企業兼大株主日立製作所東証プライム:6501】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)経営の基本方針

 当グループは、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を企業理念として、顧客に対し、より高い価値をもたらす競争力のある製品・サービスを提供することで、一層の発展を遂げることをめざしています。当グループでは、グループ内の多様な経営資源を最大限に活用するとともに、事業の見直しや再編を図ることで、競争力を強化し、グローバル市場での成長を実現し、顧客、株主、従業員を含むステークホルダーの期待に応えることにより、株主価値の向上を図っていくことを基本方針としています。

(2)経営環境及び対処すべき課題

①当グループの経営環境及び対処すべき課題

 現在の世界は、将来の予測が立てにくい時代です。国家間及び地域の紛争や緊張の高まり、気候変動や資源不足、高齢化による人口構造の変化、都市化の問題など様々な変化が生じています。一方で、複雑化する社会課題を解決するためのイノベーションが世界中で起きています。

 かかる経営環境において、当グループは、2022年4月に策定した「2024中期経営計画」のもと、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現して人々の幸せを支えることをめざしています。「デジタル」「グリーン」「イノベーション」の3つを成長の柱とし、グループ一体となったOne Hitachiでのグローバルな成長により、めざす社会を実現すべく、以下の施策に注力しています。

 i) Lumadaの価値協創サイクルの強化と展開

 顧客の経営課題を理解した上で、その解決方法を設計・実装し、運用・保守するとともに次の課題解決に取り組むという、Lumadaにおける顧客との価値協創サイクルを強化しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)需要の高まりも追い風に、エネルギーや交通、産業など、当グループのあらゆる事業と連携するとともに、生成AIなどの最先端テクノロジーも活用して、Lumadaソリューションの創出・展開に取り組んでいます。

 ii) 環境経営の推進と人的資本の強化

 当グループは、社会イノベーション事業を通じて、環境課題の解決と人々の生活の質の向上の両立に取り組んでいます。

 脱炭素化の取組においては、2030年度までに自社の事業所(ファクトリー・オフィス)での、2050年度までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル達成という目標を掲げています。日立におけるCO2排出量削減は目標を上回るペースで進捗しており、削減をさらに推進するとともに、環境に配慮した製品によるソリューションを提供して顧客のCO2排出量削減を支援しています。

 また、多様な人財の活用を通じ、さらなる成長を実現するため、役員層における女性・外国人比率の増加やデジタル人財などの獲得・育成に努めるとともに、One Hitachiでの成長マインド醸成のための従業員エンゲージメント向上を図っています。

iii) 成長に向けたイノベーションの創生

 当グループは、グローバルな事業成長へ向けてイノベーション創生を推進しており、先端研究を含めた研究開発投資に加え、スタートアップ企業との協業のためのコーポレートベンチャリング投資も拡大を図っています。社会や顧客の課題を探索し、その課題解決に向けたイノベーションを創生していくことで、次世代まで続く持続的な成長を実現していきます。

 これらにより、先の見通せない不安定な経営環境でも安定してキャッシュを創出できるよう、事業の成長を図るとともに、継続的な事業構造改革による資産効率の改善などにも取り組んでいきます。キャッシュ創出力を高める一方で、成長に必要な投資は、厳選して迅速に実行するとともに、株主還元も安定的に実施していきます。

②注力分野における経営環境及び対処すべき課題

 注力分野であるデジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ及びコネクティブインダストリーズの3セクターにおける経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりです。

デジタルシステム&サービス

 不確実な社会・経済情勢において複雑化する経営課題に対して、AI、アナリティクス等のデジタル技術やサービスの活用が一層求められています。また、深刻な社会・環境課題を背景に、デジタル技術で企業経営や社会の変革を図るDXの取組がグローバルで拡大しています。

 デジタルシステム&サービスセクターでは、そのようなグローバルDX市場において、GlobalLogic社のデザインやデジタルエンジニアリング力を活用し、日立の「OT×IT×プロダクト」を組み合わせた価値創造による、顧客や社会の課題解決に取り組んでいます。当グループの他セクターと連携し、顧客との協創の深化による継続的な価値提供、高付加価値なソリューションの横展開、顧客やパートナーとのエコシステム構築による新市場創生などを加速していきます。

 また、デジタルシステム&サービスセクターは、これらの取組を支えるデジタル人財の育成・拡充など経営基盤の強化にも取り組みながら、社会や国内外の顧客の課題解決パートナーとして継続的に価値を提供し、Lumada事業のサステナブルな成長を実現します。急速に進化する生成AIによるイノベーションの創出に向け、国内外の顧客やパートナーとの多岐にわたる協創活動にも取り組んでいきます。

グリーンエナジー&モビリティ

 気候変動や地政学リスクの高まりを背景に、エネルギー転換が急速に進展し、市場が拡大しています。具体的には、バスや鉄道などのモビリティの電動化や、電源構成の多様化・分散化によるマイクログリッドの拡大に加え、従来の社会インフラ事業のサービス化や脱炭素社会実現に向けたGXなどにより、新たな事業機会が世界各地で生まれています。

