日鉄ソリューションズ 【東証プライム:2327】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
①2021-2025年度中期事業方針の実現に向けた事業運営
当社は、2030年頃のデジタル社会の到来を見据え、持続的な事業成長に向け、2021年4月に公表した2021-2025年度中期事業方針の実現に向けた事業推進・実行が課題であると捉えております。
足元のIT投資は引き続き回復傾向が継続しており、お客様のDXニーズの高まりから、IT投資意欲は底堅いと考えております。一方、地政学リスクに伴うエネルギー価格の高騰、原材料価格の上昇、欧米の金融市場の不透明さなど、景気の下振れリスクを注視する必要があります。
(ⅰ)2021-2025年度中期事業方針の概要(2021年4月公表)
(ア)2021-2025年度中期事業方針
中期の事業方針として、以下4点の柱を以て、事業を運営してまいります。
・進展するDXニーズの着実な取り込み
・高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上
・優秀な人材の獲得・育成の一層の強化
・内部統制・リスクマネジメント徹底の継続
(イ)当社の目指す姿
当社は、中期における目指す姿を「ファーストDXパートナー」と定め、お客様とともにDX実現に向けた課題の解決を目指します。
(ウ)成長戦略
当社は、日本企業のDX本格展開を見据え、顧客との関係性を深化させながら、全社を挙げてDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大を目指します。
・注力領域
この中期期間においては、次の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、経営リソースを積極的に投入し、全社成長の加速を図ります。
デジタル製造業
プラットフォーマー支援
デジタルワークプレースソリューション
IT アウトソーシング
・成長に向けた投資
事業基盤強化投資(中期期間投資額:500~750億円)
DX加速投資 (中期期間投資額:100~150億円)
M&A等の投融資
・エンゲージメントの高い組織づくり
(エ)中期事業成長目標
・連結売上成長率:5-6%
・注力領域売上成長率:10%以上
(オ)サステナビリティへの取り組み
(ⅱ)中期事業方針の進捗
中期事業方針の進捗(2021-2022年度累計)は以下のとおりとなりました。いずれも順調に推移しており、中期事業方針の実現に向け、着実に取り組みを進めてまいります。
(中期事業方針の進捗状況)
| 2022年度累計 (2021-2022年度実績) | 中期事業期間 (2021-2025年度) |
連結売上成長率(CAGR) | 8% | 5-6% |
注力領域売上成長率(CAGR) | 14% | 10%以上 |
事業基盤強化投資 | 281億円 | 500~750億円 (100~150億円/年) |
DX加速投資 | 65億円 | 100~150億円 (20~30億円/年) |
注力領域及び成長に向けた投資の具体的な取り組みについては次のとおりであります。
(注力領域の進捗)
2022年度の注力領域の売上収益は1,250億円と、2020年度の970億円から、年率14%の伸びとなりました。
2023年度は次のとおり注力領域にそれぞれ取り組んでまいります。
・デジタル製造業
日本製鉄㈱向けで培ったデータ利活用領域を中心にビジネス展開
・プラットフォーマー支援
引き続き旺盛なIT投資意欲に対応すべく、社内人材のリソースシフトや外部成長施策を推進し、対応力を拡充
・デジタルワークプレースソリューション
ソリューション群の更なる拡充・強化
・ITアウトソーシング
マルチクラウドをはじめとするIT環境の複雑化や要求水準の高度化に対応し、インフラ運用のあるべき姿を描くデザイン力、運用におけるITガバナンス強化
(成長に向けた投資)
成長に向けた投資への取り組みは次のとおりであります。
項目 | 主な内容 |
事業基盤強化投資 | ・IT環境整備 ・プライベートクラウド等への投資 |
DX加速投資 | ・DX人材の集中的な育成 ・新規ソリューション開発 統合データマネジメントプラットフォーム「DATAOPTERYX(データオプテリクス)」 金融機関向けクラウド活用最適化サービス「FINARCH(フィナーチ)」 従業員エンゲージメント・キャリアリフレクションツール「なやさぽ」 |
M&A等の投融資 | DX推進、注力領域の成長加速、生産構造強化を狙った投資 ・DX組織能力の強化 高度な数理AI技術を持つArithmer社へ出資 データサイエンスでの高いコンサル力、技術知見を有するエスタイル社へ出資 ・開発・運用リソースの拡充 DX人材を豊富に有するヒューマンクリエイションホールディングス社への出資 ・市場シェアの拡大 ・新市場への参入 東南アジア地域でSAPソリューションを提供しているRound Two Solution社へ出資 |
