神戸電鉄 【東証プライム:9046】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりである。
なお、将来に関する内容は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その正確性を当社として約束する趣旨のものではなく、また、全ての影響をカバーするものではない。
(1)サステナビリティに関する基本的な考え方
当社グループは、経営理念・経営方針の実践や多様な人々との連携・共創を通じて新たな価値を創出し、グループの持続的な成長を図るとともに、社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。
(2)重要テーマ(マテリアリティ)
(3)ガバナンス及びリスク管理(サステナビリティ推進体制)
当社グループでは、サステナビリティへの取組をグループ一体で推進するため、2021年12月、当社社長を議長とし、当社の執行役員・監査等委員(常勤)とグループ各社社長により構成される「サステナビリティ推進委員会」を設置した。
当社取締役会の監督のもと、本委員会が中心となって、同じ委員で構成される「リスク管理委員会」とも連携を図りながら、サステナビリティへの取組を統合的に協議・決定するとともに、PDCAサイクルを回していくことで取組をブラッシュアップするなど、サステナビリティ経営を推進している。
(4)指標と目標(KPI等)
サステナビリティへの取組における重点目標及びKPIについては、次のとおりである。
重点的な取組 | 目標・KPI |
安全輸送の確保 | 鉄道事業における有責事故 ゼロの継続 |
バス・タクシー事業における死亡事故 ゼロの継続 | |
鉄道施設の強靭化 | 自然災害への対応力 継続的な強化 (注1) |
駅を中心としたまちづくりの推進 | 地域における鉄道の交通分担率 増加に転換 (注2) |
賃貸物件の魅力度向上 継続的な更新 | |
新しい価値の提供 | 共創を起点とした関係人口の創出 共創案件や観光客数の 継続的な増加 (注3) |
事業領域の拡大 不動産事業エリアの拡大新規事業の創出 | |
脱炭素社会の実現 | 神鉄グループにおけるCO₂排出量(スコープ1・2) 2013年度比△46%(2030年度) (注4) |
従業員エンゲージメントの向上 | エンゲージメント調査スコア 継続的な向上 (注5) |
(注)1.防災工事を着実に推進するとともに、災害監視や対応能力の強化に継続して取り組んでいる。
2.10年ごとに実施される近畿圏パーソントリップ調査において、代表交通手段を鉄道とされる沿線の方の割合が増加に転じることを目指し、沿線自治体と連携して様々な取組を行っている。
3.神鉄グループは、「神鉄グループみらいビジョン2030」において『暮らしに彩を添える地域の共創プラットフォーム』になることを掲げており、暮らしに彩を添える時間(トキ)やモノ、サービスの共創プラットフォームとして確固たる地位を築き、地域の持続的な価値向上に貢献するとともに、社会・経済活動を支える存在となることを目指している。
4.神鉄グループ全体で、政府が掲げる温室効果ガスの削減目標(2021年10月22日決定)の達成を目指している。
5.従業員エンゲージメント調査(定期的に実施)において、調査スコアが継続的に前回を上回ることを目指す。
(5)気候変動への取組
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づき整理した当社グループの気候変動(気候関連問題)への取組は、次のとおりである。
なお、取組の詳細については、当社ホームページ(https://www.shintetsu.co.jp/company/)の「気候関連問題への対応」を参照。
① ガバナンス及びリスク管理
上述のサステナビリティ推進体制のとおりである。
② 戦略
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が示す2℃シナリオや4℃シナリオ、IEA(国際エネルギー機関)のレポート(World Energy Outlook)等をもとに、脱炭素社会への移行が進む場合と気候変動によって大きな物理的変化が生じる場合における鉄道事業及び不動産事業への影響について分析を行った。
その結果は下表のとおりである。
| 項目 | 財務影響の変化想定 | |
4℃シナリオ | 2℃シナリオ | ||
移行リスク | 炭素税賦課による税負担の増加 [2030年度時点] | - | △300百万円/年 |
再生可能エネルギー拡大による電力価格高騰 [2030年度時点] | - | △110百万円/年 | |
物理的リスク | 大雨(日降水量100mm以上)の発生回数増加による設備被害(法面崩壊・路盤流出等)の増加と旅客運輸収入の減少 [2076~2095年平均(21世紀末)時点] | △16百万円/年 | △8百万円/年 |
大雨(計画規模降雨)に伴う洪水(浸水)被害の増加と旅客運輸収入の減少 [2050年度時点] | △16百万円/年 | △5百万円/年 |
(注)1.影響分析に活用した将来に影響を与える要素(パラメータ)の出典は以下のとおりである。
(社内データ)CO2排出量の見通し、直近10年間(2012~2021年度)における自然災害被害額。
