東邦ホールディングス 【東証プライム:8129】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社グループは、「社会・顧客と共生し、独創的なサービスの提供を通じて新しい価値を共創し、世界の人々の医療と健康に貢献します」という経営理念に基づき、医療・健康・介護分野に携わる企業集団として、事業を通じた社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
なお、サステナビリティに関する詳細な方針は当社ホームページ(https://www.tohohd.co.jp/csr)に記載しております。
(1)ガバナンス体制について
当社はサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ推進委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。
≪取締役会による監督体制≫
取締役会は、サステナビリティや気候変動に関するリスクと機会に係る課題について、サステナビリティ推進委員会より取り組み状況や目標の達成状況の報告を受け、モニタリングします。また、新たに設定した対応策や目標を監督します。
人的資本に関しては、人的資本に係る投資、主要部署における責任者以上の職位の任免、ならびに重要な労働条件の基準に関する決定および変更について、取締役会の承認を受けております。また、その他の社員の任免や労務管理、健康経営推進をはじめとする各施策の推進についても取締役会に報告され、監督を受けております。
≪サステナビリティ推進委員会≫
サステナビリティ推進委員会は、営業・物流・管理部門のメンバーで構成され、気候変動に係る事項を含むマテリアリティ(重要課題)の特定や環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)、DX等への対応を含むサステナビリティ戦略について審議し、取締役会に報告します。
サステナビリティ推進委員会は、委員長を専務取締役COOが務め、サステナビリティ方針に基づく行動計画の立案、目標設定、進捗管理、効果検証を行うとともに、気候変動が事業に与える影響について、毎年評価を行い、識別したリスクの最小化と機会の獲得に向けた方針をもとに、対応策の策定および目標の設定を行います。
また、目標の達成状況を審議し、取締役会に報告し、監督を受けております。
当社グループのESGに関する基本的な考え方、マテリアリティ(重要課題)は当社ホームページに掲載しております。
東邦ホールディングスのESG https://www.tohohd.co.jp/csr/esg
≪気候変動に係る所管部署≫
広報IR本部は、サステナビリティ推進委員会の事務局を担当するとともに、関連部署との連携や全社的な気候変動に係る対応の推進を担い、気候変動に係る事項を含むサステナビリティ戦略を検討し、サステナビリティ推進委員会に提言します。
≪人的資本に係る所管部署≫
総務人事本部および広報IR本部が各施策の検討・立案および推進を担い、代表取締役やサステナビリティ推進委員会に提言します。
≪サステナビリティ推進体制≫
当社グループのサステナビリティに係るガバナンス体制図は、以下のとおりです。
(2)リスク管理について
当社グループでは、経営上のリスクもしくは経営上のリスクに発展しかねない事態が発生した場合の対応と、経営上のリスクの発生を未然に防止するためにリスク管理基本規程を定めております。リスク管理基本規程および関連マニュアルは、グループ・コンプライアンス・リスク管理委員会において定期的に検証・改善を行っております。グループ・コンプライアンス・リスク管理委員会は、代表取締役CEOが委員長の任にあたり、リスク要因の早期発見・把握、リスク発生防止体制の改善、リスク発生時の対応策の策定などを定期的に行っております。
サステナビリティや気候変動に関連するリスクにつきましては、サステナビリティ推進委員会にて、サステナビリティ課題がもたらす事業リスクおよび収益機会を識別・評価し、グループ・コンプライアンス・リスク管理委員会やグループ災害対策等委員会と連携の上、取締役会に報告します。
なお、具体的な事業のリスクについては次項に記載しております。
(3)人的資本に関する取り組み
当社グループは、社員は会社の財産、すなわち「人財」であるとの考えのもと、人財によって成長してきた歴史と、社員の自由な発想を尊重してきた企業文化を大切に継承するとともに、当社グループが必要とする人財の育成と人事制度の整備、働き方改革の推進により人的資本の価値最大化に取り組んでおります。
人的資本に係る投資、主要部署における責任者以上の職位の任免、ならびに重要な労働条件の基準に関する決定および変更については、取締役会に付議し承認を受けております。また、その他の一定職位以上の社員の任免や健康経営推進をはじめとする人的資本に関する各施策についても適宜、取締役会で報告を行い、監督を受けております。
