芙蓉総合リース 【東証プライム:8424】「その他金融業」 へ投稿
企業概要
芙蓉リースグループは、SDGsに代表される社会課題の解決に事業を通じて取り組み、持続可能な社会の構築と企業
としての持続的な成長の両立を実現するCSVの考え方を軸に、サステナビリティの諸課題に対応しています。
(1)ガバナンス
当社グループのサステナビリティやCSVにかかる基本的な考え方を「持続的な価値創造を支える体制にかかる基本方針」に定め、その取組みを推進するため「CSV推進委員会」を設置しています。
同委員会は企画・管理部門統轄役員を委員長とし、主要なコーポレート部門及び各事業ドメインを管掌する営業部門の部長を構成員として、サステナビリティやCSVに関する重要な課題にかかる戦略および指標・目標の策定、推進、モニタリングを行っています。
同委員会の審議・報告内容は経営会議に付議され、グループ全体のサステナビリティおよびCSVに係る方針及び進捗状況は取締役会に年に1回以上の報告を実施しています。
(2)リスク管理
当社グループでは経営上の管理すべきリスクについて、統合リスク管理体制の下で管理を行っております。
サステナビリティにかかるリスクである気候変動リスク、人的リスクについてはそれぞれCSV推進室、人事部がリスク所管部としてモニタリングし、重要なリスクの発生時には速やかにリスク管理統括部である経営企画部に報告を行い、経営企画部はそれぞれのリスク所管部に対してリスクの管理について適宜指示を行っています。
(3)戦略/指標及び目標
①気候変動
a.気候関連シナリオ分析
当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務影響を把握するため、TCFD
(※1)が提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点における外部環境変化を予測し分析を実施しています。分析にあたっては、様々な気候変動関連シナリオに基づく検討とすべく、パリ協定の目標である「2℃より十分に低い」に則した「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つの気候変動シナリオを基に分析を実施しています。
また、当社グループの事業は多岐にわたることから、分析にあたってはまず全社的な影響を特定した後、資産規模の大きい不動産部門、及び事業の特性上、特に気候変動影響が大きいと想定される3事業部門(エネルギー環境、モビリティ、航空機)についてシナリオ分析を実施しました。
※1 気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)
b.気候変動に係るリスクと機会
(主な気候変動リスク)(※2)
全社的な気候変動リスクとして、炭素税の導入によりRE100およびカーボンニュートラル実現を目指す為のコストが増加するリスクが特定されました。ただし、当社グループのCO₂排出量を基に影響額を算定した結果、財務面に与える影響は軽微であると認識しています。その他、特に気候変動影響が大きいと想定されるドメインにおけるリスクは以下の通りです。
項目 | 事業への影響 | ||||
概要 | 時間軸 | シナリオ別影響度 | |||
1.5℃ | 4℃ | ||||
全社 | |||||
移行リスク | 炭素税の導入(政策・法規制) | 炭素税が導入されることで、RE100・カーボンニュートラル実現に向けたコストが増加するリスク | 中期~長期 | 小 | 小 |
不動産 | |||||
移行リスク | 顧客嗜好変化による競争力低下(市場) | 不動産ファイナンス取引等で投資先の物件に環境対応の遅れがあった場合に、収益性や借入人の信用力が低下するリスク | 中期~長期 | 中 | 小 |
物理的リスク | 自然災害の激甚化(急性) | 自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク | 短期~長期 | 小 | 小 |
エネルギー環境 | |||||
移行リスク | エネルギー買取制度(FIT・FIP)等の制度変更(政策・法規制) | 想定し得ない制度変更が発生した場合、売電収入減少・運営コストの増加等のリスク | 短期~長期 | 中 | 中 |
再生可能エネルギー発電事業における事業環境の変化(市場) | 出力抑制による売電収入減少のリスク | 中期~長期 | 中 | 中 | |
物理的リスク | 自然災害の激甚化(急性) | 自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク | 短期~長期 | 中 | 中 |
モビリティ | |||||
移行リスク | CO₂排出量に関する規制の強化(政策・法規制) | CO₂排出量に関する規制強化等によりガソリン車の需要が低下し、従来のディーゼル・ガソリン車のリース需要が減少するリスク | 中期~長期 | 中 | 小~中 |
