窪田製薬ホールディングス 【東証グロース:4596】「医薬品」 へ投稿
企業概要
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
なお、リスク要因における将来の見通しに関する記述は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(特に重要なリスク)
(1) 研究開発に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、眼科領域向けの医薬品、医療機器の研究開発を行うスペシャリティ・ファーマです。医薬品は所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市(販売)が可能となります。また、医療機器についても、申請するカテゴリーに応じて所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する審査により承認されてはじめて販売が可能となります。
研究開発のプロセスにおいて、医薬候補物質や医療機器の有効性や安全性が、所轄官庁の定める承認に必要な要件を充たさないことが判明した場合、またはその懸念があると審査当局が判断した場合、これらの医薬候補物質や医療機器の研究開発を中止、或いは追加の臨床試験、非臨床試験を実施せざるを得ず、その結果、それまでに投じた研究開発費を回収できなくなるリスク、製品の上市が遅れるリスク、開発候補品の減少により企業価値の源泉であるパイプライン価値が棄損するリスク、及び事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、自社の研究開発機能の向上に加え、製薬企業、バイオテクノロジー企業、医療機器メーカーまたは大学等の社外パートナーとの提携により、研究開発パイプラインの拡充に努めています。
経営資源の制約により研究開発パイプラインのプロジェクトの数には限りがありますが、近年はパイプライン戦略の見直しを行い、早期段階の低分子化合物や遺伝子治療の研究開発の優先順位を下げると同時に、医療機器の研究開発プロジェクトを加えることにより、研究開発パイプラインの多様化を図っています。更に、研究開発後期ステージのプロジェクトの比率を高めることで、研究開発リスクの低減も図っています。
(2) 副作用(製造物責任)に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが実施する臨床試験においては、当初は予期していなかった副作用が確認されることがあります。この副作用が被検者の人体に与える影響の度合いによっては、当社グループが実施する臨床試験が中止、或いは開発計画の見直しが必要となる可能性があります。
また、このような場合において、当社グループは製造物責任を負うとともに、金銭的、法的及び社会的信頼に関する損害を負う可能性があります。
なお、当社グループが開発した製品の上市後に副作用が確認された場合には、添付文書の「使用上の注意」へ記載を行う、使用する対象患者を制限する、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、重篤なケースが認められた場合には、販売中止・回収等を余儀なくされる可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、臨床試験において安全性情報を常にモニターし、被検者に副作用のリスクが確認された場合には直ちに投薬を中止、または投与量を低減することで、副作用に関するリスクの回避と受けうる影響の低減に努めています。
また、臨床試験に参加する被験者に対しては、事前に附随するリスクについて十分に説明を行うとともに、必ず書面にて同意を得るよう徹底しています。加えて、当社グループは年間総額10百万米ドルまで補償する生産物賠償責任保険に加入しています。なお、今後、当社グループの開発品が上市された場合、その製品を含めるよう被保険対象を拡大していく予定です。
(3) 知的財産権に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの企業価値は、当社グループが保有する特許及び営業秘密を含む独自の知的財産権に依存しています。しかしながら、当社グループが出願した特許権が取得に至らない、または特許の範囲が当初の見込みよりも狭くなった場合、或いは当社グループが保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。
また、当社グループの製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には、製造販売の差し止めや損害賠償等を請求される可能性があるほか、多額の訴訟費用が発生する可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、知的財産権に関する豊富な知識、経験を有する外部専門家も活用し、特許権を含む知的財産権を厳しく管理しております。具体的には、当社グループが事業を行う市場における知的財産権や第三者からの侵害状況を継続的にモニタリングするとともに、これらを評価、分析することで、知的財産権に関するリスクの回避と受けうる影響の低減を図っています。
(4) 研究開発資金の調達に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
一般的に医薬品・医療機器の研究開発には多額の資金を必要とします。当社グループは、主に2014年の株式上場等で調達した資金を活用して研究開発を行っていますが、開発品の上市やパートナー企業との業務提携契約締結に遅れが生じる、または有価証券の発行等による資金調達が困難となり、研究開発に必要な資金を調達できない場合は、パイプラインを縮小(開発品数の削減)しなければならず、その結果、将来の期待収益が失われる(企業価値が低下する)可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、手持ちの現預金残高等をベースに、今後3年から4年程度の期間において、毎年使用できる現金の上限に関してガイダンスを定めることで、事業及び研究開発の継続性を担保しています。このガイダンスで使用が許容される現金の範囲内で、パイプラインバリュー(企業価値)を最大化するために、常にポートフォリオの見直しを行っています。具体的には、リスクの高い早期段階の研究プロジェクトの優先順位を下げ、より成功確率の高い開発後期ステージの開発品に経営資源を集中しています。また、近年は医薬品に比べて相対的に開発リスク、開発コストが低く、また開発期間の短い医療機器の研究開発に注力しています。