人的資本におけるリスクについては、労働災害の発生、役職員による法令違反行為、人材流出等が挙げられますが、安全および衛生や災害補償をはじめとする各規程を定めるとともに、コンプライアンス研修の実施、人事制度の充実、職場環境の整備等を通じてリスクの発現を防止しております。
なお、当社は2023年4月から2026年3月までの3カ年を対象とする中期経営計画2023-2025「次代を創る」で、人的資本へ60億円の投資を計画しております。
①人材育成方針
当社グループは、コーポレートスローガン「全ては健康を願う人々のために」を羅針盤として、グループにとって必要な人財を①キャリア開発と研修強化、②人事制度の整備、③働き方改革の推進により育成します。
当社グループが必要と考える人財は以下の通りです。
| ・高い倫理観を持ち、基本行動を遵守し続ける人 ・自ら考え、学び、失敗を恐れず自由な発想で挑戦する人 ・質の高い提案とコミュニケーションが行える人 ・取引先(顧客、自治体等)や、社内他部署と連携できる人 ・グローバルに活躍できる人 |
|
また、性別、国籍・年齢等を問わない幅広い人財活用と、社員の個性や能力、チームワークを尊重することで、自由闊達な企業風土を醸成してまいります。
②社内環境整備方針
| 人財育成・研修
| ·階層別、職種別の研修プログラムの充実 ·プロジェクトへの参画や、外部への出向など挑戦する機会の提供 ·リスキリング、個人資格取得への支援 ·プロフェッショナルの育成 |
| 人事制度の整備
| ·ダイバーシティ&インクルージョン ·シニア層の活用や優秀な人材の中途採用 ·キャリア開発の強化 ·適所適材の人員配置 |
| 働き方改革の推進 | ·DX推進によるペーパーレス化 ·定型業務のアウトソーシング化 ·社員のライフイベントに応じた勤務体制の充実 ·更なる職場環境への整備 |
③指標及び目標
当社は多様性を確保するため、女性管理職比率を指標とし、「2020年代の可能な限り早期に30%にする」という目標を定めております。当事業年度の女性管理職比率は16.5%となっており、前事業年度より5.1%増加しております。
④当事業年度における主な取り組み
・全従業員を対象とした毎月のコンプライアンス研修:受講率 100%
・営業担当者を対象とした毎月の独占禁止法研修:受講率 100%
・東邦薬品㈱のMSを対象としたリスキリング研修:受講者 751名
・新任管理職研修、新任営業課長研修:受講者数 85名
・営業所長研修:受講者数 134名
・社内プロジェクトMAXIS2021の推進:プロジェクト参加人数 63名
・国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究:参加人数 24名(出向者 8名、社内研究員16名)
・女性社員の管理職への積極登用:東邦ホールディングス㈱ 新規管理職登用者数(男性5名、女性2名)
・健康経営推進:東邦ホールディングス㈱、東邦薬品㈱、㈱J.みらいメディカル、㈱ネグジット総研が健康経営優良法人2023を取得
(4)気候変動への取り組み
当社グループは、気候変動への取り組みを重要課題の一つと位置付け、サステナビリティ推進委員会を中心に気候変動に関するリスクと機会の特定、当社に与える影響、具体的な対応策等の検討を進めております。また、必要なデータの収集と分析を進めており、その内容につきましてはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が提言する情報開示フレームワークに沿った開示を推進してまいります。
なお、詳細については、当社ホームページ(https://www.tohohd.co.jp/csr/activity/climatechanges)をご覧ください。
①ガバナンス(気候関連リスクおよび機会に関するガバナンス)
◆ガバナンス体制
当社グループは、サステナビリティ推進委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。
◆取締役会による監督体制
取締役会は、気候変動に関するリスクと機会について、サステナビリティ推進委員会より取り組み状況や目標の達成状況の報告を受け、モニタリングします。また、新たに設定した対応策や目標を監督します。
◆気候変動に係るサステナビリティ推進委員会の役割
サステナビリティ推進委員会は気候変動が事業に与える影響について、毎年評価を行い、識別したリスクの最小化と機会の獲得に向けた方針を示し、対応策の検討・立案及び目標の設定を行います。
②リスク管理
気候変動に係るリスクについては、サステナビリティ推進委員会にてリスクと機会の識別、評価、対応検討と目標の設定、対応策の推進を行い、定期的に取締役会に報告します。
③戦略
当社グループは、気候変動関連を含むサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識しております。特に、生命に係る医薬品の流通を担う立場として、自然災害の激甚化に伴うサプライチェーンの寸断や医薬品供給能力の低下は大きな事業リスクであり、社会リスクでもあります。また、事業から直接排出されるScope1とScope2の排出量は少なく、サプライチェーンから排出されるScope3の排出量が多いことが特徴です。このような認識に基づき、気候変動に伴う当社グループの事業への影響を把握し、対応策を策定するため、シナリオ分析を実施しました。
