日本触媒 【東証プライム:4114】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
◆日本触媒のサステナビリティマネジメント
サステナビリティ基本方針
日本触媒は、グループ企業理念「TechnoAmenity ~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、社会に貢献する志を掲げて事業活動を行っており、サステナビリティ活動の推進はグループ企業理念の実践そのものです。この考えに則り、当社の企業行動を経済・社会・環境の側面から総合的に捉え、企業統治、コンプライアンス、レスポンシブル・ケア、リスク管理、人権・労働、社会貢献、情報開示を経営の重点領域とし、顧客、取引先、従業員、地域社会、行政、株主・投資家など、さまざまなステークホルダーと対話を重ね、企業価値を高める活動を実践しております。また、事業活動を通じた社会課題の解決にも努め、持続可能な社会の実現に貢献します。
サステナビリティ推進体制
当社は、サステナビリティ活動を推進するため、社長を委員長とするテクノアメニティ推進委員会を設置しております。
テクノアメニティ推進委員会の役割
・当社グループのサステナビリティ活動推進に関する方針・戦略の決定
・各部門に対する計画・施策策定の指示、その実績評価
・サステナビリティ推進に関するその他重要事項などの検討
・取り組みに関するステークホルダーへの発信
◆日本触媒グループのマテリアリティ(重要課題)
日本触媒グループでは、長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で定めた2030年の目指す姿「人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供」「社会の変化を見極め、進化し続ける化学会社」「社内外の様々なステークホルダーとともに成長」の実現のため、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
内容は今後も定期的に確認し、見直していきます。
マテリアリティと取り組み
〔 気候変動対応の推進 〕
取り組み | KPI、あるべき姿 | 達成年 |
カーボンニュートラル実現への貢献 | Scope1,Scope2 CO2排出量▲30% (2014年比、単体および国内グループ会社) | 2030年度末 |
サーキュラーエコノミー実現への貢献 | 資源利用の削減やリサイクルに関する技術の開発と社会実装 | - |
環境貢献製品の開発、販売の促進 | ①550億円 ②1,350億円 | ①2024年度末 ②2030年度末 |
※CO2排出量:温室効果ガス排出量を対象としているが、そのほとんどがCO2のため、CO2排出量と記載
〔 顧客課題解決への貢献 〕
取り組み | KPI、あるべき姿 | 達成年 |
・課題の把握力およびソリューション提案力の強化 ・サプライチェーンマネジメントの強化 | ①ソリューション提案力強化に向けたプラットフォーム整備 ②ソリューションズ事業拡大によるマテリアルズ事業・ソリューションズ事業の両輪達成 (売上割合各50%、売上収益 5,000億円規模) | ①2024年度末 ②2030年度末 |
〔 安全・安定生産活動の推進 〕
取り組み | KPI、あるべき姿 | 達成年 |
・安全基盤の強化 ・安全文化の醸成 | 第三者評価:石油・石油化学業界 水準以上の維持 | - |
〔 人財育成・活躍推進 〕
取り組み | KPI、あるべき姿 | 達成年 |
自律型人財の育成 | ・社員エンゲージメントスコアの向上(新人事制度の早期定着、複層的な諸施策との連動、組織改善を通じた人と職場の変容と成長) ・公募型自律型学習プログラム(e-ラーニング、スキルアップ研修、オンライン英会話など)の応募者数増加と制度の社内浸透 | 2024年度末 |
多様な人財の活躍推進 | ・社員エンゲージメントスコアの向上(自己申告や勤務地継続などの諸制度による適正配置、個人の動機づけ、多様で自律的な働き方の促進) ・事務系・化学系採用における女性採用比率を30%以上にする ・女性管理職(基幹職)比率を6%以上にする | 2024年度末 |
〔 コーポレート・ガバナンスの強化 〕
取り組み | KPI、あるべき姿 | 達成年 |
取締役会における実効性の強化 | 取締役会における経営方針・戦略等の決定および監督の各機能強化を通じた取締役会の実効性向上 | 2024年度末 |
取締役会の知識・経験・能力、多様性の確保 | ・取締役会のスキル・マトリックスの開示 | 2022年度末 2024年度末 |
役員に対する中長期のインセンティブの強化 | 社内取締役等への株式報酬の導入 | 2022年度末 |
