東邦銀行 【東証プライム:8346】「銀行業」 へ投稿
企業概要
以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針
当行グループは、主に福島県を地盤とする地域金融機関として「地域を見つめ、地域とともに」「お客さまの満足のために」「新しい感覚と柔軟な発想をもって」を企業理念とし、様々な施策に取り組んでまいりました。東日本大震災から13年が経過し、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の進展や、福島国際研究教育機構(F-REI)が創設されるなど、福島の創造的復興が期待されている環境下、2024年4月より当行グループが果たすべき役割・使命を明確化すべく、新たな経営理念体系を制定しております。東日本大震災からの復興への決意として制定したコーポレートメッセージ「すべてを地域のために」をパーパスとし、「サステナビリティ宣言」における5つのマテリアリティ(重要課題)に取り組むことをミッションと定め、目指すべきビジョンである「地域社会に貢献する会社へ~金融サービスの枠を超えて~」を実現するための役職員が共有する行動指針・価値観としてバリューズを制定しました。
新たな経営理念体系の下、全役職員が心ひとつに進んでまいります。
<新たな経営理念体系図>
(2) 前中期経営計画の総括
当行は、2021年4月から2024年3月までの3年間を計画期間とする第17次中期経営計画「とうほう「輝(かがやき)」プラン」における3つの基本方針に基づき、各種施策に積極的に取り組みました。
①基本方針Ⅰ.地域・お客さまが輝く(地域・お客さまへの恩返し)
当行グループでは、金融仲介機能の発揮のみならず、お客さまが抱える様々な課題やニーズにお応えするコンサルティングサービスの深化と探索に取り組みました。既存コンサルティング業務の深化としては、東邦コンサルティングパートナーズ設立による事業承継・M&A支援業務の拡充やとうほう地域総合研究所による伴走型経営コンサルティング業務を開始しました。また、新たなコンサルティング業務の探索として、経営計画や人事制度の策定、補助金申請支援を開始するなどコンサルティングサービスの拡大に努めました。
②基本方針Ⅱ.従業員が輝く(成長と活力)
当行は、2022年10月、多様な働き方が可能となる人事制度改革を実施しました。従業員の処遇改善では賃上げや初任給の引上げ等に取り組むとともに、銀行として評価・期待する「行動特性」や「思考」を具体的に明示することで評価基準を明確化した「コンピテンシー評価」や部下が上司を評価する「360度評価」を導入しました。また、キャリア採用の強化では、リファラル採用の制度化やアルムナイネットワークの構築に取り組みました。新たな人事制度のもと、行員の自律・成長・挑戦を支援するとともに、多様な人財の獲得に注力しました。
③基本方針Ⅲ.当行が輝く(持続可能な経営体質)
当行は、サステナビリティ経営、デジタル化、アライアンス戦略の促進等に取り組みました。サステナビリティ経営への取り組みとしては、当行のCO2排出量の削減目標について見直しを行い、新たに「2040年度カーボンニュートラル」を設定しました。
当行は、デジタル化を見据えたアライアンス強化による高度な金融サービスの提供に向けて、地銀10行による広域かつ大規模な連携である「TSUBASAアライアンス」に加盟しており、2024年1月にTSUBASA基幹系システム共同化への移行を完了しました。
また、当行、とうほう証券株式会社並びに野村證券株式会社は、金融商品仲介業務における包括的業務提携に関し、三社間で基本合意書を締結しました。地域の資産所得増加や人生100年時代の充実した備えに貢献し、地域のお客さまの豊かな未来の創造に向けて、提携の最終合意に向けた協議を進めております。
④目標とした経営指標
第17次中期経営計画『とうほう「輝(かがやき)」プラン』のもと、以下の指標を目標として掲げ、各種施策に取り組み、中期経営計画最終年度となる今年度は下記の実績となりました。
目標経営指標 | 2023年度目標 | 2023年度実績 |
連結コア業務純益 | 100億円以上 | 93億円 |
連結自己資本当期純利益率(ROE) | 2.8%以上 | 2.64% |
