日清食品ホールディングス 【東証プライム:2897】「食品業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業者が掲げた「食足世平」「食創為世」「美健賢食」「食為聖職」の4つの精神をもとに、常に新しい食の文化を創造し続ける「食文化創造集団」となり、環境・社会課題を解決しながら持続的成長を果たすことによって、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」の体現を目指してまいります。
また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」の実現を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
世界経済においては、米国の個人消費が堅調であるなど底堅く推移したものの、地政学リスクの高まりやインフレの進行等で先行き不透明感が増しております。国内においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行により経済活動が正常化し、内需が回復しつつあることなどから、景気は緩やかに回復基調にあります。一方で、原材料やエネルギー価格の高騰に加え、為替変動や金融政策の転換などのリスク要因もあり、予断を許さない状況であります。
かかる環境下、即席めん業界においては、新型コロナウイルス感染症流行期の需要増の反動もあり、中国など一部の国では前年比消費が減少しましたが、世界総需要は、流行前の2019年と比較すると10%以上高い堅調な水準を維持しております。
こうした中で、当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」で掲げたビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。
① CSV経営における中長期成長ストーリー
当社グループは、2021年5月に開示した中長期成長2030において、グループMissionVisionValueに基づくCSV経営として、以下のストーリーを発表いたしました。
* 非経常損益としての「その他収支」の影響や、連結時円換算為替レート影響を除いた実質的な営業利益(当社においてはNon-GAAP指標「コア営業利益」として定義)の成長
** 2020(2020年度)の値は、2020年度IFRS営業利益から、国内その他セグメントの損益や非経常損益としての「その他収支」、加えて2019~2020年度において大幅な利益増大要因となったCOVID-19影響を控除したおおよその値
*** 2023年5月に2030年目標を上方修正
② 中長期成長戦略 始動3ヵ年レビュー
財務KPIとして掲げた2030年度までの目標に対し、多くの項目で既にターゲット水準を達成しております。成長性、効率性指標は、新たな目標値を設定いたしました。
※Mid-single Digit(オーガニック):
インオーガニックグロース(M&A等)、外部環境の急変(為替、インフレ率等)を含まない実力値としての成長性
③ 中長期成長戦略の成長イメージ
急成長を遂げた2023年度起点にオーガニックベースMid-single Digit成長を計画しております。
新たなマイルストーンとして売上収益1兆円、既存事業コア営業利益1,000億円、時価総額2兆円を設定いたしました。
インオーガニックグロースも活用し、さらなるアップサイドを追求すると共に、潤沢なキャッシュフローの有効活用による「戦略的成長投資」と「ROEの一層の向上」を両立してまいります。
<中長期成長戦略の成長イメージ>
<ROE向上のためのキャピタルアロケーションの考え方>
④ 「完全メシ」シリーズは、発売2年で2,500万食を突破(2024年5月時点)
「完全メシ」とは?
「完全メシ」は、「日本人の食事摂取基準」で設定されたビタミン・ミネラルなど33種類の栄養素とおいしさの
完全なバランスを追求したブランドであります。当社の最新フードテクノロジーを駆使することで、たんぱく質、
脂質、炭水化物の三大栄養素のほか、ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸もバランスよく整え、さらに、栄養素
独特の苦みやエグみを抑えることで、普段の食事と変わらないおいしさを実現しております。
⑤ 「完全メシ」ブランドのタッチポイント創出
ブランド認知とビジネス展開の加速
「完全メシ」は、カップメシやドリンクといった常温品、温めていただくだけで召し上がれる冷凍食品
だけではなく、社員食堂での提供、小売店でのお惣菜弁当、他メーカー様とのコラボ商品といった形でも展開
しております。さらに通販チャネルや保険業界との協業を通じて、より多くのシーンで「完全メシ」をお届けし、
その認知とビジネス展開を加速してまいります。
⑥ EARTH FOOD CHALLENGE 2030
日清食品グループ環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を策定し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指したさまざまな取り組みを進めております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
① 持続的な利益成長の考え方
成長投資の基盤となる“既存事業”の実質的成長を示す指標「既存事業コア営業利益」を定義し、これをMid-single Digitで成長させることを経済価値ターゲットの中核といたします。
既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」を控除したものであり、中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している指標であります。
本指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指すうえでの重要経営管理指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価するうえでも有用な情報であると考えております。
② 中長期的な経済価値ターゲット
持続的な利益成長に加え、効率的な資本活用、安全性ある負債活用、そして安定的な株主還元の4つをCSV経営上の中長期的経済価値ターゲットとしてコミットしております。
項目 | 区分 | 項目 | 目標値 |
財務 | 成長性 | 既存事業コア営業利益成長率 | 旧:Mid-single Digit 新:Mid-single Digit(オーガニック)(注) |
効率性 | ROE | 旧:長期的に10% 新:2030年度までを目途に15% | |
安全性 | Net debt/EBITDA | 2倍以下 | |
安定的 株主還元 | 累進的配当 | 配当性向:約40% | |
自己株式の取得 | 機動的な自己株式取得 | ||
相対TSR(TOPIX食料品対比) | 1倍超 | ||
非財務 | 有限資源の 有効活用 | 持続可能なパーム油の調達比率 | 100% |
水使用量 (IFRS売上100万円あたり) | 12.3㎥以下 | ||
流通廃棄物削減率 (2015年度対比/日本国内) | △50% | ||
気候変動 インパクトの軽減 | CO2排出削減(Scope 1+2) (2020年対比) | △42% | |
CO2排出削減(Scope 3) (2020年対比) | △25% |
(注)Mid-single Digit(オーガニック):インオーガニックグロース(M&A等)、外部環境の急変(為替、インフレ率等)を含まない実力値としての成長性
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