東洋電機製造 【東証スタンダード:6505】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)気候変動
①ガバナンス
当社グループのサステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ方針に基づいて全社的な取組みを進めております。委員会は、社長が委員長を務め、各担当執行役員を主なメンバーとして、原則として四半期毎に開催しています。気候変動については、特に重要なテーマと位置づけ、温室効果ガス(GHG)削減に向けた定量的な目標を設定し、委員会にて進捗状況をモニタリングしております。委員会で審議した内容については、取締役会に報告し、当社グループの経営戦略に反映しております。
②戦略
将来の気候変動に伴うリスクと機会を想定し、1.5℃/2℃未満と4℃の2つのシナリオを用いて、事業活動に及ぼす影響の分析を行いました。時間軸は、長期(~2050年)を主眼としつつ、その通過点である中期(~2030年)についても想定を行いました。事業活動に与える財務的な影響度については「大」「中」「小」の3段階で評価しました。
<想定した気候変動に伴うリスク>
種別 | リスク想定 | 影響度 | ||||
1.5/2℃ | 4℃ | |||||
2030年 | 2050年 | 2030年 | 2050年 | |||
移行 リスク | 政策・規制 | 炭素税導入や規制強化に伴う調達・輸送コスト増加、設備更新や技術開発に伴うコスト増加 | 中 | 大 | 小 | 小 |
技術 | 省エネ製品の研究開発コスト増加。開発が停滞した場合の販売機会の喪失。既存の技術・製品に対する需要減少 | 中 | 大 | 小 | 中 | |
市場 | 人口減少に伴う鉄道旅客数の減少や自動車の環境性能向上により、鉄道の環境優位性が相対的に低下した場合、鉄道関連製品の売上低下。EV化対応遅れによる試験機事業の停滞。ペーパーレスや脱プラスチックによる印刷機械・製紙・化学メーカ向け機器需要の減少 | 大 | 大 | 中 | 中 | |
評判 | 気候変動対応の遅れによるステークホルダーからの評判低下。サプライチェーンからの除外、資金調達コスト上昇、人材確保が困難に | 大 | 大 | 中 | 中 | |
物理的 リスク | 急性 | 台風や洪水等による操業停止、生産設備の損傷、事業拠点の機能停止。サプライチェーンの寸断による部材調達難の発生 | 小 | 中 | 中 | 大 |
慢性 | 気温上昇による工場エネルギーコスト増加、従業員の生産性低下、熱中症増加。海面上昇による防潮対策等にかかるコスト増加。気温上昇による製品や設備の不具合、故障の発生 | 小 | 中 | 中 | 大 |
<想定した気候変動に伴う機会>
種別 | 機会想定 | 影響度 | |||
1.5/2℃ | 4℃ | ||||
2030年 | 2050年 | 2030年 | 2050年 | ||
資源の効率性 | 製品の長期使用、再生利用によるメンテナンス機会の増加。製品プロセスの効率化、材料使用の適正化、輸送の効率化によるコスト減少 | 大 | 大 | 中 | 中 |
エネルギー源 | EV化や再生可能エネルギー・蓄電技術への需要が増加し、当社の製品・サービスの需要が増大 | 大 | 大 | 中 | 中 |
製品及びサービス | 環境優位性の高い鉄道の利用ニーズ増加による鉄道車両用電機品の需要増加。高効率モータ・インバータ、分散電源等の省エネ製品・システムの需要増加。EV化に対応した新たな試験機システムへの需要増加 | 大 | 大 | 中 | 中 |
市場 | 蓄電システム、小水力発電・波力発電等の需要の掘り起こし、新規市場開拓。気候変動による食料供給難、農畜産業等への影響を回避するためのICT遠隔監視や自動制御装置の需要増加。EV関連商品の普及 | 大 | 大 | 中 | 中 |
レジリエンス (強靭性) | 災害の激甚化を受けたレジリエンス強化・BCP対応強化による需要増加 | 大 | 大 | 中 | 中 |
評判 | 環境対応への評価向上による取引拡大、株価向上、人材確保 | 大 | 大 | 中 | 中 |
想定した気候変動に伴うリスクと機会への対応策については、下記の当社のウェブサイトで公開しております。
http://www.toyodenki.co.jp/esg_csr/pdf/tcfd_strategy.pdf
③リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ委員会において、気候変動に伴うリスクの認識、対応策の審議、進捗のモニタリングを行っています。気候変動の影響は中長期的な時間軸で発現することから、年次の事業計画、中期経営計画に加えて、関係各部門がサステナビリティロードマップを策定し、具体的な対応策を実行し、定期的に委員会へ進捗を報告しております。また、サステナビリティ課題を全社横断的な取組みに落とし込むために、各事業部門・管理部門の実務者レベルの社員により組織されたサステナビリティワーキンググループにおいて、議論、アイデア出しを行っております。サステナビリティ委員会にて審議された内容は取締役会に報告しております。
④指標と目標
当社は、地球温暖化の抑制に向けて、事業活動に伴うCO2排出量削減目標を次のとおり設定しております。