 グリーンエナジー&モビリティセクターでは、グローバルトップレベルの製品群とインテグレーション力でサステナブルな社会インフラの実現に貢献し、地球環境に優しいグリーンなエネルギーとモビリティで世界中の人々の生活の質の向上に貢献していきます。具体的には、パワーグリッド、再生可能エネルギーシステム、原子力発電システム、鉄道システムなどにおいて、「OT×IT×プロダクト」の強みを生かした製品やサービス、ソリューションを提供していきます。エネルギー分野では、日立エナジー社の持つパワーグリッド技術とLumadaを活用したデジタル技術との融合を通じた新たなソリューションの提供やクリーンエネルギー事業の推進により、脱炭素社会の実現に貢献するサービス・ソリューションの提供を拡大していきます。鉄道システム分野では、交通ネットワークをデジタルでつなぎ、データを活用した鉄道運行サービス等の展開を加速させていきます。

 これらの取り組みを通じ、グリーンエナジー&モビリティセクターは、2024中期経営計画の3つの成長の柱であるグリーン価値の創出の中核をなす事業として、脱炭素化やエネルギーの安定供給、安全・安心・快適な鉄道システムの提供など、ウェルビーイングの実現に貢献していきます。また、日立エナジー社や、新しく当グループに加わったタレス社の鉄道信号関連事業がグローバルに有するインストールベースを活用し、高収益事業への転換を加速させていきます。

コネクティブインダストリーズ

 地政学リスクの高まりや気候変動による自然災害の増加など社会環境の不確実性が急増していることに加え、デジタル技術の急速な進展に伴い、人々の生活様式や企業活動は大きく変容し、新たなDX・GXへのニーズがこれまで以上に高まっています。こうした中、組織や企業間、さらには分野を越えたトータルな「際」の課題解決が求められています。

 コネクティブインダストリーズセクターでは、昇降機、家電、計測・分析装置、医療機器、産業機器などの競争力の高いプロダクトを集結させ、それらをデジタルでつなぎ、ソリューションとして提供し、サステナブルな価値を創出していきます。

 具体的には、Lumadaの顧客協創フレームワークを活用し、リアル空間とサイバー空間をデジタルでつなぐことで、経営から現場、サプライチェーン、異業種の間に存在する「際」の課題を解決し、全体最適化を実現するトータルシームレスソリューションを、産業分野からアーバン分野、ヘルスケア分野、さらにグリーン領域へ進化・拡大しています。また、コネクテッドプロダクトが創出するデータを活用したアフターサービスや、顧客の新たな課題解決ニーズの深耕により、継続的・循環的に価値を提供するリカーリングビジネスを強化します。

 さらに、グローバル成長の加速に向けて、産業分野では、北米において、JR Automation社のロボティクスSI、Flexware Innovation社のMES(製造実行システム)・SCADA(監視制御システム)、Hitachi Global Air Power社の空気圧縮機、Telesis Technologies社のマーキングを中核にトータルシームレスソリューション展開を加速していきます。さらに、半導体製造装置事業では顧客に近い拠点を活用した協創の深化、ヘルスケア分野では北米を中心に分子診断事業と粒子線治療システム事業の強化に注力しています。

 コネクティブインダストリーズセクターでは、「つないでいく。データを、価値を、産業を、そして社会を。」をパーパスとして定め、顧客との協創を通じて「サステナブル バリュークリエーター」をめざしていきます。

(3)中期経営計画における経営指標

 2024中期経営計画においては、以下の指標を経営上の業績目標としています。

指 標

2024中期経営計画目標

選定した理由

売上収益年成長率(2021年度-2024年度 CAGR)(注)1、2

5-7%

成長性を測る指標として選定

Adjusted EBITA率(2024年度)

(注)3

12%

収益性を測る指標として選定

EPS(2024年度)(注)4

600円

収益性及び株主価値を測る指標として選定

コア・フリー・キャッシュ・フロー

(3年間累計)(注)5

1.2兆円

キャッシュ創出力を測る指標として選定

投下資本利益率(ROIC)(注)6

10%

投資効率を測る指標として選定

(注)1.CAGR(Compound Annual Growth Rate)は、年平均成長率です。

2.上場子会社を除いて算出しています。

3.Adjusted EBITA(Adjusted Earnings before interest, taxes and amortization)は、売上収益から、調整後営業利益(売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標)に、企業結合により認識した無形資産等の償却費を足し戻した上で、持分法による投資損益を加算して算出した指標です。Adjusted EBITA率は、Adjusted EBITAを売上収益の額で除して算出した指標です。

4.EPS(Earnings Per Share)は、一株当たり当期利益であり、株式分割(2024年7月1日効力発生予定)前の株式数で計算しています。

5.コア・フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローを合わせたもの)から、M&Aや資産売却他に係るキャッシュ・フローを除いた経常的なキャッシュ・フローです。

6.ROIC(Return on invested capital)は、「(税引後の調整後営業利益+持分法損益)÷投下資本×100」により算出しています。なお、「税引後の調整後営業利益=調整後営業利益×(1-税金負担率)」、「投下資本=有利子負債+資本の部合計」です。

 また、上記の経営目標の他、顧客や社会への価値提供と人的資本の充実に向け、以下の項目を中期経営計画の重点項目として取り組んでいきます。

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