企業兼大株主日本瓦斯東証プライム:8174】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)リスク管理体制 

 当社は、リスクとは事業を運営することで直面する不確実性と認識しております。グループリスク管理委員会を設置して発生頻度と事業に与える影響の大きさの観点からリスクの重要性を把握し、マイナスの影響を与えるリスクには適切な対策を講じ、プラスの機会には機動的な意思決定を行うことで収益の創出を図っております。中長期的に事業や業績に影響を与え得る課題については、指名報酬・環境等委員会(取締役会の諮問委員会)でトピックを絞って議論し、その上で取締役会にてマテリアリティとして項目を特定、全社対応方針を決定しております。

<ガバナンス体制>


(2)主要なリスク

①原料等の安定調達

 当社はラストワンマイルでお客さまにエネルギーをお届けする事業に特化し、輸入等の上流事業は行っておらず、他社からガスや電源等のエネルギーを調達する必要があります。原料調達において、中東等での地政学リスクの高まり、円安加速による原料価格の上昇等、安定的な原料調達に対する懸念が高まっております。これに対して当社は、エネルギー毎にパートナーと調達関係を構築し、各エネルギーを安定的に調達しております。

■LPガス:LPガスの調達は輸入を前提としており、需給や原産国の政情、地政学リスク等に起因する原料価格や為替レートの変動の影響を受けます。これに対して、当社は複数の取引先から調達を行ってリスクを分散し、安定的に調達しております。また原料価格と為替の変動に対し、原則として販売価格の変更で対応します。これにより、原料と為替相場の変動は中長期的に業績に大きな影響を与えません。

■都市ガス(LNG):当社は広範なアライアンス関係にもとづき、東京電力グループから都市ガスの原料を安定的に調達しております(一部除く)。原料費の変動は、原料費調整制度により、最大5ヶ月後にはガス料金に反映されます(会計年度を超えて料金に反映される場合があるため年度によっては原料費の変動が利益に影響する場合があります。また、季節により販売量に変動があるため、売上や利益には一定のブレが生じます。所謂、スライドタイムラグ)。

■電源:当社は、電源についても、その全量を東京電力グループから安定調達しております。電源の仕入れ価格は、主に電源を構成する原料価格などにより変動します。この仕入れ価格の変動は、燃料費等調整制度により、毎月の小売料金に反映しております。

②エネルギー利用の変化

 気候変動、原料調達難等による原料価格の高騰、お客さまの省エネ・節エネ意識の高まりなどにより、お客さまのエネルギー利用が変化する可能性があります。この状況に対し当社は、今後も徐々にお客さま先のエネルギー消費量が減少することを前提に、お客さまが主体的にエネルギー利用の在り方を決定できるよう、需要側(消費者)からのアプローチで対応します。電気とガスのセットを前提に、お客さまのエネルギーの最適利用を実現するエネルギーソリューション事業を推進し、いち早く新たなエネルギー価値を提供します。太陽光発電、蓄電池、ハイブリッド給湯器等の分散型エネルギーを普及させ、お客さまご自身でエネルギーを作り、貯め、賢く使うというご家庭でのエネルギーの最適利用を提案、さらに地域コミュニティ全体のエネルギーの最適利用を提案します。

③大規模災害

 大規模地震や豪雨災害等の自然災害が激甚化しており、大規模災害が発生した場合、エネルギーの安定供給に支障をきたす恐れがあります。これに対して当社は、下記の各観点で対策を講じております。

■災害への事前対策

 LPガスではマイコンメーター(※1)の100%設置、感震遮断弁設置のほか、張力式放出防止ホース(グラピタ)(※2)を標準仕様としております。都市ガスでもマイコンメーターを100%設置しております。LPガス、自社のガス管で供給する都市ガスの全ガスメーターにスマートメーター「スペース蛍」を設置、ガス漏れ等の異常を常時監視することで、ガス漏洩等の即時対応を可能としております。また経年劣化を起こす旧式のガス管の99%について、耐震性に優れたポリエチレン製のガス管に入れ替えるなど、災害時への事前対策を進めております。 

 またハザードマップにもとづき、洪水浸水想定が1m以上の地域におけるLPガスのお客さま先を対象に、ボンベの転倒や流出防止としてボンベを固定するベルトの二重掛けを行っております。平時より災害マニュアルを作成し、災害発生時に備えた緊急対応要員、資機材整備等、迅速かつ安全な対応をなし得る体制を整えております。災害時用に数日分の食料を常に備蓄しております。防災訓練ではGoogle Meetで映像を映しながら有事を見据えた指示出し訓練を行っております。社員が現場に急行できるよう近隣の宿泊施設と事前協議を行い、有事の際の宿泊施設の確保にも努めております。