(社外データ)IEA「World Energy Outlook2022」、自然エネルギー財団「2030年における電力需給バランスとコストの検証」(2021年2月)、文部科学省・気象庁「日本の気候変動2020-大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書-(詳細版)」(2020年12月)・国土交通省「重ねるハザードマップ」洪水浸水想定区域(計画規模降雨)・国土交通省 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」提言(2021年4月改訂)。
2.いずれも排出規制の強化に伴う資材価格の高騰や自然災害の増加に伴う損害保険料の上昇、沿線人口の減少などの影響を加味しない場合の試算である。
3.物理的リスクは、損害保険金等の受給や一部区間の長期運行休止を織り込んだ場合の数値である。
分析の結果、2℃シナリオでは、政策等により環境関連の規制が強化され、炭素税賦課や電力価格の上昇が経営に大きな影響を与えることを確認した。
この対応として、鉄道事業において、省エネルギー型車両への更新やLED照明の導入、効率的な列車運用等により、エネルギー使用量の削減に取り組んでいる。また、不動産事業においても、賃貸物件における照明のLED化推進等による環境性能の向上を計画的に行うことにより、エネルギー使用量の削減に取り組んでいる。
4℃シナリオでは、大雨の発生回数の増加により、特に鉄道事業において、物理的被害の可能性が高まることを確認した。
当社では、このような自然災害のリスクに対応するべく、ハザードマップ等により、線路脇で土砂崩れや冠水が発生するリスクが高いと予想される個所を「災害注意箇所」として社内で定め、斜面の崩落や落石の防止、橋梁の洗掘防止、排水機能の強化などの対策を鋭意進めている。
③ 指標及び目標
当社グループでは、「脱炭素社会の実現」を図ることや、沿線において「駅を中心としたまちづくり」が推進され、定住とともに公共交通の利用が促進されることが、グループの持続的な成長にとっても、また持続的な社会の実現にとっても重要と考えている。
このうち「脱炭素社会の実現」に向けては、グループをあげて地球環境の保護・保全に取り組むものとして、2030年度までにグループ全体のCO2排出量を2013年度比で46%削減する目標を掲げている。具体的には、鉄道事業において電力消費量が従来型に比べて約60%削減される新型車両の導入を計画的に進めるほか、バス・タクシーの電動化(ハイブリッド機構を含む)、照明のLED化をはじめとする設備の省エネ化、資産のスリム化等に取り組んでいる。
また、「駅を中心としたまちづくり」の推進については、沿線における人口減少やモータリゼーションの進行により、鉄道利用者の減少傾向に歯止めがかからない中、沿線自治体が策定する地域公共交通計画において、まちづくりと公共交通の連携・一体的な整備を施策として盛り込んでいただくともに、定住や鉄道の利用促進に向けて行政や民間企業・学生団体等と協働した取組を進めている。それら取組の成果として、10年毎に行われる近畿圏パーソントリップ調査において、鉄道を代表交通手段とされる沿線の方の割合が増加に転じることを目指している。
これらの取組に加え、災害に強い公共交通サービスの実現を目指して、防災工事を着実に推進するとともに、災害監視や対応能力の強化に継続して取り組んでいる。
なお、CO2排出量の実績及び2030年度の削減目標値については、下図のとおりである。
(注)1.神戸電鉄及び連結子会社のCO2排出量合計。なお、2013年度実績が把握できない一部会社については2014年度実績で代用している。
2.CO2排出量の数値については、第三者機関の認証等を得たものではない。
(6)人的資本についての取組
① 戦略
当社グループの経営理念である「『安心』・『安全』・『快適』をお届けすることで、お客様の豊かな暮らしを実現し、地域社会に貢献します」を実現していくためには、多様な価値観や個性を尊重しながら、従業員一人ひとりが持つ力を最大限発揮し、活き活きと働くことができる職場環境を整備することが不可欠となる。
それらを踏まえ、当社グループでは「多様な人材一人ひとりが活躍できるステージづくり」を人的資本投資の強化に向けた方針として掲げ、当社グループの将来の成長に向けた「新しい時代(外部環境の変化)に対応した収益構造の構築」、「沿線活性化」、「成長投資・新規投資による収益拡大」等の事業戦略を自律的に推進できる多様な人材の育成に努めるとともに、人事関連制度の見直し・健康経営体制の推進・福利厚生制度の拡充等を通じた「従業員エンゲージメント」の向上に取り組んでいる。
今後も、引き続き「従業員エンゲージメントの向上」、「多様な人材の活躍」、「戦略的な人材育成・配置」等に取り組むことにより、従業員が働きがいを感じながら会社とともに成長していける、風通しの良い組織風土づくりに努めていく。
② 指標と目標
指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) |
従業員エンゲージメントの向上 | エンゲージメント調査スコアの継続的な向上 | 従業員エンゲージメント調査スコア62.8点/100点(2022年12月実施) |
鉄道現業職の女性従業員数 | 15人以上(2026年3月末時点) | 9人(2023年3月末時点) |
係長級以上の管理監督職に就く女性社員数 | 5人以上(2026年3月末時点) | 3人(2023年3月末時点) |
(注)1.対象会社:神戸電鉄株式会社
2.従業員エンゲージメント調査は、外部機関を利用した調査であり、当該実績は、同調査を利用した他社平均と同水準の数値となっている。
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