事業環境の変化(市場) | EV(電気自動車)へのシフトに伴うガソリン車の再販売価格の下落リスク | 中期~長期 | 中 | 小 | |
メンテナンス収益の減少(技術) | EV(電気自動車)へのシフトに伴うメンテナンス関連の売上・収益の減少リスク | 長期 | 中 | 小 | |
航空機 | |||||
移行リスク | 法規制強化に伴う航空機需要の減少(政策・法規制) | CO₂排出量に関する規制強化等により航空機の需要が低下し、リース収益が減少するリスク | 中期~長期 | 小 | 小 |
事業環境の変化(市場) | 低燃費航空機へのシフトに伴い、リース期間終了後の旧型モデル航空機の再販売価格の下落による収益減少リスク | 中期~長期 | 中 | 小 |
時間軸の定義:「短期」:現在~2025年、「中期」:2026~2030年、「長期」:2031年~2050年
影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円 「小」:1億円未満
※2 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。
(気候変動に係る主な機会)(※3)
当社グループでは気候変動問題の解決を通じた社会価値の創造を重要なビジネス機会と位置付け、中期経営計画 「Fuyo Shared Value 2026」 において社会が1.5℃の世界を目指すことを想定し戦略を策定しました。その中でも当社グループが特に積極的に取り組む項目を機会として開示しています。
項目 | 事業への影響 | ||||
概要 | 時間軸 | シナリオ別影響度 | |||
1.5℃ | 4℃ | ||||
エネルギー環境 | |||||
機会 | 再生可能エネルギー需要の増加(製品・サービス、市場) | 国内の再生可能エネルギー事業への取り組み増 | 短期~長期 | 大 | 大 |
海外の再生可能エネルギー事業への取り組み増 | 短期~長期 | 大 | 中 | ||
新技術・新制度等による事業機会(製品・サービス、市場) | 二次エネルギー等の新規ビジネス分野への取り組み増 | 短期~長期 | 大 | 中 | |
モビリティ | |||||
機会 | 電気自動車の需要増加(市場) | ・EVワンストップサービスの推進 ・自動車メーカーやディーラー連携、電力会社、商社等とのアライアンス戦略推進 ・メンテネット構築 ・FCVを他社に先駆け推進 | 短期~長期 | 中 | 中 |
電気自動車関連サービスの需要増加(製品・サービス) | |||||
航空機 | |||||
機会 | 航空機関連の新技術の導入・新たなマーケットの形成(製品・サービス) | ・周辺事業者への出資・協業、シナジーによる既存プロダクトの引合獲得・採算性向上 ・新技術分野(SAF(持続可能な航空燃料)・水素・電動・eVTOL(電動垂直離着陸機)等)へのベンチャー出資、協業等 | 中期~長期 | 中 | 中 |
時間軸の定義:「短期」:現在~2025年、「中期」:2026~2030年、「長期」:2031年~2050年
影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円「小」:1億円未満
※3 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。
(当社グループ事業への影響)
1.5℃/4℃シナリオのいずれにおいても、当社グループの事業に対する気候変動リスクの影響は限定的であり、機会の方が大きいという分析となりました。また、双方のシナリオにおいて連結売上総利益の増加が見込まれるものの、1.5℃シナリオの方がより利益の増加余地が大きいということが分かりました。
c.気候変動にかかる対応/指標と目標
当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会が当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼすことを認識し、当社グループの脱炭素の推進、および事業を通じたお客さま・社会の脱炭素の推進の両面から積極的に対応しています。
当社グループの脱炭素推進の観点からは、2018年に国内の総合リース会社として初めて「RE100」に参加し、消費電力の再エネ化への取り組みを開始するとともに、2021年にはカーボンニュートラルを2030年に達成することを宣言し推進しています。
また、広範な事業領域や顧客基盤を有する当社グループとして、ビジネスを通じてお客さまそして社会全体の脱炭素化に貢献することが重要な課題と考え、「脱炭素社会の実現」をマテリアリティ(重要な取り組み課題)の一つに掲げ、社会が1.5℃の世界を目指すことを想定した事業機会を前提に中期計画「Fuyo Shared Value 2026」の策定を行いました。