当社では、2022年4月に開示した「成長投資の資金確保に向けた政策保有株式の売却予定金額設定に関するお知らせ」のとおり、成長投資の原資とすることを目的に、政策保有株式の売却を進めております。
2023年3月期末時点における当社グループが保有する政策保有株式残高は、上場株式:368億円、非上場株式:29億円となりました。
②サステナビリティ経営の推進
サステナビリティ経営の推進にあたっては、当社が目指す社会的存在意義のパーパスを起点に価値創造プロセスを整理し、以下の5つのマテリアリティの実現に向け取り組んでおります。
・ITを通じた社会課題の解決
・社会インフラとしてのITサービスの安定供給
・多様な人材が活躍できる場の創出
・環境負荷低減
・信頼される社会の一員としてのガバナンス/コンプライアンス追求
当社のマテリアリティ別の取り組みは次のとおりであります。
(マテリアリティ別取り組み)
③リスクマネジメントの徹底
事業成長を支えるリスクマネジメントにつきましては、2020年2月に公表した当社の一部の物品仕入販売型取引事案に関する再発防止策等の浸透・定着化に引き続き取り組みます。また、再構築した内部統制PDCAに基づき、各部門が中期・年度事業計画に連動させたリスクマネジメント活動を推進し、網羅的なリスク体系に照らした重要リスク認識の確認及び更新を行います。これらに基づき、リスクコントロールに向けた規程類の整備と運用状況のモニタリング、リスク感度の向上施策等、リスクマネジメントプロセスの一層の強化と当社グループ全体への浸透・定着化に向けた活動を持続的に推進してまいります。あわせてトップメッセージの発信や社員のコンプライアンス教育等を通じ、法令・規則を遵守し高い倫理観をもった行動に努めます。
重要なリスクと認識している、システム構築プロジェクト、サービスビジネス、情報セキュリティ及び労務管理におけるリスク等について引き続き対応に注力してまいります。
システム構築プロジェクトにつきましては、プロジェクト規模の拡大や複雑化・高度化するプロジェクト実態を踏まえプロジェクトリスク管理機構を再構築し、運営しております。引き続き、リスクの早期発見、早期対応を図ります。
サービスビジネスリスクにつきましてもリスクモニタリングを強化するとともに、重大障害発生時の訓練など実施することで、引き続き対応力強化を行います。
情報セキュリティにつきましては、ウイルス対策、EDR(Endpoint Detection and Response)導入、多要素認証等のシステム実装面での対策に加え、規程やガイドラインを改訂し、過誤防止や負荷軽減のため業務プロセスの整備を行うとともに、e-learningやインシデント訓練を通じセキュリティレベルの向上をさらに推し進めてまいります。
労務管理リスクについては、勤務実態の適正な把握、管理を行うとともに、業務プロセスの標準化、システム化の促進等による業務負荷軽減に取り組みます。またハラスメントリスクに対して、意識啓発活動の継続や教育の徹底、ヘルプライン活用強化等を通じて徹底防止を図ります。
また、大規模な地震、風水害等の自然災害の発生のリスクにつきましては、事業活動継続のための対応力の維持、強化に努めます。事業継続計画(BCP)に基づく定期的な防災訓練の実施や安否確認システムの整備の他、クラウドサービス型の社内開発環境プラットフォーム「TetraLink」の活用による国内外での分散開発体制の拡大等、引き続き事業継続リスクへの対応力強化に取り組んでまいります。
④経営体制の充実
当社は、意思決定の迅速化を図り、取締役会における経営方針等の議論をより充実させるとともに、取締役会の経営に対する監督機能を強化しコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ること等を目的として、「監査等委員会設置会社」を採用しております。
当社は、定款において取締役の定員を13名以内、取締役のうち、監査等委員である取締役は3名と定め、現在13名の取締役を選任しており、取締役会全体としての、経験・識見・専門性のバランスやジェンダー・国際性等多様性を考慮した上で最適な構成にすることとしております。なお、当社取締役会における社外取締役の割合は3分の1超(13名中5名)であり、取締役会における多角的な検討と意思決定の客観性の確保、経営に対する監督機能の強化が図られております。
引き続き取締役会の実効性評価により抽出した課題や、ジェンダー等多様性を取り入れた取締役会の運営改善等、取締役会を中心としたコーポレート・ガバナンスの充実に取り組み、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
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