連結コア業務粗利益経費率(OHR) | 78% | 78.9% |
(3) 経営環境
①国内経済
2023年度の国内経済は、企業収益や雇用情勢の改善もみられ、緩やかに回復したものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、ウクライナや中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
②福島県内経済
当行の主要な営業基盤である福島県の経済は、個人消費では外食や旅行等のサービス消費が徐々に回復しているほか、設備投資が緩やかに持ち直すなど、全体としては緩やかに持ち直しの動きが続いております。
③金融環境
長期金利の指標となる10年国債利回りは、金融緩和政策の修正観測が高まるなか一時0.9%を超えて上昇しましたが、マイナス金利解除後も継続が見込まれる緩和的な金融環境から年度末には0.7%付近まで低下しました。為替相場は日米金利差の拡大を受けて年度末に1ドル151円台となるなど大幅に円安が進行しました。株式相場は好調な企業収益などを背景として、日経平均株価が史上最高値を更新し、年度末には4万円台まで上昇しました。
(4) 対処すべき課題
①マテリアリティ(重要課題)
当行は、新たな経営理念体系における「ミッション」として「サステナビリティ宣言」を掲げ、5つのマテリアリティ(重要課題)を定めております。
① 地域経済・社会の活性化 ② 少子高齢化への対応 ③ DXの推進 ④ 多様な人財の躍動 ⑤ 脱炭素・ネイチャーポジティブ |
②長期経営計画「TX PLAN 2030 」
新たな経営理念を実現するための計画として、2024年4月から2030年3月までの6年間を計画期間とする長期経営計画「TX PLAN 2030 (TOHO TRANSFORMATION(X) PLAN 2030)」を新たに策定しました。前中期経営計画期間で取り組んできた「変革」(2021年度~2023年度)をさらに進め、当行が「進化」(2024年度~2026年度)を果たし、地域・お客さまと新たな価値を「共創」(2027年度~2030年度)していくという決意を3つの「X」に込めました。TX PLAN 2030では「お客さま1社1社の事業価値向上」と「お客さま一人ひとりのゆたかな暮らしづくり」をゴールに掲げながら、「地域・お客さまとの価値共創」と「当行グループの成長戦略」を実現してまいります。
(a)基本方針Ⅰ.お客さまとの価値共創
地域経済の持続的成長を達成する10TARGETSを展開し、地域の皆さまの企業価値・資産価値を高め、経済を循環させることで地域・お客さまとの価値共創を実現してまいります。サステナブルファイナンスの拡大を通じて持続可能な地域社会を支え、総合コンサルティングにより産業創出・育成を行い、付加価値の高いサービスを提供することで、お客さまのゆたかな暮らしづくりへ貢献してまいります。
(b)基本方針Ⅱ.当行グループの成長戦略
当行グループの企業価値向上を図るための成長投資・人的資本投資に積極的に取り組むとともに、営業体制変革によるコンサルティング力の強化、BPRによる重点分野への人員再配置、アライアンスへの取り組み強化によって、当行が掲げる3つの成長ドライバを加速させ、グループ全体での収益を拡大してまいります。
<長期経営計画の全体像>
<主要計数計画>
| 2023年度実績 | 2026年度計画 | 2029年度計画 |
連結コア業務純益 | 93億円 | 115億円 | 185億円 |
連結当期純利益 | 52億円 | 60億円 | 110億円 |
連結ROE | 2.64% | 3.0% | 5.0% |
連結コアOHR | 78.9% | 77.0% | 67.0% |
2023年度にTSUBASA基幹系システム共同化への移行が完了したことに伴う、一定期間における償却負担と2024年度以降の成長投資による経費増加を見込むものの、新たな営業体制構築等の投資効果が顕在化することで、2027年度以降、収益性が向上し当期純利益が伸長する計画です。引き続き、当行は総合的な金融サービスの提供により、地域のお客さまへのご支援を最優先課題として地域社会の持続的な発展に貢献してまいります。
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