東洋証券 【東証プライム:8614】「証券業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境の概況
当連結会計年度における世界経済は、依然としてロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化等の諸問題の先行き不透明感があるものの、経済活動は正常化しており、景況感の緩やかな持ち直しが見られます。その一方、中国の不動産問題も引き続き懸念されており、不透明感は残っています。
このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初28,203.35円で始まりました。賃金と物価の好循環期待や、東京証券取引所による低PBR改善に向けた経営改革の要請、世界的な金融引き締め局面のなかで日銀が金融緩和路線の継続方針を示していたことなどを背景に日経平均株価は断続的に上昇し、6月19日には33,772.89円まで上昇する場面がありました。8月に入ると米国債の格下げや中国の不動産市場への懸念が高まったこと等があり、8月18日には31,275.25円まで下落しました。米ジャクソンホール会議通過後に米国の利上げへの警戒感は和らぎ、米中の経済統計の好調などを背景に上昇し、9月15日には33,634.31円を付けましたが、米国の金融引き締めが長期化するとの見方から米10年国債利回りが上昇し、10月4日には30,487.67円まで下落しました。その後、いったん戻す場面もありましたが、中国の景気減速懸念や業績に対する先行き懸念などから売り直され、10月30日には30,538.29円まで下落しました。11月に入ると米国の利上げ懸念の後退などから半導体関連株がけん引する形で反発に転じ、11月20日に33,853.46円まで上昇しました。2024年に入りますと、米ハイテク株高を受けて半導体関連株が上昇し、加えて為替の円安・ドル高で輸出株が買われ、新NISAのスタートに伴い好配当株などに資金が流入し株価を押し上げました。日経平均株価は2月22日には39,156.97円まで上昇し、バブル期に付けた史上最高値を更新しました。その後は株主還元を評価する流れとなり、3月22日には高値41,087.75円まで上昇する場面がありました。期末の日経平均株価は40,369.44円で取引を終了しました。
米国株式市場において、主要株価指数であるダウ工業株30種平均は期初33,245.78米ドルで始まりました。インフレ抑制を目指すFRB(米連邦準備理事会)の利上げにより米10年債利回りは上昇し、10月には約16年ぶりに5%を突破しました。また、半導体の対中輸出規制、中東情勢の緊迫化などを受けて10月27日にダウ工業株30種平均は安値32,327.20米ドルを付けました。その後は底堅い決算内容を受けて戻りを試す展開が続き、FRBが3月のFOMCにて5会合連続で政策金利を据え置くことを決定したことや生成AI市場の拡大期待によってハイテク株が株価上昇をけん引しました。ダウ工業株30種平均は3月21日に高値39,889.05米ドルを付け、3月28日39,807.37米ドルで取引を終了しました。
当社が注力している中国・香港株式市場において、主要株価指数であるハンセン指数は期初20,379.50ポイントで始まりました。2023年の年明け直後は経済再開(リオープン)を背景に上昇したものの、その後は人民元安、新築住宅販売の減少、デフレなど景気減速の懸念で下落基調となりました。また、中国政府は7月にスパイの定義が不明なまま「反スパイ法」を実施し、10月にガザ衝突の中東問題で欧米と異なる立場を表明したため、欧米諸国との関係が悪化しました。米国が中国への半導体規制を強化したこともあり、欧米投資家による売却が目立ちました。ハンセン指数は1月22日に約1年3カ月ぶりの安値となる14,794.16ポイントを付けました。その後は中国株の割安感、中国景気の回復期待、3月5日に開幕した全国人民代表大会で今年の成長目標が5%前後と高めに設定されたこと等を背景に反発し、3月28日には16,541.42ポイントで取引を終了しました。
このような状況のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、地政学上のリスク、インフレの進行や利上げ等によるリセッションリスクが投資家の投資マインドを低下させた局面もあったものの、米株高や円安の進行による輸出関連株、生成AI市場拡大の期待からハイテク株を中心に史上最高値を更新する相場の中で株式委託手数料や投資信託の販売手数料が大幅に増加し、前連結会計年度と比べ営業収益等は増加しました。
(2)中期的経営ビジョン
対面リテール証券会社の経営環境は、人口減少・顧客の高齢化が進む一方で、また、近時は新型コロナウイルスの感染拡大や地政学上のリスクの発生、インフレの進行等により、金融市場における個人の資産運用ニーズやアドバイスのニーズも益々高まっており、ビジネスチャンスも広がっております。
このような環境下、当社は、2020年4月より外部機関の意見も踏まえ、第六次中期経営計画「もっと ずっと…ともに TO YOU」をスタートさせました。目指すべき将来像として、世代を超えて信頼され、資産運用・資産形成のアドバイザーとして選ばれる「スーパー・リージョナル(地域密着型)・リテール証券会社」を掲げ、お客さまロイヤルティを追求した営業スタイル改革により、これまで以上に「お客さま本位」の経営で顧客基盤を拡充し、持続的な成長モデルへの進化を目指します。
(3)戦略骨子・施策概要
第六次中期経営計画では、お客さまごとにカスタマイズした営業スタイル改革を実現し、お客さまのロイヤルティ向上につなげ、持続的成長が可能なビジネスモデルの確立を目指してまいります。また、働き甲斐のある職場環境や人事評価などにより従業員満足度を上げ、質の高い顧客サービスの実現につなげてまいります。
<基本方針>
・「もっと」これまで以上にお客さまから信頼され、「もっと」頼りにされる存在に
・「ずっと」次世代までも末永く
・「ともに」お客さま、ご家族さま、地域の方々と「ともに」歩む存在に
<重点施策>
・ お客さまへの付加価値提供
付加価値戦略…お客さまニーズの把握、ニーズに合った付加価値提案など
・ お客さまとの接点の多様化
チャネル戦略…マルチチャネルの活用、地域特性を踏まえた営業店体制、IFA事業の展開など
・ 組織・人材基盤の強化
業務戦略…営業店・本社の効率化、顧客対応時間の捻出、コスト効率化など
組織戦略…本社の支援機能強化・再構築配置・不動産賃貸業の開始
人材戦略…業績評価・人事評価、人材育成・人材配置など
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