清水建設 【東証プライム:1803】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、社是「論語と算盤」及びその考え方を基にした経営理念「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により、社会の期待を超える価値を創造し、持続可能な未来づくりに貢献する」に基づき、自社のみならず、社会・環境のサステナビリティを強く意識したうえで、事業活動を行っております。
2030年を見据えた長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」においては、当社グループは、建設事業の枠を超えた不断の自己変革と挑戦、多様なパートナーとの共創を通じて、時代を先取りする価値を創造(スマート イノベーション)し、人々が豊かさと幸福を実感できる、持続可能な未来社会の実現に貢献することを謳っております。
また、「中期経営計画〈2019‐2023〉」では、基本方針で「ESG経営の推進」を掲げ、「持続可能な地球環境への貢献」、人権尊重の徹底やサプライチェーンを含む労働環境の整備、地域社会との共生など「すべてのステークホルダーとの共生」、「コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントの強化」を図っております。加えて、ESGの各分野で非財務KPIを設定するとともに、投資計画において生産性向上や再生可能エネルギー事業、人財関連への重点投資を示し、取組みを進めております。
当社グループは、ステークホルダーからの信頼を高めるため、事業活動やサステナビリティに資する取組みについて、的確な情報開示と対話を促進し、ガバナンスの向上とリスク管理の強化に努めております。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社は、社長を委員長とする「サステナビリティ委員会※」を設置し、当社グループのESGに関する方針と重点施策並びにESGに関する情報開示(TCFD提言に基づく情報開示など)の審議・決定を行い、重要事項については、取締役会に報告を行い、監督する体制を構築しております。
併せて、気候変動や人権等に関わるリスク情報については、社長を委員長とする「リスク管理委員会」に共有するとともに、取締役会に適宜報告を行い、監督する体制を構築しております。
※ 委員会名称:2022年度は「SDGs・ESG推進委員会」、2023年4月から「サステナビリティ委員会」に改称(以下、「サステナビリティ委員会」)
また、2023年4月から本委員会の下部組織として、E、S、Gのテーマごとに部会を設置し、関連する機能別部門・部署に対して指示または報告を受ける体制を整えております。
<サステナビリティに関するガバナンス体制図>
(2)マテリアリティの特定
当社は、SDGsをはじめとする様々な社会課題や当社の社是、経営理念、長期ビジョン等を勘案し、「社会への影響度」と「自社にとっての影響度」の2つの側面から重要度を検討のうえマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティを強く意識した事業活動を推進しております。
<当社のマテリアリティ(7つのカテゴリーに分類して整理)>
「マテリアリティ」の詳細については、下記URLよりご参照ください。
https://www.shimz.co.jp/company/csr/materiality/
(3)気候変動に関する当社グループの考え方及び取組み
当社グループは、気候変動による事業への影響を重要な経営課題と捉え、ESG経営の観点からも、気候関連情報の開示を重視し、2019年10月には、TCFD提言への賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」に参画するとともに、2020年から同提言に沿った気候関連の情報を開示しております。
①ガバナンス
サステナビリティ委員会において、気候関連のリスクと機会の特定と評価の結果を審議するとともに、CO₂排出量削減の中長期目標「エコロジー・ミッション 2030-2050」等の達成度を管理し、重要事項は取締役会に報告され、監督する体制となっております。また、本委員会で決定されたシミズグループの環境問題に関する重要事項は、本委員会の下部組織である環境部会を通じて、事業部門(支店を含む)及びグループ会社に伝達され、主要サプライヤーも含めた環境に関するガバナンス体系を構築しております。
②戦略
当社グループの事業に影響を与える気候関連のリスクと機会は、脱炭素社会の構築に必要な政策や規制の強化及び市場の変化等の「移行」に関するものと、地球温暖化による急性的・慢性的な「物理的変化」が考えられます。また、「2050年までにカーボンニュートラル達成」との日本政府の方針が示され、ビジネスモデルの変革や産業構造の転換が求められており、既に市場や社会環境の変化も生じております。
なお、「移行」と「物理的変化」に関するリスクと機会を検討するにあたり、以下のシナリオを採用しております。
・移行シナリオ :国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ(SDS)
