企業兼大株主琉球銀行東証プライム:8399】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事業等のリスクは、以下のとおりであります。当行グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努めてまいります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

■ 最近の経営環境と事業等のリスク

 新型コロナの「5類感染症」移行に伴い、沖縄県経済は入域観光客数の増加を背景に順調に回復しております。しかしながら、業況が順調に回復している事業者がいる一方、価格転嫁の遅れや人手不足の影響などから回復が進まない事業者もおり、二極化が見られます。

 国内では、経済の正常化が進み、前向きな変化が見られております。物価高に賃金上昇が追い付かず実質賃金はマイナスとなっているものの、賃金と物価の好循環が期待できる状況から2024年3月に日本銀行によるマイナス金利政策が解除されるなど金融政策が大きく転換され、国内経済の自律的かつ持続的な成長が今後期待されております。

 海外では、ウクライナ情勢、中東情勢、東アジア情勢、米中の対立など国際情勢の緊張の高まりによるエネルギー価格の高騰やインフレを理由とする金融引き締めの長期化等が懸念されるものの、底堅い成長が見込まれております。

 このような国内外の状況に加えて、大規模な自然災害の発生や脱炭素社会への移行対応、人口減少やデジタル化の推進など社会構造の変化も急速に進んでいることから、経営環境の先行きを予測することが複雑な状況が続いております。
 これらの変化が社会・経済活動へ影響を及ぼす場合、当行取引先の財務内容等が悪化することで当行グループの不良債権、与信関連費用の増加や市場環境の悪化による損失の発生等の事業等のリスクが、当行グループの業績、業務運営および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当行グループは、地域金融機関として引き続き円滑な金融仲介機能を発揮し、取引先への資金繰り支援に取り組むほか、経営改善や事業再生、雇用の維持を通じ、与信関係費用の抑制を図るとともに、取締役会の定めた「リスク管理基本方針」に基づき、以下の各項目に記載する管理体制とリスクへの対応策を実施するなど、事業等のリスク発生の回避および発生した場合の適切な対応に努めております。

■ リスク管理基本方針

 当行は、「リスク管理態勢の一層の充実および強化」を経営上の重要課題のひとつに位置づけ、銀行経営で生じる各種リスクを統合的に管理する組織体制を整備、強化するとともに、経営戦略、経営体力に応じた適切なリスクテイクおよび想定外の損失を最小限にするための適切なリスク管理を行うことにより、経営の健全性および適切性の確保と安定した収益の確保とのバランスを重視した経営を目指していくことをリスク管理基本方針としております。

■ リスクのモニタリングとコントロール

 当行が認識している主要なリスクのうち、(1)信用リスクおよび(2)市場関連リスクについては、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を計測し、把握しております。これらのリスクが顕在化した場合、当行の業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、当行では業務の継続性を確保する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割当て)を用いた業務運営を行うとともに、リスク量に対して限度額やアラームポイントを設定のうえ、定期的にモニタリングしております。また、モニタリング結果および分析結果については、適時に経営陣へ報告し、必要な対応策を講じております。

■ RAF(リスクアペタイト・フレームワーク)

 当行は、取るべきリスクの種類と総量(リスクアペタイト)を明確化し、フォワード・ルッキングな視点で経営管理やリスク管理を行う枠組みであるRAF(リスクアペタイト・フレームワーク)の運用に取り組んでおります。RAFの取組みを通してリスクガバナンスの強化、経営戦略・収益・リスクの一体管理の強化を図っております。

(1)信用リスク

① 地域経済の動向による影響

 当行グループは沖縄県を主たる営業地盤としていることから、沖縄県における人口・世帯数の動向や産業構造の特徴、経済状況等の変化により、取引先の財務状況が悪化し、当行グループの不良債権額や与信関連費用が増加する等の信用リスクが顕在化した場合は、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 沖縄県は全国的にも人口減少の影響が少なく、好調な沖縄県経済を背景に個人住宅や分譲マンション、アパート等の住宅需要が高くなっております。さらに、入域観光客数の増加を背景にホテル・宿泊施設の建設需要も旺盛であることから、当行貸出ポートフォリオは、住宅ローンおよび貸家業・不動産業向け融資が貸出金全体の約6割を占めており、不動産市況や入域観光客数の動向の影響を受けやすいリスク特性となっております。これらのリスク特性をふまえ、当行では住宅ローンおよび貸家業・不動産業向け融資の定期的なモニタリングと分析をふまえ、必要に応じて融資スタンスを見直しするなど、リスクの低減に努めております。

