矢作建設工業 【東証プライム:1870】「建設業」 へ投稿
企業概要
(1)ESG戦略
当社グループは、「建設エンジニアリングによる価値創造を通して、従業員の自己実現と企業の持続的成長を目指す」という経営理念のもと、お客様が求める建設物を提供してきました。
近年のコロナ禍は、産業構造やビジネスモデルの転換を一挙に前倒し、地球温暖化による自然災害の激甚化やカーボンニュートラルなど、社会の価値観も経済性重視からサステナビリティ重視へ転換しております。
当社グループは、2021年に策定した中期経営計画において、2030年度の目指す姿を、顧客や地域が抱える課題を解決するだけにとどまらず、より良い社会を実現するために建設エンジニアリングによる新たな価値を創造・提供することで、顧客・地域、そして社会の持続的発展に貢献する企業(課題解決&価値創造型企業)と設定しました。また、2021年4月に「矢作建設グループSDGs宣言」を行うなど、環境、社会、ガバナンスに関わるさまざまな問題を解決しながら、持続可能な成長を目指すESG経営を推進し、グループ総力を挙げサステナビリティ社会への実現に取り組んでおります。
①ガバナンス
当社グループは、取締役会の監督・指揮のもと、サステナビリティに対する取組みを進めるため、CSR/ESG委員会を設置しており、その下部組織として、SDGs部会、環境管理委員会、人事部会及び内部統制部会を設置しております。
各下部組織の主な役割は、以下のとおりであります。
②戦略
当社グループは、「矢作建設グループSDGs宣言」にもとづき、その実現に向けて「環境」(Environment)、「社会」(Social)、「ガバナンス」(Governance)それぞれの観点について、リスクと機会を特定した上で、それらが顕在化した場合のインパクトを考慮し、取り組むべき課題を把握しています。その取り組むべき課題に対し、社会(ステークホルダー)と当社グループの観点から重要な戦略テーマ(マテリアリティ)を特定し、様々な取組みを推進しております。
A)マテリアリティ選定・運用プロセス
以下のプロセスによりマテリアリティを特定し、運用しております。
<STEP1:テーマの選定>
当社事業とSDGs・ESGの関係性(リスクと機会の特定)を分析し、取組み課題を把握し、テーマを選定。
<STEP2:マテリアリティの特定>
会社として重点的に取り組むべき課題と課題解決に向けた取組み方針を決定する。
<STEP3:KPIの設定>
行動計画のSDGsへの取組みをマテリアリティごとに分類・評価し、会社としての管理指標(KPI)、目標値の設定を行う。
<STEP4:運用と報告>
ステークホルダーの要望を把握し、進捗状況を定期的に報告し、コミュニケーションを実施。
B)リスクと機会の特定と取り組むべき課題の把握
環境、社会、ガバナンスそれぞれについてリスクと機会を特定し、以下の取組み課題を把握しております。
<取り組むべき課題>
(環境) 環境に配慮した持続可能な社会の形成
□リスク
気候変動に伴う異常気象や台風などによる大規模災害の頻発・激甚化
気候変動に伴う気温上昇や無秩序な開発による自然環境の破壊
炭素税(カーボンプライシング)の導入による材料・外注費の高騰
□機会
気候変動に対応した建築物の増加(省エネ建築物の増加)・クリーンエネルギー需要の増加
(社会) 安全・安心で快適なまちづくりの推進
□リスク
気候変動に伴う異常気象や台風などによる大規模災害の頻発・激甚化
□機会
ICTの建設技術への応用
持続可能な生産基盤の確立
□リスク
劣悪な労働環境
労働者の高齢化・若年者の入職減少による技術力の衰退
業務非効率による長時間労働
労働環境における多様性の欠如
□機会
高品質なインフラ需要の高まり
ICTの建設技術への応用
地域貢献/パートナーシップの強化
□機会
地域社会・企業との連携促進
(ガバナンス)健全な組織基盤の構築
□リスク
ガバナンス機能の低下による成長戦略遂行の遂行不全
内部統制、リスクマネジメント機能の低下、機能不全による業務遂行リスクの顕在化
C)マテリアリティの特定
取り組むべき課題に対し、社会課題及び当社にとっての重要度の観点から以下のマテリアリティ(18個)を特定しております。
<環境>
(取り組むべき課題) 環境に配慮した持続可能な社会の形成
[マテリアリティ]① 環境に配慮したまちづくり
② 環境に配慮した事業活動
<社会>
(取り組むべき課題) 安全・安心で快適なまちづくりの推進
[マテリアリティ]③ 安全・安心なまちづくり
④ 快適なまちづくり
(取り組むべき課題) 持続可能な生産基盤の確立
[マテリアリティ]⑤ 良質な建設物の提供
