東亜建設工業 【東証プライム:1885】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、今後の環境変化により実際の結果と大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組
当社グループは、社是「高い技術をもって社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」や長期ビジョン〈TOA2030〉「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を踏まえてESG経営基本方針「東亜建設工業グループは、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)に関する社会的責任を果たし、持続的な企業価値向上を実現するためのESG経営を推進し、SDGsに貢献します」を策定しております。
この方針のもと、より一層の東亜らしい社会価値の創造及び持続的成長をめざして、事業において優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、その解決のための行動計画を設定しました。この行動計画に基づく取組みにより、持続可能な企業体質を構築し、当社の企業価値の向上を図りながら、事業を通じて社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
■東亜らしい3つの社会価値の創造
①持続可能な自然環境のために環境負荷を低減する
②高度な技術により人々の「安心な生活」を支える
③社会、社員との信頼を守る企業であり続ける
<ガバナンス>
当社グループの全社的なESG活動の推進のため、「ESG委員会」を設置しております。委員会は社長を委員長とし、副社長1名、本部長6名、常勤監査等委員である取締役、監査等委員である社外取締役1名で構成されます。「ESG委員会」は年2回開催され、気候変動への対応を含むESG活動に関する基本的な方針や具体的な行動計画の立案、活動実績のレビュー、施策等を審議しています。委員会の審議結果は取締役会に報告されるとともに、重要決定事項は事業部門(支店を含む)及びグループ会社に伝達され、グループ一体でのガバナンス体系を構築しております。
<戦略>
当社グループは高度なガバナンス体制とコンプライアンス精神を根底に置き、環境・人権・パートナーシップそれぞれの価値を重視し、社員を含むすべてのステークホルダーの幸福度を高めるために、ESG経営を更に深化させ、社会資本整備を通じてサステナブルな社会に貢献いたします。このための組織作り・人材作りとして中期経営計画を策定し、事業戦略と人材戦略の融合を図っております。2021年度にESG推進部、2022年度にカーボンニュートラル推進部及びDX推進部、2023年度には人事部人材戦略課を新設し、気候変動関連や人的資本・多様性に関するリスク及び機会に対処する取組みを拡充しております。
<リスク管理>
当社グループのリスク管理に関する方針、体制は「ESG委員会」にて審議されます。リスクと機会の分類において、それぞれ想定される事象や影響を整理し、「発生頻度」と「発生影響」に基づいて評価いたします。各リスク・機会項目に対して、主管部署を設け、予防的対応策を検討しています。これらのプロセスによって決定した当社グループの重要リスク・機会は、ESG委員会にて審議・承認され、取締役会に報告されます。決定した重要リスクは、当社の経営戦略等に統合されます。
<指標及び目標>
当社グループでは、ESG経営を着実に推進・深化させるため、マテリアリティの解決に向けた指標(KPI)と目標を設定しております。さらに、目標達成のための具体的な行動計画を策定し、社員一人ひとりが高い意識を持って取組みに参加できる仕組み作りも構築しております。
より詳細なサステナビリティ情報については当社コーポレートレポート(https://www.toa-const.co.jp/esg/report.html)をご参照ください。
なお、当該サイトは2023年10月に更新予定です。
(2)気候変動への取組(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)
気候変動問題は世界的に取り組まなくてはならない喫緊の課題であり、なかでも建設業が果たすべき役割は非常に重要であると考えております。当社では、TCFD提言に沿った気候関連の情報開示を拡充し、企業価値の向上を図りながら、事業を通じて社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
<ガバナンス>
気候変動に関するガバナンスは、当社グループのESG経営に関する基本方針に組み込まれております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 <ガバナンス>」を参照ください。
<戦略>
