日本板硝子 【東証プライム:5202】「ガラス・土石製品」 へ投稿
企業概要
1.サステナビリティ全般
当社グループは、サステナビリティへの取り組みは、環境や社会課題の解決、および事業の持続的な発展を両立させる重要な活動であると位置づけ、サステナビリティ活動を通じて社会と共に成長することを目指します。
当社取締役会は、このような取り組みに関する経営の基本方針として「NSG グループ サステナビリティ基本方針」を策定しました。また、当社グループは中期経営計画策定の過程において、中長期的な企業の持続的成長と持続的社会の実現への貢献を両立するために認識すべき重要課題として、「環境」「社会シフト・イノベーション」「安全で高品質な製品・サービス」「倫理・法令遵守」「人材」という5項目のマテリアリティを設定しました。これらは上記基本方針の下に位置付けられるものでもあり、この基本方針のもと、サステナビリティへの取り組みを行っています。
(1)ガバナンス
取締役会は、当社グループのサステナビリティ活動の基本方針と目標を定めています。サステナビリティに関する取り組みについては、サステナビリティ委員会を中心に推進し、取締役会へ定期的に報告し、そこで示された取締役会の意見をさらに以降の取り組みに反映するようにしています。2023年3月期は9月と3月に、気候変動やサステナビリティ全般の進捗について取締役会に報告しました。サステナビリティ委員会は、当社グループのサステナビリティ戦略を設定し、その活動を統括するとともに、ステークホルダーとの効果的なコミュニケーションを確実なものとすることを目的としております。同委員会は、CEO、会長、CFO(最高財務責任者)、CAO(最高管理部門責任者)兼CRO(最高リスク責任者)、CLO(最高法務責任者)兼CE&CO(最高倫理・コンプライアンス責任者)、CHRO(最高人事責任者)、サステナビリティ部統括部長、及び関連グループファンクション部門長、事業部門長により構成され、CEO又はその指名した者が議長を務めます。サステナビリティ委員会には、エネルギーや脱炭素への取り組みについて議論するエネルギー&カーボン委員会をはじめ、安全衛生、人材、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン等の各分野において、それぞれ下部委員会が設置されています。2023年3月期にサプライチェーン上の課題について議論するサプライチェーン委員会が新たに設置されました。目標設定、進捗管理、施策について、関連部門の代表者および都度指名された者が出席し議論しています。
(2)リスク管理
当社グループは、ISO31000に基づき、戦略的リスク委員会(SRC)が企業リスク管理(ERMプロセス)を実施しています。戦略的リスク委員会は、グループ活動に関連するリスク選好度と許容範囲を定義し、戦略達成のためのリスクを特定し評価するプロセスを定期的に行っており、サステナビリティに関連するリスクは、当戦略的リスク委員会で管理されます。2023年3月期は9月と3月に、気候変動、製品品質不良、人材に関するリスクについて同委員会で報告されモニタリングされました。戦略的リスク委員会の構成については第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」(1)コーポレート・ガバナンスの概要 を参照ください。
2.気候変動
気候変動対策が人類共通の課題となった今日、エネルギー集約型・炭素集約型の製造業である当社グループにとって気候変動への取り組みは必要不可欠であり、当社製品を通じて脱炭素社会に貢献することにより「快適な生活空間の創造で、より良い世界を築く」という当社グループの使命を果たすためにも、優先度の高い経営課題であると認識しております。当社グループはTCFDに賛同しており、2022年5月にスコープ1、2、3全ての温暖化ガス削減目標についてSBTi認証を取得しました。気候変動を当社グループのマテリアリティの一つである「環境」領域における重要課題と定め、積極的な活動を進めています。
(1)ガバナンス
気候関連のリスクと機会は取締役会によって監督されており、グループCEO及び取締役会は、気候変動を含むグループのサステナビリティ活動の基本方針と目標を定めています。気候変動関連の課題は、すべてのサステナビリティ目標の達成と、関連するすべての事業につなげることを目的として、経営会議、サステナビリティ委員会、戦略的リスク委員会で議論されています。これには、企業の成長と積極的な社会貢献の双方を達成するためのリスク分析と機会分析に基づく戦略や行動などが含まれます。ESG分野の専門家である取締役が、意見と指導を提供します。各事業部におけるエネルギーやCO2排出量削減状況など、それぞれの分野での活動や進捗は、サステナビリティ委員会の下部委員会において管理されています。詳細については、「1.サステナビリティ全般 (1)ガバナンス」を参照ください。
