度に35%削減、2030年度に50%削減(いずれも2013年度比)することを掲げております。
※スコープ1及びスコープ2排出量(連結)
目標達成に向け、「長期ビジョン」及び「中期経営計画2025」における地球環境保護の取り組みとして、省エネルギー型鉄道車両の導入等による省エネルギーのさらなる推進、再生可能エネルギー由来電力の導入や次世代バイオディーゼル燃料の実装等再生可能エネルギーの活用の推進に取り組みます。併せて、MaaS等を通じた鉄道・公共交通の利便性向上や都市圏・都市間輸送における鉄道の環境優位性の訴求強化を通じて旅客輸送のモーダルシフトを推進するなど、地域・社会と連携し、社会全体の脱炭素化に取り組んでいきます。
(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/env/pdf/20230519.pdf)
今後、当社グループは、認識したリスクと機会に対して適切な対処を講じることで、社会インフラを担う企業グループとして長期持続的な企業価値向上を図りつつ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
③リスク管理
JR西日本グループでは、気候変動によるリスクと機会並びにその対処について、経営環境の変化や公的機関による各種将来予測の公表、更新といった情報をもとに分析内容の更新を行います。そして、分析内容や、環境長期目標の達成に向けた取り組みの進捗状況を定期的に地球環境委員会で審議・監視しております。
また、地球環境委員会に付議された内容は必要に応じて、サステナビリティ委員会やグループ経営会議、取締役会にも付議・報告し、経営マネジメントにおいて、気候変動に関するリスク等を重要な経営課題として共有し、管理しております。
なお、リスクと機会の分析について、各種将来予測情報の充実度等も考慮し、現在は2℃シナリオ(RCP2.6)及び4℃シナリオ(RCP8.5)に基づき実施しておりますが、今後の社会経済分析等の進捗、将来予測情報のさらなる充実を踏まえ、1.5℃シナリオ(RCP1.9)への対応を含めて分析内容のブラッシュアップを行っていきます。
④指標及び目標
JR西日本グループは、環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」を策定し、その目標として、グループ全体のCO2排出量を2050年に「実質ゼロ」、その達成に向けた中間目標として、2025年度に35%削減、2030年度に50%削減(いずれも2013年度比)とすることを掲げております。
なお、この目標はパリ協定においてめざす、産業革命期からの気温上昇1.5℃未満や同2℃未満の目標達成並びに我が国が掲げるCO2排出削減目標の達成にもつながる水準の目標であると認識しております。
指標とするCO2排出量の直近集計年度(2022年3月期)の実績については、「JR西日本グループ統合レポート」71~72ページに記載しております。
(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/csr_report/2022/pdf/report2022_19.pdf)
なお、2023年3月期の実績については、2023年度に発行するグループ統合レポート等により別途公表いたします。
(3)人的資本
当社グループでは「人財(注1)」をあらゆる価値を生む最大の源泉と考えており、自ら変革し成長する人財こそが「私たちの志」や「長期ビジョン」の実現に向けた原動力になると確信しております。グループ社員一人ひとりの成長を支援し、多様性と働きがいを高めることで変化対応力と変化創出力を備える人財ポートフォリオを構築すること、そして社員一人ひとりが有する力を最大限に発揮し、結集することを通じて、社員と企業が共に成長し、お客様や株主の皆様の期待に応え続ける好循環を生み出していきます。
①戦略
ア.人財ポートフォリオ
「JR西日本グループ中期経営計画2022」(以下、「中期経営計画2022」)では「人財と働きがい」を重要な経営基盤として位置づけ、将来のありたい姿として掲げた「人財育成ビジョン」と「人財育成の基盤」を実現すべく、各事業分野において人財育成に取り組んできました。一方で、この間の当社グループを取り巻く経営環境の変化を踏まえ、「長期ビジョン」や「中期経営計画2025」では、鉄道の活性化に加え、ライフデザイン分野の拡大への挑戦を目標に掲げております。人財戦略においても、これまでの人財育成の取り組みを着実に継続、推進し、モビリティサービス分野を中心とした既存分野における事業の質を確保していく一方、ライフデザイン分野の拡大をめざした取り組みを推進することで、同質性の高い人財で構成されるポートフォリオから、多様性のある人財で構成されるポートフォリオへの転換を図り、持続的に価値創造していく企業グループへの成長に貢献していきます。
イ.多様性のある人財で構成されるポートフォリオの実現に向けて
めざすポートフォリオが実現した際に育成されているであろう「人財」、構築されているであろう「組織」、醸成されているであろう「風土」を以下のとおり定義し、実現に向けた取り組みを推進していきます。
ウ.「人財育成」の取り組み
(ア)考え方
社員一人ひとりが、自身の志向やライフイベントを踏まえた上で、グループ内で理想とするキャリアを思い描き(「自らが志すキャリア」)、その実現に向けて能力開発やキャリアの選択を行うことができる(「挑戦し、成長を実感できる」)環境の整備を推進しております。それにより、社員一人ひとりが自身の望むスキルや経験を蓄積していきます。
(イ)主な施策
エ.「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組み
(ア)考え方
国籍、年齢、障がいの有無、性別や性指向、価値観、働き方、育児や介護の経験等は社員一人ひとりが有する「個性」です。多様な「個性」が重なり合い(「個性を活かし」)、新しい色彩が作り出される(「輝く」)ことでイノベーションが促され、新たな価値を創出するサイクルを生む組織体制の構築を推進しております。それにより、グループ全体がシナジーと、多様な「個性」の掛け合わせにより生み出された強みを発揮していきます。
また、取り組みの最重要課題に「女性活躍推進」を位置づけ、特にリーダー的役割を担う女性比率の向上に取り組んでいきます。
(イ)主な施策
オ.「ワークエンゲージメント」の取り組み
(ア)考え方
人財は「心をもつ資本」であり、社員一人ひとりのパフォーマンスは会社やチームとの関係性によって大きく変化します。社員と会社が共通の価値観として「私たちの志」を共有し、社員一人ひとりが高い心理的安全性や一体感を有する「JR西日本グループ」というチームのもと、理想とするキャリアに繋がる実感を仕事を通じて得ることで、会社や仕事に対して貢献意欲を持ち続ける(「いきいきと働く」)ことができる組織風土や文化の醸成、定着を推進しております。それにより、社員一人ひとりが高いワークエンゲージメントのもと、仕事を通じた成長を志向し、実感していきます。
(イ)主な施策
②指標及び目標
ア.KPI(注5)
(ア)人財育成
(イ)ダイバーシティ&インクルージョン
(ウ)ワークエンゲージメント
イ.KPI等の体系
(注)1 当社グループではグループ社員を重要な経営資源と考え、「人財」と表現しております。
2 知識、経験、技術、能力等を総称して「スキル」と表現しております。
3 全社員を対象に新規事業やプロジェクトを担う人財を募集する制度。
4 当社グループの全社員を対象に、新規事業及び既存事業でのイノベーションの創出をめざすビジネスアイディア公募制度。
5 いずれも提出会社のみの目標。連結目標の設定については、指標含め、今後検討していきます。
6 一部指標については「中期経営計画2025」の非財務目標として、2026年3月期目標を設定しておりま
す。
7 2023年3月期の実績については、2023年度に発行するグループ統合レポート等により、
別途公表いたします。
8 重要ポストを担うことができる候補者の準備率。
9 「全職場に占める、低ストレスかつ高ワークエンゲージメント職場」の割合。
10 KPIの達成に向けた具体的施策の進捗状況を把握する指標。
11 職場や社員個人による健康活動を支援する5ヶ年の行動目標。
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