⑥ 安全な労働環境の整備
⑦ 持続可能なサプライチェーンの実現
⑧ 協力会社とのリレーション強化
⑨ 技術力の継承・人材育成
⑩ 生産性の高い建設プロセスの実現
⑪ 働きがいのある職場の実現
(取り組むべき課題) 地域貢献/パートナーシップの強化
[マテリアリティ]⑫ 地域社会への貢献
⑬ 事業活動を通じたパートナーシップの強化
<ガバナンス>
(取り組むべき課題) 健全な組織基盤の構築
[マテリアリティ]⑭ コーポレートガバナンスの強化
⑮ 差別やハラスメントの撲滅
⑯ 情報セキュリティの確保
⑰ コンプラインアンスの徹底
⑱ リスクマネジメントの向上
D)マテリアリティの内容と取組み事例
<環境> 環境に配慮した持続可能な社会の形成
(マテリアリティ)環境に配慮したまちづくり
省エネルギー化や脱炭素などに寄与する新たな技術メニューの拡充を図るとともに、環境に配慮した建設物やサービスの提案・提供を推進します。
(マテリアリティ)環境に配慮した事業活動
事業活動のあらゆる段階において、二酸化炭素の排出抑制、産業廃棄物の削減、生態系の保全、資源の有効利用、省エネルギー化等、環境負荷軽減に向けた取組みを推進します。
<社会> 安全・安心で快適なまちづくりの推進
(マテリアリティ)安全・安心なまちづくり
防災・減災技術をはじめ、これまで当社が培ってきた建設に関する様々な技術・ノウハウを活用し、安全で強靭な建設物を提供します。
(マテリアリティ)快適なまちづくり
健康性・快適性に優れた建築物の提供や技術の開発、安全で暮らしやすく利便性の高い居住環境の提供等を通じて、人々が生き生きと快適に暮らすことができるまちづくりを実現します。
<社会> 持続可能な生産基盤の確立
(マテリアリティ)良質な建設物の提供
安全な労働環境の整備
持続可能なサプライチェーンの実現
設計施工一貫体制のメリットを生かし、企画・設計段階から施工、維持管理に至る全てのプロセスにおいて、常に良質な建設物の提供と安全性の高い施工プロセスを追求します。
(マテリアリティ)協力会社とのリレーション強化
技術力の継承・人材育成
協力会社とのリレーション強化や技術力の継承、人材育成などを通じて安定した技術力の維持に努めます。
(マテリアリティ)生産性の高い建設プロセスの実現
ICT・AI等のデジタル技術や省人化工法などの技術開発・導入による効率化を図るとともに、業務の見直しや生産体制を強化することで、事業活動における全てのプロセスにおいて生産性の向上を図ります。
(マテリアリティ)働きがいのある職場の実現
多様な人材が働きやすく、個々の能力を最大限発揮できる職場環境を整備することで、誰もが働きがいを感じることができる魅力ある職場を実現します。
<社会> 地域貢献/パートナーシップの強化
(マテリアリティ)地域社会への貢献
地域との交流イベントや地域への貢献活動等へ積極的に取り組むとともに、不動産開発をはじめとした事業活動を通じて地域社会の活性化に貢献します。
(マテリアリティ)事業活動を通じたパートナーシップの強化
事業活動に関わるあらゆる分野のパートナー(自治体、大学、企業など)との価値共創を通じて、様々な社会課題の解決に貢献します。
<ガバナンス> 健全な組織基盤の構築
(マテリアリティ)コーポレートガバナンスの強化
差別やハラスメントの撲滅
情報セキュリティの確保
コンプラインアンスの徹底
リスクマネジメントの向上
コンプライアンスの徹底、内部統制の実効性向上などコーポレートガバナンスの強化を通じて、健全な組織基盤の構築と企業価値の向上に努めます。
③リスク管理
上記②で設定した戦略テーマ(重要課題=マテリアリティ)の実現に向けては、これを阻害するリスクについて影響度や発生頻度に常に留意するとともに、機会についてもこれを確実に捉えていくために市場環境の変化や事業構成の推移を踏まえ課題を検討しております。
また、これらリスク・機会これに対応するマテリアリティについては、定期的にCSR/ESG委員会にて評価・見直しが行われるとともに、その取組みやKPIに対する達成(進捗)についても定期的にCSR/ESG委員会へ報告されることとなっております。
④指標と目標
上記のとおり、当社グループは持続可能な社会の実現に貢献すべく、ESG経営の観点から重要な戦略テーマ(マテリアリティ)を設定しております。この戦略テーマを実現すべく、それぞれについて重点的な取組みを明確化し、その取組みに係るKPI(2025年度目標)を定めております。
(2)気候変動に関する情報(TCFD提言への取組)
近年、気候変動が原因と考えられる異常気象や自然災害の増加が、私達にとって身近に迫った脅威となっており、社会全体で脱炭素に向けた動きが加速しています。