TCFDの提言に基づき、当社グループにおけるリスク及び機会を特定・評価し、気候関連問題が事業に与える影響を把握するため、中長期の視点も踏まえてシナリオ分析を実施しております。なお、「(低炭素社会への)移行」と「(気候変動による)物理的変化」に関するリスクと機会を検討するにあたり、移行シナリオとして1.5℃シナリオ、物理的シナリオとして4℃シナリオを採用しております。
■主な事業リスクと機会 (影響度大のみ記載)
区分 | リスク/機会 | 影響 | 影響度 | 対応策 | |
移行シナリオ | リスク | 炭素税導入及び脱炭素に向けた規制強化 | ・環境に対する規制の導入・強化に伴い、建設コストが上昇 炭素税が課税されコスト増となる コストが増加 | 大 | ・設計・施工段階でのCO2排出量低減に向けた取組み の協働による省ネルギー推進 |
機会 | 環境配慮型建物の需要拡大 | ・ZEBや省エネルギー技術がより注目され、需要が増加する 競争力に繋がる | 大 | ・ZEBの推進、建物の省エネ性能向上への取り組み強化 | |
カーボンニュートラル関連施設の需要増加 | ・水素やアンモニアの受入れ施設など、カーボンニュートラル推進のための関連施設への建設投資の増加 | 大 | ・カーボンニュートラル関連施設の整備事業への取り組み強化 | ||
再生可能エネルギーの需要増加 | ・風力発電などの再エネ関連施設への建設投資の増加 | 大 | ・洋上風力発電事業へのEPC事業者としての参画に向けた取り組み推進 | ||
物理的シナリオ | リスク | 平均気温上昇 | ・建設技能者の健康被害(熱中症等)の増加 が更に加速 | 大 | ・ICT、AI等を活用した現場の省人化、生産性向上 善 |
機会 | 気候変動に伴う市場変化 | ・自然災害の甚大化を見据えて、建物の新築やリニューアル市場の拡大、施設移転ニーズの高まり 街づくりの需要増加 | 大 | ・防災・減災やリニューアルを柱としたインフラ整備事業への取り組み強化 り組み強化 | |
海面上昇に伴う工事需要増 | ・海面上昇や高潮等を見据えて、港湾・海岸部の防災対策工事の需要増加 | 大 | ・防災・減災のためのインフラ整備事業への取り組み強化 |
<リスク管理>
気候変動に関する主なリスクは、当社グループのESG経営におけるリスクとして管理しております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 <リスク管理>」を参照ください。
<指標及び目標>
当社はESGに関する取組における重要指標(KPI)を策定しその状況をモニタリングしております。重要指標(KPI)の一つとして、今後の気候関連リスク・機会の影響を鑑みて、Scope1,2,3の排出量の削減目標を策定いたしました。気候関連のリスク・機会の影響を受ける直接的なパラメーターとして管理し、具体的な削減対応を進めてまいります。
■指標/目標(排出総量)
Scope 1+2 | 2030年度25%以上削減(2020年度比)※ 2050年度実質排出ゼロ |
Scope 3 | 2030年度25%以上削減(2020年度比)※ |
※該当箇所の目標は、SBTのWB2℃目標としてSBTiに認定されております(2022年9月)
■温室効果ガス排出量実績値
当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1・2)の集計結果は下表のとおりです。
項目 | 単位 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 備考 |
Scope 1 | 千t-CO2 | 128 | 111 | 124 | 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 |
Scope 2 | 千t-CO2 | 5 | 4 | 2 | 他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出 |
Scope 1+2 | 千t-CO2 | 133 | 115 | 126 |
|
同削減率 | % | - | 13.5 | 5.3 | 2020年度比 |
Scope 3 | 千t-CO2 | 1,774 | 2,168 | --- ※ |
|
同削減率 | % | --- | ▲22.2 | --- | 2020年度比 |
※2022年度Scope 3は、現在データ集計及び算出中です。
(3)人的資本政策
当社は、長期ビジョンTOA2030「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を実現するために、事業拡大を推進する組織作りと人材成長(育成)の両立を図ってまいります。そのためには多様な人材を採用・育成していくこと、ダイバーシティ&インクルージョンを実現し、すべての社員が活き活きと活躍する「社員の幸福度」の高い組織を構築すること、そして、ライフサイクル全体を通した長期的な人材の活躍を後押しすることが必要であると考えております。
<人材育成方針>
当社は、当社の「人材育成基本方針」に基づく次代を担う多様な人材確保と成長を実感できる育成環境の整備を進めてまいります。
(人材育成基本方針)
