日本特殊塗料 【東証スタンダード:4619】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループは、経営の基本理念・基本方針・長期ビジョンのもと、塗料関連事業、自動車製品関連事業の各技術・開発部門が中心となり、「技術のニットク」を体現すべく、機能性・軽量化・環境対応等の当社の強みを活かした高機能・高付加価値製品の開発を軸に、多面的かつ深度のある研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は1,884百万円であり、連結売上高に占める割合は2.9%であります。
各セグメントの主な研究開発活動の概要は、次のとおりであります。
(1) 塗料関連事業
塗料関連開発分野では、地球環境や安全性を重視した環境配慮型塗料、省エネに寄与する塗料、施工における作業工程の短縮等を重点テーマに掲げ、引き続き製品開発に取り組んでまいりました。
塗り床材分野においては、当社で初となるバイオマスマークを取得した水性硬質ウレタン塗り床材「ユータックコンプリート難黄変 BIO」を開発しました。一般的な合成樹脂系の厚膜塗り床材は、主に化石由来の原料を用いていますが、「ユータック コンプリート 難黄変BIO」は、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、再生可能な有機資源である植物由来の原料を使用しております。今後も社会貢献度の高い製品投入を進めるべく、環境配慮型製品の開発、普及に努めてまいります。
外装材分野においては、省エネ・屋根用遮熱塗料の「パラサーモシリーズ」について、航空機用塗料で培ったノウハウを基に独自のラジカル制御技術を導入し、製品リニューアルを行いました。また、戸建て住宅の外壁材として広く普及しておりますサイディングボードの改修時に、意匠性を付与することが可能となる新規高耐久性フッ素樹脂系クリヤー塗料「ルクスキュアF」を開発いたしました。
防水材分野においては、環境負荷物質の低減、特化則非該当(MOCA無配合)製品への切り替えを推進しており、新製品を投入する計画です。
引き続き、環境配慮型、省エネ貢献、省人・省工程で施工可能な製品への転換とともに、新規素材を融合した付加価値の高い製品を創造すべく、研究開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度における塗料関連事業の研究開発費の金額は、330百万円であります。
(2) 自動車製品関連事業
自動車製品開発分野では、自動車業界のモビリティ革命への対応とさまざまな環境規制強化への対応を研究開発活動のターゲットに設定し、製品開発に取り組んでまいりました。また、製品開発における事業性判断の早期化を図るため、前連結会計年度(2023年3月期)から新たな開発管理の要素を開発活動に組み入れ、継続推進しております。当連結会計年度における主要な取り組みは、次のとおりであります。
①モビリティ革命への対応
当社の強みである、グローバルにおけるNVHの情報ネットワークを活用するとともに、急速に電動化シフトが進む中国市場における競合調査を継続して実施しております。時代の変化、モビリティ革命の進展を丁寧に把握しながら、次世代電動車に向けた製品技術開発の方針を定めるとともに、国内自動車メーカーとの先行開発を通じ、電動車に必要となる防音技術の確立にも持続的に取り組んでおります。今後も、顧客要求の変化に柔軟に対応できる能力と独自技術の開発に注力してまいります。
② 地球環境保全・持続可能な社会の構築に向けた取り組み
カーボンニュートラル(CN)に寄与するポストコンシューマーリサイクル(PCR)材である古衣料由来の反毛繊維を活用したモノづくりが当社の強みであり、CO2排出量削減効果を明示するため、ISO14040-44へ準拠したLC-CO2算出体制を中部経済産業局へ相談のもと、一般社団法人サステナブル経営推進機構へ協力を仰ぎ確立しました。更なるCN対応レベルの向上のため、ELV由来の素材活用について顧客と協力し調査を継続しております。また、市町村、学会および関連企業等とも連携し、欧州ELV規制におけるリサイクルプラスチック使用量目標可達に貢献するための検討を進めております。資源循環型社会の実現とプラネタリーバウンダリー適正化への貢献を引き続き目指してまいります。
③部品開発
今後求められるライフサイクルアセスメント(LCA)に貢献する製品技術の開発を継続検討しており、製造時に発生するCO2排出が少ないダッシュインシュレーターの受注活動を推進しております。また、電気自動車普及に伴う自動車騒音の変化に対応するための基礎技術開発を進めており、今後の上市に向けた製品開発を継続検討いたします。加えて、製品剛性向上や耐熱変形性向上に寄与する、特殊加工に関する特許を2018年に取得していることから、当該技術を駆使し、リサイクル材を用いた機能向上素材および高機能製品開発を継続検討し、未利用資源のアップサイクルを目指してまいります。
生産面においては、生産性と使用エネルギー効率向上を目的に、生産工法の抜本的な改良を検討しております。
④塗材開発
塗布型制振材と防錆塗料については、顧客ニーズに合わせた材料開発の推進と、海外提携先企業との連携、製品技術・製造技術の積極的な展開を継続しており、強化した海外提携先企業との関係を活かし、新たな領域・商品展開に向けた企画立案とベンチマーク活動も開始いたしました。
基材、構造、焼付けなど、クルマづくりの変化、カーボンニュートラルなどに対応できる技術や材料を開発し、顧客への提案活動を推進してまいります。
当連結会計年度における自動車製品関連事業の研究開発費の金額は、1,553百万円であります。
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