企業兼大株主松井証券東証プライム:8628】「証券業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2024年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、「お客様の豊かな人生をサポートする。」ことを企業理念(MISSION)とし、「個人投資家にとって価値のある金融商品・サービスを提供する。」ことを企業目標(VISION)としています。企業理念、企業目標を実現するうえでは、優位性のある顧客体験価値を提供することが何より重要だと考えています。

 そこで、強固な財務基盤や安定した取引システムの提供、お客様に寄り添ったサポート体制など、金融機関としてお客様からの信頼に応えること、堅実な企業活動を維持し、発展させていくことが、「投資そのもの、および証券会社選びの安心感」につながると考え、当社の1つ目の提供価値であると定めています。加えて、投資自体が楽しくより身近で魅力的なものに、そしてお客様の人生における発見と成長につながる知的好奇心がわくような体験にしたいという思いから、投資についての多様な「アイデアの提供」を2つ目の提供価値としています。このような考えをコーポレートスローガン「投資をまじめに、おもしろく。」において示しています。

 そして、コーポレートスローガンを体現するため、お客様からの信頼に応える「安定した取引環境」の提供、投資を始めるハードルを下げ、より多くのお客様へ発見と成長の機会を届ける「様々な顧客ニーズを満たす豊富な商品」、「トライアルバリアの低い商品・サービス」、「シンプルでわかりやすいサービス」の提供、さらに一歩先を行くオンライン証券を目指して、お客様それぞれのニーズに沿ったきめ細やかな対応を実現する「パーソナライズされたサービス」の提供に努めてまいります。

 なお、当社は、経営資源をオンラインベースの事業に集中することで、効率的なオペレーション体制を維持してきました。コロナ禍を経たオンライン中心のコミュニケーションの広がりを背景に、オンラインベースの事業の優位性は一層高まるものと考え、オンラインベースのビジネスモデルに集中する方針を堅持していきます。

(2) 経営環境

 日本国内における株式のオンライン取引サービスは、1998年に始まりました。それ以降、個人の株式等委託売買代金に占めるオンライン証券会社顧客の比率は年々上昇を続け、現在では9割を超えています。一方、個人の株式保有額に占めるオンライン証券会社顧客の割合は、未だ4割程度に留まっていますが、その比率は年々拡大しています。対面型の証券会社からオンライン証券会社への株式資産の流入は継続しており、今後も、オンライン証券会社を通じた個人株式等委託売買代金の拡大余地があるものと考えます。

 オンライン証券業界においては、個人の株式等委託売買代金は当社を含む大手オンライン証券会社5社(当社、SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、マネックス証券)によって占められている他、各社シェアの順位にも大きな変動はなく、一定の均衡状態が続いていました。ところが、2023年にSBI証券、楽天証券の2社が株式売買委託手数料の無料化に踏みきったことにより、各社は、信用取引、FX(外国為替証拠金取引)、投資信託、ホールセール事業、資産運用業、暗号資産関連事業等への事業拡大に注力するなど、収益源の多様化を進めています。そのような中で、プラットフォーマーとの事業および資本の関係を強化し、規模の拡大を目指す動きもあります。この動きは、顧客一人ひとりの資産規模や取引規模は小さいながらも、数多くの顧客にアプローチすることで収益をあげるという、ロングテールのビジネスモデルを目指すものです。一方で、これまでのオンライン証券会社のビジネスモデルは、口座数ベースでは幅広い顧客基盤を有しているように見えるものの、取引頻度が高い一部の顧客に利益の大半を依存している状況にあります。このように、一部競合他社の手数料無料化を契機に、収益構造の見直しが業界共通のテーマとして顕在化し、その結果として、オンライン証券のビジネスモデル、および重点的に取り組む分野の違いも鮮明化してきたものと考えます。

(3) 経営目標

 当社は、企業目標を達成するために以下の経営目標を定めております。

① 付加価値の高いサービスを提供し、価値に見合う適正な対価を得る。

② 経営資源を有効活用し、利益及び株主価値の向上を目指す。

③ 株主資本コスト(現状8%)を上回るROEを達成する。

 当事業年度のROEは12.9%となり、株式等委託売買代金や信用取引残高の増加、FX取引の拡大等を背景に、前事業年度の10.1%から上昇しました。引き続き、上記の目標値を達成しており、今後も中長期的な資本効率の向上に努めます。

(4) 中長期的な会社の経営戦略

 当社は、経営目標を達成するための経営戦略として以下4点を定め、その実現に向けて取り組んでおります。

① 大手オンライン証券会社として認知される「強いブランドの構築」

② オンライン証券会社として備えるべき金融商品・サービスの「ラインアップの充実」、独自性を意識した 「特色のあるサービスの提供」

③ 優位性のある顧客体験価値を提供し続ける「サービスクオリティの向上」

④ これらの事業・サービスの提供を支えるための基盤となる「多様性のある自律的な組織の実現」

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 以上に記載の経営の基本方針および経営目標を踏まえて中長期的経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

