日本板硝子 【東証プライム:5202】「ガラス・土石製品」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
1.経営方針
NSGグループ経営指針「Our Vision」は以下のとおり、「使命:NSGの存在意義」、「目指す姿:NSGのなりたい姿」、「コアバリュー:働き方の基盤となる価値観」から構成されています。
当社グループは、Our Visionを経営の指針とし、お客様と社会が求める多種多様なニーズに対して当社が強みを持つ「ガラスとその周辺技術」に焦点を当てた価値やサービスを迅速かつ適切に提供することにより、社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。
2.マテリアリティ
当社グループでは、中長期的な企業の持続的成長と持続的社会の実現への貢献を両立するために認識すべき重要課題として、「社会にとってのインパクト」と「当社グループにとってのインパクト」を2軸に、マトリクス上で影響度を評価して重み付けを行い決定したマテリアリティを設定しています。今般、安全は当社事業の前提であるという会社のポリシーを明確にするためこれを見直し、「人材」の一部に含まれていた「健康と安全」を独立させマテリアリティの項目の1つとしたうえで、経営の基本となる要素と競争力の源泉となる要素に区分しました。
3.NSGグループの中期ビジョン
また中期ビジョンも見直し、2030年に当社グループが目指すゴールを「企業としてのフェーズを変え、持続可能な社会の発展に不可欠な存在を目指す」と設定しました。これに基づき、当社グループが達成すべきコミットメントとして、以下の4つを掲げています。
①私たちは、すべてのステークホルダーのために、そしてステークホルダーとともに、持続可能な社会を実現
する価値を創造する
②私たちは、顧客のソリューションにおいて重要な役割を果たすガラスとその関連技術・サービスを開発し、
提供する
③私たちは、顧客の潜在的なニーズを深く理解し、有形無形の資産を活用して顧客に適したソリューションを
提供する
④私たちは、グローバルで多様性に富み、ガラスに情熱を持ち、才能あふれるチームを誇りとし、人材への投資
を続けていく
4.前中期経営計画「リバイバル計画24 (RP24) 」の振り返り
(1)主要施策の達成事項
様々な施策を推進し、厳しい事業環境下でも利益を確保できる体制をととのえ、持続的成長基盤の構築に一定の成果を得ることができました。
(2)財務目標の達成状況
主要施策推進の効果もあり収益性の着実な改善を果たし、自己資本比率およびフリー・キャッシュ・フローの目標は3年連続で達成しましたが、営業利益率と純利益の目標は未達となりました。
財務目標 | 2022年3月期 実績 | 2023年3月期 実績 | 2024年3月期 実績 |
| 2024年3月期目標 |
営業利益率(注1) | 3.3% | 4.6% | 4.3% |
| 8% |
純利益(△は損失)(注2) | 41億円 | △338億円 | 106億円 |
| 3年累計 300億円以上 |
自己資本比率 | 15.5% | 10.2% | 12.3% |
| 10%以上 |
フリー・キャッシュ・フロー | 223億円 | 139億円 | 153億円 |
| 100億円以上 |
注1 無形資産償却後営業利益率
注2 親会社の所有者に帰属する当期利益(△は損失)
5.新中期経営計画「2030 Vision:Shift the Phase」
前中期経営計画の振り返りを踏まえ、Business Development、Decarbonization、Digital Transformation、Diverse Talentの4つの「D」を戦略の中心に据え、収益性の強化、現金創出力の強化により有利子負債の抜本的な削減を推進し自己資本の増強を目指していきます。
(1)財務目標(ただし、資本・投資効率としてのROEは参考指標としてモニタリング)
(2)戦略方針
6.経営環境および対処すべき課題
(1)当社グループを取り巻く経営環境