再生可能エネルギー発電事業の拡大や、EV・FCVへのファイナンスの強化等を通じてお客様や社会の脱炭素化を推進し、同時に利益の獲得を図ります。これらの戦略の推進にあたっては非財務目標を設定しています。
(リスクにかかる指標と目標:当社グループの脱炭素化)
| 2030年度 目標 | 2024年度 目標 | 2021年度 実績(※5) | |
RE100目標(※4) | 再生可能エネルギー使用率100% | 再生可能エネルギー使用率50% | 再生可能エネルギー使用率44% | |
CO₂排出量(※4) | カーボンニュートラル達成 | 2020年度比 | 2020年度比28%削減 | 排出量 1,455 t-CO2 |
※4 対象はともに芙蓉総合リースおよび連結子会社
※5 実績は2021年度の実績を掲載。2022年度実績は、2023年8月発刊予定の統合報告書をご参照ください。
(機会にかかる指標と目標:お客さま・社会の脱炭素化)
| 2026年度 | 2022年度 |
CO₂の削減貢献 | 50万t-CO₂/年 | 22万t-CO₂ |
脱炭素推進に向けた | 3,000億円 | 564億円 |
再エネ発電容量 (※7) | 1,000MW | 515MW |
保有台数における EV・FCV比率(※8) | 30% | 0.7% |
脱炭素推進ファイナンスの取扱金額(※9) | 120億円 | 53億円 |
※6 対象は、再エネ設備、省エネ設備、電動車(充電設備含む)、水素・アンモニア関連設備、CO₂分離・回収技術(CCUS、DAC)、サーキュラー関連設備、ZEB・グリーンビル、SAF、ベンチャー設備への投資等。
※7 再生可能エネルギー発電事業に対する出資及びプロジェクトファイナンス等が対象(発電容量は持分比率・シェアに応じて算出)。
※8 芙蓉オートリースにおける保有台数。
※9 「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」が対象。
②人的資本
a.基本的考え方
芙蓉リースグループは「人」すなわち社員が当社グループの持続的な価値創造を支える基盤であり最大の財産であると考え、積極的な人材投資を行っています。人材投資の柱は以下の3つです。
・事業領域の多様化、高度化に対応する「戦略的人材育成」
・多様な個性や才能、能力が最大限発揮できる「ダイバーシティ&インクルージョン」
・健康で生き生きと働ける職場環境の整備「健康経営、ワーク・ライフ・バランス」
また、従業員エンゲージメントを定期的に測定し、その向上に努めています。
b.戦略的人材育成
当社グループはCSVを軸に据え、持続的な成長を可能とするために、「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」及び「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律した人材」を求める人材像として、人材育成投資を積極的に増加させています。
「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」の育成のため、スキル構造を3階層に分類し、特に第2階層以降を強化するプログラムを重点的に整備・拡充しています。
第1階層 | リース・ファイナンスに必要な会計・税務・法務などの知識や、コミュニケーション・思考力等の一般的なビジネススキル |
第2階層 | 語学やDX、先鋭的なファイナンス等、全事業領域において必要かつ付加価値創出を底上げするための スキル |
第3階層 | エネルギー、BPO、ヘルスケア等の事業領域ごとの高い付加価値の源泉となる専門的なスキル |
第2階層の事例では、語学分野で若手社員が海外のビジネスパーソンとリモートで共同して課題に取り組む研修を開始しました。DX分野では全社員が基本的知識を学習するeラーニングを受講しています。第3階層の事例では、資格取得奨励金制度や親密企業への出向等を実施し、事業領域ごとの専門性を高めています。
「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律型人材」の育成のため、「社内コーチング資格取得プログラム」をマネジメント層に導入し、自律性を引き出す部下指導の実践に活用しています。また、2022年度からカフェテリアプランを導入し、英会話やビジネススクールへの通学、外部セミナーの受講への費用補助を実施し、社員の自律的な学びを支援しています。
c.ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループでは、人材の多様性こそが成長の原動力であると考えています。異なる強み、視点や価値観を持ち寄るからこそ生まれるイノベーションが新たな価値を生み出し、持続的な成長に繋がります。年齢、性別、国籍、性的指向、性自認、人種、民族、障がい等の有無および採用の形態にかかわらず、一人ひとりが能力を最大限発揮し、専門性を高めていけるよう、誰にとっても働きやすく働きがいのある職場を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。
