東亞合成 【東証プライム:4045】「化学」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、企業理念である「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で新しい幸せをあなたへ届けます。」に基づき、既存事業の拡大と新たな柱となる新製品・新事業の創出により持続的な成長を目指しております。
(2) 経営環境
当社グループを取りまく経営環境につきましては、ウクライナ戦争終結のきざしがみられず、中東でも紛争が勃発するなど地政学リスクが高まりました。そのような中、欧米ではインフレ抑制を目的に金融引締め策がとられ、欧州経済は年間を通じて停滞したものの、米国経済は個人消費に支えられて堅調に推移しました。一方、中国経済は深刻な不動産不況によるデフレが意識されるようになり、成長力の低下が懸念されています。
なお、今後の見通しにつきましては、地政学リスクやインフレおよび金利動向などの不確実性が高まり、先行きに対する不透明感が強い状況が続くと予想されます。
(3) 中期的な経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは、2023年から2025年の3年間を対象とする2025年中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」を策定いたしました。この中期経営計画では研究開発と設備投資に一層の経営資源を投入し、特異な研究開発力のさらなる強化と生産基盤の強化を実現します。これにより、ユニークで付加価値の高い事業の一層の拡大を図り、激しい事業環境の変化にも揺るがない事業基盤を築いていくこととしました。
初年度である2023年は、高分子凝集剤の競争力を向上させるため、当社グループのMTアクアポリマー株式会社の出資比率を90%に引き上げたほか、中国における事業の拡大およびグループとしての管理体制の充実を進める目的で、中国上海市に「東亞合成(上海)企業管理有限公司」を設立しました。
また、次世代材料の研究開発や社外研究機関と連携した製品開発を推進するため、新たな研究拠点「川崎フロンティエンスR&Dセンター」の設立を決定し、開所に向けて準備を進めています。
さらに、今後も拡大していく半導体の需要および微細化・高集積化に伴う品質要求に対応するため、高い生産安定性と高品質な次世代プロセスの技術開発および設備投資を積極的に進めています。
今後も引き続き、社会からより信頼される企業グループとなることを目指し、積極的な活動を行ってまいります。
①中期経営計画の基本方針
(ア)新製品・新技術の開発力強化
研究開発力をさらに強化することで、モビリティ、電子材料、メディカルケアを注力分野として競争力のある独創的な製品や技術を継続的に生み出し、当社グループの将来を担う新事業を実績化する。
(イ)海外売上高の拡大
世界で成長が期待される市場での生産、販売活動を展開し、高付加価値製品のシェア拡大を図る。
(ウ)持続可能な社会の実現に貢献
当社グループ内での温室効果ガス(GHG)排出削減への注力に加え、社会における環境課題の解決に資する製品や技術の提供により、持続可能な社会の実現に貢献する。GHG排出削減にあたっては、きめ細かな取組みで着実に実施する。
②重要施策
(ア)伸ばす事業に経営資源を積極投入し国内外での展開を加速
既存事業の中の強化すべき事業、新規事業にメリハリをつけて経営資源を投入する。前中計でのシェア拡大の取組みを継続しつつ、将来を担うセルロースナノファイバー製品、メディカルケア製品を早期に市場投入し実績化を図る。また海外では、米国、中国、東南アジアを中心とした需要旺盛な市場でのモビリティ、半導体、電池、5G分野向け材料の事業体制を拡充することにより、ポリマー・オリゴマー、接着材料、高機能材料事業を中心とした高付加価値製品の海外取引高を拡大させる。
(イ)研究開発力の強化
事業の拡大、新規事業の開発を加速するため、研究開発力の強化に積極的に経営資源を投入する。この一環として、スタートアップ企業との協働も積極的に進める。また、顧客のそばでユーザーとともに研究を行うことで開発をスピードアップさせるため、首都圏に研究拠点を設置する。
(ウ)デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を浸透・拡大
DXを推進し、MI(マテリアルズインフォマティクス)や分子シミュレーションの活用、スマートファクトリー化、AI活用、デジタル人材育成などを進め、グループの競争力と体質の両面を強化する。
(エ)先見性を持った人材の確保と育成
仕事に対するモチベーション向上を意図した人事制度を実施するとともに、専門人材を積極的に採用する。さらに海外人材の登用やリスキリング計画を策定・実施することで、多様化する社会に対応した人材の確保と育成を図る。
(オ)サステナブル経営の推進
2050年カーボンニュートラルを目指したGHG排出削減ロードマップを実現するため、生産効率の向上によるエネルギー消費の削減に取組むほか、調達面でもグリーンエネルギー発電導入などの施策を実行する。また、エコプロダクツの開発を進め、顧客の環境課題の解決に資する製品・技術の提供に注力する。
③2025年中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」数値目標
| 2025年計画 |
連結売上高 | 1,830億円 |
連結営業利益(売上高営業利益率) | 200億円(11.0%) |
EBITDA(金利、税金、減価償却前利益) | 320億円 |
設備投資額(2023年~2025年累計額) | 680億円 |
高付加価値製品売上高比率 | 48% |
研究開発費増額(2022年比) | 20%増 |
海外売上高拡大(2022年比) | 30%増 |
GHG排出削減(2013年比) | △35% |
女性管理職比率 | 5% |
1株当たり純利益(EPS) | 153円 |
総資産経常利益率(ROA) | 8.2% |
自己資本当期純利益率(ROE) | 7.3% |
(ア)設備投資計画
高付加価値製品の製造設備増強、研究設備の拡充に加え、物流施設等のインフラ整備、サステナビリティ関連にも注力し、2023年から2025年までの3年間の累計で680億円の投資を計画する。
(イ)資本政策
一層の資本効率向上を目指し、次の施策を計画する。
・投下資本利益率(ROIC)を利用した事業管理手法を早期に導入し、資産効率を意識した事業運営を促進する。
・株主還元については、連結配当性向30%、総還元性向50%を目途としつつ、その上を目指す。また、
2025年中期経営計画では200億円程度の自己株式の取得を計画し、株式価値の向上を図る。
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