矢作建設グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題のひとつと捉え、2021年4月に公表した「矢作建設グループ SDGs宣言」の中で、「環境に配慮した持続可能な社会の形成」を重要課題に掲げ、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組みを進めています。矢作建設グループはこれらの一連の取組みを、建設エンジニアリングによる価値創造を通して加速させるとともに、常に社会の要請にこたえる事業を展開してまいります。
① ガバナンス
全社的な取組みを進めるため、取締役会の監督・指揮のもと、CSR/ESG委員会が中心となり、その傘下のSDGs部会や環境管理委員会が、本社、支店、その他拠点、作業所、グループ会社の気候関連に関する各取組みを支援しております。また、SDGs部会で取りまとめられた取組み結果はCSR/ESG委員会に定期的に報告され、その審議結果が取締役会に報告されることとなっております。
[気候変動に関するガバナンス体制]
② 戦略
建設業では、建物・構造物の建設時における重機・その他車両の使用や、鉄・セメントをはじめ多くの温室効果ガス排出を伴う資材の調達などで、気候変動に大きな影響を及ぼす傾向にあります。また、完成・引渡し後、建物・構造物の長期間にわたる利用は、建設時以上の温室効果ガスの排出が想定されます。
これを踏まえ、脱炭素に向けた動きや気温上昇などの物理的な変化が進む中で、炭素価格や原材料コストの上昇、平均気温の上昇による労働生産性の低下などをリスクとして捉えています。加えて、温室効果ガスの低減技術への移行によるZEB、ZEHや再生可能エネルギー分野の新たな市場、豪雨災害の増加による防災・減災市場の拡大などを機会として特定しています。矢作建設グループでは、これらの評価・管理を通じて建設業が社会から求められる課題解決に貢献することで、リスクに備え、短期・中期・長期全ての視点から新たな事業機会を創出してまいります。
[シナリオ分析]
リスク・機会について、気候変動が事業活動に与える短期・中期・長期の影響を把握するにあたり、2030年度における建築事業及び土木事業を想定し、シナリオ分析を実施しました。
なお、分析に際して2100年時点において産業革命前に比べて平均気温が4℃程度上昇する4℃シナリオと2℃程度の上昇に抑制される2℃シナリオを想定しています。
[リスクと機会]
(注)国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオを参照しております。
2℃シナリオ 気候変動に対して社会全体で様々な対策が取られ、2100年時点で産業革命前に比べて平均気温が2℃程度の上昇に抑制されるシナリオ
4℃シナリオ 気候変動に対して社会全体で有効な対策が取られず、2100年時点で産業革命前に比べて平均気温が4℃程度上昇するシナリオ
[対応策]
③ リスク管理
気候関連リスクについては、SDGs部会において識別し、リスクの影響度や発生頻度に応じて設定された対応方針に従って、各リスクに適切に対応しているかをモニタリングしています。加えて、市場環境や事業構成の変移を踏まえ、リスク毎の重要性について定期的に点検し、必要に応じて対応方針を見直すこととしています。また、気象災害等に対するBCP(事業継続計画)については、内部統制部会が全社のリスクマネジメントの状況を確認しており、SDGs部会に報告し、迅速かつ効果的に機能するよう改善を重ねています。
なお、気候関連リスクは、優先すべき経営課題のひとつとして管理することとし、定期的にCSR/ESG委員会において報告・審議され、リスク項目や対応方針を見直す際には、CSR/ESG委員会の承認を経て回避や低減などの施策を講じるとともに、委譲元である取締役会に報告することとしています。
④ 指標と目標
矢作建設グループは、気候変動による事業への影響を管理すべく、2022年度より主要拠点及び作業所において温室効果ガスの排出量算出を開始しております。今後、2030年度の目標達成に向けて、気候変動に関するリスク・機会を定期的に見直しながら、温室効果ガス削減の実効的な取組みを進めてまいります。
[温室効果ガス排出量と削減目標]
(注)Scope1 :重機・その他車両の燃料使用に伴う温室効果ガスの排出
(算定範囲:作業所、本社、支店、その他拠点)
Scope2 :購入した電力の使用に伴う温室効果ガスの排出
(算定範囲:作業所、本社、支店、その他拠点)
排出原単位 :施工高1億円当たりの排出量
(3)人的資本に関する情報