■性別や国籍、年齢などの属性にとらわれない多様性と包摂を備え、従来の画一な人材育成とは異なる、個人の適性や能力に応じたセミオーダー型の人材育成を目指します。
■当社の将来の事業環境、事業ポートフォリオなどを想定した、計画的なプロフェッショナル人材の確保、育成を行います。
■多様な価値観を受け入れる組織文化、職場環境を構築し、個々のリスキリングなどを通じて、ライフサイクル全体を通じた長期的な人材の活躍を後押しいたします。
人材育成基本方針を具体的に実現するために、以下の重点項目を定めております。
・多様性、協調性、自発性が存在する組織文化の醸成
活力ある組織であるために、性別、国籍、年齢など属性の違いを自然に受け入れ、協調・協力し、自発的に考え、行動することを推奨する組織文化の醸成のための仕組みづくりを行います。
・計画的かつ長期的な要員計画
長期ビジョンTOA2030のゴールである2030年は勿論、その先の当社の事業規模、事業分野などを想定し、新卒採用計画、中途採用計画、継続雇用制度などを整備いたします。
・若手従業員を中心とした早期プロフェッショナル化
プロ人材の存在が当社の事業の根幹にあり、また、従業員個人のキャリア形成や仕事のやりがいにつながります。若手従業員を早期にプロ化するための制度や就業環境を整備いたします。
・組織人としての役割を果たす為のスキル向上
組織としての力を生かすために、中堅層のマネジメントスキルの向上、将来の経営人材の早期育成、中途採用従業員のフォローアップなどを行います。
・リスキル/リカレント教育の機会提供
新しい事業機会への対応のために、また、従業員個々人の役割変化への対応のため、自発的に活用可能なリスキル/リカレント教育の機会を整備、提供いたします。
また、当社は2023年度を初年度とする中期経営計画において、人的資本経営の質・量双方の課題解決に向けた諸施策を以下のとおり定めております。
・将来の人員構成を見通し、若手作業所長の抜擢
・育成のスピードアップを図る
・シニア社員の個々の役割の明確化と処遇の見直し
・柔軟なジョブローテーションなどによる個人の希望と適性を考慮した職場配置と育成
・地域限定総合職化等、女性活躍の場を増やし処遇格差の改善を図る
・一部採用手法に事業部門への権限付与。資格取得促進に向けたインセンティブ付与
<社内環境整備方針>
~社会から信頼され、社員からも愛される企業へ~
当社は活き活きと誇りをもって働ける職場環境づくりとして、会社のあるべき姿を「人が集まる会社」と定め、社員が活き活きと働けて高い幸福度を感じるとともに、関わるすべての人が幸せになる環境整備に取り組みます。またこうした活動を通し、社会から信頼される企業となり、社会的責任を果たしてまいります。
■働き方改革
時間外労働の上限規制が2024年度から建設業にも適用されますが、当社は法施行を前に、従業員の時間外労働が法施行後の上限規制をクリアできることを目標に定め、効率的な働き方の意識醸成、業務内容の負荷軽減、工事現場の4週8休促進などの活動を実施しています。これにより、従業員のワークライフバランス向上を推進しております。
■テレワーク制度
当社ではテレワーク制度を以下の2点を主目的として導入しております。
① 多様な働き方の実現によって社員のワークライフバランスを向上させ、働きがい・やりがいを高める。
② 業務の特性により働き方を自ら選択することで、生産性の向上と自律型人材の育成を図る。
■ダイバーシティ&インクルージョン
・女性活躍推進のための各種制度整備
出産、育児などの女性特有のライフイベントに対して、就労継続のための選択肢を企業が用意することを目的として、以下の様な取組みを行っております。
① 産前産後休業、育児休業時の定期的なフォロー面談や復職時の職場環境配慮
② 女性総合職に対する地域限定勤務制度
③ 退職後復職制度
④ 女性社員が配属される職場への理解促進のために「快適職場サポートブック」を配布
なお、第1.企業の概況の5.従業員の状況(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異に記載したとおり、当社の男女の賃金割合は全労働者で50.4%となっております。上記取組みを推進することに加え、女性のための地域限定総合職の創設や能力・意欲に見合った処遇改善のための施策推進により女性活躍の場を増やし、中長期的に幹部職に登用することにより賃金割合差異の縮小を目指します。
・外国人社員とのコミュニケーションの深化
日本語の能力が不足する外国人社員がその能力を発揮できる様、当社の国際事業本部は、日本国内の職場においても英語の公用語化に向けて取り組んでおります。
また、外国人社員の日本語学習のサポートも行っております。
■育児休業取得率の向上
社員及びその家族の幸福度向上への取組みの一つとして、育児休業取得率向上を行っています。誰もが育児休業を取得しやすい企業風土を醸成するため、株式会社ワーク・ライフバランス(本社:東京都港区、代表取締役社長:小室淑恵)が推進する「男性育休100%宣言」に賛同いたしました。また、生活面での不安を軽減するために一定期間を有給とする取組みを行っております。
<指標及び目標>
当社では、人材育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