◆日本触媒グループの気候変動対応
2030年の目指す姿を描いた日本触媒長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で掲げる3つの変革の一つ、環境対応への変革実現に関しては、温室効果ガス(GHG、特にCO2)排出削減によるカーボンニュートラル達成を目指した活動が最も重要と考えております。
1.ガバナンス
環境問題の中でも気候変動問題は、製造、研究段階にとどまらない全社的な課題であることから、サステナビリティに関して当社経営の中核的なテーマの方針、戦略を決定する「テクノアメニティ推進委員会(委員長:社長)」で集中的に検討を行うこととし、取り組みを加速しております。
取締役会は、本委員会で議論される気候変動問題に対する、方針、戦略、計画、実績について報告を受け、必要となる指示を行います。
2.戦略
①マテリアリティ
テクノアメニティ推進委員会において、当社が社会的責任を果たし、事業を持続的に行う上で重要な5項目をマテリアリティ(重要課題)として設定しました。
この中でも気候変動問題対応は緊急性、重要性が特に高い項目として集中的に検討を行っております。
②気候変動問題に関するシナリオ分析の実施
当社は、2021年3月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。これを契機に以前より行っていた気候変動問題に関する機会・リスクのシナリオ分析をTCFD提言に沿う形で改めて実施しました。
③シナリオ分析に基づくビジネスインパクトの評価
事業機会としては、低炭素、脱炭素に寄与する素材の需要増加があげられます。なかでも自動車は、ガソリンエンジンから電気駆動モーターへの切り替え加速、さらなる自動車の軽量化による消費エネルギーの低減が期待されており、リチウムイオン電池関連材料、自動車の軽量化に寄与する自動車関連材料の課題解決に貢献できると考えております。また、排出される二酸化炭素の回収、その資源利用に向けては、CO2吸収剤やメタン製造触媒の開発により、課題解決に貢献できると考えております。
リスクとしては、気候変動関連の技術開発、エネルギーや製品原料のグリーン化が遅れることで顧客の選別から外れ、事業機会を喪失することなどがあげられます。これらのリスクについては低炭素、脱炭素関連開発テーマの重点化を行い市場からの要求に対応するとともに、原料や燃料の非化石化を進めていきます。
3.リスク管理
当社グループ全体のリスク管理は、「グループ重大リスク」と「部門別リスク」に区分して取り組んでおります。「グループ重大リスク」については、当社グループの経営戦略遂行、持続的企業価値向上、ステークホルダーからの信頼の獲得に潜在する重大なリスクを管理対象とし取締役会がリスクの特定、評価、対応要否の決定および執行部門によるリスク管理の状況の監督を実施する体制を構築しております。
4.指標と目標
・2014年を基準年とした2030年のGHG排出削減目標 30%
・売上収益全体に占める環境貢献製品の売上収益総額(当社単体とグループ会社)
2024年度 550億円
2030年度 1,350億円
| 2014年度 実績 | 2020年度 実績 | 2021年度 実績 | 2030年度 目標 |
GHG排出量 Scope1+2(万t-CO2 国内) | 82 | 79 | 81 | 57 |
2014年度基準削減率(% Scope1+2) | - | 4 | 2 | 30 |
環境貢献製品売上収益(億円 グループ会社を含む) | - | 290 | 390 | 1,350 |
詳細はTCFDレポートをご覧ください。
https://www.shokubai.co.jp/ja/wpdir/wp-content/uploads/2023/03/TCFD-Report-202303_jp.pdf
◆日本触媒グループの人財育成・活躍推進
当社グループは、2030年長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」の実現に向け、3つの変革(事業の変革、環境対応への変革、組織の変革)を掲げており、「組織の変革」では人財開発方針のもと、「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」を推進しております。
「人財開発方針」
当社グループは、持続的に価値を生み出す源泉は「人」であるとの認識のもと、従業員を重要な「財産」と考えます。人財開発において、会社と従業員は対等な関係に立ち、会社は従業員へ成長の場や機会を提供する一方、従業員には高い志と自ら成長する意欲を持ち、会社へ貢献することを期待します。 人財開発を進めるにあたり、以下の3点を重視します。
1.多様な人財の個性、意欲、能力を活かす