② 特定の大口先、特定の業種に対する与信集中

 特定の大口先や特定の業種へ与信が集中し、当該取引先の信用状況が悪化した場合は、与信関連費用が増加し、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 沖縄県を産業構造別でみると、第2次産業の割合が低く、第3次産業が全体の8割以上を占めております。国内有数の観光地であることから、宿泊・飲食・物販等の観光関連サービス業が主要な産業であるものの、不動産業や建設業など幅広い業種が観光に関連していることが沖縄県の産業構造の特徴と言えます。

 当行の貸出ポートフォリオについても上記の特徴を反映する形で構成されており、住宅ローン等の個人消費性ローンを除いた事業性融資では、約9割が第3次産業向け融資となっております。これら事業性融資のうち、貸家業・不動産業向け融資が約5割と大きなウェイトを占めておりますが、宿泊・飲食・物販等の観光関連産業等を含め、融資先は小口に分散されております。また、貸出ポートフォリオにおいては、製造業など重厚長大な産業向け融資の割合が低いため、特定の大口先、特定の業種に対する与信集中リスクは低く抑えられております。

 当行では、特定の大口先および特定の業種に対する与信集中状況について、取締役会の定めた「融資運用方針」に基づき、定期的にその集中状況を取締役会へ報告し、必要に応じて融資運用方針を見直すなど、適切に管理しております。

③ 担保価値の下落および不動産市場の流動性低下

 人口減少、少子高齢化の進行、経済状況の変化等の要因で市場価格が下落した場合および担保資産の市場流動性が低下することによって担保処分の執行が困難になる場合は、担保評価額が下落することで与信関連費用が増加し、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当行の貸出ポートフォリオは、住宅ローンおよび貸家業・不動産業融資が約6割を占めていることから、不動産担保による保全率は高くなっております。

 また、近年の沖縄県における地価動向は、県内景気の拡大を背景に全国比較で高い上昇率で推移しており、観光需要の回復に伴い、地価の上昇傾向が継続しております。

 当行では、担保に関するリスクへの対応として、担保物件の処分および取得時の売買情報を月次で本部にて収集するなど市場動向を継続して注視しているほか、審査目線の一つとして不動産物件の担保価値と借入金の比率であるLTV(Loan to Value)および不動産の収益と元利金返済の比率であるDSCR(Debt Service Coverage Ratio)を重視するなど、安全性の高い良質な貸出ポートフォリオの構築に努めております。

④ 信用リスク低減に向けた各支援策の実施と将来への備え

 当行では、2020年6月より「コロナ対応支援」として①中小企業への支援態勢の強化、②大口先(約30社)の定期的なモニタリングの開始、③資本性借入金の積極活用、④沖縄県の主要企業によって構成されるファンドを通じた支援などを展開し、取引先支援を通じ信用リスク顕在化の低減に取り組んでまいりました。さらに、2021年9月からは①個社毎の出口戦略サポートの強化、②ビジネス・マッチングなど営業情報の活用、③長期借入金等の一本化による支援、④債務者区分判定の弾力運用、2022年12月には全国旅行支援補助金見返り融資の取扱開始、コロナ特別貸付「ゼロ・ゼロ融資」先の支援強化や外部支援機関との連携など、取引先へのモニタリングと対話を通して、アフター・コロナにおける適切かつ継続的な支援が実施できるよう追加の施策を実施しております。

 条件変更の相談件数は、コロナ禍に比較して低位で推移しており、「ゼロ・ゼロ融資先」についても元金据置期間の終了に伴い、順調に返済が開始されております。各コロナ関連融資の全体的な返済状況も概ね良好に推移していることから、信用リスク量は限定的なものとなっております。