・物理的シナリオ:国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4℃を越えるシナリオ(RCP8.5)
<当社グループの事業に与える影響度が「大」となる主な要因と対応>
| 主な要因 | 影響時期※ | 当社の主な対応 |
機会 | 省エネルギービルの ニーズ拡大 | 中期 | ・ZEBの設計施工を推進 |
再生可能エネルギーの ニーズ拡大 | 短期~中期 | ・再生可能エネルギー事業を推進 ・水素エネルギー利用システムを 開発・実用化 | |
気候変動による市場の 変化 | 短期~長期 | ・BCP対応の提案実施 ・非建設分野における新たな事業の創出 | |
国土強靭化政策 | 短期~中期 | ・インフラ整備事業の受注活動を強化 | |
リスク | 夏季の平均気温上昇 | 中期 | ・ロボット、ICT、AI等を活用し、 現場の省人化と生産性の向上を推進 ・働き方改革や熱中症対策など、 労働環境を改善 |
※ 短期:3年以内、中期:3年超~10年以内、長期:10年超と設定
③リスク管理
当社グループは、グループ環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」のもと、気候変動をはじめとする環境に関連する事業リスクの最小化と、機会の最大化を目指しております。
サステナビリティ委員会において、気候変動への対応に関する日本と世界の動向等が報告され、気候関連のリスク管理についても審議しております。また、本委員会では、地球温暖化に対するリスク管理として、事業による温室効果ガス(CO₂)の排出量の削減目標を設定し、目標を達成するための具体的な施策(建設作業所における使用エネルギーの軽油から電力へのシフト、再生可能エネルギー由来電力の使用拡大等)を決定するとともに、温室効果ガス(CO₂)の排出量の定期的監視を実施しております。
これらのリスク管理を通じて、今後、多様化・広域化・激甚化する気候変動に関するリスクや機会に対処していきます。
④指標と目標
当社グループでは、気候関連のリスクが経営に及ぼす影響を評価・管理するため、温室効果ガス(CO₂)総排出量を指標とし、SBT※1に基づいた中長期の温室効果ガス(CO₂)の削減目標(SBTイニシアティブから認証を取得)を設定しております。
※1 Science Based Targets(科学的根拠に基づく目標)
世界の平均気温の上昇を「2℃(もしくは1.5℃)未満」に抑えるための、企業の科学的な知見と整合した温室効果ガスの排出量削減目標
<温室効果ガス(CO₂)削減目標と実績(2021年度)※2> (単位:t-CO₂)
対象Scope | 基準排出量 | 排出量実績 | 目標年排出量 | ||
2017年度 | 2021年度実績 | 2023年度 | 2030年度 | 2050年度 | |
Scope1※3 + Scope2※4 | 275,575 | 233,102 (△15.3%) | 248,040 (△10%) | 184,650 (△33%) | 0 (△100%) |
(Scope1) | 216,710 | 197,818 | - | - | - |
(Scope2) | 58,865 | 35,284 | - | - | - |
Scope3※5 (Category11※6) | 3,451,656 | 5,407,779 (+56.7%) | - | 2,761,320 (△20%) | 0 (△100%) |
※2 2022年度の排出量実績は算定中であります。また、目標及び実績に、日本道路㈱の温室効果ガス(CO₂)排出量は含まれておりません。
3 重機等の燃料使用に伴う排出(直接排出)
4 購入した電力・熱の使用に伴う排出(電力会社等による間接排出)
5 サプライチェーンにおけるその他の間接排出
6 (販売した製品の使用)設計施工ビル運用時のCO₂排出量
「TCFD提言に基づく気候関連の情報開示」の詳細については、下記URLよりご参照ください。
https://www.shimz.co.jp/company/csr/environment/tcfd/
(4)人財育成方針・社内環境整備方針
当社グループは、中期経営計画〈2019‐2023〉において人財育成・働き方改革を重点戦略に位置づけております。その中で、①グローバル人財・イノベーション人財戦略の推進、②「働きがい」の継続的な向上、③多様な人々が活躍できるインクルーシブな人財マネジメントの構築を3つの柱に据えて、次世代を担う人財を確保・育成するとともに、多様で柔軟な働き方の定着と働きがいのある職場環境の実現に取り組んでおります。
①グローバル人財・イノベーション人財戦略の推進
当社は、デジタル化・グローバル化といったダイナミックな環境変化に迅速に対応し、変化をビジネスチャンスとして企業の持続的成長に繋げるためには、自律性とチャレンジ精神が重要と考え、優秀な人財の確保・育成に向けて、人財管理の仕組みづくりや計画的かつ継続的な人財投資を行っております。加えて、グローバルに通用し、改革を率先するリーダー人財の育成の場を拡充するとともに、チャレンジする機会を創出し、事業家マインドを持った人財の育成と活用を進めております。
