企業兼大株主日本紙パルプ商事東証プライム:8032】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針について

 当社グループは紙流通のリーディングカンパニーとして、社会・産業・文化の発展を支え、人々の営みにおいて欠くことの出来ない紙・板紙の安定供給を通じ、循環型社会の構築に貢献していくことを基本方針としております。

 また、社会と地球環境のより良い未来を拓くことをグループの使命として、グループ役職員が、誠実、公正、調和を大切にすべき価値観とし、変革、挑戦、創造を積極的に実践することにより、全てのステークホルダーの皆様から信頼される企業を目指しております。

 なお、当社グループが目指すグループ企業理念等につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方」に記載しております。

(2) 当社を取り巻く経営環境と事業環境

 当期における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの見直しに伴い社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境や企業の業況判断に改善がみられる等、景気の持ち直しの動きが続きました。一方、世界経済におきましても、持ち直しの動きがみられましたが、東欧・中東における地政学的リスク、中国における景気の足踏み、世界的な金融引き締め、物価上昇等による景気の下振れ懸念が高まりました。

 このような情勢のもと、当社グループは「中期経営計画2023」の最終年度における目標達成及び長期ビジョン実現に向け、各セグメントにおいて確固たる収益力、資金力、及び地理的なプラットフォームの構築を目指し、各種施策に取り組んでまいりました。その結果、以下のとおり、当連結会計年度において最終年度目標に掲げた連結財務指標目標を全て達成いたしました。

 

中期経営計画2023

最終年度目標

2023年度実績

連結経常利益

150億円

168億円

ROE(自己資本利益率)

8.0%以上

8.4%

ROA(総資産利益率)

4.0%以上

4.4%

ROIC(投下資本利益率)(注)

5.0%以上

6.2%

ネットD/Eレシオ

1.4倍以下

0.59倍

(注)投下資本利益率(ROIC)の算出式の分子であるNOPATについて、連結財務指標目標である経常利益をベースとした算出に変更しております。

 変更後:NOPAT(税引後経常利益[利払前])÷投下資本(有利子負債+自己資本[期首・期末平均])

(3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題

 当社グループは、長期ビジョン『OVOL長期ビジョン2030 “Paper, and beyond”』(以下、「長期ビジョン2030」)を策定し、2030年のあるべき姿を掲げ、その実現を目指しております。

(当社グループのあるべき姿)

「世界最強の紙流通企業グループ」

「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」

「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」

 長期ビジョン2030の実現に向け、2024年度からの3ヵ年(2025年3月期~2027年3月期)を対象とした中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定いたしました。当中期経営計画は、2030年に当社グループがあるべき姿を実現するための経済価値と社会価値を創造する「具体的な仕組みづくり・仕掛けづくりの3年間」と位置づけ、以下の3つの基本方針に基づく施策を実行することにより、長期ビジョン2030の実現を目指します。

「グループ内外のコミュニケーションを拡充し、機能やサービスなどの提供価値を圧倒的に高める」

「人材力を引き上げるとともにワークエンゲージメントを飛躍的に高める」

「M&Aを駆使して既存領域および新規領域での事業を躍進的に拡大する」

OVOL中期経営計画2026の最終年度における連結財務目標は以下のとおりです。

連結経常利益

220億円

ROE(自己資本利益率)

8.0%以上

ROA(総資産利益率)

5.0%以上

ROIC(投下資本利益率)

7.0%以上

ネットD/Eレシオ

1.0倍以下

 セグメント別には次の方針を掲げております。

(セグメント別方針)

「国内卸売セグメント」

 グループの総合力を駆使し収益の最大化を実現

「海外卸売セグメント」

 安定的な収益構造の構築と収益源のさらなる多様化

「製紙加工セグメント」

 地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築

「環境原材料セグメント」

 循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献

「不動産賃貸セグメント」

 保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化

(4) 財務上の対処すべき課題

 当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、安定的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。また、経常利益率、資本効率を高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、ROA、ROE、ROICの向上など、持続的な成長を目指してまいります。

 当社の配当政策につきましては、安定的かつ継続的な株主還元を基本として、連結業績の動向を勘案して決定しており、当期の年間配当を、前期の1株当たり120円(中間配当60円)から10円増配となる130円(同65円)といたしました。また、株主還元策として2023年11月には自己株式の取得を実施しております。

 また、OVOL中期経営計画2026の期間においては、市場の期待に応える積極的な株主還元方針として「連結配当性向を30%以上とする累進配当」を掲げ、初年度となる2024年度においては、これまでを大幅に更新する1株当たり250円(中間配当125円)を予定しており、自己株式の取得についても機動的かつ柔軟に実施を検討してまいります。

 なお、配当金の支払いについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結株主資本等変動計算書関係) 3 配当に関する事項」に、自己株式の取得については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ③連結株主資本等変動計算書」に記載しております。

(5) セグメントごとの経営環境と対処すべき課題

① 国内卸売セグメント

 紙の需要は国内における人口の減少や世界的なデジタル化など構造的要因を背景に縮小しており、この流れは今しばらく継続するものと想定しております。板紙に関しては、賃上げによる個人消費マインドの改善や、自動車及び機械関連向けの需要回復が期待されております。