なお、連結子会社においても、ESG経営基本方針に基づいて多様な人材の育成と活躍推進に取り組んでおりますが、具体的な数値目標を設定していない等、当社グループにおける記載が困難なことから提出会社のもののみを記載しております。
指標 | 目標 | 実績 (当事業年度) |
女性総合職の人数 | 2030年度において100人以上を雇用 | 62人 |
女性準幹部職・幹部職の人数 | 2030年度において20人以上を雇用 | 10人 |
外国人総合職の人数 | 2030年度において40人以上を雇用 | 22人 |
外国人準幹部職・幹部職の人数 | 2030年度において10人以上を雇用 | 2人 |
女性総合職の採用人数 | 総合職採用の10%以上 | 11.6% |
育児休業の取得率 | 2024年度において男性社員50%以上、女性社員80%以上 | 男性: 45.5% 女性:100.0% |
人的資本データシート(提出会社)
指標 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | KPI | 単位 |
臨時従業員を含む総従業員数 | 1,714 | 1,748 | 1,788 |
| 人 |
うち女性総従業員数 | 230 | 245 | 251 |
| 人 |
従業員数(期末) | 1,594 | 1,628 | 1,658 |
| 人 |
うち女性従業員数 | 162 | 177 | 185 |
| 人 |
(女性従業員比率) | 10.2% | 10.9% | 11.2% |
| |
平均年齢 | 45.8 | 45.6 | 45.3 |
| 歳 |
平均勤続年数 | 20.0 | 19.9 | 19.5 |
| 年 |
うち男性総合職 | 19.9 | 19.8 | 19.3 |
| 年 |
うち女性総合職 | 8.7 | 7.5 | 7.1 |
| 年 |
総合職従業員数 | 1,314 | 1,336 | 1,363 |
| 人 |
うち女性総合職従業員数 | 38 | 50 | 62 | (2030年度) | 人 |
(女性総合職従業員比率) | 2.9% | 3.7% | 4.5% | ||
一般職(実務職)従業員数 | 114 | 118 | 114 |
| 人 |
うち女性一般職従業員数 | 113 | 117 | 113 |
| 人 |
準幹部職・幹部職者数 | 904 | 884 | 867 |
| 人 |
女性準幹部職・幹部職者数 | 7 | 8 | 10 | (2030年度) | 人 |
管理職数 | 687 | 703 | 685 |
| 人 |
うち女性管理職数 | 7 | 8 | 6 |
| 人 |
(女性管理職比率) | 1.0% | 1.1% | 0.9% |
| |
外国人総合職従業員数 | 19 | 14 | 22 | (2030年度) | 人 |
指標 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | KPI | 単位 |
外国人準幹部職・幹部職者数 | 1 | 1 | 2 | (2030年度) | 人 |
新入社員数 | 54 | 77 | 69 |
| 人 |
うち女性社員数 | 7 | 19 | 8 |
| 人 |
(新入女性社員数/新入社員数) | 13.0% | 24.7% | 11.6% |
| |
うち女性総合職数 | 3 | 14 | 8 |
| 人 |
(女性総合職数/新入社員数) | 5.6% | 18.2% | 11.6% |
| |
入社3年以内離職率 | 19.1% | 8.9% | 16.7% |
| - |
障害者雇用率(法定雇用率) | 2.3% | 2.9% | 2.7% | (2024年) | - |
年次有給休暇取得率 | 49.5% | 51.9% | 55.2% |
| - |
育児休業取得率(女性) | 100.0% | 100.0% | 100.0% | (2024年度) | - |
育児休業取得率(男性) | 5.9% | 12.1% | 45.5% | (2024年度) | - |
育児休業平均取得日数(女性) | 296.8 | 435.7 | 293.4 |
| 日 |
育児休業平均取得日数(男性) | 21.0 | 44.3 | 31.3 |
| 日 |
※各指標の数値は、障害者雇用率を除いて各事業年度末日現在のものを表示しております。
※従業員数(期末)・平均年齢・平均勤続年数に係る各指標においては、人的資本経営の観点から当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。これにより、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載の数値とは差異があります。
※障害者雇用率は、障害者雇用促進法に基づき各事業年度6月1日のものを表示しております。
※育児休業平均取得日数は、各事業年度に育児休業を終了した従業員の平均取得日数を表示しております。
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