企業兼大株主稲畑産業東証プライム:8098】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1)ガバナンス

 当社グループでは、2021年10月、サステナビリティ課題について全社的に取組をより推進するため、代表取締役社長が委員長、サステナビリティ担当役員が副委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しました。同委員会は、4つのセグメントをそれぞれ担当する取締役2名及び執行役員1名と主な管理部門長6名が委員を務めています。また、オブザーバーとして社外取締役7名、非業務執行の取締役1名、監査等特命役員1名も参加し、公平かつ有効な議論の場であるよう監視し、必要に応じて進言しています。

 同委員会は最低年1回開催(必要に応じて臨時開催)することを原則とし、当社グループのサステナビリティに関する方針及び施策の策定・承認・モニタリングを実施しています。

 取締役会においては、取締役会規程にてサステナビリティを巡る諸課題(気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など)への取組状況を、最低限年1回、担当取締役から取締役会へ報告することが定められています。加えて、四半期ごとに業務執行報告書を通じて、サステナビリティに関する取組状況を取締役会に報告しており、サステナビリティ委員会で審議・検討された内容も上記プロセスの中で報告・上申が行われています。

 また、当社ではサステナビリティへの対応は当社の重要な経営課題と認識していることから取締役の業績連動報酬の指標として「複数の外部評価機関(FTSE Russell及びMSCI)によるESGスコア」を設定して、取締役会のサステナビリティ課題への実効性を高めております。

 取締役会及びサステナビリティ委員会で決議された事項は、事務局であるサステナビリティ推進部が実行・運営し、グループ全体のサステナビリティ活動を推進しています。また、サステナビリティ推進部では同委員会の有効な議論のために、各営業本部員及び主な管理部門員をメンバーとするサステナビリティ推進委員とともに、全社のサステナビリティに関連する情報を取りまとめ、提供しています。

※役職固定報酬をベースに税金等調整前当期純利益(一部の政策保有株式の売却益を除く。)、資本収益性(ROICとROE)、株価、複数の外部評価機関(FTSE Russell及びMSCI)によるESGスコアの各水準に応じた係数を掛けて業績連動報酬を計算しております。

(2)戦略

 当社グループでは、経営理念「『愛』『敬』の精神に基づき、人を尊重し、社会の発展に貢献する」を掲げ、信頼を礎とする人間尊重の経営を続けてまいりました。「人、そして社会を大切にしたい」という当社グループの想いは、国際社会が目指す「持続可能な社会の実現」にも貢献するものと考えます。2021年11月、社会の要請に応えサステナビリティの取組をより強化していくため、人間尊重の経営理念を基本としながら環境・社会の課題や国際的な潮流を踏まえて、新たに「サステナビリティ基本方針」と9つの項目から構成される「サステナビリティ行動指針」を策定しました。

 また、2022年6月には、地球や社会の様々な課題の解決と持続的な企業価値の向上に向けて、6つのマテリアリティ(優先的に取り組むべき重要課題)を特定しました。当社グループは、気候変動・資源循環・自然資本などの環境に関する課題や、人権・労働などの社会に関する課題について、事業を継続する上でのリスクであると認識しているとともに、新たな成長機会にもなると考えています。そのため、サステナビリティを経営の重要課題の一つとして注力しています。サステナビリティの取組をさらに強化し、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長という長期的なゴールに向かい着実に歩を進めるため、マテリアリティを定めました。

■稲畑産業グループのマテリアリティ

 また、当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、以下の通りです。

 グローバルな競争が激化するなかで、事業を持続的に発展させるためには多様な価値観が重要であるとの認識に立ち、当社グループでは様々なバックグラウンドを持つ社員が、グローバルで活躍しています。個々の持つ力を存分に発揮するために、人種・宗教・国籍・年齢・性別・性的指向や障がいの有無などを問わず、採用・配置・評価・処遇・登用が公平であるための施策・制度強化に注力しています。社員一人ひとりの個性や能力を尊重し、多様性を受け入れて生かし、一体感を持って働ける組織風土の醸成に努めています。

 当社グループにとって、人は最も重要な財産であり、その人材の育成は経営課題の1つであると認識しております。当社の人材育成・能力開発は、「愛」「敬」の精神と「経営理念 Mission」を土台とし、「価値観 IK Values」を共有し、「目指す姿 Vision」を実現できる人材を育てることに他なりません。多様な業務経験と成長機会の提供、役割に応じた研修の実施を通して、専門性を有し、国内外で組織・事業を牽引する人材を育成します。世界中で事業を行う当社グループにとって、国境を問わずグローバルな視野で国際社会と共生し、新しい価値を生み出すことができる「グローバル人材」の育成は重要な課題です。

 「価値創造を担う人的資本の育成・強化」を当社グループのマテリアリティとし、新たな働き方改革やダイバーシティ&インクルージョン、従業員エンゲージメント、人材育成・能力開発、労働安全衛生等の推進を掲げ、制度の一層の拡充や教育などの取組の充実を図っております。

 また、中期経営計画「NC2023」においても、商社ビジネスが基本である当社グループにとって「人材」が最重要資産であるとの認識に立ち、「人的資本活用に向けた取組の強化」を主要重点施策のひとつに掲げています。