 本セグメントにおいては、紙業界のDX推進及び物流改革への投資など、サプライチェーンにおける当社グループの機能や価値の提供により、勝ち残りのための競合他社との差別化に取り組むこととしております。また、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の特性、魅力、環境優位性等を改めて社会にお伝えすることで、紙需要のすそ野拡大に取り組む予定としております。

 紙の専門商社である当社の機能と付加価値を提供し、グループの総合力を駆使して収益の最大化を実現するとともに、紙・パルプ業界並びに広く社会に貢献してまいります。

② 海外卸売セグメント

 海外卸売セグメントにおいては、グローバルネットワークと地場に根差した流通体制の構築に取り組み、現在では、アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、インド、中国、シンガポール、マレーシアで自前の在庫・物流機能を有する各国屈指の紙商を経営し、世界最強の紙流通企業グループの実現に必要なプラットフォームを構築しており、各拠点においてM&Aも実施することで、事業領域の拡大とリソース力の強化を進めております。

 各市場においてもデジタル化の進展により、グラフィック用紙の需要減少は継続しておりますが、当社グループはグローバルなサプライソースを活用し、各拠点の在庫・物流機能を活かし取引先の需要を確実に取り込むとともに、サイン&ディスプレイ、パッケージ、軟包装、環境配慮型製品などの高付加価値製品の取り扱いをより一層拡大してまいります。また、補完的M&Aの継続的な実施により、各市場におけるシェアと事業領域を拡大し、安定的な収益構造の拡大と収益源のさらなる多様化を追求してまいります。

③ 製紙加工セグメント

 当社グループは、再生原料である古紙の回収から製紙、加工、流通に至るまで、紙のサプライチェーンの川上から川下までをグループ内でカバーする事業体制を構築しております。この事業体制を活かして、古紙を原料とした段ボール原紙、印刷用紙及び家庭紙の製紙事業を展開し、安全操業と環境対応の管理を徹底しつつ、環境に配慮した商品を効率的に生産し、安定的にお客様へ供給する事業を展開しております。

 段ボール製造事業では、段ボール原紙製造会社と多様なニーズに対応する段ボール製品の製造加工会社による総合パッケージサプライヤーとしての体制構築を国内及びインドネシアにおいて推進しており、国内の原紙製造においては木質バイオマス発電等の再生可能エネルギーも活用しCO2の削減に取り組んでおります。

 再生家庭紙製造事業においては、同分野のリーディングカンパニーであるコアレックスグループによる安定供給体制を構築しており、災害発生時のトイレットペーパーの供給支援や災害に備えた備蓄推進活動も行っております。また高度なリサイクル技術により難再生古紙の再資源化を実現し、限られた資源の有効活用と紙ごみの削減にも貢献し、積極的な省エネの推進によりCO2削減にも取り組んでおります。

段ボール製造事業、再生家庭紙製造事業ともに原燃料価格や副資材、物流費等のコストの更なる上昇が想定されるものの、効率的生産や徹底したコスト削減を継続するとともに、CO2排出量削減や省力化のための投資も積極的に行うことで、地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築を進めてまいります。

④ 環境原材料セグメント

イ 古紙再資源化事業:

国内において古紙の発生数量が減少している一方、中国の段ボール製品需要やアジア諸国の古紙需要の急激な変動により輸出価格は乱高下していることから、今後の国内市況と需給状況は引き続き不透明なものとなっております。

当社グループは、福田三商㈱を中心に日本全国をカバーする古紙事業のネットワークを構築しており、国内製紙メーカーへの原料古紙の安定供給を最優先し、国内の古紙リサイクルシステムの維持と古紙利用率の向上に貢献しつつ、採算とのバランスを勘案しながらアジア諸国への輸出も行っております。また、米国及びインドにおいても拠点を有し、事業を展開しております。

ロ 総合リサイクル事業:

㈱エコポート九州は熊本県にてプラスチックや木質系廃棄物の総合リサイクル事業を行っております。2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」が施行され、増量が予想されるプラスチック廃棄物のリサイクルに対応するため、同県にて第二工場の建設計画を進めております。

 ハ 再生可能エネルギー事業:

 現在、当社グループが参画している発電事業会社は岩手県、島根県での木質バイオマス発電事業会社2社、北海道、岩手県、宮城県での太陽光発電事業会社3社の計5社になっており、各事業会社で発電した電力はすべて再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用し社会に供給しております。

 また、マレーシアにてPKSの集荷と日本などへの輸出を行うOVOL New Energy Sdn. Bhd.では、2023年7月に第2ヤードの運営を開始し、増加する需要に対応する供給体制の構築に取り組んでおります。

 これらによって、循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献を進めてまいります。

⑤ 不動産賃貸セグメント

 当社が東京・大阪・京都等に所有する不動産は立地条件に恵まれており、オフィス・集合住宅等での活用及びホテル事業者への賃貸により得られる賃貸料収入は、当社グループ業績に対して継続して安定的に寄与するものと見込んでおります。

 引き続き主要物件における適正な管理と価値最大化を進め、また築年数が経過した物件の再開発や売却計画を策定・実行することにより、保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化を推進してまいります。

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