①人財戦略に関する基本方針
当社グループは、『誠実・進取・創造』を企業理念に掲げ、『建設エンジニアリングによる価値創造を通して、従業員の自己実現と企業の持続的成長を目指す』ことを経営理念とし、企業の持続的成長を実現させる主体は「人財(従業員)」であるという考えのもと、人財戦略上の重要課題として「安全な労働環境の整備」「技術力の維持・人材育成」「働きがいのある職場の実現」「差別やハラスメントの防止」に取り組んでまいりました。
また、2030年の目指す姿として『課題解決&価値創造型企業』、売上規模2,000億円程度を設定しており、目指す姿の実現には、「規模の成長」とともに「質の成長」が必要不可欠であります。特に人財戦略においては、キーとなる“課題解決&価値創造人財(課題解決と価値創造を実現できる人財)”を育成し、創出し続けるとともに、多様性(価値観・専門性)に富んだ人財を「量」と「質」の両面で確保すること、またそれらの人財が当社グループで働く誇りとやりがいを感じながらポテンシャルを最大限に発揮することが重要であると考えております。従業員一人ひとりが輝ける会社へ、人財を維持するにとどまらず、人財を魅了する、惹きつける会社へと変革し、「選ばれる会社、働き続けたい会社」を目指してまいります。
その上で、人財戦略を支える3本の柱として、「① 多様性のある建設エンジニア人財の拡充」、「② 従業員一人ひとりの成長を後押しする仕組みづくり」、「③ 従業員一人ひとりが輝ける環境の整備」を据え、その取組みを推進していくことで、課題解決&価値創造人財を育成・創出し続けることができる企業風土を醸成し、従業員のエンゲージメントを向上させ、企業の持続的成長を実現してまいります。
人財戦略を支える3本の柱 | |
多様性のある 建設エンジニア人財の拡充 | 1)採用領域の深化・拡大 2)ダイバーシティ&インクルージョンの実践 |
従業員一人ひとりの成長を 後押しする仕組みづくり | 1)学びたいの後押し、能力開発への積極投資 2)自身の将来目標を描くことができる仕組みづくり |
従業員一人ひとりが 輝ける環境の整備 | 1)管理職のマネジメント改革 2)安心して働くことができる職場環境の整備 3)心身両面での健康経営の推進 |
〇従業員エンゲージメント
人財戦略に基づいたあらゆる施策の効果は最終的にエンゲージメントに反映されるという考えのもと、2022年よりエンゲージメント調査を開始し、年に一度調査を実施することで従業員のエンゲージメント状況を可視化しております。調査結果については、組織別・役職別・項目別といった様々な角度から分析することで、現状の課題を抽出し各課題に対する施策を考える有効なデータとして活用しております。
②人財戦略における3本の柱の具体的な取組み
イ 多様性のある建設エンジニア人財の拡充
我が国の社会問題である人口減少や建設業就労者の減少に対し、建設DXやICT技術を活用した省人化・省力化等への取組みを強化・推進するものの、建設業の労働集約型の側面からは脱却しきれておらず、人口減少下における人材確保は大きな課題であります。加えて、人材獲得競争が激化する中で、当社グループの2030年の目指す姿である売上規模2,000億円程度の実現には、生産性の向上と併せて、人財の「量」を確保することが最重要課題であり、その解決には人材獲得に向けたあらゆる手段を活用し、多様性に富んだ人財をバランスよく確保していく必要があると考えており、具体的には「採用領域の深化・拡大」や「ダイバーシティ&インクルージョンの実践」への取組みを推進しております。
a)採用領域の深化・拡大
従来の最終学歴・専門分野に捉われた採用活動に固執せず、当社グループの理念や目指す姿に共感し、同じ思い持つ多様な人財を積極採用しております。具体的には、技術者の採用において従来の理系学科出身者だけでなく文系学科出身者へ採用の枠を拡大した他、豊富な専門知識や経験を持つ高齢者人材を採用するなどの取組みを進めております。
更には、中期経営計画の事業方針に掲げている「既存事業の深化・進化」や「新規分野・領域の探索・開拓」を進めていくには、建設・不動産分野に関わらず、様々な専門分野で知識や経験を持った人財が必要であると考えており、様々な領域の高度専門人材の採用及び管理職への登用を図ることで、多様な考え方や経験を活かした新たな価値創出を目指してまいります。
〇採用実績(連結)
|
| 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2030年度(目標) |
新卒 採用 | 院卒・大卒 専門卒・高専卒 | 41名 | 44名 | 44名 | 53名 | - |