※1 地震発生等の異常発生時に自動でガスを止める機能を持つガスメーターのこと
※2 ボンベが転倒した際等に外部へのガス放出を防止する高圧ホースのこと

■災害発生時

 大規模地震発生時はガスを自動停止、ガス供給設備の安全を確認し、異常が確認された場合は速やかに対応します。震度5弱以上では社員が出動し、建物やガス設備等の被害状況、ガス漏洩状況等を自主点検をしております。災害時にはコールセンター要員や優先電話等を確保し、お客さまからの連絡に対応します。スマホや衛星電話等で被害情報を迅速に共有し、集めた情報にもとづき災害対策本部からの人員配置指示のもと災害時緊急対応を行っております。迅速な復旧対応への準備として、工事会社やメーカー等の協力会社と復旧対応の協力体制も確立。昨今の豪雨被害増加に伴い、ドローンによる上空からの設備点検の仕組みも導入しております。有事のエネルギー源の確保では主要拠点にLPガスで稼働する自家発電機を設置、太陽光発電設置営業所ではEVバイク用交換式バッテリーを緊急時の電源とし、地域の皆さまにご利用いただける体制を整備しております。

■分散型エネルギーの普及

 LPガス事業では、ご家庭ごとに供給設備を設けてガスを供給しております。そのため災害発生時は、個別に点検を行い、異常がないことが確認でき次第、早期復旧が可能です。病院や学校等、災害発生時に速やかな復旧が求められる重要施設は、あらかじめ把握し、優先的に供給再開します。通常、各お客さま宅にはボンベが2本設置されており、ガスが備蓄されている状態です。そのため、万が一の場合もガスボンベを備蓄エネルギーとして使用いただけます。中長期では太陽光や蓄電池、EV等の分散型電源を普及して広く分散型エネルギーネットワークを構築し、地域社会のエネルギーの最適利用を実現してまいります。

④レピュテーションリスク

 当社に関する誹謗中傷等の拡散により、ステークホルダーの皆さまからの信頼を低下させる可能性があります。問題が生じた際にはグループリスク管理委員会で対応方針を協議し、情報を開示するとともに、再発防止策を講じます。コンプライアンス遵守については、グループ役職員に教育を行い、その重要性を認識して業務にあたるよう行動規範を制定しております。コンプライアンス意識調査(年に1度実施)とその遵守状況は適宜開示し、内部監査の対象としております。
 営業領域では、全ての外部委託先に対して、弁護士が監修しながらも座学ではない実践的な研修を行っております。テストへの合格が必須であり、2023年からは、〇×の2択から複数選択肢の中から正解を選択する難易度の高い形式に変更しました。コンプライアンスを遵守しない委託先とは契約を解除し厳格に対応しております。加えて、訪問販売や電話を通じてお申込みいただいた全てのお客さまに、その意思と内容に間違いがないか確認するため契約後の再確認電話を実施しております。また、グループリスク管理委員会のもとで、本部長が直轄する営業品質会議を開催し、お客さまからのお問合せ対応の評価や再発防止に向けた営業品質改善指導等を行っております。

⑤人材の確保・育成

 少子高齢化を背景に労働力不足が深刻化しております。LPガス事業の根幹である物流における働き方改革(2024年問題)、物価上昇等に伴う他社の大幅な賃上げ実施等は、当社の人員確保に影響する可能性があります。これに対して当社は、ITの導入で人が行う業務の生産性を向上させ、省力化を図っております。例えば、通常は各家庭に訪問して実施する保安業務について、遠隔から実施できる仕組みを構築することで、一人あたりの保安実施数を増加させております。また待遇面では、当社が魅力的な勤務先となるよう、一人あたり給与を上げております。2024年は、平均5%の賃上げを実施いたしました。また、多様な働き方や人事制度を設け、様々なバックグラウンドを持つ個人が、意欲を持って個人の能力を最大限発揮できる環境の整備に注力しております。

⑥情報システムおよび情報セキュリティ

 当社は事業活動を通じてお客さまの個人情報をお預かりしており、適切な管理は重要な責務です。万が一情報漏洩が発生した場合は、信用の失墜や損害賠償責任、業績に影響が生じる可能性があります。これに対して当社は、部門横断で情報セキュリティ対策チームを設置し、個人情報保護方針、情報セキュリティ基本方針及び社内規程を制定の上、情報漏洩やサイバー攻撃などに対するセキュリティ対策を講じております。役職員、業務委託先に対して定期的な情報セキュリティ教育を実施するほか、営業現場のオペレーションにデジタルを導入してペーパーレス化を進め、文書の紛失等の情報漏洩のリスクを軽減しております。
 情報漏洩やサイバー攻撃などによるインシデント(重大事故の一歩手前の状況)の未然防止に向けた情報セキュリティへの技術的な対策としては、下記の各仕組みを導入しております。

1)セキュリティ対策ソフト:コンピューターウイルスの検知・除去等、端末ごとのウイルス対策

2)統合型エンドポイント・マネジメント:ブラウザへのアクセスログを把握し、不正なインシデントを検出

3)モバイルデバイス管理サービス・システム:スマホにダウンロードできるアプリの制限、アプリ単位のVPN設定による不要なトラフィックの閉域網アクセス制限

4)ユーザー認証とアクセス制御:システム毎にIDとパスワードを設定、業務システムへのアクセスを制限

5)サイバー対策・リスク管理システム:未許可の端末からネットワークに接続があった際のアラート機能やネットワークの脆弱性の洗い出し

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