澁谷工業 【東証プライム:6340】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来「喜んで働く」ことを経営理念として、「カスタマー・ファースト」を貫き、人々の生活に必要不可欠な業界の製造システムを開発・販売してきました。培われた技術の応用展開と新たに開発した技術との融合によって新しい分野にチャレンジし、会社の発展とともに環境と社会に貢献することを目指しております。
(2) 会社の対処すべき課題
当社グループは、創業の原点である「喜んで働く」の企業理念のもと、以下のSHIBUYA未来ビジョン宣言を定めております。
・Mission(使命): ダントツ製品でお客様の繁栄をサポート
・Vision(志) : 生活に不可欠な業界の製造を支えるリーディングカンパニー
・Value(価値観): グローバル市場で持続的に成長
当社グループは、承継すべきものに新しい時代の変化を取り入れる「不易流行」の理念を全社で共有し、2027年6月期を最終年度とする中期経営計画の達成に向けて、以下の重点施策に取り組みます。
① 社会のニーズに応える製品・サービスを開発・提供し、環境や社会・経済に貢献するサステナビリティ経営を推進します。
② 世界のトップを走るダントツ製品づくりをさらに強化し、お客様との信頼関係に基づく利益創出によるWin-Winを目指します。
③ 製品・サービス・海外拠点については、時代の要請を先取りしたグローバル戦略を推進します。
④ 3カイ(改善・改革・開発)の強力推進および予実管理の徹底に取り組み、収益力の向上に努めます。
⑤ 持続的な企業成長を目的として、新製品開発・新市場開拓・新事業創出を推進するため、多様性を尊重する広い視野での人財育成に取り組み、DX化(デジタル技術の導入による業務およびビジネスモデルの変革)を強力に推進し、お客様へより高い品質とサービスの提供と社員のWell-beingの実現を目指します。
⑥ 新事業分野への参入やM&Aに戦略的に取り組むとともに、営業、技術、生産、管理の各部門において、グループ一丸(One Shibuya)でグローバルに展開します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標
当社グループは、2025年6月期から2027年6月期を対象期間とする3ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。最終年度である2027年6月期に、売上高1,500億円、営業利益160億円およびROE10%以上の達成を目標としております。長期的には、新製品・新市場・新事業の成長エンジンによって、2030年6月期に売上高2,000億円の達成に向けて取り組んでおります。
① 新製品開発
顧客ニーズの発掘、技術陣の改善意志、産学官連携などをベースにイノベーションを創出し、チャレンジ精神と独創的な先端技術を具現化した「ダントツ製品」を開発します。
② 新市場開拓
新興国をはじめ他市場における健康意識の向上と透析患者の増大を背景に、海外市場を拡大し、世界の人々の健康を支え、増進する社会に貢献します。
③ 新事業創出
お客様のニーズにお応えすることの積み重ねが新事業の創出に繋がり、必要に応じてM&Aを活用し、事業領域を拡大します。
④ 環境への貢献
エネルギー・水・資源などの消費削減に寄与する製品・サービスの開発・提供を通じて、持続可能な社会に貢献するとともに、企業価値の向上を図ります。
(4) 経営環境
各セグメントにおける経営環境は以下のとおりであります。
(a) パッケージングプラント事業
パッケージングプラント事業は、顧客が清涼飲料業界を中心に酒類、食品、医薬品、トイレタリーなど多岐に亘っており、また生活必需品を生産するユーザーが多いことから、景気の影響を受けにくいという特長があります。その中でも、飲料を無菌環境下でPETボトルに常温で充填する無菌充填システムに関しては、技術的な優位性が多くのユーザーに支持されており、国内シェアは80~90%に上ると推定しております。当社グループの飲料用無菌充填システムは、PETボトルの薄肉化によるプラスチック消費量の削減、ボトル洗浄水の使用量低減、また取扱いが高難度な再生PET樹脂100%ボトルへの技術的な対応による高速充填などを実現しており、プラスチックごみによる海洋汚染問題への意識が高まる中、PETボトルのリサイクルをはじめ、持続可能な社会の実現に向けてユーザーが推進しているSDGs活動にも様々なかたちで貢献しております。