高 卒 | 5名 | 6名 | 4名 | 7名 | - | |
中途採用 | 27名 | 17名 | 16名 | 31名 | - | |
合 計 | 73名 | 67名 | 64名 | 91名 | 100名 |
(注)上記数値には当期末に子会社となった北和建設株式会社は含んでおりません。
b)ダイバーシティ&インクルージョンの実践
性別や国籍の垣根なく、女性や外国籍人材の積極採用と活躍できる仕組みづくりに取り組んでおります。女性人材の採用にあたっては、女性の入社希望者を増やすための様々な施策を実施しており、女性の活躍推進においても、女性の活躍を後押しし、より一層加速させる施策を実施してまいります。外国籍人材については2019年より積極的に採用を実施しており、2019年度から2022年度にかけ累計19名を採用しております。また、高齢者においても2021年より65歳定年制を導入し、高齢者の活躍推進を図っております。
更には、“課題解決&価値創造人財”の育成・創出には、個々人の多様な経験や専門性を尊重し、多様な意見を受け入れて活かすといった組織におけるインクルージョンが必要であると考えており、異動を伴う事業部門を超えた人財交流やグループ会社間の人財交流を積極的に実施しております。
〇女性人材(技術者)の新卒採用実績
| 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
採用人数 | 10名 | 6名 | 6名 | 8名 |
比 率 | 24% | 13% | 15% | 15% |
(注)1.比率は採用人数全体(技術者)に対する女性人材(技術者)の比率。
2.上記数値には当期末に子会社となった北和建設株式会社は含んでおりません。
〇女性管理職比率
連 結 | 1.0% |
(参考)提出会社 | 1.1% |
(注)上記数値(連結)には当期末に子会社となった北和建設株式会社は含んでおりません。
〇外国籍人財の採用実績
| 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
採用人数 | 6名 | 3名 | 0名 | 10名 |
(注)上記数値には当期末に子会社となった北和建設株式会社は含んでおりません。
ロ 従業員一人ひとりの成長を後押しする仕組みづくり
VUCA時代が訪れ、SDGsへの対応やデジタル化の進展など、企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、産業構造やビジネスモデル、更には生産プロセス等も大きく変わってきており、その対応に伴い従業員一人ひとりに求められるスキルや能力も変化しております。また、2030年の目指す姿の実現に向けては事業規模拡大に伴う人財の「量」の確保と併せ、人財の「質」の向上、具体的には高い専門性や倫理観に基づき、自律的に考え行動し、成果に繋げることができる人財の増強が必要であると考えております。
当社グループとしては、従業員一人ひとりがその変化の中で求められる知識・スキルを獲得し、キャリア自律によって個人のポテンシャルを最大限に発揮できるよう、従業員に対する「学びたいの後押し、能力開発への積極投資」や「自身の将来目標を描くことができる仕組みづくり」への取組みを推進しております。
a)学びたいの後押し、能力開発への積極投資
従業員自らの“学びたい”という気持ちを後押しし、個々人のキャリアアップを応援する仕組みづくりに取り組んでおります。具体的には、従来の現場におけるOJTを中心とした成長機会だけでなく、Off-JTを活用した体系的かつ専門性の高い知識を深める機会を提供し、各々を複合的に活用することで、その効果の最大化を図っております。今後は従業員自身のモチベーションを原動力に学習する自己啓発やリスキリングをサポートする仕組みを再整備し、自ら学ぶ風土の醸成を図ってまいります。また、経営の持続性の観点から、時代の変化に柔軟かつスピーディーに対応できる次世代の経営人財の育成にも取り組んでまいります。
〇研修・教育体系(2022年度)
b)自身の将来目標を描くことができる仕組みづくり
当社グループが事業規模や事業エリアの拡大を図る上では、建設・不動産事業分野における大型工事現場を担当できる所長や不動産開発プロジェクトをマネジメントできる人財、新規領域・分野にチャレンジできる人財などの増強が必要であると考えており、課題解決力や発想力、事業構想力などを養うため、様々な工事を経験するための配置や様々な職種を経験するための部門・会社を超えた人財交流などの戦略的人財配置を行っております。