Scope1・2 CO2排出量 (2018年度比) | 2026年度目標 | 2030年度目標 | 2050年度目標 |
10%削減 | 30%削減 | 100%削減 |
(2)人的資本
①基本方針
当社は、持続的な企業価値の向上と社会的使命を果たす取組みを支える最も重要な経営資源は人材であると考えております。
中期経営計画2026において、多様な人材の確保・定着、育成、適材適所の配置等により、組織と人材の活性化を実現するため、人事制度改革に取り組んでおります。
また、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のとれた働き方、就労環境の整備等を推進し、従業員エンゲージメントの向上を図ってまいります。
②具体的な取組み
(i)多様性の確保
ア.女性活躍
当社の管理職に占める女性の割合は、1.5%となっております。また、正規雇用労働者に占める女性の割合は、7.2%であり、全体の底上げが課題となっております。
このような状況を踏まえ、新卒採用においては、女性向けの会社説明会を実施し、女性従業員との対話を通じて、当社で働くイメージを持っていただける機会を設けております。また、経験者採用や有期雇用労働者の正規従業員への登用制度において、多様な人材の採用を推進しております。
今後、これらの取組みを継続するとともに、女性従業員を対象とするキャリア研修等を実施してまいります。
なお、当面の目標として、管理部門における女性比率の底上げを図ることとし、2026年度の係長クラスの比率を25%以上、管理職クラスの比率を8%以上に設定しております。
イ.障がい者雇用
当社は、障がい者と健常者がともに活き活きと働く企業を目指して、職場環境の整備や職場での研修を行っています。障がい者雇用率については、2026年度及び2030年度の目標値をそれぞれ設定しており、これまで、地域の特別支援学校や支援機関とも連携して職場体験実習の受入れを行い、障がいのある方の新規採用に取り組んでまいりました。その結果、2023年6月1日現在の障がい者雇用率は3.08%となっています。
(ⅱ)人材育成
当社は、人材育成基本方針に基づき人材育成に取り組んでおり、これまでに3名が「現代の名工」として厚生労働大臣から表彰を受けております。このように培ってきた技術・技能を次世代に伝承する取組みについても積極的に進めています。
技術者育成については、技術者育成委員会を定期的に開催し、内容の協議を行い実施しています。技能伝承については、技能マイスター認定委員会で技能伝承作業の認定及び伝承結果の判定を行っています。
また、技能職の定期採用者は、技能訓練センターにおいて1年間の講義や実技実習等を行い、技能職として必要な基礎及び専門的な教育を実施しています。
その他の育成内容としては、入社1年目から5年目までの定期採用者、係長職への昇格者、管理職・専門職への昇格者に対する階層別研修の実施を行うとともに、O・J・Tの実施、各種資格取得支援(工学博士、MBA、MOT、技術士資格等)、語学研修(通学、検定試験)を実施しています。
今後は、多様性の確保に鑑みた「女性管理職候補者研修」の実施や「経営幹部候補者研修」の充実を図ってまいります。
(ⅲ)ワークライフバランス
当社では、仕事と家庭の両立実現のために、従業員が柔軟な働き方ができる制度の拡充に取り組んでおります。
これまでに、出産や育児、介護、配偶者の転勤等で離職せざるを得ない従業員の再雇用制度の導入、育児・介護勤務者の勤務地限定、短時間勤務制度の多様化、時間単位年休の制度化を実施してまいりました。
また、男性の育児休業取得率向上に向けて、出産・育児に関するガイドブックや、育児休業を取得した男性従業員の体験談をまとめた事例集を作成し、これから出産・育児を控える従業員へ情報提供を行っています。
今後は、フレックスタイム制度の適用者拡充やリモート勤務制度の導入など、従業員が仕事と生活の調和をとりながら、安心して就業できる環境作りに取り組んでまいります。
(ⅳ)就労環境の整備
当社は、健康経営を重要な経営課題と捉えており、様々な環境整備を行っています。従業員の休息時間や睡眠時間の確保のために、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間を設ける、勤務間インターバル制度の導入や、社内外にメンタルヘルス相談窓口を設置し、従業員のこころのケアに努めています。また、社長と従業員との価値観の共有を目的としたラウンドテーブルミーティングを定期的に開催し、従業員の声を聞く経営を実践しています。
このような取組みが評価され、2022年、2023年に経済産業省から健康経営優良法人(大規模法人部門)として認定を受けております。今後も就労環境の整備強化により、健康経営の推進に努めてまいります。
(ⅴ)指標と目標
当社は、人的資本の充実に向けて、目標値を次のとおり設定しております。
重要課題 | 女性従業員比率 | 男性の育児休業取得率 | 障がい者雇用率 | |
管理部門 係長クラス | 管理部門 管理職クラス | |||
2026年度 | 25%以上 | 8%以上 | 50%以上 | 2.9%以上 |
2030年度 | 30%以上 | 15%以上 | 70%以上 | 3.0%以上 |
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