日本触媒 【東証プライム:4114】「化学」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは企業理念を「TechnoAmenity 〜私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」と定め、人々が安心して暮らせる、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
2030年に向けた長期ビジョンにおいて、「事業の変革」「環境対応への変革」「組織の変革」という3つの変革を掲げ、これからの社会に必要とされる素材やソリューションの提供を通して、さまざまな社会課題解決への貢献と当社グループの持続的な成長を実現してまいります。
〔「2030年の目指す姿」に向けた3つの変革〕
中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」では、長期ビジョンで定めた「2030年の目指す姿」の実現に向けて、3つの変革を着実に実行するとともに、各変革をさらに加速させるためDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、経営目標の達成を目指しております。詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://www.shokubai.co.jp/ja/ir/vision/plan/)をご参照ください。
〔経営目標〕
3つの変革および資本政策に関する目標は次のとおりです。
環境対応への変革や組織の変革に向けた取り組みはおおむね順調に進んでおります。一方、事業の変革においては、ソリューションズ事業の戦略製品群の販売不振や、アクリル酸・SAP(高吸水性樹脂)の市況が想定以上に悪化したこと等により、営業利益等の財務目標は未達となる見込みです。このような状況の中、2025年度からの次期中期経営計画を待たず、経営戦略と財務戦略を見直し、2030年長期ビジョン達成に向けて取り組んでまいります。
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| 2023年度実績 | 2024年度 (中期経営計画目標) | 2030年の目指す姿 |
財務目標 | 営業利益 | 166億円 | 330億円 | 600億円規模 |
ソリューションズ事業営業利益 | 27億円 | 170億円 | 400億円規模 | |
ROE | 3.0% | 7.5% | 9%以上 | |
ROA | 2.9% | 6.9% | 9%以上 | |
総還元性向 | 99.7% | 50% | - | |
新規製品売上収益 (単体・SAP除く・5年以内上市) | 136億円 | 280億円 | - | |
投資額 | 成長投資および競争力維持投資 | 503億円 (22-23年度累計) | 1,200億円 (22-24年度累計) | 4,000億円 (22-30年度累計) |
カーボン ニュートラル目標 | CO2排出量削減 (2014年度比・国内・Scope 1&2) | 13%削減*1 | - | 30%削減 |
環境貢献製品売上収益 | 450億円*2 | 550億円 | 1,350億円 | |
D&I目標 (単体) | 事務系・化学系女性採用比率 | 28.6% | 30% | - |
女性管理職(基幹職)比率 | 5.4% | 6% | - | |
男性の育児休職取得率*3 | 90.0% | 100% | - |
<前提条件>2024年度:ナフサ50,000円/kL、ドル110円、ユーロ130円
*1:速報値(カーボンクレジット 7.3%を含む)。排出量の確定値は2024年7月に当社ウェブサイトにて開示予定です。
*2:速報値。環境貢献製品売上収益の確定値は2024年9月発行のTechnoAmenity Report 2024にて開示予定です。
*3:2022年度より、育児休職取得率算定のための休職取得日数の基準を1日以上から15日以上に、2024年度目標値を30%から100%にそれぞれ見直しております。
〔3つの変革における具体的な取り組み〕
① 事業の変革
ポートフォリオ変革に向け、ソリューションズ事業の拡大を目指しております。この度、経営戦略の見直しを行い、今後、エネルギー事業・エレクトロニクス事業・ライフサイエンス事業といった成長事業へ、リソースを積極的に投入することにいたしました。
項目 | 主な取り組み内容 | |
ソリューションズ | 施策 | ・戦略製品群の拡販、注目市場での開発品上市 ・ソリューション提案力強化に向けたプラットフォーム整備 |
当期の実績 | ・リソースを積極投入する注力領域の選定 ・リチウムイオン電池用電解質「イオネル®」について中国での増産体制を構築中、また北米と日本における生産拠点検討に着手 ・オリゴ核酸、ペプチド原薬の受託製造(CDMO)事業では少量合成の開発案件獲得件数が前年度比で約7倍に増加 ・正浸透(FO)システムによる海水淡水化用の浸透圧発生剤をTrevi Systems社と共同開発し、米国における試験にて大幅な省エネルギー・高効率な海水淡水化を実証 ・新規材料のプロセス構築やサンプルの供給を迅速に行うための中間実験設備を吹田地区研究所に新設 | |