女性については、その能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。具体的には、女性活躍のすそ野を広げるため、女性総合職のフォローアップ推進を進めています。また、女性のキャリアアップ促進のため、社長・役員や部門長と女性社員との交流会や女性経営者によるキャリア講演会・座談会の開催など、多様なロールモデルに触れる機会を提供し、キャリアアップ意欲向上と風土醸成に取り組んでいます。
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画で定めた女性社員の採用比率や女性管理職比率向上への取組みが評価され、2017年度には「プラチナくるみん認定」、2021年度には「えるぼし」認定の2つ星(3段階のうち2段階目)を厚生労働大臣から取得しました。
加えて、LGBTQや障がい者をテーマとしグループ全社員を対象としたeラーニング研修、部店長や役員・人事担当者向け集合研修等を実施することで、職場におけるダイバーシティ&インクルージョンの理解促進を進めています。その結果、任意団体 work with Pride が策定する、職場における性的マイノリティへの取組みの評価指標「PRIDE指標2022」にエントリーし、「ブロンズ」を受賞しました。
d.健康経営、ワーク・ライフ・バランス
当社グループでは、社員が健康で安全に生き生きと働くことのできる職場環境を整えることが、組織の活性化、社員一人一人の生産性の向上、優秀な人材の獲得・維持につながり、持続的な価値創造を支えると考えています。そのための「健康投資」(健康保持に向けた取り組み)は人材育成と並ぶ「人的資本に対する投資」と捉え、「健康経営」を推進しています。
「社員の疾病の予防・早期発見」を重点課題と考え、自己負担なしでの人間ドック受診可能年齢を40歳以上から35歳以上に引き下げ、全員受診必須としました。2022年度は全員が受診しています。さらに、女性の健康課題に対する取り組みを開始し、まず全社員を対象に、女性の健康課題への理解を深めることを目的とするオンラインセミナーを開始しました。2023年度からは全女性社員を対象に女性医師による個別相談会を毎月3回開催します。
こうした取り組みもあり、前年に続き「健康優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されています。
また、全ての社員が自律的にワーク・ライフ・バランスの実現に取り組み、ワークとライフ双方のクオリティ(健康の維持・増進、知識・見聞の拡大、自己啓発など)を高めることのできる「働きやすい職場作り」を進めています。
具体的な制度として、「リフレッシュデー(毎週1回各人で設定する早帰り日)」「選択型時差出勤制度(通常の勤務時間以外に始業・終業時刻を柔軟に選択できる制度)」を設定し、長時間労働の是正及び育児や介護などの事由によらず自らの生活スタイルに応じて働くことのできる環境を整備しています。また「+Friday(プラスフライデー)」(毎月1回、いずれかの金曜日を選択して半日勤務とする制度)等の独自の施策も導入、その取得も推進しています。
e.従業員エンゲージメント
当社グループでは、「社員一人ひとりが、会社の成長と自身の成長を結び付け、お互いが成長することに対して貢献する関係」を「エンゲージメント」と定義し、従業員意識調査にてエンゲージメント指数を計測し、その指数動向を把握しています。
f.指標と目標
|
| 2026年度目標 | 2022年度実績 |
戦略的人材育成 | 人材育成関連費用(単体) | 300% 2021年度対比 | 188% 2021年度対比 |
ダイバーシティ& インクルージョン | 新卒採用女性比率(単体) | 40% | 53.5% |
女性管理職比率(単体) | 35% | 30.9% | |
男性育児休暇取得率(単体)(※10) | 100% | 100% | |
健康経営、ワーク・ ライフ・バランス | 35歳以上人間ドック受診率(単体) | 100% | 100% |
有給休暇取得率(単体) | 90% | 93.5% | |
プラスフライデー取得率(単体) | 定量目標は設定せず | 89% | |
エンゲージメント指標向上率(連結) (※11) | 定量目標は設定せず | 3.48 |
※10 育休取得率は、当該年度の育休対象社員(年度内に子どもが生まれた人数)に対して当該年度に育休を取得した社員数の割合で算出。
※11 従業員意識調査における社員エンゲージメントにかかる8設問の平均値を計測。
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