日本ラッド 【東証スタンダード:4736】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、IoT、AI、DXといったコアサービスを通じて情報化社会の基盤構築を行い、経済の発展と活力ある豊かな社会の実現に貢献することを経営の基本方針とし、高コスト効率・高品質・高付加価値のトータルソリューションを提案しております。当社は今後も、継続的な成長を達成するため、先端技術と高度人材への先行投資を継続するとともに、更なる高収益体質化へ向けた効率的な経営を目指します。
(2)経営戦略等
当社は2024年5月13日に、2024年4月から2027年3月の3か年を対象とした中期経営計画を策定、「“人”で稼ぐから“アセット”で稼ぐ企業への構造変換」を基本方針に据え、日本の製造業DXを次のステージへ進めるデータハンドラー・アセンブラーへと成長遷移していくプランとして発表致しました。当社がSI領域で半世紀以上培ってきた豊富なソフトウェアエンジニア育成ノウハウを活かし、独自のマルチプラットフォームデータハンドリングエンジンにより市場を創造するべく、2030年以降に向けたマルチフェーズでの第二創業とも言える大きな改革の第一フェーズとして、当社が創業以来常に志してきた未知への挑戦を社会に還元することと同時に取り組んでまいります。
その重点戦略として、当社の強みである「人材育成力」「SW/HWを繋ぐコア技術」「ERP/CPM/IoTでの幅広い経験」をプロダクトアセット主導収益体制に改革していくことを第一フェーズと位置づけ、既存SI・IoT事業それぞれにおいて売上利益ともに痛みを伴う構造転換の土台構築、戦略領域の明確化と人的投資、プロダクトアセットの拡充を行ってまいります。具体的には3つの柱として、
1.選択と集中による収益力強化 ~高付加価値領域への人員配置~
エンタープライズソリューション領域において、特に大口案件での優先的な人員確保による人材の固着化・長期化が個別のキャリアパスに与える影響や、スキルマッチのバラツキによる低収益性低成長案件からの脱却を目指し、売上成長を一部抑制してでも人材ローテーションと付加価値創出の「溜め」を作っていく必要があります。
2.ノウハウのアセットへの昇華 ~人数で稼ぐから、プロダクトで稼ぐへの構造転換~
IoT/DX領域において、事業立ち上げ当初より緻密で細部にまで行き届いた提案を行う事によってノウハウの獲得・業界内でのポジションを確立してまいりましたが、社内リソースを重点的にプロダクト開発に投入しマルチクラウドでのデータハンドリングエンジンとして「広く営業展開が可能になる」属人性のノウハウ化を3年間で行います。
3.将来成長に向けた戦略的投資 ~事業創出に向けた技術獲得~
現在、複数あった連結不採算事業ユニットを整理し単体にてのセグメント統合が完了し戦略的展開を行っていくフェーズとして、改めて連結化でのグループ拡大を図り、両セグメントに於いて必要な「人材」と「技術」双方をM&A手法にて獲得してまいります。
を設定、これらを基にセグメントごとの具体的な現状及び戦略については以下となります。
(エンタープライズソリューション事業)
当社の全ソフトウェア開発リソースの始発点かつ原動力であり、確固たるエンジニア育成ノウハウを所有する当社技術力のコア基盤ではあるものの、SI案件が大型化・長期化することに伴い優秀なエンジニアが一定のプロジェクトに固定化する傾向があります。また、お客様ごとに様々な開発環境・顧客関係があるため、社員のスキルと受託案件、事業収益とのアンマッチが生まれることがあり、これらを解消するため社内エンジニアの人材ローテーションを行い社内リソースの拡充を進め、エンジニア人材の技術力を全社的に引き上げます。また、より機動的な案件運用を目指し顧客ポートフォリオを見直し、高スキル人材と高収益事業のマッチングを社内横断的に行いつつ、既存のお客様を中心としとした旺盛なソフトウェア開発需要に応じられる、多様な開発環境に対応可能なエンジニアの育成、スキルアップ・キャリア形成できる体制を整えてまいります。一方でリソース調達の難易度は引き続き高いと見込んでおり、自社での新卒採用・育成を底堅く継続しつつ、引きつづき活況な転職市場からの調達・キャリアパス観点での全社人材の横断活用をより積極的に推進してまいります。
(IoTインテグレーション事業)