マテリアルズ | 施策 | ・SAPサバイバルプロジェクト、川崎レジリエンスプロジェクトの推進による収益性改善 ・原材料バイオマス化を中心としたサステナビリティ推進による付加価値向上 |
当期の実績 | ・SAPサバイバルプロジェクト、川崎レジリエンスプロジェクトの推進により収益性を改善 ・バイオマス原料を活用したアクリル酸の数十kgスケールでの製法にめど、各種用途での性能評価開始 |
② 環境対応への変革
2050年カーボンニュートラル実現に向け、ライフサイクル全体の環境負荷低減に貢献するため、生産プロセスのCO2排出量削減と環境貢献製品の開発・販売拡大を推進していきます。
項目 | 主な取り組み内容 | |
生産プロセスのCO2排出量削減 | 施策 | ・製造プロセス/技術の革新、原料およびエネルギーの転換 ・GHG(温室効果ガス)排出量に対する第三者検証の実施、インターナルカーボンプライシング制度導入(2023年2月導入) |
当期の実績 | ・インドネシア子会社が購入する電力量100%に対して、再生可能エネルギー電力証書を購入する契約を締結 ・各事業所において、生産性向上やリサイクル原料活用について検討継続 | |
環境貢献製品の | 施策 | ・水素利用の拡大、環境規制の強化などの環境トレンドを捉えた関連製品の上市 ・国際持続可能性カーボン認証(ISCC PLUS)の取得および製造・販売体制の構築(アクリル酸、SAP、EO(酸化エチレン)など多種製品で取得、製造・販売体制構築済み) |
当期の実績 | ・燃料アンモニアのサプライチェーン構築に向け、株式会社JERA、千代田化工建設株式会社と共同でアンモニア分解技術を開発中 ・天然由来で非可食のアルコールを使用した2-オクチルアクリレート(2OA)を事業化 ・環境関連分野におけるマーケティング強化のため、ベルギー子会社に開発拠点を準備 |
③ 組織の変革
成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革を目指し、以下の取り組みを進めております。
項目 | 主な取り組み内容 | |
人財育成・ 活躍推進 | 施策 | ・自律型人財の育成 ・多様な人財の活躍推進 ・エンゲージメントサーベイの導入(2022年度導入) |
当期の実績 | ・公募型学習支援プログラムにおいて、のべ約500名の社員が受講 ・定年退職後の再雇用制度において、職務をベースとした新制度の運用を開始 ・個々人にあったキャリア形成を上司と共に考える女性社員ネットワーク研修の継続開催 | |
組織の成長 | 施策 | ・生産性向上に向けた具体的施策の実行(各部門で実施中) ・決裁権限見直しによる権限の委譲(各部門での判断迅速化、2022年度導入) ・経営と従業員の対話強化 |
当期の実績 | ・経営陣と従業員が相互理解を深めるタウンホールミーティングや対話会を実施 | |
コーポレート・ ガバナンスの強化 | 施策 | ・取締役会の実効性の強化 ・取締役会の知識・経験・能力、多様性の確保 ・役員に対する中長期のインセンティブの強化(2022年度業績連動型株式報酬制度導入) |
当期の実績 | ・取締役会実効性強化に向けた施策の議論を継続 |
〔DX推進〕
全従業員がデジタル技術・データを使いこなし、3つの変革に取り組めるよう、DX推進に取り組んでおります。
項目 | 主な取り組み内容 | |
DX推進
(2022年5月、経済産業省が定めるDX事業者に認定) | 施策 | ・R&D :MI(マテリアルズ・インフォマティクス)活用 ・生産部門:情報統合基盤を活用した高度化、効率化 ・営業部門:デジタルを使った新規顧客開拓 ・間接部門:DXを活用した業務改善 ・人財育成:R&Dや生産現場でのデジタル人財の育成 |
当期の実績 | ・R&D :触媒研究分野における、データ生成の自動化と高速化を実現するハイスループット装置を導入 ・生産部門:情報統合基盤のデータ活用を開始 ・営業部門:顧客情報管理システムを導入し、全事業部門(営業部門)での運用開始 ・間接部門:RPAの導入による自動化や、事務部門の業務フロー電子化を実施 ・人財育成:デジタル人財育成のためのDX教育を全社的に実施 |
〔資本政策〕
中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」策定当初は、成長投資、競争力維持投資、株主還元の最適なバランスに配分することを基本方針として、3年間で生み出す累計1,500億円の資金を、中長期の成長に向けた投資(戦略投資含む)に750億円、コア事業の競争力維持・強化に向けた投資に450億円、株主還元に300億円を配分することとしておりました。
このたび、さらなる企業価値向上に向けて資本効率性を高めるべく、当面、資金を成長投資、競争力維持投資と配当に優先的に振り向け、余剰資金を自己株式の取得に充当するよう、キャッシュ・アロケーション方針を変更することといたしました。
また、資本効率性の向上および株主還元の一層の拡大と安定化を図るため、2024年度から2027年度の4期間においては、配当性向100%またはDOE(株主資本配当率)2.0%のいずれか大きい金額を目安に配当を実施いたします。また、同期間累計で約200億円の自己株式取得を実施する予定にしております。
<キャッシュ・アロケーション方針>
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