企業栄研化学東証プライム:4549】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「経営理念」、「経営ビジョン」、「モットー」からなる “EIKEN WAY”を制定し、グループ全体で“EIKEN WAY”を実践することにより持続的な企業価値の向上を図り、取引先の繁栄と株主並びに社会への貢献を果たしてまいります。

EIKEN WAY

□経営理念  :ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。

□経営ビジョン:EIKENグループは、人々の健康を守るため、検査のパイオニアとしてお客様に信頼される製品・サービスを提供し、企業価値の向上を図ります。

□モットー  :品質で信頼され、技術で発展する“EIKEN”

(2) 経営戦略等

当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、サステナビリティ経営の視点を取り込むため、2030年をゴールとして、「EIKEN ROAD MAP 2030」を策定いたしました。

2030年の当社グループが目指す姿に向かっていくためのスローガンとして、

「Beyond the Field ~ Team × Challenge ~」を掲げ、従業員一人ひとりがそれぞれの能力を高め自らが活躍できる領域を広げていくこと、その高めた個の力を、領域を超えて結集しチームでチャレンジすることで新しい可能性を生み出すこと、そして、現在の事業領域から一歩踏み出し、医療のプロセスにイノベーションを起こし、検査の未来を創っていくことを目指してまいります。

「EIKEN ROAD MAP 2030」では、現在の事業領域を中核事業としつつ、注力事業分野として「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを設定しております。

「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野では遠隔診療や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。

<中長期を見据えたビジョン>

■がんの予防・治療への貢献

当社グループは、これまで検診事業(予防と早期発見)に注力し、特に大腸がんではスクリーニングプログラムをグローバルに構築し、早期発見により死亡率減少と医療費抑制に貢献してまいりました。一方で、がんの治療には高額の医療費を必要とすることから適切な治療の選択が重要です。がんの予防・早期発見だけではなく、このような医療課題に対しても対応すべく、治療薬の選択や治療効果の判定まで網羅した検査システムを開発し提供することによって、がんによる死亡率の更なる減少を目指してまいります。

■感染症撲滅・感染制御への貢献

脅威となる感染症への対策として製品ラインアップを拡充し、グローバルでの結核やマラリアなど遺伝子検査システムを展開してまいります。また、より簡易で誰でもどこでも使える迅速で精確な感染症診断システムを開発することで、医療アクセスの向上に寄与してまいります。

■ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供

健康寿命の延伸に向けて、遠隔診療や在宅での検査の領域を広げて、モバイルヘルスへ発展させていきます。最終的には本人が意識しなくても健康状態を知らせてくれる暮らしに寄り添ったモニタリングシステムの開発を目指してまいります。


<中期経営計画>

「EIKEN ROAD MAP 2030」の実現に向けて、最初の中期経営計画を策定しております。本計画では、「EIKEN ROAD MAP 2030」のビジョンに従って重点施策を設定し、加速する医療のパラダイムシフトに応えてまいります。そして、経営基盤の強化を進めるとともに、人財にフォーカスした経営を推進し、従業員のやりがい・働きがいを高め、イノベーションを創出できる環境を整備し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指します。

中期3か年の注力分野と重点施策


(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期経営計画において2025年3月期を最終年度として、売上高43,500百万円(海外向け売上高11,230百万円)、営業利益6,250百万円(営業利益率14.4%)、ROE9.2%を達成することを目指しております。


(4) 経営環境

 今後の見通しにつきましては、ウクライナ、中東等の不安定な世界情勢、資源・原材料価格の高騰、円安を背景とした物価上昇の影響により引き続き厳しい状況が見込まれます。

 当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」の下、現在の事業領域を中核事業としつつ、「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを注力事業分野として重点施策を展開してまいります。「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野では遠隔健診や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。

 また、持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組むべき11のマテリアリティ(重要課題)を特定し、具体的な行動計画に展開しています。各マテリアリティについて、達成度を評価するための指標(KPI)を設けて進捗状況をモニタリングしながら取り組みを進めてまいります。世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題にも積極的に取り組み、社会課題の解決を通じて、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現につなげてまいります。

 次期の業績見通しにつきましては、海外での便潜血検査用試薬及び結核菌群検出試薬キットの売上増加により、売上高43,100百万円(前期比7.6%増)を見込んでおります。利益面では、継続的な研究開発投資や経営基盤整備のための投資による費用増により、営業利益5,660百万円(同67.6%増)、経常利益5,620百万円(同57.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,480百万円(同70.1%増)を予想しております。
  なお、海外向け売上高は12,320百万円(同21.8%増)と売上比率で28.6%を見込んでおります。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、当連結会計年度において、「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)に基づき、以下の重点課題に取り組んでまいりました。

①がんの予防・治療への貢献

 便潜血検査用の採便容器内の緩衝液を改良し、ヘモグロビンの安定性や抗体との反応性を向上させることに成功しました。緩衝液の改良により、夏場でも郵送検診が可能となり、郵送スクリーニングの拡大による受診率アップにつながることが期待されます。

②感染症撲滅・感染制御への貢献

LAMP法を用いた結核検査システム(TB-LAMP)が、ナイジェリアにおいて巡回健診による積極的結核患者スクリーニングプログラムとして大規模に採用されました。このTB-LAMPは、2011年の発売からグローバルに活用されていることから、結核予防に大きな功績が認められ、第27回秩父宮妃記念結核予防功労賞(国際協力功労賞)を受賞しました。当社グループは、より一層「結核の撲滅」という社会課題の解決への取り組みを加速します。

③ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供

 発症すると長期間の治療が必要となる炎症性腸疾患(IBD)の早期発見の検査として展開している便中カルプロテクチン測定試薬に「クローン病の病態把握の補助」の使用目的(臨床的意義)追加が薬事承認されました。クローン病の病態把握の補助として、非侵襲的な便からの検査が可能になることにより、内視鏡検査による患者の身体的・経済的負担の軽減につながることが期待されます。また、当社が現在開発を進めている「歯周病リスク評価ツール」が、厚生労働省の「歯周病等スクリーニングツール開発支援事業」に採択されました。今後、当ツールの社会実装を目指し、開発に取り組んでまいります。

「EIKEN ROAD MAP 2030」では、上記事業活動を推進するうえで不可欠となる経営戦略として、「人を活かした活力ある企業」及び「地球環境と調和した事業活動」を掲げております。これらを実現するうえでは、その基礎として当社グループ(子会社を含む)のガバナンスを一層強固にする必要があり、引き続きその改善に努めてまいります。

 当社グループは、引き続き上記の重点施策の推進を図るとともに、経営基盤の強化及び人財にフォーカスした経営を推進し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指してまいります。

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