国内の飲料市場は、健康志向の高まりから茶系飲料や乳飲料などの低酸性飲料に人気が集中しており、消費者のニーズや嗜好の多様化も見られ、消費マインドの底堅さを背景に設備需要は堅調に推移してきました。しかしながら、少子化により国内の人口減少が進んでいることから、市場は長期的には縮小すると見込まれます。また、プラスチックごみによる海洋汚染問題をはじめとして、環境に配慮した容器や環境保全への取り組みがより一層求められることが見込まれます。このような状況のなか、当社グループが開発した環境に配慮し薬剤や無菌水の使用量を大幅に削減した電子線ボトル滅菌方式による無菌充填システムの市場ニーズは高まるものと見ており、今後の拡販戦略により更なる需要喚起は可能と見込んでおります。
また、海外においては、アジア等の新興国では消費者の嗜好の変化や所得水準の向上により衛生環境への意識が高まっていること、北米市場では健康志向の高まりにより低酸性飲料の需要が増加していることから、飲料用無菌充填システムの需要増加が見込まれ、海外での販売拡大が期待できる環境下にあります。
なお、近年注力しております再生医療システム事業では、主に大学やスタートアップ企業との共同研究開発ならびに講座等への協力を通じた産学官連携により高度な先端医療技術の研究をサポートするとともに、再生医療の実用化に向けた量産体制を担うための製品開発を進めております。再生医療システム事業は、将来の中核を担う事業に発展すると見込んでおります。
(b) メカトロシステム事業
メカトロシステム事業では、医療機器、半導体製造装置、切断加工機およびプレス機の製造販売を行っており、当事業の第1の柱である医療機器は、そのほとんどがOEM契約により製造している人工透析装置であります。国内における透析患者数は近年増加率が縮小傾向にあり、長期的には、国内人口の減少に伴い需要が減少していくことが予測されます。一方、海外では、ここ数年中国、インドを中心に世界の透析患者数が増加しており、当社の人工透析装置の海外向け売上高の割合は70%を超えております。このような状況のなか、当社はこれまで未開拓であった米国市場向けに製品開発を進めるとともに、市場評価を行い供給体制を確立しております。
当事業の第2の柱である半導体製造装置は、約50%をアジア諸国へ輸出しており、顧客のニーズにきめ細かく対応した特殊仕様機を高品質かつリーズナブルな価格で提供できる点で高い評価を得ております。今後、世界の半導体市場は、自動運転やロボット用に加えAI用として、高速画像処理と高い演算機能を兼ね備えたGPU(Graphics Processing Unit)分野の拡大や、高速通信規格である5Gサービスの普及やデータセンターの増加・拡充に伴う通信用部品製造に関係する装置の需要拡大、また、EV化や省エネ・省電力化に欠かせないパワー半導体の関係装置の需要拡大が予測されます。半導体・電子部品業界は非常に市場の動きが早く、短周期での技術革新にも対応できるよう、顧客ニーズに合致した新製品を高品質かつ短納期で開発・供給できる体制づくりに注力しております。
(c) 農業用設備事業
農業用設備事業では、主として農協向けに柑橘類用、落葉果樹類用および蔬菜類用の選果・選別プラントを製造販売しております。日本国内における農業を取り巻く環境は、各国際協定により、多くの農産物が関税撤廃の対象となっており、今後、国内産地の競争力の低下が懸念される状況にあります。更には、農業従事者の高齢化や担い手不足を背景とした大規模化など、農業の構造改革が今後もより一層加速することが見込まれます。これに対し国は、収益強化に計画的に取り組む産地を対象に、その実現に必要な農業機械の導入、集出荷施設等の整備支援政策をとっており、この政策のもと、集出荷施設の再編や施設の大型化に伴う設備更新需要は高まるものと見込まれます。
このような状況のなか、当社グループは選果・選別システムの国内トップメーカーとして、農業生産力を高めるための先端技術である「スマート農業」を推進し農業の持続的発展に貢献すべく努めております。
今後においては、高品質で付加価値の高い国際競争力のある農産物の生産の実現に向けて、当社グループの最新AIを搭載した画像処理システム、選果データをDX化し生産者への営農指導に活用される「KAISEKIシステム」、ならびに生産効率を向上させる搬送・ロボット技術により、自動化と省人化が図られた高品質な選果・選別プラントの市場ニーズが高まり、需要は増加すると見込んでおります。
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