 また、当社グループは、気候変動の影響及び対策の必要性を十分認識し、事業を通じて地球環境の保全に努めることを「サステナビリティ基本方針・行動指針」や「稲畑産業コンプライアンス宣言」で表明しています。2022年6月に発表したマテリアリティにおいても「脱炭素社会・循環型社会への貢献」を掲げ、気候変動をはじめとする地球環境問題を経営の重要課題の1つとしています。

 気候変動は、当社グループにとってリスクである一方、新たな事業機会をもたらすものでもあると考えており、GHGの排出量削減に努めるとともに、脱炭素社会に貢献する商材やソリューションの提供を進めております。

 当社は金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年6月に公表した提言に賛同するとともに、気候変動起因による自社事業活動への影響を適切に把握し、その内容を開示しています。

※TCFD:G20の要請を受け、2015年に設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称。気候変動が金融市場に重大な影響をもたらすとの認識を背景に、2017年に公表された最終報告書(TCFD提言)では、企業等に気候変動に伴うリスクと機会等の情報開示を求めている。

■TCFD提言が求める開示推奨項目と当社対応のサマリー

要求項目

項目の詳細

当社対応

ガバナンス

気候関連のリスク及び機会に係る組織のガバナンス体制の開示

気候変動を含むサステナビリティ課題について、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」にて審議・検討しています。

取締役会では、取締役会規程にてサステナビリティ課題への取組状況を担当取締役から取締役会へ報告することが定められております。サステナビリティ委員会で審議・検討された内容も上記プロセスの中で適切に報告・上申がされています。

戦略

気候関連のリスク及び機会に係る事業(ビジネス・戦略・財務計画)への影響の開示

4℃シナリオについては、異常気象の激甚化による国内外拠点への被害が想定されたが、事業を大きく揺るがすほどのリスクではないと想定されました。また、機会として気温上昇や気象パターンの変化に対する「適応商材」の需要増加が見込まれ、自社のレジリエンス性は保たれるという結論に至りました。

1.5℃シナリオについては、カーボンプライシングの導入や電力価格の高騰による操業コストの増加がリスクとして挙げられましたが、それ以上に低炭素や環境配慮に寄与する技術や商材の将来的な成長による収益機会の獲得が大きく、中期経営計画である「NC2023」の主要重点施策である「将来の成長が見込める市場への多面的な取組と確実な収益化」の取組の1つである、「環境負荷低減商材の拡販」が今後の脱炭素社会における自社の成長に大きく関連する事項であることを再認識しております。

リスク管理

気候関連のリスクに対する組織の識別・評価・管理プロセスの開示

当社では気候変動リスクに関して、サステナビリティ委員会においてリスク管理を行っています。サステナビリティ委員会にてシナリオ分析を元に定性・定量の両面から抽出・検討されたリスクを審議し、必要に応じて取締役会に報告しています。

取締役会では、サステナビリティ委員会からの報告に加え、リスク管理室や財務経営管理室、コンプライアンス委員会などから報告されるその他リスクを加味し、統合的に重要性の高い全社リスクを監督しています。

指標と目標

気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標と目標の開示

当社グループでは、パリ協定で掲げられた「気温上昇を1.5℃未満に抑える」という世界的な目標達成にコミットすべく、2050年カーボンニュートラルという長期目標を設定しています。(連結グループのScope1,2が対象)2022年3月期からは当社のサプライチェーン全体の排出量を把握するため、Scope3の算定を行っています。今後は算定対象範囲を広げるとともに、長期目標達成に向けた中期目標を検討していきます。

 なお、TCFD提言に基づく情報開示の詳細については、コーポレート・ガバナンス報告書(2023年6月22日)をご参照ください。

(3)リスク管理

 当社では、従来のリスク管理手法だけでは不確実な要素を含む長期的な影響を管理するには十分ではないと考え、サステナビリティ関連のリスクに関しては、サステナビリティ委員会において管理を行っています。定性・定量の両面から抽出・検討されたリスクを審議し、進捗をモニタリングするとともに、必要に応じて取締役会に報告しています。

 なお、全社のリスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

(4)指標及び目標

 当社グループでは、マテリアリティごとの指標・目標・計画について、2024年3月期の設定を予定しています。

 また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標として、次の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りです。

目標(2021年4月1日~2024年3月31日の3年間)

2023年3月期実績

目標1:管理職(課長級以上)に占める女性割合を5%以上にする

3.7%

目標2:スタッフ職の新卒採用に占める女性割合について20%以上を維持する

33.3%

目標3:スタッフ職に占める女性割合を15%以上にする

16.7%

 ※目標1・3は2023年3月末時点の数値。目標2は、2023年3月期内定、2023年4月新卒入社の数値。

 また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した気候変動に関する指標として温室効果ガス(GHG)排出量を用いており、2022年6月にパリ協定で掲げられた「気温上昇を1.5℃未満に抑える」という世界的な目標達成にコミットすべく、2050年カーボンニュートラルという長期目標を設定しています。

 2022年3月期からは当社のサプライチェーン全体の排出量を把握するため、Scope1・2・3の算定を行っています。今後は算定対象範囲を広げるとともに、長期目標達成に向けた中期目標を検討していきます。

 なお、GHG排出量については、コーポレート・ガバナンス報告書(2023年6月22日)をご参照ください。

 ※連結グループのScope1,2が対象

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