 また、条件変更や資金繰り支援等により信用リスクの顕在化は抑制したものの、上記取り組みの結果として、当行の貸出ポートフォリオに信用リスクの高い層が内在しております。内在する信用リスクに対しては、当行では2021年3月期より一般貸倒引当金の算出方法を過去の貸倒実績に基づく予想損失額の見積もり方法から、将来の予測を貸倒引当金に反映させる手法(フォワード・ルッキングな引当)を導入し、予見される信用リスクをより適時・適切に引当金へ反映させ、将来の損失発生への備えを強化しております。

(2)市場関連リスク

 市場関連リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場の変動により、保有する資産の価値が変動し損失を被るリスクであります。

 当行グループは経営体力を踏まえたリスクテイクによる安定的な収益の確保を目的に有価証券投資を行っており、日本国債や地方債などの円貨債券、欧米国債などの外貨建債券、株式、投資信託等を保有しております。これらの市場性資産は市況により価値が変動するため、大幅な相場変動が起きる場合には、以下に示す各リスクの顕在化から保有資産の価値が変動し、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当行グループの有価証券ポートフォリオは、国内外の国債や地方債、格付の高い社債への投資が中心となっております。債券の保有比率は、保有する有価証券の9割超となっています。2024年3月末時点において保有する円貨債券は約5,950億円あり、その内訳は日本国債が約6割、地方債が約3割となっています。元本の平均回収期間を示すデュレーションは約3.3年となっております。外貨建債券はドル建ておよびユーロ建ての海外国債を約500億円保有しており、デュレーションは約3.9年となっております。

 価格変動リスクのある資産(株式・投資信託)は有価証券全体の約6%程度を占めており、金額で約470億円となっています。このうち時価のある政策保有株式は11銘柄で約23億円となっております。

 ① 金利変動リスク

 当行グループは、日本国債、地方債、欧米各国の国債など金利リスクのある債券を保有しているため、国内外の金融政策の変更等により市場金利が大幅に上昇した場合に評価損が発生するほか、調達コストが運用収益を上回る場合は逆ザヤが発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 日本銀行がマイナス金利政策を解除したことから、今後金融政策の正常化が意識されやすい中で、市場金利は上昇する可能性があります。債券運用残高の拡大やデュレーションが長期化した際に市場金利が上昇すると、評価損が大きくなるほか、配当可能原資の減少につながるリスクがあります。

 当行グループでは、運用方針にて取引限度額を定めるほか、リスクの定量的分析等によりモニタリングを行い、過度なリスクテイクを抑制しております。また、市場リスクのVaRに限度額を設定しリスクを経営体力の範囲にコントロールしているほか、有価証券損益を日次で把握しており、市場が急変した場合には運用部門と経営陣・関連部署が速やかに対応を協議するなど、損失を抑制する体制を構築しています。

 
 ② 為替変動リスク
 当行グループの為替リスクについては、主に為替スワップ取引および債券レポ取引等を利用し、持高限度額を定めるほか、バランスを調整するなど、為替相場の変動リスクを最小化することとしておりますが、保有する投資信託には外国為替の変動を受ける商品があり、予期せぬ為替変動が生じた場合、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。


 ③ 価格変動リスク

 当行グループは、価格変動リスクのある株式や投資信託を保有しております。保有する投資信託には、国内外の株式や債券に投資するものが含まれているため、大幅な株価下落が生じた場合は減損または評価損が発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当行グループでは、保有する価格変動リスクのある商品については、運用方針にて取引限度額を定めるほか、評価損に対するモニタリング・ラインの設定、ロスカット・ルールを設けるなど、評価損の拡大抑制に努めています。

 なお、価格変動リスクのある株式等には、保有目的が純投資以外の目的である時価のある政策保有株式も含まれておりますが、これらの政策保有株式は、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」(5)「株式の保有状況」に記載のとおり定期的に保有の合理性等の検証および保有の適否を判断しており、リスクの軽減を図る体制をとっております。

 ④ デリバティブ取引のリスク

当行におけるデリバティブ取引は主に外貨建債券運用に係る外貨調達手段としての為替スワップ取引および顧客向け為替予約に係るカバー取引があります。有価証券運用においてデリバティブを内包するような複雑な商品への投資は行っておりません。