2.自律的に考動し成長する人財を支援する
3.制度に沿って人財を公正に評価し報いる
従業員の成長の基本は、OJT(On the Job Training)であり、「仕事や職場での実際の職務経験を通じた学び」にあります。上司や周りが支援を行いながら、そのプロセスを通じた成長を促します。あわせて、 Off-JT(研修等の職場外での学習)の機会を設け、従業員一人ひとりが「期待する人財像」を念頭に将来のありたい姿を描き、その達成に向けて自身の価値を磨いていく意識と行動力を醸成します。 社会の変化を見極め、持続的に進化し続ける化学会社を目指し、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活性化を行い、個々人の力を最大限発揮できるよう推進します。
「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」の推進にあたり、当社グループのマテリアリティの一つとして、「人財育成・活躍推進」を掲げ、①自律型人財の育成、②多様な人財の活躍推進に取り組んでおります。
①自律型人財の育成
「人財開発方針」のもと、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活発化を行い、個々人の力を最大限発揮できるよう各種施策に取り組んでおります。全社内取締役が出席する人財開発会議を定期的に開催し、人財開発の取り組みや人事制度の運用、次世代経営幹部の育成などについて進捗を確認し、施策の実行や見直しに繋げております。
<人事制度>
2022年度より新しい人事制度を導入しました。新人事制度では、「考動(自ら考え行動する)」と「多様性」をコンセプトに、意欲と能力のある従業員は早期に上位の役割にチャレンジすることが可能となり、従業員の「成長したい」という自発的な意欲の醸成を図っております。具体的には、一部の職級に上司の推薦なしで自己推薦による昇級審査受験を可能としました。また、従業員自身が将来のキャリアや今後就きたい業務を申告し、上司と面談する「自己申告」制度を導入しました。
<人財育成>
「期待する人財像」として、以下の5つを掲げております。
人財開発体系を再整理し、各教育プログラムの内容を刷新しました。指示を待つだけでなく、自らの意思で考え、解決に向けて能動的に行動できる自律型人財の育成を進めております。具体的には、公募型の学習プログラムの充実を図り、従業員一人ひとりが自身の保有能力・スキルの向上を目的に、効果的かつ効率的に能力開発を行うことができる体制を整えております。
②多能な人財の活躍推進
多様な人財のさらなる活躍推進に向けて、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進方針」を策定し、従業員一人ひとりの多様性を尊重し、認め合い、ともに活躍・成長することができる職場環境・風土づくりを進めております。
4つの重点課題(①D&Iマインドの醸成、②従業員のさらなる活躍推進、③仕事と生活の両立支援、④制度の多様化)を設定の上、2030年度までのロードマップを策定しております。人事部D&I推進グループが中心となり、各種施策の計画と実行を推進しております。女性従業員のキャリア形成の支援策の実行、男性の育児休職取得の促進、フレックスタイム制度の利用拡充や在宅勤務の制度化、および育児、介護など様々な事情により事業所間移動を伴う異動を望まない従業員が現勤務事業所で継続就業が可能となる「勤務地継続」の制度など、当社で継続的に働き、活躍できる環境・制度の促進も積極的に行っております。
女性活躍推進については、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(2021~2024年度)において、「女性管理職(基幹職)比率を6%以上にする」を掲げ、女性のキャリア開発支援やリーダー育成など各種施策の実行を行っております。外国人およびキャリア採用者の登用等については、特に数値目標は掲げておりませんが、当社の人事制度では、性別、国籍、年齢等の属性によることなく個人の能力に基づく評価・登用を行っております。
| 2022年度実績 | 2024年度目標 |
事務系・化学系女性採用比率(%) | 24.1 | 30 |
女性管理職(基幹職)比率(%) | 4.4 | 6 |
男性の育児休職取得率(%)(注) | 36.4 | 100 |
(注) 中期経営計画において、2022年度から育児休職取得率算定のための休職取得日数の基準を1
日以上から15日以上に、2024年度目標値を30%から100%にそれぞれ見直しております。
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