第一生命ホールディングス 【東証プライム:8750】「保険業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において、当社及び当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
<サステナビリティ共通>
当社グループが追求する将来世代を含むすべての人々のwell-being(幸せ)は、持続的社会があってこそ実現するものと考えております。当社グループでは、その持続的社会の実現を事業運営の大前提と位置付け、気候変動への対応のほか、あらゆる人々の人権や多様性の尊重といった重要なサステナビリティ課題の解決に向けて取り組んでおります。
(1) ガバナンス
当社グループでは、持続的社会の実現に向けた取組みを力強く推し進めるために、「グループサステナビリティ推進委員会」を中心としたサステナビリティ推進体制を構築しております。また、2022年7月より、当社役員報酬の業績連動型株式報酬の一部に、CO2排出量削減進捗に関する指標を含むサステナビリティ指標を導入しております。
サステナビリティ推進体制(2023年4月時点)
グループサステナビリティ推進委員会では、グループ方針・戦略や対外コミットメントを含む効果的な情報発信の検討、グループ各社における取組遂行状況のモニタリングなどについて、グループ横断的かつ超長期的な視点で議論しております。委員会にて議論された内容は経営会議・取締役会に報告・提言を行っております。
さらに、2023年4月からは、“Chief Sustainability Officer”を新設し、脱炭素社会への貢献に向けた推進体制を強化しております。
2023年3月期の主な議論
テーマ | 内容 |
4つの体験価値の創出に向けた取組みの深化 | ・社会課題解決視点での4つの体験価値創出 |
グローバル視点での社会の持続性確保に向けた取組みの追求 | ・保険ビジネスとサステナ推進取組み ・気候変動問題・自然資本領域に関する対応 ・D&Iをはじめとする人財戦略の推進 ・人権デュー・ディリジェンス取組み ・外部ESG評価の振返り・今後の対応 |
(2) 戦略
当社グループでは、外部環境やSDGsなどのグローバルなイニシアティブを踏まえ、事業を通じた社会課題の解決と地域・社会の持続性確保に向けて重点的に取り組むべき14の重要課題を選定しております。これらの領域について、当社グループの事業に及ぼす中長期のリスク・機会を把握し、中期経営計画「Re-connect 2023」の事業戦略に反映しております。
なかでも地域・社会の持続性確保に関する取組みについて、地球、ひと、社会の3つの観点で100年後の持続的社会の実現に向けた目標を設定し、取組みを進めております。
(3) リスク管理
当社グループでは、経営に重要な影響を及ぼす可能性のある予見可能なリスクを「重要なリスク」として特定し、そのリスクを踏まえた事業計画の策定を推進することで、予兆段階から適切に対処するリスク管理を実施しております。グループの重要なリスクの特定にあたっては、グループ会社における重要なリスクの洗出し結果をもとに、各リスクの影響度・発生可能性を4段階で評価し、ヒートマップを用いて、重要度の高いリスクを「重要なリスク」としてリスク管理統括ユニットにて特定し、毎年度見直す運営としております。サステナビリティに関連するリスクとして気候変動に関するリスクや人権侵害に関するリスクなどを「重要なリスク」として特定して、リスク管理を強化しております。
(4) 指標及び目標
持続的社会の実現に向けた中長期の目標を定め、グループを挙げた取組みを着実に進めております。気候変動や人的資本に関する取組みについては定量的な目標を定めてその進捗を管理しております。具体的な目標については<気候変動に関する取組み>の「(2) 戦略」「(3) 指標及び目標」や、<人的資本・多様性に関する取組み>の「(2) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績」をご参照ください。
<気候変動に関する取組み>
当社グループが追求する「将来にわたるすべての人々の幸せ」の大前提となる、100年後を見据えた持続的社会の実現に向けて、気候変動への対応は重要な課題の一つであります。当社グループは事業会社として、そして機関投資家として、ネットゼロを実現するための目標を掲げ、気候変動への取組みを継続的に強化してまいります。また、世界の金融機関の脱炭素取組みを推進する連合体であるGFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)においてプリンシパルズ・グループの一員を第一生命が務めるなど、世界の脱炭素化を実現していくため、リーダーシップの発揮に努めております。
なお、具体的な取組みの詳細については、2022年8月発行の統合報告書2022や、2023年8月発行予定の統合報告書2023をご参照ください。
(1) ガバナンス/リスク管理
2016年のパリ協定発効により、環境問題、とりわけ気候変動への対応は国際社会全体で取り組む課題であるとの認識が高まっており、当社グループにおいても、気候変動への対応はお客さまの生命や健康、企業活動、社会の持続可能性などに大きな影響を与えうる重要な経営課題と認識し、2020年3月期以降、気候変動に関するリスクを「重要なリスク」の一つとして選定し、リスク管理を強化しております。具体的には、リスク管理担当の役員が委員長を務める「グループERM委員会」のなかで、物理的リスク・移行リスクの評価・対応方法について議論を行い、必要に応じて、経営会議・取締役会にも報告しております。グループガバナンス態勢の強化の一つとして、「グループサステナビリティ推進委員会」では、気候変動への対応をはじめとするサステナビリティに関わる方針・戦略の立案や取組遂行状況のモニタリングなどを実施しております。