 ⑤ 資金調達に係る流動性リスク

 当行グループは、資金調達・運用構造に即した適切かつ安定的な資金繰りに加え、安全性・収益性のバランスを考慮した効率的な資金調達・運用を基本方針としており、不測の事態に備えて、資金繰り状況の逼迫度に応じた危機管理対策を予め策定し、速やかに対処できる体制を整えております。

 しかしながら、当行グループの業績および財務状況や格付が悪化した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合に、必要な資金の確保が困難になり、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる、または調達が困難となることで、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 国内外の金利変動状況に加え、物価上昇や円安進行等により、一部の業種または企業について、預金等が大幅に減少する懸念も考えられますが、預金等動向のモニタリングやそのリスクが顕在化した場合の対応策も定めていることから、資金繰りに及ぼす影響は限定的であると考えております。

 また、2023年度は、米国金融機関の破綻事象等を踏まえ、インターネットバンキングやモバイルアプリ等の普及により、これまでの想定以上に資金が流出する懸念もあることから、実質現預金へのリスク・リミットの設定や、インターネットバンキング等の契約先の預金額等をベースに新たな必要資金の目線を設け、流動性リスク管理の高度化を実施しております。

(3)自己資本比率に係るリスク

 当行グループは、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があり、当行グループの現在の自己資本比率は、この最低水準を大幅に上回っております。

 今後も安定した経営を継続するには、なお一層の自己資本比率の上昇は必要不可欠と考えており、当行グループでは、リスク・ウエイト判定の高度化等のリスク・アセットコントロールを中心に、自己資本比率の上昇に資する諸施策を継続的に実施しております。その結果として、各事業年度末の自己資本比率は上昇傾向にあります。

 本項に示した事業等に係る各種リスクが顕在化することにより、自己資本比率は低下する可能性がありますが、上述したとおり現在の自己資本比率は自己資本比率規制上の最低水準を大幅に上回っていること、近年の自己資本比率が上昇傾向にあること等から、国内基準行に求められる最低水準を下回る可能性は低いと考えております。

(4)オペレーショナル・リスク

 ① 事務リスク

 当行グループは、業務の多様化や取引量の増加に適切に対処し、想定される事務リスクを回避するために、機械化投資の拡充および営業店事務の本部集中化の拡大を図ることにより、業務の効率化と事務リスクの圧縮に努めております。また、事務水準の向上や事務事故の未然防止の観点から、事務指導の強化や研修等を実施し、内部監査を厳格に実施しております。しかしながら、役職員による不正確な事務や不正、過失、あるいは外部者による窃盗や詐欺などにより、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ② システムリスク

(ア)当行グループは、システムリスク管理方針やバックアップ体制等を整備し、預金・為替・融資などの業務を行う勘定系システムをはじめとしたコンピューターシステムの安全稼働に万全を期しております。しかしながら、万が一重大なシステム障害や不正使用等が発生した場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(イ)当行グループは、外部からのサイバー攻撃等への対応としてサイバーセキュリティ作業部会(CSIRT)を設置し、外部機関との情報連携やサイバーセキュリティに関する訓練の実施、システムの脆弱性への対応等、システムの安全稼働とセキュリティ強化に努めております。しかしながら、サイバー攻撃等によりシステムの停止や情報漏えい、データの改ざん・破壊等が発生した場合には、決済機能や各種サービスの停止、社会的信用の失墜などにより、当行グループの業務運営や業績および財務状-況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ウ)当行グループは、非対面取引を安心・安全にご利用いただけるよう、インターネットバンキングのセキュリティ強化に努めております。対策としてワンタイムパスワードやリスクベース認証の導入、ホームページやメールマガジン・テレビCMで、SMSからフィッシングサイトへ誘導する手口等について注意喚起などを実施しております。また、他金融機関、警察と連携して犯罪の抑止となる情報収集にも努めております。しかしながら、犯罪者による不正送金が行われた場合、当行グループの信用失墜となり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(エ)当行グループはカード発行業務(イシュイング業務)を通じて、沖縄県内のキャッシュレス化に取り組んでおります。安全性確保のため、セキュリティサービスの導入による不正取引の排除や、国際ブランド、同業他社との連携による取引のモニタリング精度の高度化等により、日々、不正対策の強化を図っておりますが、クレジットマスター等の外部からの攻撃や、デジタル技術の発展で巧妙化する新たな手法による不正取引が大量に発生した場合は、当行グループの信用失墜となり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