当連結会計年度は、主要外国通貨に対する円安、燃料価格の下落の追い風はあったものの、世界的なインフレに伴う原材料費、人件費等のコスト上昇、特に下半期には欧州の経済減速や欧米の金利上昇の影響を大きく受けました。建築用ガラス市場は、上半期は各地域で堅調な需要に支えられましたが、下半期以降欧州の経済減速の影響を大きく受けました。自動車用ガラス市場は、半導体を中心とした自動車部品不足による自動車生産制約の影響の緩和が継続するとともに、多くの取引先との価格交渉がさらに進捗し販売価格改善により高騰した投入コストの影響を軽減した結果、大きく改善しました。高機能ガラスは、事業ごとに需要に濃淡がありましたが、IT市場の減速の影響を受けました。欧州の経済減速やIT市場の減速の影響、世界的なインフレ拡大等に伴う原材料や運送費、人件費等その他コスト増加は暫く継続する見込みであり、引き続き、生産コストの更なる引き下げと製品価格の適正化に取り組み、収益力の回復を進めていく必要があります。
(2)対処すべき課題
当社グループが対処すべき重要な課題は、収益性を向上させキャッシュ創出力を高め、有利子負債の削減および自己資本比率の向上を通じて財務基盤を改善することです。
燃料価格は安定的に推移しているものの、世界的なインフレに伴う原材料費、人件費等のコスト上昇、欧州の経済減速や欧米の金利上昇の影響はしばらく続く見込みであり、また日本での金利上昇の兆しも見られます。これらに対しては、事業環境の変動に伴う業績影響の低減をさらに進め、多額の有利子負債に依存しない事業体質を確立することが非常に重要です。
今般策定した、2025年3月期を初年度とする新中期経営計画「2030 Vision:Shift the Phase」では、Business Development、Decarbonization、Digital Transformation、Diverse Talentの4つの「D」を戦略の中心に据え、前述の対処すべき重要な課題の克服を目指していきます。
「Business Development」では、社会の変化に適応し、顧客と共に新たなソリューション・技術を開発することで高い付加価値を創造していきます。そのために、ガラスおよび周辺領域においてR&D投資の継続と事業開発人材の育成を推進し、事業創出力を強化します。具体的には、建築用ガラス事業では、ガラスコーティング技術開発/設備へ集中的に投資するとともに自社製品自体の脱炭素化や地域戦略の継続的見直しを図ることにより、脱炭素を中心に持続可能性に貢献する建築用ガラスのリーディング・サプライヤーを目指します。また自動車用ガラス事業では、ADAS・EVの拡大に対応するためのケイパビリティ強化、アフターマーケット事業強化を図りつつ、並行して徹底的な収益性改善を進めます。安全で環境に優しい自動車をつくるために顧客が必要とする製品製造技術の開発を加速させ、重要な戦略的グローバルサプライヤーかつ持続可能な収益事業となるべく変革を継続します。高機能ガラス事業では、隣接市場での事業拡大、新技術の商業化を通じて収益成長を目指します。また、技術・事業シーズの創造と取捨選択による資源配分を適切に行ない、顧客製品の進化に貢献する独自の素材開発と事業化を実現し、新たな収益の柱をつくります。
「Decarbonization」では、2050年のカーボンニュートラルを目指し、持続可能な社会発展への貢献の重要アジェンダとしてサプライチェーン全体を通じた脱炭素化に取り組みます。
「Digital Transformation」では、本中期経営計画期間での取り組みを第二のPMI(Post Merger integration)と捉え、デジタルをフル活用してオペレーションを刷新し、付加価値創出能力を底上げします。データとプロセスの標準化を徹底して情報統合度を高め、グローバルマネジメントの質と速度を飛躍させます。
「Diverse Talent」では、戦略の要である強い人材と組織を築くため、明確な人事戦略をもとに投資を行い、当社が、真に情熱と意思のある従業員にプロフェッショナルな成長の機会を提供することができる会社であるという魅力をグローバルに示します。このためにも引き続き「Flatな組織、 Frankな対話、Fastな意思決定、 そして職場でのFun」の4つのFを組織内でのコミュニケーション文化として浸透させていきます。
これらの戦略を実行し、収益性の強化、キャッシュ創出力の強化により有利子負債の抜本的な削減を推進し自己資本の増強に徹底的に注力します。
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