医薬品卸売事業を対象組織として、IPCC第5次評価報告書やIEA WEO2020 NZE等のシナリオを参照の上、気候変動が2030年時点で1.5℃上昇する世界におけるシナリオ(移行シナリオ)と、2050年時点で4℃上昇する世界におけるシナリオ(物理シナリオ)を想定し、影響度が高いと考えるリスクと機会を定性的に特定したものを以下の表にまとめております。
分類 | リスク・機会の内容 | 影響度(注1) | 時間軸(注2) | |||
区分 | 評価項目 | |||||
大分類 | 小分類 | |||||
リスク | 移行面 | 政策・法規制 | 炭素税 | 炭素税導入による調達・操業コスト増加 | 中 | 中長期 |
市場 | 電力価格 | 再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)普及に伴う電力価格上昇によるサービス・製品価格上昇や操業コスト増加 | 中~大 | 中長期 | ||
再エネ普及に伴う電力供給不足による操業停止 | 中 | 中長期 | ||||
原油価格 | 化石燃料価格上昇によるコスト増加 | 中 | 中長期 | |||
技術 | 低排出対応によるコスト増加 | 中 | 中長期 | |||
評判 | ステークホルダーから評価 | 仕入先・社会やステークホルダーからのネガティブな評価 | 中 | 短中期 | ||
物理面 | 急性 | サイクロンや洪水などの極端な気象現象の厳しさと頻度の増加 | 風水害の増加・激甚化による売上高が減少に伴い、操業コスト増加 | 中~大 | 短中期 | |
風水害の増加・激甚化による調達・操業への影響 | 中 | 中長期 | ||||
慢性 | 平均気温の上昇 | 平均気温の上昇による操業コスト増加 | 大 | 中長期 | ||
機会 | 市場 | 資源の効率化 | 計画配送や誤納品防止等による配送の効率化への需要 | 中 | 短中期 | |
製品/サービス | 平均気温の上昇 | 平均気温の上昇による安定供給を維持する物流基盤(BCP対策等)への需要 | 中 | 短中期 | ||
平均気温の上昇による新規商品への需要 | 中 | 短中期 |
(注)1.影響度の評価基準については、「影響を受ける可能性」と「影響の大きさ」を考慮し、定性的に評価しております。
2.時間軸は、短期(~2025年まで)、中期(~2030年まで)、長期(~2050年まで)に設定しております。
④指標と目標
当社グループは、温室効果ガス(Scope1・2・3)の排出量を指標とし、温室効果ガスの排出量の大きい領域や削減対象を把握し、環境負荷の低減に努めております。社会的環境の変化を踏まえ、自社の直接的な排出を対象とするScope1・2については、中長期的な削減目標を継続的に検討しております。また、カーボンニュートラルの実現に向けて、Scope3に対する取り組みも重要であると認識し、具体的な削減目標を検討しております。今後は仕入先や顧客との協働を進め、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを進めてまいります。
◆Scope1・2・3における排出量の実績
項目 | 単位 | 2019年度 (2019年4月~2020年3月) | 2020年度 (2020年4月~2021年3月) | 2021年度 (2021年4月~2022年3月) | 2022年度 (2022年4月~2023年3月) | |
Scope1排出量 | t-CO2 | 17,391 | 16,368 | 15,887 | 15,105 | |
Scope2排出量 | ロケーション基準 |
| 15,042 | 16,236 | 15,790 | 15,948 |
マーケット基準 | 23,834 | 18,682 | 16,892 | 14,944 | ||
Scope1・2排出量(合計)(注3) | 41,225 | 35,050 | 32,779 | 30,049 | ||
Scope3排出量 | 374,046 | 369,649 | 363,742 | 379,601 |
(注)3.Scope2の排出量データはマーケット基準で算出しております。
4.対象範囲は、東邦ホールディングス㈱、東邦薬品㈱、㈱セイエル、九州東邦㈱、㈱幸燿、㈱東邦システムサービスとしております。
◆今後の取り組み
当社グループは、政府が掲げる目標「カーボンニュートラル」実現に向けて、高効率設備への改修による「省エネ」、太陽光発電設備の導入による「創エネ」、再生可能エネルギーの調達による「再エネ」などを計画的に実施してまいります。また、気候変動に関連する炭素税の導入や電力価格上昇の可能性を考慮した対応を実施してまいります。
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