気候変動対応に関するガバナンス/リスク管理体制(2023年4月時点)
(2) 戦略
①気候変動関連のリスク・機会、当社グループ事業への影響
当社グループとして、気候変動によって中長期的にもたらされる影響を、複数のシナリオを用いて分析した結果に基づき、事業会社・機関投資家としてのコントロール策・事業としてのレジリエンス(強靭性)を高める取組みを推進しております。
②シナリオ分析
当社グループでは気候変動が生命保険事業に与える影響として、保険金・給付金支払いに関するリスク把握の取組みを進めております。
2021年3月期より、気温と第一生命の保険金・給付金の関係を、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー社と共同で分析してまいりました。
これまでに第一生命の死亡保険金支払実績をもとに、夏季の気温上昇による健康被害の増大に着目した分析を実施し、全国の最高気温と死亡発生の関係性を推定しました。そこに将来の気候シナリオを仮定したうえで保険金支払増加額の試算を行い、2022年8月発行の統合報告書2022で結果を開示いたしました。
また、気候シナリオをSSP5-8.5※へアップデートするとともに、グループ内の国内生命保険会社3社(第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命)における死亡保険金支払増加額・収支への影響も分析いたしました。加えて、夏季の気温上昇による入院への影響分析を実施しております。
※ IPCC第6次報告書では、将来の社会経済の発展の傾向を仮定した共有社会経済経路(SSP)シナリオと放射強制力を組合せたシナリオが使用されております。これらはSSPx-yと表記され、xは5種のSSP、yはRCPシナリオと同様に2100年頃のおおよその放射強制力を表しております。SSP5-8.5は化石燃料依存型の発展のもとで気候政策を導入しない高位参照シナリオであります。(「IPCCの概要や報告書で使用される表現などについて」(環境省、2021年8月9日公表)に記載されている説明文書の一部を抜粋のうえ、当社で加工)
③気候変動リスク・インパクトの認識のさらなる高度化に向けた分析
当社グループでは、気候変動問題の解決に向けて気候変動リスク・インパクトの認識の高度化を進めております。保険監督者国際機構(IAIS)が2021年9月に公表した『気候変動が保険会社の投資に及ぼす定量的影響に関する報告書』の中で、保険セクター全体における気候変動により想定される投資損失は、保有資本により概ね吸収可能と評価されておりますが、当社グループにおいても、同報告書の分析を参考に資本充足率(経済価値ベース)に与える影響を試算し、保有資本で吸収可能な水準であることを確認しております。加えて、MSCI社の気候バリューアットリスク(CVaR:Climate Value-at-Risk)という手法で、財務影響を移行リスク、物理的リスクに分けて分析し、結果を統合報告書2022で公表しております。
(3) 指標及び目標
①事業会社としての取組み
当社グループでは、スコープ1及びスコープ2のCO2排出量について、パリ協定での目標を見据え、2026年3月期までに50%削減(2020年3月期比)、2041年3月期までにネットゼロという目標を設定しております。加えて、グループ中核会社の第一生命では、全社員が一体となった取組みを推進するため、「事業や社員の行動変容につながる視点で重視すべき項目」を対象にスコープ3のCO2排出量を、2031年3月期までに30%削減(2020年3月期比)、2051年3月期までにネットゼロという目標を設定しております。
なお当社グループの2022年3月期のスコープ1及びスコープ2のCO2排出量は98,900t、第一生命の2022年3月期のスコープ3のCO2排出量は46,600tとなります。2023年3月期のCO2排出量は2023年8月発行予定の統合報告書2023をご参照ください。
②機関投資家としての取組み
第一生命では、気候変動問題の解決を責任投資における最重要課題と位置付け、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでおります。2021年2月には国内で初めて、NZAOA(Net-Zero Asset Owner Alliance)に加盟し、2050年までに運用ポートフォリオのネットゼロを実現することにコミットいたしました。また、NZAOAプロトコル(目標設定ガイドライン)に従い、上場株式・社債・不動産ポートフォリオにおける温室効果ガス(GHG)排出量を2025年までに25%削減(2020年比)する目標を設定しております。なお、第一生命の2021年の上場株式・社債・不動産ポートフォリオにおけるGHG排出量は約493万(tCO2e)となります。2022年の温室効果ガス排出量は2023年8月発行予定の統合報告書2023をご参照ください。
また、脱炭素社会の実現に向けた機関投資家としての取組みは当社グループ各社にも広がっており、2022年5月には、第一フロンティア生命が、運用ポートフォリオのGHG排出量削減にかかる2025年目標を設定いたしました。