創業以来強みにしてきたハードウェアのコア技術を基に、IoTインテグレーション事業を通してさらに積み上げてきたコンサル・SIノウハウをプロダクトアセットに昇華させ、ソリューションスイート化することで提案者・販売リソースの高度スキルに依存しない基盤構築を目指してまいります。そのために、現場から経営までが利活用できるデータハンドリングノウハウをプロダクト化し、世界トップクラスの産業・工場向けハードウェア製造しているAdvantech Co.,Ltd.と共にマルチクラウド/マルチプラットフォーム対応開発を行うなど顧客視点で実現できるデータハンドラー・データアセンブラーとしてのライブラリ的サービス開発を行い、プロダクトアセット開発のコアエンジンとしての事業中核化を行ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社の目標とする経営指標については、2024年5月13日で定めた中期経営計画では、2024年4月から2027年3月までに目指す経営指標は以下のとおりであります。
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 |
売上高 | 3,863百万円 | 3,950百万円 | 4,210百万円 |
営業利益 | 150百万円 | 200百万円 | 295百万円 |
経常利益 | 200百万円 | 250百万円 | 345百万円 |
当期純利益 | 317百万円 | 232百万円 | 315百万円 |
(4)経営環境
当社の属する情報サービス産業界においては、ICTを活用して様々なモノ、サービスを繋げることにより、新たなイノベーションを創出する政府の成長戦略を背景に、IoT(モノのインターネット化)、AI(ディープラーニング・人工知能)、あらゆる分野でのDX化、クラウドプラットフォーム活用、ビッグデータ解析等のテクノロジーが必須の要素となってきており、これらを積極的に取り込みつつ、地域の活性化、企業活動の高度化、生産性の向上に資するシステムやサービスの提供が企業のミッションとして求められております。これらの提供を推進していくことで、コロナ禍前を大きく超過する勢いの人流・流通・企業活動に対応する必要のある顧客ニーズの高まりをしっかりと捉えることによりソフトウェア・ハードウェア開発ニーズは引き続き増加していくものと考えております。
(エンタープライズソリューション事業)
既存の請負開発においては、コロナ禍で従来の客先常駐開発体制を大きく見直し、ハイブリッド型を中心とした開発・勤務体制を一緒に構築出来る顧客獲得へと、新しい形態でのポートフォリオシフトを図ってまいりました。当期においてはそうした体制構築が軌道に乗り始め、特に大口顧客からの一時的な需要増を受け止める全社リソース最適化が動き始める中、更なる生産性・顧客環境の発展と収益性の向上の為の全体的な育成・営業展開の再検討を行ってまいりした。また、「AWS」「Azure」といったクラウド上でのプラットフォーム開発、フルスクラッチ開発に加えBI&CPM(Business Intelligence&Company Performance Management)ツールの「Board」及びSAP周辺ニーズを取り込める「Tagetik」のベース開発体制を重点的に強化し、パートナー経由の受注増と案件規模の拡大に対応出来るよう、社内におけるカスタマイズソフトの開発及び社員の配属増、開発教育を進め、イノベーション推進チーム・AIDプロジェクトチーム体制も大きく拡充しつつ、現場でのAIソリューション活用の本格的な高付加価値・次世代型プロダクトの開発にも注力しております。
(IoTインテグレーション事業)
アドバンテック社との協業以降本格化したインダストリアルIoT分野における工場向け提案は、業界内においてユニークであるとの自負の元、様々なコンサルテーションを含んだソリューション提案の量・質・案件単価ともに引き続き好調な伸長を見せており、特に当社独自開発のプラットフォームであるkonektiと付随するクイックパッケージ提案のキーとなるkonektiBOX提案において営業期間の効率化と営業確度が向上、提案の精度と顧客満足度において引き続き高い評価を顧客より頂いております。
また当期より、従来エンタープライズ領域で蓄積してきた「kintone」(サイボウズ株式会社が提供するビジネスアプリプラットフォーム、基幹系・管理系のシステムを簡単に開発できるツール)・当社オリジナルのkinterpを使用したプラットフォーム上のローコード・カスタマイズ開発双方のニーズに対応出来るERP構築ノウハウを有するビジネスソリューション部門を、新たに設立した「DX事業本部」下にIoT事業と共に統合し、生産管理・MESの現場における一気通貫のデータハンドルニーズを一手に引き受けられる事業・プロダクトスイート体制を構築した結果、展示会等における顧客リードの獲得効率が飛躍的に向上しつつあります。
