企業兼大株主武蔵野銀行東証プライム:8336】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

①ガバナンス

 当行グループは、頭取を委員長とする「サステナビリティ推進委員会(以下「委員会」という。)」、その下部組織の「サステナビリティ検討部会」において企画立案、進捗管理等を行っております。

 また、定期的に取締役会へ取組みを報告することとしております。これにより、取締役会が気候変動への取組みを監督する態勢を構築しております。

 委員会は、取締役及び本部部長をメンバーとして、気候変動を含む環境や社会に係る機会及びリスクへの対応方針や取組計画等を協議しております。

 気候変動を含む環境への取組みをグループ全体で推進するため、2021年12月には「サステナビリティ基本方針」「環境方針」を制定し、気候変動に関するリスクへの対応が地球環境に係る重要な課題であることを認識したうえで、脱炭素社会の実現を目指した取組みを実施することを定めております。

2022年3月にはサステナビリティに関わる全行的取組みを統括・推進する専門組織として、総合企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置いたしました。地元企業のサステナビリティ経営支援、より主体的・先導的な地方創生・地域活性化に取組むとともに、先鋭化する気候変動・生物多様性などの環境問題やダイバーシティ&インクルージョンといった課題についても、同室が中心となり組織横断的に分科会(地域経済活性化分科会、地域社会活性化分科会、環境・ダイバーシティ分科会)を組成して取組んでおります。

2023年度よりスタートした中期経営計画において、武蔵野銀行SDGs宣言への取組みを主要戦略に組み込み、多様な取組項目毎に具現化を進めてまいります。

②戦略

 当行グループは、短期(概ね5年)、中期(概ね10年)、長期(概ね30年)の時間軸を考慮して気候変動に伴うリスク(物理的リスク、移行リスク)と機会の分析を検討して行っております。

(物理的リスク)

(イ)リスクの特定

 物理的リスクとしては、IPCCのSSP5-8.5シナリオ(4℃上昇シナリオ)を前提として気候変動に起因する自然災害によって以下の信用リスクが増加する可能性があると認識しております。

・風水災等の洪水発生に起因する不動産担保の損壊等による信用リスクの発生(短期~長期)

・お客さまの営業拠点被災に伴う事業停滞による信用リスクの発生(短期~長期)

 あわせて埼玉県の気候、地形等に応じた気候変動の要因についても今後調査研究してまいります。

(ロ)シナリオ分析

 台風・豪雨等風水災による埼玉県内全域における洪水を想定した当行不動産(建物)担保の損壊等による担保物件への影響を分析しております。

 当行が主たる営業基盤とする埼玉県は国内でも河川面積の割合が大きく平地割合も大きいことから、洪水による担保物件への影響については、事業性貸出金に加え住宅ローンについても分析対象といたしました。分析にあたっては、担保物件所在地の浸水度合をハザードマップから調査し、かつ建物については階数による浸水割合を考慮しております。

 また、当行取引先が浸水した場合の売上減少想定額についても上記調査と同様に分析しております。分析にあたっては、本社所在地の浸水度合をハザードマップから調査し、国土交通省水管理・国土保全局「治水経済マニュアル」による浸水度合毎の営業不稼動日数を勘案しております。以上の分析の結果、与信関係費用への影響は最大29億円となりました。

 今後は、洪水だけでなく気温上昇による熱中症リスクや取引先の本社以外の重要拠点浸水による影響等も調査研究してまいります。

(移行リスク)

(イ)リスクの特定

 移行リスクとしては、IEA国際エネルギー機関のNZEシナリオを前提に脱炭素社会への移行過程において以下の信用リスクが増加する可能性があると認識しております。

・気候変動に関する規制や税制等の変更に伴うお客さまの事業への影響による信用リスクの発生(中期~長期)

・脱炭素関連技術の失敗や市場の変化に伴う事業撤退による信用リスクの発生(中期~長期)

(ロ)シナリオ分析

 貸出取引量(件数、金額)や移行リスク度合い等、当行及び埼玉県における脱炭素社会への移行による影響を勘案して、「不動産」「自動車部品」「陸上運輸」「電力」の4つの業種について分析を実施いたしました。

 その結果、与信関係費用の増加額は最大12億円となりました。

(機会)

 お客さまのSDGsの取組みや気候変動に伴う脱炭素社会への移行にあたって、地域金融機関としてのビジネス機会の増加を想定しており、ESG及び脱炭素経営等を支援する以下の取組みを強化しております。(短期~長期)

・融資商品として、2021年9月に「むさしのサステナビリティ・リンク・ローン」、2022年4月に「むさしのSDGsフレンズ・ローン」・「むさしのサステナビリティ・フレームワーク・ローン」、2022年8月に「むさしの優良企業サステナブルファンド」の取扱いを開始

・コンサルティング商品として、2021年10月に「SDGsコンサルティング」、2022年4月に他社と連携した「SDGs診断サポート」・「脱炭素コンサルティング」の取扱いを開始

(その他)

 当行貸出金等に占める炭素関連資産(※)の割合:27.13%程度

  ※炭素関連資産:2021年10月改訂のTCFD提言が推奨する定義を踏まえた4セクター(①エネルギー、②運輸、③素材・建築物、④農業・食糧・林業製品)向け2023年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計であります。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除いております。

③リスク管理

(気候変動リスクの特定と管理体制)

 当行は、気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが、当行の事業運営、戦略、財務計画に大きな影響を与えることを認識しております。