第一生命は、国内株式、外国株式、国内社債、外国社債のポートフォリオに関して、投融資先企業の気候関連リスク・機会を評価するために、TCFD提言が開示を推奨している総炭素排出量と加重平均カーボンインテンシティ(WACI:Weighted Average Carbon Intensity)の分析を行っております(2023年3月期の結果は2023年8月発行予定の統合報告書2023をご参照ください)。これまでも、炭素税導入や座礁資産化などの移行リスクを投融資先企業の評価基準に組み込むなど、ポートフォリオのレジリエンス強化に向けた取組みを行っておりますが、さらなるリスク管理態勢の強化に向けて、前項に記載した気候バリューアットリスク(CVaR)を含めた、移行リスク・物理的リスク・機会などの気候関連リスク・機会の分析高度化に取り組んでいく予定であります。
これに加えて、第一生命では、気候変動を含む社会課題の解決に向けた投融資を拡大しています。同投融資の累計は、2022年3月期末時点で約1.3兆円に到達しておりますが、さらなる社会へのポジティブ・インパクト創出に向けて、2025年3月期末までに同投融資を2兆円以上に拡大してまいります。なかでも、同社の責任投資における最重要テーマである気候変動問題への対応強化として、気候変動問題の解決に資する投融資を2025年3月期末までに1兆円以上に拡大してまいります。なお、2023年3月期末の実績は2023年8月発行予定の統合報告書2023をご参照ください。
<人的資本・多様性に関する取組み>
(1) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
①人財育成方針
当社グループは、お客さま本位の姿勢と革新的なサービス提供をもとにグローバルな保険グループへの進化を目指しております。多様なお客さまニーズにお応えするため、4つの領域(保障、資産形成・承継、健康・医療、つながり・絆)で価値を提供するサービス業への進化を目指しており、そのためには、多様な人財の活躍が必要不可欠と考えております。また、成長著しいアジア市場や競争の激しい先進国市場への対応など、グローバル市場での更なる成長を成し遂げるため、グループ各社の独自性を理解・尊重すると同時に、性別、年齢、経歴、国籍等に関係なく、価値創造に貢献できる人財の育成、環境づくりを目指しております。
多様化するお客さまニーズへの対応
お客さまニーズが多様化する時代において、保険領域を超えたお客さま体験価値(=CX)の創出に向け、ビジネスモデル変革を推進する人財育成を推進いたします。
グローバル人財育成
グローバルビジネスの拡大に向け、海外グループ各社の経営課題への対応や、成長戦略の遂行並びにガバナンス体制強化を目的としたグローバル人財育成を推進いたします。
ダイバーシティ&インクルージョン
経営層やリーダー層の多様性を組織の変革を生む力に変えていくためにダイバーシティ&インクルージョン推進の重要取組みの一つとして、女性の活躍推進に力を入れております。
②社内環境整備方針
一生涯のパートナー ~By your side, for life~をミッションとして、人々の安心で豊かな暮らしと地域社会の発展に貢献するため、多様な人財が成長し、グループの価値創造に積極的に貢献できる環境づくりを進めております。従業員が自身のキャリアを自律的に考え、自ら将来に向けたキャリアを構築するためのサポートを提供するとともに、多様な人財が活躍する職場環境・風土づくりを実現いたします。また、社員のwell-being実現に向けて、全社員が働きがいを持ち、イキイキと働くことができる風土づくりに向けた取組みを推進いたします。
社員が自身のキャリアを自律的に考え、自らキャリアを切り拓くための制度を推進しており、当社グループ内に留まらずグループ外企業の職務を含め、保険の枠組みを超えた多様なフィールドで活躍できる環境を拡充しております。
社員自身が働く場所と時間を自由に選択し、より柔軟な働き方ができる職場環境を目指して、テレワークやフレックスタイム制度の活用・コアタイムの撤廃など、組織・個人の付加価値向上や生産性向上につながる取組みを推進しております。
当社グループは、社員、お客さま、地域・社会の健康増進に寄与する「健康経営®」を推進しております。「健康経営®」の担い手である社員一人ひとりが健康でイキイキ働くことができるよう、「疾病予防」「重症化予防」「メンタルヘルス対策」の3つを柱とした各種健康増進施策ならびに両立支援策に取り組んでおります。
(2) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
指標 | 実績 | 目標 |
事業戦略に伴う人財シフト等(注)1 | 1,211名 | 3,300名 |
次世代グローバル経営リーダー候補(注)2 | 286名 | 300名 |
女性組織長比率(注)3 | 18.5% | 30.0% |
Myキャリア制度における公募職数(注)4 | 301ポジション | - |
(注) 1 実績は2023年4月、目標は2027年4月であります。
2 実績は2023年3月期末、目標は2024年4月であります。
3 実績は2023年4月、目標は2024年4月であります。
4 実績は2023年3月期であります。
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