企業兼大株主日産自動車東証プライム:7201】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、将来にわたって持続性のあるモビリティ社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。

 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は6,099億円であった。

 当社グループの研究開発体制及び活動成果は次のとおりである。

(1) 研究開発体制

 当社グループの日本における研究開発は、日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)を中心に、車両開発を株式会社日産オートモーティブテクノロジー、日産車体株式会社、ユニット開発をジヤトコ株式会社などの関係各社が担当し、当社と密接な連携のもとで推進している。

 米欧地域においては、米国の北米日産会社、メキシコのメキシコ日産自動車会社、英国の英国日産自動車製造会社、スペインの日産モトール・イベリカ会社において、一部車種の設計開発業務を行っている。また、米国の日産先進技術開発センター・シリコンバレーにおいて、自動運転車の研究、最先端のICT(Information and Communication Technology)技術開発を行っている。

 アジア地域では、中国の日産(中国)投資有限公司、東風汽車集団股份有限公司との合弁会社である東風汽車有限公司、台湾の裕隆汽車製造股份有限公司との合弁会社である裕隆日産汽車股份有限公司、タイのアジア・パシフィック日産自動車会社及びインドのルノー日産テクノロジー&ビジネスセンターインディア社において一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。また、ルノーとの合弁会社アライアンス研究開発(上海)有限公司を2019年に設立し、自動運転車、電気自動車(EV)、コネクテッドカーに重点を置いた研究開発を行っている。

 また、南米地域のブラジル日産自動車会社、南アフリカの日産サウスアフリカ会社においても現地生産車の一部開発業務を行っている。

(2) 新商品の開発状況

 国内にて、「フェアレディZ NISMO」、「スカイライン NISMO」、「アトラス」、「日産クリッパー EV」を発売した。海外では、中国において「キャッシュカイ」、「パラディン」、「パスファインダー」および、新エネルギー車(NEV)のヴェヌーシア「V-Online DD-i」、「VX6」を発売した。

(3) 新技術の開発状況

 日産は2021年11月に「共に切り拓く モビリティとその先へ」をスローガンとして、新しい長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した。日産は今後10年間で、数多くのワクワクする電動車とイノベーションを提供し、グローバルに事業を拡大していく。この長期ビジョンは、2050年度までに製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現するという当社の目標を支えるものである。

 そして、バランスの取れたポートフォリオで多様なお客さまのニーズと市場毎に異なる電動化のペースに対応するため、2024年度から2030年度の間で計34車種の電動車を投入してすべてのセグメントをカバーする。その結果、グローバルな電動車のモデルミックスは2026年度に約40%、2030年度には約60%になる見込みである。

 また、電動化の鍵となるバッテリーについては従来のNCMリチウムイオンバッテリーの性能を向上していくとともに、コストに優れるLFPバッテリーおよびバッテリーの革新となる全固体電池の開発を進めていく。これらの進化したNCMリチウムイオンバッテリー、LFPバッテリー、全個体電池を搭載したEVは、2028年度に投入する予定である。さらに、EVと「e-POWER」でモーター・インバーターなど主要部品の共用化・モジュール化することによりコストの大幅低減を実現する次世代電動パワートレイン「X-in-1」技術開発を通じ、電動車の競争力をさらに向上させる。

EVでは、「日産リーフ」、SUVの「日産アリア」、軽自動車の「日産サクラ」に続き、ビジネスユースもサポートする軽商用EVバンの「日産クリッパー EV」を発売した。

「日産クリッパー EV」は、軽商用バンとして必要な荷室性能と積載量を確保しながらも、モーター駆動のEVならではの力強い走りで、重い荷物も軽快に運ぶことが可能である。また、走行時や起動・停車時の静粛性も高く、早朝や深夜をはじめ、住宅街での使用にも適する。

 さらに、次世代のEVに向けては競争力を確保するため、プラットフォームを共有するファミリー開発などの効率化を行い、EVのコストをガソリン車(ICE車)と同等にしていくことを目指す。

 車両の電動化では、ガソリンエンジンで発電した電力を利用し、モーターの力で走行する「e-POWER」を2016年より採用している。

2023年には、新開発の「e-POWER」専用設計エンジンを搭載した「セレナ」において、燃焼効率の向上やスムースで力強い加速、優れた静粛性などが評価され2023-2024「日本カー・オブ・ザ・イヤー」において「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」、2024年次「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」において「RJCカーオブザイヤー」と「RJCテクノロジーオブザイヤー」を受賞した。さらに、グローバル市場における採用拡大のため、2023年には中国で「エクストレイル」へ「e-POWER」搭載モデルを設定した。