<主な取組み>
・成長意欲の伸長を促す評価制度の導入(2021年4月~)
・シニア世代の活躍推進にも着目した65歳までの定年延長(2021年4月~)
・360度フィードバックや外部アセスメントを活用した多角的なフィードバックの開始(2021年10月~)
・全従業員が受講可能な情報系教育コンテンツの配信開始(2021年11月~)
・従業員の起業を支援するコーポレートベンチャリング制度の開始(2022年5月~)
・公募留学制度の開始(2022年5月~)
・公募職務に対して希望者が自ら手を挙げるジョブチャレンジ制度の開始(2022年11月~)
2023年には、東京都江東区潮見に潮見イノベーションセンター(仮称)のオープンを予定しております。当該施設においては、次の100年を見据え、当社のDNAを継承しながら、新しい価値の創造を牽引できる人財の育成と、多様な社外パートナーとの共創を活性化するオープンイノベーションのプラットフォームを構築し、人財イノベーションを加速していきます。
<人財関連投資の状況>
| 計画〈 2019-2023 〉 | 実績〈 2019-2022累計 〉 |
人財関連投資 | 200億円 | 130億円 |
②「働きがい」の継続的な向上
当社は、「働きがい」の継続的な向上のため、2018年から全従業員を対象とした「働きがい 意識調査」を毎年実施し、従業員の“働きがい”を定量的に把握しており、2023年度までに働きがい指標※を4.0以上にすることを目標に、様々な施策に取り組んでおります。
<働きがい指標の状況>
| 2023年度目標 | 2022年度実績 |
働きがい指標 | 4.0以上 | 3.67 |
※ 当社従業員に対する「働きがい意識調査」による指標(5段階評価の平均)
当社は、従業員の理解を深め、目指す姿へのベクトルを合わせるために「働きがいと魅力あふれる職場づくり」に向けたグランドデザインを策定し、1on1ミーティングやパルスサーベイを活用した、対話(コミュニケーション)による意識・行動変革を進めております。
<「働きがいと魅力あふれる職場づくり」に向けたグランドデザイン>
また、当社は、「いつでも・どこでも・安全に」業務ができるインフラとして、IT環境の整備及びネットワーク環境の増強、全従業員へ業務用パソコン及びスマートフォン等を貸与するほか、リモートワークやスライド勤務、電子決裁の推進など、多様かつ柔軟な働き方を選択できる環境を整備しております。
③多様な人々が活躍できるインクルーシブな人財マネジメントの構築
当社は、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進や働きやすい職場環境の整備等、計画的に取組みを進めております。
<主な取組み>
・改正育児・介護休業法の施行に先駆けた男性版産休制度「パタニティ休業制度」の導入(2021年10月~)
・自身または配偶者の妊娠がわかった段階で上職者と休業前後の働き方等のすり合わせを行い、対象者が安心して休めることを目的とした「育児とキャリアの面談」の導入(2021年10月~)
・社内のジェンダーギャップ解消を目的とした「シン・ダイバーシティ」活動の展開(2022年5月~)
・ダイバーシティを理解し、活用できるマネジメント層の拡充を目的とした「インクルーシブリーダー研修」の実施(毎年度)
・障がいのある従業員の活躍推進と全従業員の意識啓発を目的とした「チャレンジフォーラム」の開催(毎年度)
管理職への登用にあたっては、多様性を尊重し、性別、性的指向、性自認、国籍、障がいの有無、新卒・中途の採用区分等に関係なく、能力や人物を評価したうえで実施しております。
これらの取組みの結果、女性管理職数は、2019年度に設定した目標「2023年度までに2018年度(84名)比50%増」を2021年度に前倒しで達成するなど、着実に増加しております。今後、さらなる取組みを実施し、企業文化を含む、企業変革を確実に進めていきます。
<女性従業員の管理職への登用の状況(2023年3月末時点)>
| 人数 (総数に占める比率) | 管理職人数 (管理職総数に占める比率) | 女性管理職比率 目標値 |
女性従業員 | 1,865名 (17.2%) | 140名 (3.3%) | 2025年度 5%以上 2030年度 10%以上 |
また、当社は、従業員の健康増進に向けて、全社的な推進体制を整備し、必要な施策を継続的に実行しております。
<主な取組み>
・勤務時間中の喫煙禁止と本社の喫煙所の廃止(2021年10月~)
・多様な相談窓口の設置、各拠点への常勤産業保健スタッフの配置などメンタルヘルスの向上をサポートする体制の強化(2022年4月~)
・職場環境改善に向けたフォローの強化(職場巡回、希望者との面談など)(2022年4月~)
・睡眠改善の全社的取組みの実施(2022年10月~)
以上の取組みの結果、当社は、特に優良な健康経営®を実践している企業を顕彰する健康経営優良法人2023に認定されました。引き続き、一人ひとりの心身の健康、職場の活性化等による健康経営への取組みを推進していきます。
※「健康経営®」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
- 検索
- 業種別業績ランキング