企業兼大株主日本郵船東証プライム:9101】「海運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)ガバナンス

 ①サステナビリティに関するガバナンス

 当社グループは、当社グループが取り組むESG課題を抽出し、具体的な目標を掲げ、より一層の行動を促すために2020年4月に社長をトップとするESG経営推進体制を整えています。

 2023年4月からはESG戦略本部を新設し、同本部内にESG経営グループと脱炭素グループを設置しています。また従来のESG経営推進委員会を発展させる形でESG戦略委員会へと改称し、より高頻度かつ具体的な議論を進めていきます。メンバーは各本部を代表する執行役員と外部有識者で構成し、委員会では全社方針や目標の設定とともに、各本部が策定するアクションプランの進捗確認など、ESGに関わる幅広いテーマを討議し、ESG戦略本部から経営会議や取締役会へ報告していきます。

 ②気候変動に関するガバナンス

 当社は気候変動を重要な経営課題の一つであると認識しています。2018年12月にTCFD最終提言への賛同を表明、同提言に沿った適切な情報開示推進に努めています。2022年6月に「TCFD提言に基づく開示報告書」の初版を発行し、2023年4月には第2版を発行しました。

 気候変動に関するガバナンスについては、ESG戦略本部及びESG戦略委員会を2023年4月に設置し、本部長を副社長執行役員が務め、ESG戦略の最高責任者としてESG関連業務(含む気候変動対応)執行を推進しています。気候変動対策を含むESGに関する案件は、ESG戦略委員会にて議論しています。本委員会において協議されたESG戦略に関してはESG戦略本部が取りまとめ、四半期毎に経営会議へ報告し、社長が承認しています。

 ESG戦略本部とリスク管理委員会が連携し、気候変動リスクを管理し、全社リスクに統合の上、取締役会へ年一回報告しています。

(2)戦略

 ①サステナビリティに関する戦略

 当社グループは、2023年3月に発表した中期経営計画にて、「ESGを中核に据えた成長戦略」を明示し、特に地球環境を守るための脱炭素化の活動に情熱をもって取り組み、変革を力強く進めていきます。これからも社会や産業から必要とされるSustainable Solution Providerを目指すため、グループ社員一人ひとりが経済性「Economy」のモノサシに「ESG」のモノサシを加えることから始めます。「ESG」のモノサシで徹底的に考え抜いた上で、当社グループが社会から必要とされる存在であり続けるために必要だと判断すれば、長期的な視点で、経営資源(ヒト・モノ・カネ・データ)を重点的に投入します。その結果、当社グループの企業価値が向上し、事業基盤の更なる強化が図れると考えています。

 ②気候変動に関する戦略

 当社はESGを経営戦略に統合し、長期的な視点で社会・環境問題への貢献を目指しています。

 2023年3月に当社は中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing - を策定し、既存中核事業の深化と新規成長事業の開拓を進める「両利きの経営」を基軸戦略に据えて各事業の収益性を高め、「お客様への価値提供」「持続可能な社会への貢献」「投資と収益の両立」の実現を通じて持続的成長を目指しています。

 2026年度までの行動計画として本中期経営計画を位置付け、ESGを中核に据え、気候変動に関するリスクと機会へ対応していきます。

既存中核事業の深化

新規成長事業の開拓

2050年までに気候変動も含めた事業環境の変化が見込まれる既存中核事業においては、自社船舶の低・脱炭素投資を他社に先駆けて推し進め、環境優位性・競争力を高めます。

気候変動影響が中立的な成長分野、および気候変動対応等により成長が見込まれる分野において、既存中核事業で培った知見をベースに積極的な事業開拓・投資を進め、収益の柱に育てます。


主な対象分野
高度な船舶デザイン・運航・管理、水素・アンモニアバリューチェーン、二酸化炭素バリューチェーン、洋上風力バリューチェーン、宇宙関連事業

 ③人的資本に関する戦略

 2030年ビジョンの実現に向けた中期経営計画の中で、中核事業の深化と、新規事業の開拓を両輪とする基軸戦略を支える人材戦略を掲げています。具体的には、新卒採用だけでなくプロフェッショナルな人材の採用を強化し、自律的なキャリア形成を進めながら「軸のあるジェネラリスト」を育成し、適所適材の配置や挑戦機会の創出を進めることで、両利きの経営の実現を目指します。

 これには、多様でイノベーティブな視点を職場のあらゆる意思決定場面で活かすことができるインクルーシブな企業風土が不可欠であり、風土醸成の一例として、女性管理職比率の増加や女性の採用比率増加、海外ナショナルスタッフの活躍推進を進めます。また、中核事業運営に欠かすことのできない海技者の確保は大きな課題でありますが、フィリピンで運営する商船大学での外国人海技者の育成、自社養成制度による日本人海技者の育成等を通じて、多様な海技者の確保を進めるとともに、職種を超えた人材の登用を図り、グループ従業員35,000人の能力を当社グループの挑戦に活かします。

