栗田工業 【東証プライム:6370】「機械」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、当事業年度において新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、従来の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムが相互に影響し合った持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した「企業ビジョン」の実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。
当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
①中期経営計画
当社グループは、2023年4月より5カ年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせました。マテリアリティの課題解決に繋がる社会価値を起点とした新事業の創出やCSVビジネスの展開に加え、顧客価値を起点とした既存ビジネスの深化・変革により、強固な社会価値・経済価値の創出基盤を確立することを目指しています。PSV-27 計画最終年度(2027年度)の業績目標は次の通りとしております。
売上高 4,500億円
売上高事業利益率 16%※
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上
投下資本利益率(ROIC) 10%以上
※事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標です。IFRSで定義されている指標ではありませんが、財務諸表利用者にとって有用であると考え、自主的に開示しております。
「PSV-27」では「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」を基本方針とし、次の重点施策に取組んでいきます。
(重点施策)
・電子産業への重点化
超純水供給事業で蓄積した「水に関する知」をバリューチェーン全体で活用し、併せて営業・設計・調達の変革を実現することにより、圧倒的なスピードで深い顧客理解に基づくソリューションを提供し、世界の電子産業市場に対する事業展開を加速していきます。
・多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開
各国・地域の顧客動向やニーズを一元的に把握し、CSVビジネスをはじめとした社会との共通価値を創出するソリューションをグローバルに展開します。また、サーキュラーエコノミーの視点で、企業と企業、企業と地域をつなげるソリューションを開発し提供していきます。
・社会課題を解決するイノベーションの推進
温室効果ガス(GHG)排出削減、節水、資源循環などで社会に貢献する新たな領域の開発に中長期的な視点で取り組みます。また、外部機関との協業を推進し、新たな領域で確固たる競争優位性を確立していきます。
・技術立社としての基盤強化
技術立社を支える多様な分野の人材の獲得と育成を強化するとともに、世界の知財のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、デジタル技術を駆使した「水に関する知」の蓄積と利活用を進めていきます。
・グループ経営基盤のさらなる強化
当社の経営体制を変革し、コーポレートガバナンスの水準を一層高めていきます。また、多様な人材の育成
と活躍の支援によるエンゲージメントの向上、生産プロセスの変革とサプライヤーとの共存共栄に基づく強固
なサプライチェーンの構築、デジタル技術の早期確立と業務プロセスの変革によるデータドリブンな経営に取り組んでいきます。
②価値創造ストーリー
当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグル
ープの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。
(クリタグループの価値創造ストーリー)
私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。
現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。
私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。
(3) 会社の対処すべき課題
当社グループは、2023年度より中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせまし
た。PSV-27計画では、サステナビリティを経営戦略の中核に位置付け、クリタグループの経済価値の向上と社会価値、顧客価値の向上を結び付けた取り組みを強化していきます。
PSV-27計画の初年度である当期は、電子産業への重点化に取り組み、新規のお客様から水供給サービスの受注を獲得したほか、ドイツのアルカデ・エンジニアリングGmbHとその関連会社の株式を取得し、欧州での事業基盤を整備しました。また、グループ全体でCSVビジネスの展開に取り組むとともに、国内ではCSVビジネスを加速させるため、グループの販売事業会社の統合を決定したほか、使用済紙おむつの分別処理装置を初受注し、循環型経済社会に貢献する事業を立ち上げました。収益性に課題のあったクリタ・アメリカ,Inc.では、新しい経営体制にて不採算事業を撤退させるなど変革を進め、収益性の改善が進んでいます。また、社会課題を解決するイノベーションの推進に向け、イノベーションを実現する仕組みや体制の見直し、技術立社としての基盤強化に向け、知的財産および市場を統合的に分析し、そこから得られた情報を経営戦略に役立てるIPランドスケープの活用を開始しました。さらにグループ経営基盤の強化として、指名委員会等設置会社への移行や、経験者採用も含めた採用、人材育成の強化を進めています。
PSV-27計画の2年目にあたる2024年度は、計画達成に向け、確固たる道筋をつけていく必要があります。そのために、当社グループの対処すべき課題として、次の5つの重点施策に取り組んでまいります。
1) 電子産業における事業基盤の強化とグローバル展開の推進
世界四極(日本、アジア、北南米、EMEA)体制における電子事業戦略を構築するとともに、水供給サービスの多様化とお客様層の拡大を図ります。また、DXを活用した生産プロセスの変革を推進し、リードタイム削減と建設コ
ストダウンの達成を確実なものとするとともに、サービスビジネスの拡大を継続していきます。
2) CSVビジネスを通した収益性の改善
グループ連携を強化してCSVビジネスを拡大させるとともに、新たなCSVビジネスを創出するための業務プロセス
をアジャイルに構築するほか、全社的な取り組みを加速させるプロジェクトを開始します。また、低収益事業を縮減し、収益性の改善を図ります。
3) 社会課題を解決するイノベーションの推進
2023年度に行ったイノベーション創出プロセスの抜本的な見直しを受け、実効性の高い開発基盤を確立し、運用
していきます。また、グループ内のR&D機能の連携を強化し、技術視点での競争優位性を構築し、展開をしていきます。
4) 技術立社としての基盤強化
技術立社を支える多様な分野の人材の採用と育成を継続するほか、知的財産のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、「水に関する知」の権利化や、開発技術およびビジネスモデルの競争優位性を確保していきます。
5) グループ経営基盤の更なる強化
タレントマネジメントのプラットフォームを導入し、人材データの集約と活用を推進するとともに、より実効的で透明性の高いコーポレートガバナンスの確立に取り組んでいきます。また、企業価値向上につながる財務情報、非財務情報を一体的に可視化し、PSV-27計画達成のための重点的な取り組みを明確にして管理する仕組みを構築していきます。
- 検索
- 業種別業績ランキング