(a)強いブランドの構築

 当社は、「金融機関としての信頼性」と「知的エンターテインメント性」を両立した事業展開を推進することが、強いブランドの構築に資するものと考えています。「金融機関としての信頼性」を向上する点については、お客様から安心して取引できる金融機関として認知されるため、強固な財務基盤や安定した取引システムの提供、金融機関としての信頼性の維持・向上に資するコンプライアンス体制の強化、お客様に寄り添ったサポート体制など、堅実な企業活動の維持・発展に努めております。なお、金融機関の認知度は当該金融機関に対する信頼性の向上に資する面があり、長期的な顧客基盤の維持・拡大のために、継続的に認知度の強化に取り組んでまいります。

 当事業年度においては、新NISA制度に合わせて、当社のイメージキャラクターである山本美月さんを起用したテレビCMの配信や、eスポーツ大会「VALORANT」及び「RAGE STREET FIGHTER」へ協賛し、認知度向上に向けた取り組みを強化しました。また、お客様へのサポートを提供する当社コールセンターは、第三者評価機関であるHDI-Japan(ヘルプデスク協会)が主催する「2023年度問合せ窓口格付け(証券業界)」において、最高評価の「三つ星」を13年連続で獲得しております。

 一方の「知的エンターテインメント性」を推進する点については、商品・サービスの開発、マーケティング活動、投資情報の提供、コールセンターにおけるサポートなどを通じて取り組んでまいります。

 当事業年度においては、引き続き投資の「おもしろさ」を伝える動画コンテンツを多数公開しております。投資や資産形成にかかる知識や情報を「お笑い」で翻訳する動画「資産運用!学べるラブリー」シリーズが人気コンテンツとなった結果、当社が運営するYouTube公式チャンネルの登録者数が29万人を突破し、主要証券会社が運営するチャンネルでは、最大の規模となりました。投資情報メディア「マネーサテライト」では、顧客にとって発見や成長につながる多様なアイデアの提供に努めました。これから投資を始める初心者から上級者まで、資産運用をサポートする投資情報を継続的に提供するとともに、相場急変の要因やニュース性の高い情報をタイムリーに動画で分かりやすく解説したほか、米雇用統計発表に合わせたLIVE番組を放送するなど、マーケットの動きをリアルに感じる顧客体験を提供しました。その他、個人投資家に人気のあるIPO銘柄においては、ベンチャーキャピタルとの連携を強化して引受件数の向上に努めた結果、引受参入率は65%を超え、IPO銘柄の取り扱い数において、業界2位となりました。

(b)ラインアップの充実、特色のあるサービスの提供

 お客様に選ばれるオンライン証券会社になるためには、年齢・志向・資産状況などが異なる個人投資家の多様なニーズに応える金融商品・サービスを提供していくことが欠かせません。当社の新規口座開設者の4割以上が30代以下の投資初心者層であることを考えると、金融商品・サービスの多様化によって投資への入り口をより広げるとともに、標準的な金融商品・サービスを取り揃え、お客様が証券会社を検討する際の「非選択理由」をなくす必要があります。

 当事業年度においては、新NISA制度で、日本株・米国株・投資信託のすべての商品の売買手数料を無料とし、投資を始めるハードルを下げるお得なサービスの提供に努めました。また、証券取引を快適にする銀行サービス「MATSUI Bank」の提供を開始し、証券口座と銀行口座のシームレスな連携を実現しました。「MATSUI Bank」では、円普通預金金利年0.2%を提供し、お客様の待機資金を有効活用できるサービスとしたほか、銀行サービスを利用するお客様との新たな接点を築くことができました。FX事業では初心者の方でもコストを抑えて、安心して100円から取引できるFX自動売買機能を導入しました。米国株事業では、信用取引を業界最安水準の手数料で導入しました。

(c)サービスクオリティの向上

 オンライン証券各社が提供する金融商品には大きな差がないため、サービス水準を充実することや利便性の高い取引・情報ツールを継続的に提供していくことなど、優位性のある顧客体験価値を提供することによって、お客様にとって価値の高い証券会社と認識していただけるものと考えております。また、オンライン証券という業態ではあるものの、お客様からの問い合わせや相談事について、ヒューマンタッチなコミュニケーションの機会を提供することも、顧客体験価値の向上につながると考えています。

 当事業年度においては、投資情報ツール「マーケットラボ」の銘柄検索機能などのユーザビリティの向上を図りました。取引ツール「日本株アプリ」では、MATSUI Bankへの入出金やスイープ入金に対応し、継続的な機能拡充など利便性向上に努めました。「FXアプリ」では、100円から取引できるFX自動売買機能を追加し、スマートフォンのみで自動売買設定ができるように対応しました。顧客向サポートにおいては、専門の相談員がNISAに関するお問い合わせに対応する無料の「松井証券NISAサポートダイヤル」を開設したほか、お客様一人ひとりのご希望や投資スタンスに寄り添い、銘柄探しや取引タイミング等の意思決定をサポートする「株の取引相談窓口」の対象を、これまでの日本株に加えて米国株にも広げ、より多くの相談に対応できる体制を構築しました。

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