引き続き工場や医療といった現場サイドにおける少子化・高度人材の老齢化による技術継承問題はますます顕在化しており、小回りと網羅性双方を実現できるDX・IoTソリューション提案会社としての評価を拡大しつつ、メディカル・映像分野での商品開発と、エンベデッドソリューション分野における全く新しいコンセプトの商品開発を進めてまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、冒頭の通り情報化社会の基盤構築を通じて、サステナブルな経済の発展と活力ある豊かな社会の実現に貢献することを経営の基本方針とし、高品質・高付加価値のトータルソリューションを提案しております。今後も当社は、サステナブルな成長を達成するため、社名の由来であるResearch&Development(研究開発のRAD)・先端技術への投資を継続するとともに、より高収益な体質を目指す効率的な経営を目指します。具体的には中期経営計画部分に記載の通りですが、この目標に沿って当社が優先的に対処すべき財務上の課題としては、数年来進めてきた事業構造・財務内容改革に於いて得られた手元資金を、現状においては比較的安定した状態であると考えております自己資本比率を適正なレベルで維持しつつ、当社の将来的発展に於いて最も重要な要素である人的要素とユニークな技術リソースの確保・高度化を図るベースとして適切に投資・活用しグループ経営の基盤を構築することが重要であると考えております。
また対処すべき具体的な経営課題は、以下のとおりと考えております。
①営業推進体制の強化
当社は、情報サービス産業界の変化を踏まえ、各事業の拡大を目指しておりますが、今後は企業の業務システムのプラットフォーム活用・アウトソーシング化の拡大とDX・IoT部門での提案営業活動の拡大が見込まれるところから、新しいコンセプトに対応できる営業推進体制の構築・強化を目指してまいります。企業のホームドクターたれ、の社是の通り、営業活動において顧客ニーズを迅速かつ的確につかむことを大事に活動してまいります。
②優秀な人材の確保
上記営業推進体制の中で、顧客ニーズに適時的確に応えていくためには、適切な人材確保を重要課題のひとつと認識しております。それには、新卒採用及び中途採用を促進するとともに、社内での技術ローテーション、協力会社との連携を強化し、システムエンジニア、フィールドエンジニアとコンサルタント型営業人材の供給能力を高めます。また、戦略的に必要とされる技術について個々の社員とのキャリアの融合を図る目的で資格取得支援を通じた人材育成に努めるとともに、働きやすい職場環境を整備すること、優良な会社のM&Aを展開することで、優秀な人材の確保に努めてまいります。
③競争力の強化
競争優位を保つためには、ソフトウェア力が競争力に直結する企業顧客の更なるシステム投資ニーズに応えらえる、差別化された強い技術力(商品力、開発能力、開発手法、コンサルティング能力)を基盤としたビジネスモデルの確立が必要と認識しております。大方針であるプロダクトアセットの構築、急速に台頭してきている生成型AIを始めとした新規技術の取り込み、当社の体制整備等の継続的対応に加え、より一層重要性を増している戦略的事業提携や事業統合を積極的に推進してまいります。
④アライアンス構築によるプロダクトラインアップの拡充
当社は、これまでに蓄積してきた技術をもとに顧客ニーズに即したプロダクトの自社開発を行っています。しかしながら、ITソリューションが顧客のビジネスの発展に不可欠なものと位置付けられるに伴い、顧客の多様なニーズに応えることのできるプロダクト群を開発するだけでは伸びに限界があり、外部IT企業とのアライアンスを通じてプロダクトラインアップを更に積極的に拡充を図ってまいります。
⑤顧客満足度の向上
顧客満足度の向上は、情報サービス産業における重要な経営資源であるシステムエンジニアによってなされると認識しており、また、満足度において他社との差別化をもたらす大きな要素のひとつは技術力であると確信しております。当社は、ISO9001・27001等の教育規程に沿った先進技術の資格取得支援などによって、システムエンジニアの技術力を継続的に強化し、組織レベルでの品質向上につなげてまいります。
⑥収益性の確保
ソフトウェア開発事業の特徴として、業務の品質管理による収益性確保が重要課題のひとつと認識しております。受注案件の吟味と当社品質方針に基づくプロジェクト管理の更なる徹底に取り組んでおり、各プロジェクトにおける利益管理、コスト管理を徹底することに努めてまいります。
⑦効率的な経営と収益力改善
企業価値を最大化するためには、事業目的の明確化、人的資源の最適化など、経営効率の向上も重要課題のひとつと認識しており、その課題の解決に向けた人材交流の活性化及び収益性改善の推進と事業拡大に邁進いたします。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業拡大による収益力強化及び安定的財務基盤の維持の観点から「売上高」及び「経常利益」を重要な経営指標として位置づけております。また、積極的な人材育成への投資や適切な研究開発投資を進める一方、収益力及び資本効率の向上を図るため、ROE(自己資本利益率)も重視しております。
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