(重要なリスク)
(5) 製造に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、医薬品、医療機器の製造施設を有していません。このため、当社グループが現在臨床試験で使用している医薬品及び開発中の医療機器は、社外のパートナー企業に製造を委託しています。また、当社グループの開発品が上市された場合は、かかる製品の製造については社外のパートナー企業に委託する方針です。
従って、製造委託先の選定に時間を要した場合には開発計画や製品の発売時期が遅延する可能性があります。また、製造委託先の製造施設や物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、原材料不足、地震、火災その他の災害や感染症等により、製品の供給に支障が出る可能性があります。その結果、当社グループの業績、財務状況及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、これまで培ってきた経験・ノウハウやグローバルなネットワークを活かし、臨床試験で使用する医薬品の製造委託先や、医療機器の開発委託先の選定を行っています。
今後上市する製品の製造・供給については、自社若しくは社外のパートナー企業と協業により、適切な時期に製造委託先の選定を含む製品供給ネットワークと品質保証体制を構築する方針です。これには、高品質の製品を安定的に供給するための戦略の策定、代替製造委託先の選定、危機管理体制の構築、製造委託先の管理体制の構築等が含まれます。
(6) 商業化に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、現在開発中の製品が製造販売承認を取得し、販売が可能となった場合には、新たに販売及びマーケティング体制を構築する必要があります。しかしながら、販売及びマーケティング体制の構築に想定以上に時間を要するまたは構築ができない場合は、製品の発売遅延等により当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループはベンチャー企業であるが故に、活用できる経営資源には自ずと限りがあります。従いまして、自社単独で販売及びマーケティング体制を構築することが困難な場合には、その分野で経験・ノウハウを有する社外のパートナー企業と提携することにより、早期の市場浸透を図る方針です。
(7) 業績等に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは当期損失が先行して発生する研究開発型のベンチャー企業です。2023年12月期においては1,490百万円の当期損失を計上し、2023年12月31日現在の累積損失(利益剰余金のマイナス)は25,670百万円となっております。当社グループは、今後数年間はパイプラインの開発を継続するため当期損失を計上するものと見込んでおり、また、開発の進捗状況やポートフォリオへの見直し次第では、当期損失を計上する期間が更に長くなる可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、開発品の早期の収益化を図るためポートフォリオの見直しを行い、医薬品、医療機器共に開発後期ステージの開発品に経営資源を優先的に投入しています。また、当社グループの研究開発費を抑制するため、パートナー企業との共同開発等の業務提携も積極的に進める方針です。
(8) 人材の獲得・育成に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは少数精鋭でグローバルに組織を運営しているため、そのパフォーマンスは経営陣、各部門の責任者や構成員等に依存しています。しかしながら、これらの人材の獲得競争は激しく、当社グループは当社グループが必要とする有能な人材を維持、または採用することができない可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合、事業計画を遂行することが困難となり、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
優秀な人材を維持、獲得するためには、競争力ある報酬パッケージを提示することが極めて重要となります。そのため、当社グループは人事専門のコンサルタントが作成する競合他社分析を参照し、毎年報酬パッケージの見直しを行っています。しかしながら、当社グループはベンチャー企業であるため、大手企業に比べて許容しうる現金報酬には限りがあります。そのため、当社グループは現金支出を伴わないストックオプションを報酬パッケージにおける重要なインセンティブ施策として位置付けています。
(その他のリスク)
(9) 為替変動に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、主として米国子会社において研究開発を行っているため、研究開発費をはじめとする事業費用の大半を米国子会社が占めています。また、当社グループが保有する現預金等の資金につきましては、当連結会計年度末現在の残高の一部を米国子会社が米ドル建てで保有しております。このような状況において、当社グループの連結財務諸表は円建てで作成されるため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの連結業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、為替相場の変動が連結業績や財政状況に与える影響を常にモニターしております。必要と判断される場合は適宜為替ヘッジ等を活用し、外貨建取引に係る取引リスクをヘッジする方針です。
(10)無配継続に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
「(7) 業績等に関するリスク」に記載のとおり、当社グループは2023年12月31日現在で約257億円の累積損失を計上しており、今後も研究開発への先行投資により当期損失を計上する見込みです。従って、当社は当面の間、現金配当を行う予定はありません。
[リスクへの対応策]
当社グループは、前述のとおり当面の間現金配当を行う予定はありませんが、パイプライン価値(=企業価値)の向上を通じてステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えています。それを実現するために、引き続きパイプラインの研究開発を進めてまいります。