 今後も「e-POWER」は環境性能と走行性能を高い次元でバランスさせながら、幅広い車種に搭載可能な技術として進化を続けていく。EV同様、コストのさらなる低減に向け、発電専用エンジンの開発及び定点運転に特化するシステムの簡素化に取り組む。さらに次世代の「e-POWER」向け発電専用エンジンでは、世界最高レベルの熱効率50%を実現する技術を開発し、一層のCO2排出量の削減(燃費向上)を目指す。

 車両の軽量化も燃費向上に向けた重要な取り組みのひとつであり、材料、構造合理化、工法の3つの手法により推進している。材料では、高強度と高成形性を両立できる超ハイテン材の採用拡大をいち早く進めており、軽自動車からインフィニティに至るまで、幅広い車種の車体骨格部材に採用している。2020年「ローグ」、「キャシュカイ」、「ノート」、2022年「日産アリア」、2023年「セレナ」など採用車種の拡大を進めている。また、構造合理化においては、新設計したモーター、インバーターを適用した「e-POWER」システムを2020年発売の「ノート」に採用した。6%の出力向上を図りながら、モーターでは15%、インバーターでは30%の軽量化を実現している。2023年「セレナ」にも同様の技術を採用している。

 当社グループは「EVを作って売る」のみならず、環境の整備をはじめEVのある生活・社会をより豊かなものにするための様々なソリューション「ニッサンエナジー」を提供しており、それらを合わせた「EVエコシステム」を構築してきた。「ニッサンエナジー」は次の3つの領域で構成される。

・充電ソリューションの拡充:安心・便利なEVライフのための各種充電ソリューションを提供

・EVを活用したエネルギーマネジメントサービス:EVのバッテリーに貯めた電力を、住宅と「シェア」することで、新たな価値を提供。さらにビル、地域社会へ拡大する取り組みを推進。日本では法人や地方自治体のお客様向けに、「ニッサンエナジー・シェア」としてエネルギーマネージメントのサービスを提供

・リチウムイオンバッテリー二次利用事業「4R」の推進:EVがさらに普及する将来を見据え、クルマで使用された後でも高い性能を有する日産のEVのバッテリーを二次利用するための取り組みを推進

 加えて、EVを活用し日本が抱える地球温暖化、災害対策、再生可能エネルギーの推進、地方での観光の活性化や交通課題といった課題を解決するための活動、日本電動化アクション『ブルー・スイッチ』に取り組んでいる。再生可能エネルギーの利活用に有効な手段であるEVは、地球規模の課題である脱炭素社会の実現に大きく貢献するものであり、2024年3月末時点で自治体・企業との連携によるブルー・スイッチ活動は254件となった。

 安全面において、日産は事故による犠牲者を減らすため、事故そのものを減らすことに取り組み、安全性能に係わる技術の進化と採用拡大を推進する。

 日本では、自動車アセスメント(JNCAP)にて、「セレナ」、「エクストレイル」が最高評価となるファイブスター賞を獲得した。米国では、米国新車アセスメントプログラム(US-NCAP)にて「日産リーフ」、「日産リーフプラス」、「ムラーノ」、「アルティマ」、「マキシマ」、「セントラ」、「ヴァーサ」、「ローグ」、「日産アリア FWD」、「パスファインダー AWD」、インフィニティ「QX50」、「QX60 AWD」が最高評価となる5つ星を獲得した。また、米国道路安全保険協会(IIHS)にて、「パスファインダー」がトップセーフティピック+(TSP+)を獲得、「日産アリア」、インフィニティ「QX60」がトップセーフティピック(TSP)を獲得した。中国では、中国新車アセスメントプログラム(C-NCAP)にて「日産アリア」が5つ星を獲得した。

 また、当社グループは交通事故低減に大きな効果が期待できる運転支援技術の採用を推進している。さらに、ドライバーの負担を軽減する技術として、2016年より「プロパイロット」、2019年より高速道路で同一車線内ハンズオフが可能なナビ連動ルート走行を実現した「プロパイロット2.0」を販売しており、2023年には「セレナ」へミニバン世界初として採用した。引き続き、プロパイロット技術を軽自動車に至るまで幅広い車種で採用を推進していく。

 また、2027年度には、ドアツードアの自動運転技術を搭載した次世代プロパイロットを投入する予定である。さらに、2030年度にはアクティブセーフティとAI技術を融合させたシステムを実用化し、さらなる交通事故の低減を目指していく。

 当社グループは、「Nissan Ambition 2030」に基づき、今後も競争力のある商品、将来に向けた先端技術等のための研究開発活動に積極的に取り組んでいく。

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