(2)戦略
当社グループでは、短期、中期、長期の気候変動に関連するリスクと機会について、次の3つの主要シナリオに従ってリスク分析を行い、2100年までのタイムスケールにおける物理リスクと移行リスクを特定しました。
・低炭素世界シナリオ(<2℃)
低炭素経済への移行を目指し、今後30年間に炭素排出量を抑制するための積極的な緩和策を講じるシナリオ。
・RCP 4.5 中位安定化 (2-3℃の温度上昇)シナリオ
現在の政策、誓約、目標が達成されることを想定した、中間的シナリオ。
・RCP 8.5 高位参照シナリオ(>4℃)
物理的リスクを回避するための施策をほとんど何も行わず、排出量を増やし続けた結果、世界の気温は大幅に上昇し続け、壊滅的な結果を迎えるシナリオ。
特定されたリスクと機会には、次の影響が含まれます。
特定されたリスクと機会は、当社グループの標準的なリスク管理フレームワークによって定量化され、分類され、それに応じて優先順位がつけられました。それには、ポリシーと法的側面、技術側面、市場側面、評判の側面における影響も含まれます。
特定されたリスクのうち、影響度や緊急度が高い例は、以下の通りです。
このように特定されたリスクと機会は、当社グループの事業戦略である「リバイバル計画24(RP24)」の中でさらに強化され、盛り込まれた結果、例えば、サプライチェーンにおけるCO2排出量を含むさまざまな持続可能性の側面に焦点をあてた「サステナブルサプライチェーン」プロジェクトの発足や、温室効果ガス排出量削減に向けた研究・技術開発への投資、社会の脱炭素化を支える新製品の開発などにつながりました。このような活動は、「快適な生活空間の創造で、より良い世界を築く」という当社グループの使命と一致しています。
また、前述した複数の温暖化シナリオに基づき、気候変動に対するレジリエンスの定量的・定性的な分析と、今後実施すべき行動の優先順位付けも行いました。その結果、当社グループにとって最も影響度が高く可能性も大きいリスクは、GHG排出量の価格に関連するコストの増加であるとの分析結果に基づき、中長期にわたるグループの脱炭素目標を策定しました。当社グループが策定した削減目標は2019年にSBTにより認定されましたが、2022年には、パリ協定の2℃を十分に下回る温暖化シナリオに沿った、より野心的な目標に更新されました。
この目標を遵守することで、気候変動に関する物理リスクと移行リスク双方に対するグループのレジリエンスが向上します。
(3)リスク管理
気候関連のリスクは、戦略的リスク委員会が特定・監視するリスクに含まれ、財務への影響、事業への影響、コンプライアンスへの影響、外部評価への影響の4つのベクトルについて定量的基準で評価されます。戦略的リスク委員会は、リスクに対応する統制と緩和策を評価し、必要に応じて追加措置の実施を指示します。リスクオーナーは、グループの許容範囲内でリスクを管理するために、決められたアクションプランに対応する進捗状況をモニターし、報告する責任を負います。個々の統制と対策は、各事業部(SBU)およびグループファンクション内で進捗管理され、経営会議およびサステナビリティ委員会に報告されます。戦略的リスク委員会に報告された特定のリスクと機会は、リスクマネジメントと事業戦略の統合を確実にするため、定期的に(最低6か月に1回以上)経営会議に報告されます。
(4)指標及び目標
当社グループは、グループ内(スコープ1、2)、サプライチェーン(スコープ3)および顧客(スコープ3)全体に影響を与えるすべての温室効果ガス(GHG)排出量をモニターしています。
当社グループのSBTの基準年度(1月から12月の1年間合計)におけるCO2排出量は以下の通りです。
スコープ1 | スコープ2(マーケット基準) |
3,103千トン | 891千トン |
最新年(2022年1月から12月の1年間合計)の3つのスコープのCO2排出量は以下の通りでした。
スコープ1 | スコープ2(マーケット基準) |
2,910千トン | 542千トン |
また、2018年から2021年までのCO2排出量の推移は以下の通りです。
二酸化炭素排出量
二酸化炭素 (千トン) |
| 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
スコープ1 | 3,103 | 2,970 | 2,817 | 3,028 | |
スコープ2ロケーション基準 | 1,050 | 885 | 728 | 749 | |
スコープ2マーケット基準 | 891 | 790 | 530 | 622 | |
スコープ3 | 2,513 | 2,819 | 2,952 | 3,556 |
※CO2排出量は各年度1月から12月の1年間合計
