東和ハイシステム 【東証スタンダード:4172】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社創業者が掲げる経営信条は、「商いの原点に忠実たれ」「商いの王道を歩む」であります。当社の経営理念・事業理念・行動指針等はすべてこの経営信条から生まれたものであり、当社はこの価値基準に従いビジネスを展開する方針であります。
当社の経営理念は「It's Hi Dental World 歯科医療に夢と未来を…」を主力商品のコンセプトに、徹底的な顧客サポート体制と圧倒的な開発力を備えた、ナンバーワン歯科電子カルテメーカーを目指すことであります。
当社が「夢と未来を」提供する対象は、顧客である歯科医院とその患者であり、双方の満足度を高める新しいコンピューターシステムやアプリケーションを開発し、これを手厚い顧客サポートで普及させることで業界シェア首位を目指すとともに、歯科医療全体の社会的地位の向上と歯科医院の繁栄に寄与し、もって日本経済の発展に貢献することを基本方針としております。
また当社の事業理念は「サポートなくして販売なし」「お客さまの笑顔、お客さまの満足が私たちの喜び」「顔が見え、心が触れ合う」であり、創業者の経営信条を反映させております。さらにこれを具体化した「地域密着のサポート」「精緻なサポート」「最先端の技術と知識を駆使したお客様の為の電子カルテシステムの開発」を行動指針として取り組んでおります。
当社が考える「商いの原点」とは「顔が見え、心が触れ合う」ことであり、この信条・理念を忠実に実践するためには、顧客一人一人と向き合い対話を重ね、信頼関係を構築することが重要となります。そのため当社は、短期的な事業規模の拡大や利殖を追求せず、中長期的な視点での営業拠点の拡大及び顧客数の増加を志向し、緩やかでありますが確たる土台を築いた上で成長・発展する方針です。
(2)経営環境
当社が直面している経営環境は、制度、業界、顧客の3つの側面があります。
(制度的側面)
わが国の医療制度は、医療費財源を賄う医療保険などの医療保障制度と、病院や医師等に関する医療提供制度の両面で成立しております。このうち医療保障制度の面では、近年の少子高齢化と医療費の膨張から、保険財政の悪化が課題となっております。そこで、2年に一度、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会等により診療報酬の改定が行われます。特に歯科については、診療報酬の計算が複雑多岐にわたり、都道府県単位でも解釈が相違するケースも出ております。
(業界的側面)
当社が属する歯科医療業界では、一般的に「歯科材料商」と呼ばれる代理店を通して、歯科医院の運営に必要な器具・備品等を調達することが一般的であります。そのため歯科用レセプト・コンピューターを手掛ける同業他社も、「歯科材料商」に販売業務を委託しておりました。
しかし近年、歯科用コンピューターの役割について、レセプト単独目的の使用から、電子カルテを始めとする種々のアプリケーションとの連携や、一定の条件化ではありますがオンライン診療の容認など、IT技術を歯科医院の運営に活用する素地が整ってきており、当社が提案する歯科電子カルテ統合システムの需要が高まってくると考えております。
また、医療業界ではオンライン資格確認の導入がさらに加速しています。現行の健康保険証の廃止について、政府が予定通り2024年秋に行うとしたこともあり、2023年4月から原則義務化となったオンライン資格確認等システムは、2023年10月時点で、全体の88.5%を超える施設が運用を開始しています。2024年3月より医療扶助(生活保護)のマイナンバーカード化、2024年4月より訪問診療やオンライン診療において、オンライン資格確認等システムによる医療情報の確認が開始されるなど、政府は医療機関や保険者、地方公共団体などと連携し、デジタル化・DX化による効率的な医療システムの実現へ向けてのさまざまな取り組みを推進しています。
(顧客的側面)
当社の顧客である歯科医院は全国に67,320件(JAHIS:一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(2023年9月30日現在))が開業されていますが、医院数は年々減少しております。主な要因としては、歯科医師のボリュームゾーンである60~69歳の先生方がリタイアしていき、さらに若い世代の歯科医師離れが影響しており、令和4年度歯学部歯学科入試では12校が定員割れという状況となっております。
このような要因により、歯科医院の経営が逼迫されたことや後継者不足で引退医院数が新規開業医院数を上回っていることによると考えています。
一方で、当社は電子化を推進している又は推進する予定の医院を対象顧客と考えており、67,320件のうち6割の約41,000件を想定しております。
(3)対処すべき課題
当社は、国が推進するDXでは① 国民のさらなる健康増進、② より質の高い医療等の効率的な提供、③ 医療機関等の業務効率化、④ 人材の有効活用、⑤ 医療情報の2次利用の環境整備、これらの5項目の実現を目指すとされており、また今後は、行政が主導となって「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化」、「診療報酬改定DX」等、医療DXへの取り組みが進められ、その中核となる医療情報システムの重要度は益々大きなものになると考えております。
そのような中、当社が2023年3月に完成させましたAI・音声歯科電子カルテ統合システム 「Hi Dental Spirit AI-Voice」は、当社が考える歯科DX実現の3要素、①情報漏洩とデータ改ざんを排除し、電子カルテ三原則を確保した医療情報セキュリティの構築、②電子カルテとオンライン診療を含む、予約・問診・受付自動精算機・歯周病検査・画像・治療説明等が一元管理されたシステム、③先生が診療しながら、手袋を外さず、音声でカルテ作成・検査結果が記録でき、治療説明の会話記録とテキスト化による自費での診療トラブルを防止できるシステム、これらの3つの要素を備えており、歯科医院の経営改革に大きく寄与すると考えております。
また、2023年4月には、二人でおこなう歯周病検査と記録を、一人が音声で完結できるシステム、AI・音声歯周病検査システム「P-Voice」を全国の歯科医院へ単独販売できるように開発しました。
このP-Voiceは、多くの歯科医師の知見を得ることができ、世界で幅広く使われている歯周病検査表(Perio chart)を採用し、WHO、FDI(国際歯科連盟)方式に対応した「Perio chart Pro.Voice」へと発展させ、2023年8月29日にリリースしました。この「Perio chart Pro.Voice」の機能は、一般的な保険診療における歯周病検査項目への対応は当然として、自由診療における歯周病検査項目にも対応しており、更には歯周病専門医を目指す歯科医師が、症例報告書を作成する際の業務効率が大きく改善できる機能を有しており、現在も開発を継続し進化しています。
今後は、このPerio chart Pro.Voiceを全国の歯科医院へと販売を拡大し、それを起点に主力商品である歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR-10i」、及び、AI・音声電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit AI-Voice」の拡販へとつなげて参ります。企業価値の向上および全国規模へと拡販していく上で対処すべき課題として下記の課題に取り組んで参ります。
1.当社とともに歯科医院のDX推進、経営改革に貢献したい、歯科衛生士などの人手不足の課題解決、来る国民皆歯科検診による検診機会増加による人手不足を解消し、ひいては国民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に寄与したいと考えられている企業様との販売チャネルの拡大に取り組み、歯科DXの革新的ソリューションを目指す新たなターゲット層を獲得して参ります。
2.営業基盤のない地域の歯科医院様へのサポート体制として、リモートサポートセンターを構築して参ります。併せて既存のユーザー様にもリモートサポート化を推進し、営業社員の業務の効率化と生産性の向上を目指して参ります。
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