また、企業の持続的成長の実現には、多様な価値観や専門性を持つ人財が、それぞれの個性を活かし、その持てる能力を十分に発揮できる環境の整備が必要不可欠であり、誰もが働きがいのある、成長を実感できる、また、従業員一人ひとりの価値観を尊重し、多様化する働き方に対応したキャリア形成を可能とする制度改革に取り組んでまいります。
ハ 従業員一人ひとりが輝ける環境の整備
少子高齢化に伴う労働力の減少や雇用形態の多様化等を背景に、様々な価値観を持った人材が、互いの価値観を受け入れ、活かし合いながら、従業員一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる環境づくりが必要となっております。当社グループとしては、職場における心理的安全性を追求するとともに、従業員が仕事と生活を調和した働き方や永く健康に働くことができる職場環境を目指し、賃金制度の改定や働き方改革をはじめ、従業員が抱える様々な不安を取り除き、仕事に集中できる環境整備を進めてまいります。具体的には、以下のとおり「管理職のマネジメント改革」や「安心して働くことができる職場環境の整備」、「心身両面での健康経営の推進」への取組みを推進しております。
a)管理職のマネジメント改革
従業員のエンゲージメントを高め、働きがいのある職場環境づくりのキーパーソンである管理職に対して、継続的に教育・研修を実施することで、管理職のマネジメント力の向上を図り、職場の心理的安全性を高め、組織の活性化、人材の確保と定着、変化・リスクへの対応力向上に取り組んでおります。
〇主な取組み
項 目 | 取 組 み |
ハラスメント対応 | ・ハラスメント相談窓口の設置 ・管理職を対象としたハラスメント研修の実施 |
コンプライアンスの徹底 | ・コンプライアンス教育の実施 |
b)安心して働くことができる職場環境の整備
従業員が安心して働くことができるよう、長時間労働の改善や育児・介護への支援制度の充実等、ワークライフバランスに配慮した柔軟な働き方ができる職場環境の整備に取り組んでおります。また、公正な処遇を確保し安心して働くことができる就業環境の向上にも取り組んでおります。
〇主な取組み
項 目 | 取 組 み |
長時間労働の改善 | ・デジタル技術を活用した業務効率化 ・現場のバックオフィス体制の整備 ・勤務間インターバル制度や時差出勤制度の導入 |
処遇改善 | ・3期連続賃上げ実施(2022年度 前年基本給比3.5%UP) ・遠方勤務者手当の充実(2022年度制度改正) |
インフレ対応 | ・物価上昇による生活への影響を軽減するため、従業員全員に一律10万円/人を支給(2023年2月) |
ワークライフバランス | ・男性育休取得の促進(周知活動など) ・リフレッシュ休暇制度 |
〇男女の賃金差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)
| 全労働者 | うち正規雇用 労働者 | うちパート・ 有期労働者 |
連 結 | 60.7% | 61.9% | 95.9% |
(参考)提出会社 | 56.5% | 59.6% | 60.3% |
(注)1.対象期間:2022年4月1日~2023年3月31日
2.上記数値(連結)には当期末に子会社となった北和建設株式会社は含んでおりません。
〇男性育休取得率
連 結 | 32.0% |
(参考)提出会社 | 33.3% |
(注)上記数値(連結)には当期末に子会社となった北和建設株式会社は含んでおりません。
c)心身両面での健康経営の推進
従業員の健康保持・増進への取組みが、従業員の活力向上や生産性向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や企業価値向上へ繋がるとの考えのもと、従業員の心身の健康を大切にし、従業員が一人ひとりの豊かなライフスタイルを支援する環境づくりに取り組んでおります。
〇主な取組み
項 目 | 取 組 み |
メンタルヘルスケア | ・社外EAP(従業員支援プログラム)を活用した相談窓口を設置 |
健康リスクの早期発見 | ・精密検査費用を全額会社が負担 ・オプション検査費用の負担軽減策の実施 |
職場環境の整備 | ・2022年9月に本社ビル内にフレッシュ&コワーキングスペースを設置※ |
※本社ビル内に従業員が気分を入れ替えて働くことができるリフレッシュ&コワーキングスペースを設置し、内装には緑や木などを積極的に取り入れ、従業員がリラックスでき、コミュニケーションが自然と生まれる空間を整備
(写真)リフレッシュ&コワーキングスペース
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