また、ガラス製造工程における単位生産量当たりの温室効果ガス排出量を、2018年3月期比で2024年3月期までに8%削減するという目標を立てて取り組んでいます。2022年3月期の進捗状況は、2021年度対比で7%改善し、2018年3月期対比で2%改善しており、順調に推移しております。
当社グループは、スコープ1とスコープ2のCO2排出量を2030年までに21%削減するという目標について、2019年にSBT認証を取得しましたが、2021年にこの目標を見直し、より野心的な目標に引き上げると共に、スコープ3の目標を設定しました。この改訂された目標は、スコープ1とスコープ2、およびスコープ3のCO2排出量を2030年までに2018年対比で30%削減するというものであり、2022年5月にSBT認定されました。また、2050年のカーボンニュートラルの達成をコミットしました。以下に掲げるロードマップの実施により、CO2排出量の削減、ひいては環境貢献製品の継続的な開発と当社事業に関連する機会の拡大につなげます。
3.人的資本及び多様性
(1)ガバナンス
人材戦略については、サステナビリティ全般を推進するサステナビリティ委員会のもと、テーマごとの下部委員会にて具体的な戦略を設定し、活動内容を統括し、進捗状況を共有しております。
活動はグループ全体で共通の仕組みを導入して推進されています。具体的には、人材情報管理システム、職務評価に基づく報酬設定、パフォーマンス管理、サクセッションプラン、教育体系・ツール等をグループ全体で導入し、CEO、CHROをはじめ事業部門長やグループファンクション部門長が参加するGlobal Talent Reviewで議論されています。また多様性については、個々の従業員に寄り添いそれぞれの環境・状況に応じた最適な機会を提供することを重視して、グローバルInclusion & Diversity(I&D)運営委員会をグローバルDiversity, Equity & Inclusion(DEI)運営委員会と改称し、主に女性活躍について議論しています。それらの結果に基づき、アクションのグループ全体への展開を図っています。
(2)戦略
2024年3月期における経営重要テーマの実行を支える戦略として、6つの柱を策定しています。具体的には「シニアマネジメント層の強化およびOne Team化」「オープンで透明な対話型の組織運営」「リスキリングを含めた成長機会の提供」「“新しいアイデアの源泉”としての人材多様性の推進」「Groupへの絆を深めるコミュニティー意識の醸成」「人材の確保・育成・採用に資する評価・報酬体系の構築」です。
当社グループは中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」において、「3つの改革」の1つとして「企業風土改革」に取り組んでまいりました。2022年1月に実施した従業員サーベイの結果を受けて、2023年3月期の人事施策のフォーカスエリアを「タレントマネジメント」「社員エンゲージメント」「企業文化の創造」と設定しており、2024年3月期はそれをより経営テーマに即した課題として6つの柱に具体化しています。
(3)リスク管理
当社グループの変革と将来の成長は有能な人材の確保と育成に大きく依存します。当社グループでは、人材確保・育成・リテンションのための各種施策に取り組んでいますが、技術者を中心とする人材獲得競争はさらに激化しており、適切なタイミングで優秀な人材が計画通り確保できない、確保した人材の育成が計画通り上手くいかない、又は育成した優秀な人材を維持できず社外流出が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
リスクオーナーであるCHROは人材不足リスクをグループの許容範囲内で管理するために、決められたアクションプランに対応する進捗状況をモニターし、戦略的リスク委員会に報告する責任を負います。戦略的リスク委員会に報告された特定のリスクと機会は、リスクマネジメントと事業戦略の統合を確実にするため、定期的に(最低6か月に1回以上)経営会議に報告されます。
(4)指標及び目標
当社グループは、グローバルDEI運営委員会においてグループ全体の女性管理職比率を2021年6月末実績の12.7%から2024年3月期までに各事業部門・各ファンクション部門にて現状比+1ポイントとすることを目標としています。2022年12月末時点での実績は14.4%となり、目標を上回る1.7%の改善となりました。引き続きベストプラクティスを共有し、さらなる向上を目指します。
なお、提出会社及び国内連結子会社における人的資本経営に関連する各種指標の2023年3月期の実績は、第1 企業の概況 5「従業員の状況」(4)多様性に関する指標 をご参照下さい。
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