 ③ コンプライアンスリスク

 当行グループは、銀行業務を遂行する上でさまざまな法令等を遵守することが求められるだけでなく、関係するさまざまなステークホルダー(利用者・役職員・社会・市場・株主等)からの信頼・信用を保持し、その期待に応えることも求められています。過去の不祥事件の経験を踏まえ、企業風土の変革を含む再発防止策の導入とその後の実効性確保を、最重要の経営課題の一つとして定期的にフォローアップし、改善に取り組んでおります。

 しかしながら、これらの取り組みが不十分であるために、コンプライアンス違反や不祥事件等が発生した場合には、当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ④ マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策上の不備に係るリスク

 当行グループは、事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用およびそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けております。近年、金融犯罪が多様化かつ高度化し、本邦金融当局や海外の規制当局から要請されるマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の基準は急速に高まっております。当行グループでは、国内外のマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止態勢の高度化に向けて、本邦金融当局から要請されているAML/CFTガイドライン対応として「法人口座開設時の審査厳格化」、「お客様の取引状況の定期的確認」等の各種施策の実施に取り組んでいます。一方、AML/CFTに関する先進的かつ実用的な取り組みのあるTSUBASAアライアンスに参加し、情報およびスキルの収集に努めています。

 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止態勢の高度化が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、当行グループの信用失墜等により、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑤ 風評リスク

当行グループの業務は、預金者等のお客様や市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客様や市場関係者が当行グループについて事実と異なる理解・認識をされ、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 
(5)その他のリスク

 ① 自然災害に関するリスク

 当行グループでは「危機管理計画(コンティンジェンシープラン)」をはじめ各種の対応マニュアルを整備し、災害対応訓練等を通じてその実効性向上を図っております。しかしながら、近年大型化している台風の直撃や大規模な地震等の自然災害の発生により、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当行グループ自身の被災による損害のほか、取引先が自然災害により業績が悪化した場合、信用リスクの上昇などを通じて、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、通常想定されるレベルの台風では当行グループの建物は構造上重要な被害を受けるものではなく、被害は限定的なものと想定しております。

 ② 気候変動に係るリスク

 当行グループは、気候変動が環境・社会、人々の生活・企業活動にとっての脅威であり、金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要な課題の一つであると認識しています。当行グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言に賛同するとともに、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでおります。それと同時に、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートする取り組みも進めております。気候変動リスクとしては、低炭素経済移行に伴う政策・法務・技術・市場の変化等に起因する移行リスク、気候変動による資産に対する直接的な損傷やサプライチェーンの寸断による財務損失等の物理的リスクが挙げられます。

 移行リスクにつきましては気温上昇による当地の主要産業である観光業および関連する飲食業、運輸業への影響を試算し、与信関連費用を計測しました。

 物理的リスクにつきましては台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行支店における設備等への被害額試算したところ与信関係費用における追加信用コストや支店における設備等への被害額(累積)を計測しました。 

 当行グループのGHG(温室効果ガス)排出量(Scope1,2)につきましては2030年度まで2013年度比60%削減および2050年度までにカーボンニュートラル目指しております。排出量削減策として本支店の省エネ化およびZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ))化(6本支店)を推進しています。また投融資先のGHG排出量(Scope3)削減も推進しており、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及を目的としたアライアンス(ZEP-Ryukyu)の構築、サステナブルファイナンスの推進、J-クレジットの運営管理業務等に取り組んでおります。ZEP-Ryukyuの取り組みにつきましては2024年3月末で加盟事業者数が115先となり、加盟事業者向けセミナーも開催による啓蒙活動を強化しております。

 当行グループの気候変動に関するリスクへの取り組みや情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合などには、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 ③ 感染症による業務継続リスク

 新型コロナウイルス感染症のような感染症が世界的に流行し、当行グループ役職員に多数の感染者が発生した場合、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当行では衛生対策の徹底による感染防止策を講じるとともに業務継続体制の整備を図ることでリスクの軽減に努めております。