 今後、気候変動に関連する物理的リスクや移行リスクに関する定性的及び定量的な分析結果を踏まえ、お客さまの事業活動に及ぼす信用リスクとして、統合的リスク管理の枠組みの中で管理する体制の構築に努めてまいります。

(気候変動リスクを踏まえた融資ポリシーの公表等)

 投融資方針では、地球温暖化に直接的な影響を及ぼす石炭火力発電所向け与信の厳格化等を含む当行の与信上の取組姿勢を明文化しております。

④指標及び目標

(サステナブルファイナンス目標)

 地域社会の「脱炭素化」実現に資するサステナブルファイナンスの実行金額の目標として、2021年度から2030年度までの10年間で、累計1兆円の実行と設定しております。

 なお、2022年度までのサステナブルファイナンスの実行金額は1,886億円となりました。

 「サステナブルファイナンス」とは環境課題や社会課題の解決を資金使途とするファイナンスであり、お客さまのESGやSDGsへの取組みを支援するファイナンスが含まれます。

(CO2排出量の推移)

 当行グループのCO2排出量の推移はグラフのとおりであります。

過去のScope別排出

(単位:t-CO

 

2013年度

2020年度

2021年度

2022年度

Scope1

1,049

732

773

806

Scope2

7,131

5,992

5,777

5,790

Scope3

(後述)

総排出量

8,180

6,724

6,550

6,596

 当行グループ全体の2022年度のCO2排出量(Scope1+Scope2)は、2013年度比△19.4%となりました。

 2022年度は支店網の見直しによる電力削減効果があったものの、2021年12月にオープンした本店ビル及び2022年夏季の猛暑の影響でCO2排出量は増加いたしました。

 今後は継続して節電及び省エネ設備への切替(営業車両を含む)や再生可能エネルギー調達などに取組んでいき、2030年度CO2排出量目標、2013年度比70%削減を目指します。

(Scope3カテゴリ15の試算 事業性融資の排出量)

 投融資先を通じた間接的な温室効果ガス排出量は、金融機関におけるスコープ3(サプライチェーンにおけるCO2排出量)の中でも大きな割合を占めるため、2021年度PCAFスタンダード(※)の計測手法を参考に当行の国内事業法人向け融資について試算いたしました。

※金融機関における投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアティブ。

 試算概算は以下のとおりであります。

・当行融資先をTCFDの14業種に分類して試算した業種別排出量

業種

排出量

(単位:t-CO

 

業種

排出量

(単位:t-CO

資本財

461,395

 

海運・空運

15,469

金属・鉱業

456,106

 

電力

146,720

化学

297,733

 

石油・ガス

102,056

不動産管理・開発

243,011

 

飲料・食品

255,429

建築資材

191,282

 

製紙・林業

130,651

陸運

359,353

 

農業

18,551

自動車

143,230

 

その他

3,613,860

 

 

 

合計

6,434,846

 ・排出量の算定方法

 融資先売上高×売上百万円当たりの排出量(業種別)×当行融資の寄与度

 ・時点

 融資残高:2023年3月末時点

 融資先売上高等財務指標:試算を行った2023年3月末時点で当行の保有する各融資先の最新決算情報

 今回はScope3カテゴリ15の計測として事業法人向け融資を試算いたしましたが、今後は算定範囲を順次広げてまいります。

(2)人的資本

①戦略

(人材育成方針)

 当行は、「自律」「挑戦」のキーワードのもと、地域・お客さまの期待を超える存在となることを目指し、豊かな地域社会の未来の実現に向けて取組める人材を育成してまいります。

(自律)

 不確実性の高い時代において、従業員一人ひとりが自らの考え方や思いに基づき行動・判断できるよう、自律性を身につけた人材を育成してまいります。

(挑戦)

 従業員一人ひとりが、目の前にある様々な機会に対し、自ら意思表示し、チャンスを掴もうとする挑戦心を持った人材を育成してまいります。

(社内環境整備方針)

 当行は、「多様性」「つながり」のキーワードのもと、組織と従業員の力の最大化に向け、環境変化に対応するためにレジリエンスを高めると共に、多様な働き方を提供できる社内環境を築いてまいります。

(多様性)

 従業員一人ひとりが目標や働きがいを見出した上で、自分の力を最大限に発揮することができるよう、「多彩な考え方を理解し、お互いに認め合い、尊重できる、心理的安全性の高い職場」を築いてまいります。

(つながり)

「価値観の異なる者同士」が、様々な形のつながりを築き、ひとりでは成し得ない新たな価値を作り出すことのできる企業を目指してまいります。

②指標及び目標

 当行グループでは、上記「①戦略」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績

(当連結会計年度)

プロフェッショナル資格保有者数

※FP1級、中小企業診断士、証券アナリスト等

2026年3月末までに300名

185名

従業員満足度(働きがい、エンゲージメント向上)

100%を目指し持続的に向上(注)

74.4%

年次有給休暇平均取得日数

2026年3月末までに平均15日

12.6日

障がい者雇用率

2026年3月末までに2.6%

2.43%

一人当たり人材投資額

2026年3月期85,000円

62,404円

本部専門職種への職務エントリーによる配置人数

中計期間中の3年間累計100名

累計76名

(前中計期間中)

ITパスポート保有率

2026年3月末保有率80%

57%

(注)「従業員満足度」では、従業員一人ひとりが「今の職場で働くことに満足しているか」等の問いに「そう思

 う」と回答している比率を、毎年高めていく取組を継続してまいります。

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