(11)株式価値の希薄化に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、優秀な人材確保のためのインセンティブプランとしてストックオプション制度を採用し、当社及び当社子会社の取締役、従業員及びコンサルタントに対して新株予約権を付与しており、今後も付与する方針です。ストックオプションとして発行済みの新株予約権の目的となる株式数(以下、潜在株式数)の合計は、当連結会計年度末現在において3,018,600株(発行済株式数及び潜在株式数の合計の5.11%。但し、退職により失効したものを除く)であり、これらの新株予約権が行使された場合や将来付与する新株予約権が権利行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、当社グループは、研究開発費や運転資金等を確保することを目的として、株式や新株予約権等の有価証券を発行する可能性があります。これらの株式を発行した場合や発行した新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、株式価値の希薄化を伴う有価証券の発行を行う場合は、それらから期待される将来の株式価値の向上が、希薄化による株式価値の減少を下回ることがないよう、独立した社外取締役を含む取締役会において慎重に検討する方針です。
(12)コンピューターシステムの故障・セキュリティに関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは社外の専門業者を活用しITシステムを管理していますが、当社グループの従業員、アウトソーシング企業の不注意または故意、あるいは悪意を持った第三者による攻撃(サイバーアタック)により、システム障害や情報漏洩等のセキュリティ上の問題が生じる可能性があります。このようなリスクが生じた場合、当社グループの事業活動への悪影響、知的財産等の重要な機密情報の流出や喪失、業績及び財務状況の悪化、法的な存在並びに信用失墜等を招く可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、システム障害の発生や情報漏洩等のリスクを低減するため、情報セキュリティポリシーを策定し、機密情報管理の徹底を図っています。また、社外のIT専門業を活用することにより、ITシステムのセキュリティ対策アップデートを随時行っています。
(13)世界情勢不安定化に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が抑えられてきたことによる経済の持ち直しが期待されておりましたが、いまだ予断を許さない状況が継続していることに加え、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー問題等による原材料や輸送コストの高騰、急激な為替変動等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの事業に対するウクライナ情勢の長期化によるエネルギー問題等による原材料や輸送コストの高騰、急激な為替変動等の影響は、現時点(有価証券報告書提出日現在)においては軽微でありますが、今後その影響が長期化または深刻化した場合には、臨床試験や医療機器開発の遅延、商業化の遅延等、これらに限定されず、当社事業に影響が及ぶ可能性があり、情勢次第では当社グループの連結業績及び財政状態に長期にわたり影響を与える可能性があります。
(本社機能移転取引について)
1. 国税局の対応について
第2期連結会計年度に実施した本社機能移転取引は、日本の税制目的における適格合併として扱われるため、日本の居住者である株主に対して重大な納税義務を生じさせるものではないと当社は考えております。しかしながら、国税局がかかる見解に異議を唱えた場合、本社機能移転取引の結果として、高額な日本の所得税または法人税が日本の株主に課される可能性があります。
2. 二重課税の可能性について
本社機能移転取引後、当社は、米国法人と日本法人の双方として扱われ、米国と日本の課税の対象となりました。租税の目的における当社の二重ステータスは、重大な追加的法人税を生じることはないと当社は考えておりますが、税務当局が異議を唱えた場合、当社グループは多大な追加的法人税が課される可能性があります。
3. 将来の組織再編について
当社が買収される場合、取得者は、当社の二重ステータスを承継しなければならないため、当社が取得対象となる可能性が減少し、または取得における当社の評価額が低下する可能性があります。
当社によりクボタビジョン・インクが売却される場合、取得者は、当社の二重ステータスを承継する必要はありません。しかしながら、かかる場合、当社はクボタビジョン・インクの売却益に対する米国及び日本の双方の課税の対象となる可能性があり、当社の株主もさらにかかる売却益の分配について課税の対象となる可能性があります。
4. 配当に対する二重課税について
当社普通株式に関し、米国の居住者である株主に対して支払われる配当の総額は、一般的に米国連邦法人税の目的で、受取配当金として総所得に含まれます。かかる配当は一般的に日本の源泉徴収税の対象にもなります。当社は日本で設立された株式会社であるものの、米国の連邦法人税の目的上は米国会社として扱われるため、かかる配当は、米国の外国税額控除制度における国外源泉所得と認められません。したがって、米国の居住者である株主は、その他の国外源泉所得を十分に有しない限り、当社から受領した配当に対する日本の源泉徴収税に関し、外国税額控除を主張することができません。
また当社普通株式に関し、日本の居住者である株主に対して支払われる配当の総額は、日本の租税の目的上、(法人株主に対する一部の例外を除き)一般的に課税の対象となります。かかる配当は一般的に米国の源泉徴収税の対象にもなります。日本の外国税額控除制度においては、租税条約に基づく締約国により徴収されることが認められる外国税額のみが原則的に控除されるため、米国の源泉徴収税は、日本の課税を相殺するために控除される税金として認められない可能性があります。さらに、仮に米国の源泉徴収税が控除される税金として認められたとしても、当社は日本の会社であるため、支払われた配当は日本の税控除の目的上国外源泉所得と認められず、米国の源泉徴収税は控除されない可能性があります。
米国または日本の株主以外の当社の普通株式の保有者は、通常米国と日本の双方の源泉徴収税の対象となります。
当社が配当の支払いを決定した場合、配当に対する二重課税を避けるための手段を講じる可能性がありますが、特定の当社の普通株式の保有者に関する二重課税が回避できるという保証はありません。
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