片倉コープアグリ 【東証スタンダード:4031】「化学」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「企業活動を通して社会に貢献する」を基本理念として掲げております。当社グループは将来にわたって社会からの信頼を高めるべく、企業の社会的責任を最重要視し、公明正大な事業活動を通して企業価値の向上及び持続的成長、株主利益の拡大を図ることを基本方針としております。
(2)経営環境及び経営戦略等
当連結会計年度における肥料原料の国際市況は、世界的な穀物需要の増加やエネルギー価格の上昇に加え、肥料原料の主要輸出国でもある中国等の輸出量制限・抑制による供給不安の高まりや、ロシアによるウクライナ侵攻により世界的に肥料の受給逼迫への危機感が高まるなど、非常に不安定な状況です。
当社グループは、このような経営環境のもと2021年度を初年度とする中期経営計画(2021~2023年度)に基づき、「日本が誇る農業ソリューションカンパニー」「世界へ向けて素材の機能性を創出する肥料・化学品メーカー」へと成長するための事業基盤・収益基盤を固めるべく各施策に取り組んでまいりました。
(3)中長期的な会社の戦略及び対処すべき課題
(中期経営計画公表延期の背景及び理由)
当社グループは、新たに2024年4月から開始する次期中期経営計画の策定を検討してまいりましたが、その公表を延期することと致しました。
前述の通り、肥料原料の国際市況は非常に不安定な状況が継続しており、また、国内肥料マーケットの買い控えや施肥量の削減、安価肥料へのシフトによる需要低迷のトレンドは、当社グループの販売戦略及び事業展開に影響を及ぼしております。
これらの環境変化要因を総合的に考慮した抜本的な事業戦略の見直しを行い、持続可能な成長戦略としての新たな中期経営計画は2025年5月を目途に公表する予定です。
将来に向けた競争力の強化とステークホルダーの皆様への価値提供をさらに高めることを目指します。
(取り組みについて)
10年後の当社ビジョン
・日本が誇る農業ソリューションカンパニーへ
・世界へ向けて素材の機能性を創出する肥料・化学品メーカーへ
ビジョン達成に向けた、事業戦略検討ワーキングチームによる主な検討課題
・事業戦略を再評価・ゼロベースで見直し、利益水準だけではなく、資本コスト・収益性を意識した持続可能な成長戦略
・肥料の工場特性に合わせた全国ベースでの生産最適化、自働化設備導入等、オペレーショナル・エクセレンスの追求(実施中)
・管理業務の集約による業務効率化と最適人員化(実施中)
・化学品事業を中心とした、投資による既存事業の深耕と新規事業分野の開拓、シナジーや業容・販売強化の視点から企業価値向上に資するM&A案件の検討
・カーボンニュートラルへの取り組み
・グループ関係会社のシナジー効果向上の追求
(今後の事業戦略)
肥料事業においては、当社グループの製品・技術を通じて日本農業へ貢献することが「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に繋がると考えております。
片倉コープアグリは「2030年にはプラスチックを使用した被覆肥料に頼らない農業に。」を理想に掲げ、これからの時代にマッチした肥料製品ラインナップを充実させ、利便性の向上と自然環境への負荷軽減に向けてさらに努力するとともに、引き続き以下の施策への取り組みを進めてまいります。
・ペースト二段施肥機を用いた実証展示圃場を全国各地で展開。施肥作業軽労化に資する新規製品「高窒素ペースト」及び、ペースト施肥田植機の吐出設定を簡便化する新規アプリ「ペーストNAVI」の普及
・資源循環の取り組みとして、国内の未利用資源の活用を進め、堆肥を混合した肥料や、回収リンを原料に使用した肥料の開発・拡販
・当社グループの技術力を活用した植物が本来持っている収量・品質等のポテンシャルを引き出し、化学農薬使用回数低減に資するバイオスティミュラント資材の普及
・肥料袋の一部をリサイクル樹脂へ置き換えた環境負荷低減への取り組み
化学品事業においては、引き続き以下の施策への取り組みを進めてまいります。
化粧品原料
・天然素材に醗酵技術や特殊抽出技術を用いて開発した”美と健康”を追求した高付加価値素材の提供
・農業副産物を利用したアップサイクル原料の拡販
・サステナブルな化粧品開発・生産を目的としたグローバル認証であるCOSMOS認証の取得に向けた取り組み
無機素材
・2030年の欧州環境規制を見据えたバリア機能を有する食品包装フィルム用合成マイカの本格的展開
・海洋汚染が問題視されているマイクロプラスチックの代替品となる化粧品用合成マイカの拡販
化成品
・HALAL認証及びKOSHER認証を活用した工業用リン酸の中国、台湾、インドネシア等への海外展開及び新規顧客開拓
不動産事業においては、現状の賃貸物件による安定的収益の確保、渋谷駅前に有する土地については、新たに店舗・事務所用途の建物を建設し賃貸事業を行うべく2025年竣工を目指してまいります。
その他事業においては、中国等で試験を進めている新たな栽培技術について、更なる現地実証を通じて商業化の可能性を検討してまいります。
(資本政策の基本的な方針)
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、資本効率の向上と財務健全性とのバランスを確保することを資本政策の基本方針と致します。株主資本当期純利益率(ROE)を資本効率向上の重要な指標ととらえ、新規事業分野への投資、付加価値の高い製品の開発、効率的な生産・販売体制の構築を追求し、連結当期純
利益の増大を図り、株主資本当期純利益率(ROE)の向上を図ってまいります。また、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、安定的かつ継続的に業績に見合った成果の配当を行うことを基本とし、引き続き配当性向50%を目標と致します。なお、特殊要因がある場合にはこれを考慮して配当金額を決定することがあります。
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