(3)リスク管理

 ①サステナビリティに関するリスク管理

 詳細は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 ②気候変動に関するリスク管理

 詳細は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 最重要リスク (6) 気候変動リスクへの対応について」をご参照ください。

(4)指標及び目標

 ①サステナビリティに関する指標及び目標

 当社グループは、「安全」「環境」「人材」をマテリアリティ(=重要課題)と位置付け競争力の向上に努めています。

 2023年3月に発表した中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” では、2030年を見据えた経営目標の非財務指標として安全・脱炭素(環境)・D&I(人材)に関わるものをあげています。

 「安全」は、当社グループのすべての事業活動の基盤であり、何よりも優先すべき事項であることは言うまでもありません。船舶、飛行機、ターミナル、トラックなど、あらゆる現場での安全を最優先に、貨物の安全と安定したサービスの提供に努めています。

 目標としては海、陸、空、全てにおいて「重大事故ゼロ」を掲げています。海運だけでなく陸運でも重大事故ゼロ、空運でも航空事故ゼロを目指し、当社グループが携わる全ての事業において安全を確立することで、命と環境を守ります。

 当社グループは、船舶の安全運航の達成度を計測するため、事故・トラブルによって運航が停止した時間(ダウンタイム、衝突・座礁・機関事故等により本船サービスが停止したすべての時間)を指標として取り入れ、遅延時間“ゼロ”を目指し取り組んでいます。船舶の機関事故や漏電、火災等につながる可能性のある事象をいち早く検知することを目的に、SIMS(注1)で収集した機関系データの異常値分析を進めています。異常値の検知システム導入により、異常値の検知能力が高まり、重大事故の未然防止につながっています。

(注1) SIMS (Ship Information Management System:船舶パフォーマンスマネージメントシステム)エンジンや各種機器のデータをはじめ、船舶の速度や揺れ、風速や潮流といった気象情報まで、詳細な実海域データをリアルタイムにモニタリングし、船上と陸での情報共有が可能。

 ②気候変動に関する指標及び目標

 当社は気候変動対応における中期目標として、2030年にScope1(船舶・航空機)を対象に2015年度比30%削減を掲げています。この目標は2018年に2℃シナリオにてSBT認定を取得しています。2023年度中に1.5℃シナリオでのSBT認定再取得を予定しており、SBT認定再取得に際し、目標年、基準年、目標の見直しを予定しています。

 また長期目標としては2050年に外航海運事業(公表主体:当社、公表時期:2021年9月)、物流事業 (公表主体:郵船ロジスティクス㈱、公表時期:2022年1月)を対象にネット・ゼロエミッションを目標に掲げています。

目標年

対象

目標

 2030年

 Scope1 (船舶・航空機)

 -30%[2015年比] (注)1

 2050年

 外航海運事業 (公表主体:当社、 公表時期:2021年9月)

 物流事業 (公表主体:郵船ロジスティクス㈱、 公表時期:2022年1

 月)

 ネット・ゼロエミッショ

 ン

(注)1. この目標は2018年に2℃シナリオにてSBT認定を取得しています。2022年度下期から2023年度中に1.5℃シナリオでのSBT認定再取得を予定しており、SBT認定再取得に際し、目標年、基準年、目標の見直しを予定しています。

 当社は、GHG排出量を把握し削減目標を管理するため環境経営指標を導入しており、この指標に基づく中期目標達成に向けた進捗状況は以下の通りです。

 なお環境経営指標は、IMO(International Maritime Organization)のガイドラインに準拠したGHG排出原単位を用いており、次の数式により算出しています。 環境経営指標 = 環境負荷(GHG排出量) / 事業付加価値(海上輸送重量トン・キロメートル)

環境経営指標 (g-CO2e/トン・キロメートル)

変化率

年度

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

(2015年度比)

 Scope1
 (船舶・航空機)

6.36

6.33

6.26

6.20

6.18

6.11

6.53

+2.67%

 ③人的資本に関する指標及び目標

 インクルーシブな企業風土醸成を目指し、一指標として2030年までに単体でだけでなく、連結においても女性管理職比率を30%にすることを目指しています(2023年3月末現在、単体:13.7%、連結:25.2%)。また、入社後の定期的な階層別研修やカテゴリー別研修、メンター制度やキャリア面談の機会等を通して、自律的なキャリア形成を推進し、サステナブルな組織の構築を進めることができています。グローバルでのエンゲージメントサーベイも2022年度より実施しており、今後結果を活用して組織改善を進めて行きます。

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