 ④ 当行グループのビジネス戦略が奏功しないリスク

 当行は、収益力増強のために様々なビジネス戦略を実施しておりますが、規制緩和による多業種との競合やその他の外部要因が発生した場合には、これらの戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、当行グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 しかしながら、当行は新規ビジネスについて、事業の将来性や銀行全体の資産に対する新規投資額の割合等を十分に検討したうえで投資を決定しており、仮にビジネス戦略が奏功しないリスクが顕在化した場合でもその影響は限定的なものであると考えております。

 ⑤ 固定資産減損リスク

当行グループは、保有する有形固定資産および無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当行グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑥ 繰延税金資産に係るリスク

現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来実現すると見込まれる税金負担額の軽減効果を、繰延税金資産として貸借対照表に計上することが認められております。当行グループは、現時点において想定される金融経済環境等のさまざまな予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的に見積り計上しておりますが、実際の課税所得が想定と異なること等により、繰延税金資産が減額された場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑦ 退職給付債務等の変動に係るリスク

 当行グループの退職給付費用や債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、実際の結果が予測値と異なる場合や前提条件に変更があった場合には追加損失が発生する可能性があります。

 なお、当行は2021年10月より在職中の職員の「確定給付企業年金(DB)」のすべてを「確定拠出年金(DC)」へ移行しております。これにより、当行における退職給付債務等は、在職中の職員の退職金にかかるもの約77億円(資産と負債の合計額)と、DC移行前に退職した職員の年金(閉鎖DB)の約65億円(資産と負債の合計額)となっております。

 このうち閉鎖DBについては、低リスクでの運用方針としていることおよび年金資産が退職給付債務を大幅に上回っていることから利回りの変動等から発生するリスクや積立不足による追加拠出等が発生するリスクは大幅に軽減されております。

 ⑧ 規制変更のリスク

当行グループは、現時点の規制(法律、規則、政策、会計制度、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。将来、これらの規制の新設、変更、廃止ならびにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑨ 格付低下のリスク

 格付機関が当行の格付を引き下げた場合、当行の市場部門は、取引において不利な条件を承諾せざるを得ない、あるいは一定の取引の実施が困難となる可能性があります。このような事態が生じた場合、資金調達費用の増加や資金調達そのものが困難となる等、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、株式会社格付投資情報センター(R&I)および株式会社日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付はいずれも「A+」を取得しており、格付の方向性も「安定的」との評価を得ていることから、格付低下によるリスク顕在化の懸念は低いものと考えております。

 ⑩ 顧客情報に係るリスク

当行グループは、個人情報・機密情報等のデータを有しており、その管理につきましては、マニュアルで管理方法を明確に定めるとともに、本人確認システムを導入する等、不正利用・流出を防止する体制を強化しております。しかしながら、これらの対策にも関わらず、重要な情報が外部に漏洩および滅失、毀損した場合には当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

 ⑪ 重要な訴訟によるリスク

当行グループは、法令諸規則の遵守の徹底に努め、法令違反の未然防止体制を強化しております。しかしながら、今後、様々な業務遂行にあたり、法令違反およびこれに対する訴訟が提起された場合には、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑫ 外部委託によるリスク

 当行では、お客様宛のご案内発送に関わる業務や外国為替等の対外取引業務、情報システムの運用・保守に関わる業務、ATMの管理業務等を外部企業へ委託しております。外部委託先に対しては、選定の際に、経営状況や業務遂行能力、個人情報保護の観点による情報管理態勢等のチェックを実施し、委託後も定期的な情報管理態勢等のチェックの実施や、業務遂行能力の把握に努めております。

 しかしながら、外部委託先において重要な情報の外部漏洩や、業務遂行能力の低下が生じた場合には当行グループの信用失墜や、業務運営の混乱などが生じ、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑬ 地政学的リスク

 当行グループが拠点とする沖縄県周辺において、軍事的な紛争などの当行グループのコントロールが及ばない地政学リスクが生じた場合には、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当行グループは、これらのリスクを踏まえ、有事の際の従業員の避難や事業継続についての対応策などを業務手順に明記できるように取り組んでいます。

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